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2022年11月05日発行
柳画廊

『22世紀の民主主義』

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       今の美術業界を考える(その951)

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22世紀の民主主義           2022年11月5日
                   成田悠輔 著  SB新書
              
 最近、新聞、テレビなどでこの方の発言を拝見することが多く、
 面白いことを言われる方だな、、、と注目しておりましたので、
 著書を購入して読んでみました。

 目からうろこの提言書であり、近未来でこの話は実際にありえるな
 と思いました。本の帯には「民主主義が意識を失っている間に、
 手綱を失った資本主義が加速している。― 私たちはどこを目指せば
 いいのか? 人類は世の初めから気づいていた。人の能力や運や資源
 はおぞましく不平等なこと。」

 という下りで始まるこの本は、ピケティが指摘するように行き過ぎた
 資本主義で格差が拡大している現代社会において、弱者を救うための
 セーフティーネットであるはずの民主主義が腐敗している。という問題
 提起から始まっています。

 民主主義の根幹である選挙が、現代社会においてSNSの影響力が強まり
 多くの不正選挙の温床になっていると指摘しています。民主主義とは
 何かという根本的な問いからはじまり、それを支える選挙制度に無理が
 ないかと著書は訴えています。そもそも、何百年も前に始まった紙に
 よる選挙が、ネット選挙に移行できないだけでなく、アメリカの大統領
 選挙でみたような不正といわれる問題に直面しています。また、今回
 のコロナ対策から、その影響による経済対策においても、民主主義が
 進んでいると言われている国ほど、上手く機能しなかったとも言われて
 います。

 現実の社会において、資本主義からの逃亡ということで、タックスヘブン
 があるように、民主主義からの逃亡ということで、実験的にいくつか
 の場所で、独立国を作ろうという試みが行われているようです。
 今後、宇宙やメタバースといった空間で新しい国家が設立されることも
 著書は予想しています。

 最後の構想の章では、政治家不要論で、民主主義とはデータの変換であると
 いう著書の主張から、無意識データをアルゴリズムにより政策立案をする事
 で将来、政治家は不要になるというものでした。

 今の段階では突飛な提言に思われるかもしれませんが、もしかすると既に、
 どこかの国で実験が始まっているのかもしれません。人間がAIに動かさ
 れる未来の中に、政治でもAIが主導していく時代がくると考えると、
 あながち避けられない未来なのかもしれません。

 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075