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2022年06月11日発行
柳画廊

『ただいま・やさしき明治』

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       今の美術業界を考える(その930)

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ただいま・やさしき明治        2022年6月11日
              府中市美術館  7月10日まで
                      
招待状を頂き、府中市美術館の‘ただいま・やさしき明治’展を
拝見してまいりました。特筆すべきは、今回の展覧会を企画された
学芸員の方とお話しをさせていただく機会を頂いたことです。

以前より、こちらでお伝えしておりますが、府中市美術館での企画
は非常に個性があり、特に明治期や近代美術に対する造形の深さに
いつも感動しております。

今回の展示は、高野光正コレクションを中心に展示されており、
明治期に西洋から画の描き方だけだなく、油彩画・水彩画という
ものが日本に入り、特に水彩画が日本人には親和性が高かったと
いうことです。

中でも、笠木次郎吉や吉田博という作家たちは、当時、高額で売買
されており、アメリカの東海岸で展示即売会を実施し、高い値段で
売却されていたということです。彼らは、その売上を原資にアメリカ
から欧州に遠征されたということです。

不思議なのは、アメリカでは高額で売買された彼らの作品ですが、
欧州では展示会の形跡があまりないようで、どちらかといえば、視察
という事だったようです。 

特に吉田博という作家は存命の頃から、アメリカで高額で売れていた
ようで、芥川龍之介の小説の中でも、当時、アメリカで売れっ子作家
として登場されていたようです。

そうして、明治の頃に活躍されていた画家たちの作品はアメリカに
渡っていたということで、それらの作品を高野光正氏がこつこつと
買い集めており、それらの作品を今回、やさしき明治というタイトル
で展示されています。

その作品達は、油彩画にも引けを取らず、正確に日本の生活を描写して
おり、現代にも通じる自然や、ほのぼのとした家族の団らんなどを丁寧に
描いています。

日本の近代美術は西洋の物まねだという、心無い日本人の関係者もおりま
すが、アジアの中で、近代という歴史を持つ日本が美術品を通して世界に
当時の時代の風景を伝えていくことは、重要な仕事だと思っています。


                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075