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2022年06月18日発行
柳画廊

『ゲルハルトリヒター展』

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       今の美術業界を考える(その931)

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ゲルハルト・リヒター展       2022年6月18日
        東京国立近代美術館    10月2日まで      
                      
美術雑誌で知り、竹橋の国立近代美術館で開催しているゲルハル
トリヒター展にいって参りました。この作家は、銀座柳画廊を
創業したばかりの1997年ごろに、ある交換会で購入した事が
あり、海外では評価が高いらしいということでクリスティーズか
なにかで売却したことがあります。

改めて、この作家の全体像を展覧会で拝見することが出来ました。
1932年の第二次世界大戦まえの 東ドイツのドレスデンで
生まれ、戦争に翻弄された幼少期を送られています。

父親が学校教師ということもあり、強制的にナチス党に参加させ
られ、ご本人は10最のときにドイツ少国民団に徴収させられて
いるようです。

戦争が終わった15歳の時に、絵画を学ぶために夜間学校に通い、
父親が日本でいうパージにあい、家が貧しかったために広告会社
の助手として看板製作の仕事をしたり、舞台美術の仕事をしながら
ドレスデン造形芸術大学に通われます。

ドイツが東西に分かれる前に、西ドイツに移住されています。

彼の仕事を拝見すると、幅広い仕事をされており、人生の中で多く
のチャレンジをされています。技があるのは、当たり前で写実の
仕事もされておりますが、その仕事に対する評価よりも、抽象の
仕事に対する評価がヨーロッパでは高いことがわかります。

日本では、美術の仕事でスーパーリアリズムというジャンルで写実
の仕事、いわゆる技術にたいする評価は非常に高く評価されるの
ですが、ヨーロッパでは違うようです。リヒターの写実は写真から
絵画を作るということの意味を、構図の意味を作家が構成するので
はなく、カメラという機械に任せる意味を、写実絵画によって表現
したという点で評価されているようです。

ピカソではありませんが、旺盛な創作活動と意欲、そして表現する事
に対するあくなき探求心とチャレンジ精神。そして、リヒターの社会
に対する哲学的な問いが同世代に生きる多くの方に影響を与えたことが
よくわかる展覧会でした。

改めて、美術館の仕事の影響力というものに感動し、リヒターの世界の
全貌を眺める機会を頂いたことに感謝しています。

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075