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2022年08月06日発行
柳画廊

『家訓』

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       今の美術業界を考える(その938)

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家訓                  2022年8月6日
                      
 色々な家に家訓というものがあるかと思いますが、私の実家から
 受け継いでいる、今の野呂の家で夫と娘にも何度も伝えている、
 家訓(生きていく上で大切にすること)を恥ずかしながら共有した
 いと思います。

 1 に 健康
 2 に 品性
 3.4 は なくて
 5 に 努力

 というものです。これは、私の母親の実家の江戸時代から大切にして
 いる家訓だと教わりました。健康が何よりも大切なことは誰も異論は
 ないと思います。健康にまさる財産はないとも教わりました。最近、
 感じるのは、この健康には身体の健康と精神の健康があって、ともに
 健康でなければいけないと、しみじみ感じています。

 次に大切なものは品性です。この品性というものは、非常に難しく、
 私の母親からは、上品ぶるのは下品なことだと教わりました。何もしな
 くても滲み出てくるものが本当の品性であって、それを保つことがいか
 に難しいかということを教わりました。

 この品性に関しては、夫の実家でも商売上での家訓で似たようなものを、
 創業者の土井憲治さんから教わりました。‘画品の高い作品を扱うように’
 というものです。創業者の土井憲治さんが言いたかったことは、絵にも
 品性があるということだと理解しています。絵から品性が滲み出ている
 かどうかを自分の目で判断しろということだと思っています。
 私達、美術商の間で‘パン画’という言葉があります。どういう事かと
 いうと、絵では食べていくことは難しく、絵を売るために、画家も色々な
 ことを考えるわけです。その中で、‘絵を買ってもらいたい’という気持ち
 が画面の全面にでてきてしまうと、‘パンを食べるために描いた絵’と
 いうことが全面にでてきてしまって、画品が低くなるという事だと
 思っています。

 
 最後の3.4がなくてという言葉は奥深く、品性と努力の間には大きな開き
 があることを意味しています。1.2は努力を超えた、無意識のレベルまで
 落とし込めということで、最後の努力は仕事、商売、勉強などを続ける上で
 当然の心構えなのだと思っています。

 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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