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2023年03月04日発行
柳画廊

『春花園BONSAI美術館』

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       今の美術業界を考える(その967)

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春花園BONSAI美術館           2023年3月4日

 到知という雑誌を購読しており、3月号で盆栽作家の小林國雄さんの
 インタビュー記事を拝読して感動いたしました。その記事の中に、
 東京で春花園BONSAI美術館を私財を投じて作ったとあり、行って
 みたいと思いました。

 たまたま大学の理工学部のゴルフ仲間で、最近お父様を亡くされ、
 お父様の経営されていた会社も継いだのですが、お父様が大切に
 されていた、たくさんの盆栽が残されていて困っているというお話
 を伺っていたので、その友人にお願いして大学の同級生の仲間と
 BONSAI美術館に行ってまいりました。

 その友人は盆栽には全く興味がなかったようで、初めはお父様が
 懇意にされていた盆栽の専門家にすべて売却することを考えて相談
 されたようです。すると、その方からは‘お父様の供養だと思って、
 49日まではご自分でお世話をされたらいかがですか? お世話の
 仕方はお教えいたしますから。‘ということで、お水のあげ方など
 を教わり、49日の間、盆栽のお世話をしている間に、お父様が
 お世話をしていた盆栽に愛着がわき、今では自分と会社の社員にも
 お願いして毎日、盆栽の世話をされているようです。

 今回、お伺いしたBONSAI美術館は、その友人の家の近くではあります
 が、彼も行ったことはなく、一度行ってみたいと思っていた美術館
 だったようです。彼のお父様は埼玉の盆栽屋さん2軒にお世話になって
 おり、友人は小林國雄さんをご存じなかったようです。

 冬のまだ肌寒い中、この美術館に伺うと外国人の方が多くおられま
 した。小林さんを慕って、弟子となる外国人の方々が住み込みで働い
 ていらっしゃるようです。日本人が興味をなくし始めている盆栽を
 評価しているのは外国人なのだと、少し残念な気持ちがいたしました。

 美術館で盆栽の説明を伺っていると、友人がたくさんの盆栽を持って
 いるという話から、お名前を聞いたことがあると言われておりました。
 ご主人の小林國雄さんが外出先から戻るのをお待ちして、お話をさせて
 いただくと、やはり友人のお父様のことはよくご存じで、ご自宅にもお伺
 いしたことがあると言っておりました。

 改めて、全ての仕事は人の縁によって成り立っていると実感いたしました。
 きっと、私の友人は盆栽を通じて、ご存命の時には知らなかったお父様の
 ことを、これから知ることになるのだと思います。
 
                         
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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