メールマガジン/ブログ - 最新情報

2022年10月15日発行
柳画廊

『ピカソとその時代』

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

       今の美術業界を考える(その948)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ピカソとその時代          2022年10月15日
ベルリン国立ベルクグリューン美術館展    国立西洋美術館
              
 国立西洋美術館で実施している「ピカソとその時代」というテーマ
 で、ベルリン国立ベルクグリューン美術館展を拝見してきました。
 ドイツ生まれの美術商のハインツ・ベルクグリューン(1914−
 2007年)が第二次世界大戦が終わった1948年からパリで
 画廊を経営しながら自分自身のためにコレクションを集めました。

 非常に特色のあるコレクションであり、ピカソを中心にパウル・クレ
 ー、アンリマティス、アルベルト・ジャコメッティに重点が置かれて
 います。特にピカソに関しては、初期のころから晩年にいたるまで、
 全ての時代を網羅したコレクションを拝見することができました。

 特に、2室の最初の作品は、20代の頃に銀座柳画廊の社長が扱った
 ことのあるピカソの青の時代の作品で、今はベルクグリューン美術館
 に収められているのかと一人で感動いたしました。

 今回初めて知ったのですが、ピカソは1940年6月から1944年
 8月まで続いたナチス・ドイツ占領下のパリでピカソは要注意人物
 として扱われており、その4年間は作品を発表することも許されずに
 アトリエに籠って作品を描いていたようです。

 その時期に描かれた「横たわる裸婦」という大作が陳列されていたの
 ですが、ピカソはその当時、直接的に反戦的な作品は描いておりません
 が、「横たわる裸婦」に込められた思いは、女性美と官能性は否定
 されており、独房のような閉ざされた部屋の中で横たわる女性を描く
 ことで自分の思いを表現されていたのだと思います。

 今も、世界で戦争が行われている中で、この作品と対峙すると、画家
 としてのピカソの思いを共有できるような気がしました。ドイツに
 占領されていたパリで、絵を描き続け、ピカソやパウルクレーといった
 前衛芸術家は当時のナチスに退廃芸術と言われながら、創作活動を続け
 ていたのですから、ピカソといえども順風満帆の芸術家人生ではなかっ
 たことがわかります。

 またベルクグリューン氏は画商でありながら、当時のアートフェアには参加
 せずに、独自の考えで自分の画廊での展覧会を大切にされたという考え方が
 銀座柳画廊の社長の考えにも通じるものがあり、多くの事を考えさせられ、
 学ぶことの多い展覧会でした。イヤホンガイドもお勧めです!

 ピカソ好きの方には必見の展覧会だと思います。来年1月22日まで開催され
 ているようです。
 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075