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2022年08月27日発行
柳画廊

『ルートヴィヒ美術館展 』

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       今の美術業界を考える(その941)

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ルートヴィヒ美術館展         2022年8月27日
              新国立美術館  9月26日まで
                      
 六本木の新国立美術館で開催されているルートヴィヒ美術館展を
 拝見してきました。この美術館はドイツのケルン市が運営している
 20世紀から現代までの作品に特化した美術館です。

 それらのコレクションは、市民からの寄贈によって形成されており
 今回の展覧会は、館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻をはじめ
 とするコレクターに焦点をあて、ドイツ表現主義や新即物主義、
 ロシア、アヴァンギャルド、アメリカポップアートなど、絵画、
 彫刻、写真、映像を含む152点が紹介されています。

 最近、あらためて感じるのは、私たちが見ている美術史というのは
 西洋美術史であって、アジアや他の地域のものは世界の美術史の
 中心からは除外されているということです。

 しかも日本で紹介されてきた西洋美術はフランスを中心とする美術で
 あって、最近になってようやくドイツをはじめとしたフランス以外
 のヨーロッパのものに触れる機会が増えたということです。さらに、
 現代アートといえばアメリカが中心であり、他国の作家はアメリカ
 在住のアーティストが紹介されているように感じています。

 今回のルートヴィヒ美術館展において、ドイツのルートヴィヒ夫妻
 からの寄贈が核となってコレクションされているものですから、
 ドイツ表現主義の作品が最初の部屋で紹介されておりました。

 オットーデクス、マックスベックマン、オスカーココシュカ、フラ
 ンツマルクといったドイツの作家たちは、多くのヨーロッパの美術館
 ではよく見かける作家たちですが、日本では少し馴染みが薄く、
 特に日本の美術市場でこれらの作家たちをみかけることは殆どありま
 せん。

 文化という意味において、ドイツも日本と同じく敗戦国であったわけ
 ですから、日本にドイツの美術品が積極的に紹介されることは少なかっ
 たように感じています。最近でこそ、ゲルハルトリヒター展や、この、
 ルートヴィヒ美術館展など、ドイツの作品達を目にすることが増えてきて
 おり、美術の世界においても、政治の影響が大きくみられる事は、多く
 の日本人は気が付いていないのだと思っています。
 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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