2024年08月10日発行
柳画廊
『パリの美術館事情』
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今の美術業界を考える(その1044)
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パリの美術館事情 2024年8月10日
せっかくのパリにきておりますので、多くの美術館に伺いました
のでまとめてご報告いたします。
今回の目的はオリンピックでしたので美術館の予約は現地で何が
あるかわからなかったため、しておりませんでした。そのために、
いけなかった美術館がルーブル、オルセー、オランジュリー美術館
は予約しないと入れなかったために、伺えませんでした。
当日予約、または当日現地で伺えて、実際に拝見してきたのが、
ポンピドゥー美術館、マルモッタン美術館、ロダン美術館、ピカソ
美術館、パリ市立美術館、ルイヴィトン財団美術館でした。
あと、初めて伺ったピノーコレクション美術館にも行ってまいり
ました。
今回、フランスの美術館にきていて気が付いたのは、高額な作品を
多数持っている美術館ですが、その扱いが案外とおおらかであると
いう事です。
日本人の私達は、美術館で所有されている作品というと、現在の査定
金額がたとえ、思ったよりも廉価な作品であったとしても非常に大切に
扱います。その考え方は日本全般の美術愛好家の方にも浸透されていて、
日本の美術品の扱いは非常に丁寧で、湿度や温度、紫外線に対しても
几帳面に管理されていると思います。
しかし、パリ市立美術館で飾られている藤田嗣治の名品や、ピカソ
美術館にあるピカソの大作の名品であったとしても、大きなひび割れ
だけでなく、剥落寸前までに割れている作品を堂々と陳列している
ことに驚きました。
日本ですと、額の内側にはいいている埃やゴミを非常に気にされる方も
多く、特に写実絵画を扱っているとお客様は、几帳面な方が多いために、
私などは、恐ろしくて作品を扱えずに画廊にいる美大出身のスタッフにお
願いしています。ところが、百億円もしそうな美術品であっても、良い
こととは思いませんが、ひびが入って剥落しそうな状況の作品をアクリル
もいれずに、そのまま見せるところが、フランス人のおおらかさというか、
アバウトな気質がみてとれました。
本場と言われるパリの多くの美術館で、美術品の扱いだけでなく、アバウト
な運営なども拝見していると、多くの人に愛されるということは、こういう
ことなのかとも思いました。
実際に、多くのアスリートと思わせる世界中の方々がパリの美術館に足を
運んでいる姿と、それをおおらかに受け入れている姿を見て、美術品を
過度に神経質に扱い、子どもが少しはしゃぐだけで、叱られてしまう様な
美術館運営では、外国人観光客も日本の美術館には入りづらいと感じて
しまうのではないかと心配してしまいました。
文責 野呂洋子
銀座柳画廊
http://www.yanagi.com
03-3573-7075
今の美術業界を考える(その1044)
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パリの美術館事情 2024年8月10日
せっかくのパリにきておりますので、多くの美術館に伺いました
のでまとめてご報告いたします。
今回の目的はオリンピックでしたので美術館の予約は現地で何が
あるかわからなかったため、しておりませんでした。そのために、
いけなかった美術館がルーブル、オルセー、オランジュリー美術館
は予約しないと入れなかったために、伺えませんでした。
当日予約、または当日現地で伺えて、実際に拝見してきたのが、
ポンピドゥー美術館、マルモッタン美術館、ロダン美術館、ピカソ
美術館、パリ市立美術館、ルイヴィトン財団美術館でした。
あと、初めて伺ったピノーコレクション美術館にも行ってまいり
ました。
今回、フランスの美術館にきていて気が付いたのは、高額な作品を
多数持っている美術館ですが、その扱いが案外とおおらかであると
いう事です。
日本人の私達は、美術館で所有されている作品というと、現在の査定
金額がたとえ、思ったよりも廉価な作品であったとしても非常に大切に
扱います。その考え方は日本全般の美術愛好家の方にも浸透されていて、
日本の美術品の扱いは非常に丁寧で、湿度や温度、紫外線に対しても
几帳面に管理されていると思います。
しかし、パリ市立美術館で飾られている藤田嗣治の名品や、ピカソ
美術館にあるピカソの大作の名品であったとしても、大きなひび割れ
だけでなく、剥落寸前までに割れている作品を堂々と陳列している
ことに驚きました。
日本ですと、額の内側にはいいている埃やゴミを非常に気にされる方も
多く、特に写実絵画を扱っているとお客様は、几帳面な方が多いために、
私などは、恐ろしくて作品を扱えずに画廊にいる美大出身のスタッフにお
願いしています。ところが、百億円もしそうな美術品であっても、良い
こととは思いませんが、ひびが入って剥落しそうな状況の作品をアクリル
もいれずに、そのまま見せるところが、フランス人のおおらかさというか、
アバウトな気質がみてとれました。
本場と言われるパリの多くの美術館で、美術品の扱いだけでなく、アバウト
な運営なども拝見していると、多くの人に愛されるということは、こういう
ことなのかとも思いました。
実際に、多くのアスリートと思わせる世界中の方々がパリの美術館に足を
運んでいる姿と、それをおおらかに受け入れている姿を見て、美術品を
過度に神経質に扱い、子どもが少しはしゃぐだけで、叱られてしまう様な
美術館運営では、外国人観光客も日本の美術館には入りづらいと感じて
しまうのではないかと心配してしまいました。
文責 野呂洋子
銀座柳画廊
http://www.yanagi.com
03-3573-7075