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2024年09月07日発行
柳画廊

『名品展・銀座柳画廊』

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       今の美術業界を考える(その1048)

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名品展                 2024年9月7日
銀座柳画廊  期間中無休          9月28日まで               
              
 毎年恒例の9月の名品展を開催いたします。銀座柳画廊では、
 3月と9月に名品展を開催しています。今回は珍しく、草間
 彌生さんの版画ですが、アダチ版画研究所の出された‘七色の
 富士‘の赤の作品をお客様から購入させていただきましたので、
 出品することにいたしました。

 他にも、ヴラマンクの花の油彩や、小磯良平の女性像の油彩画、
 キスリングの女性像の油彩画など、美術館にも置いてあるような
 作品からお求めやすい、ピカソやシャガールの版画、ピカソの
 絵皿など眺めるだけでも幸せな気持ちになるものを置いています。

 美術品というのは不思議なもので、おなかが一杯になるわけでは
 ありませんが、その美術品にあった波長の方がその絵の前に立つと
 不思議な共鳴があるのだと思っています。それは言葉にすることは
 難しく、経験した方ではないとわからない感覚なのだと思います。

 名品と言われる作品は、その共鳴を多くの方と起こしたからこそ
 時代を超えても残っているのであって、共鳴しない方には意味が
 ないものなのかもしれません。

 私は若い頃に日本IBMという会社でエンジニアをしておりました。
 そのころには、歴史と伝統といったものの価値はわからず、新しい
 ものに価値があると信じておりました。今も、技術革新が人の生活
 を豊かにしていると思っておりますが、同時に技術革新が価格破壊
 を起こしているとも思っています。

 年齢を重ねていくと、若い頃にはわからなかた価値について考える
 ようになりました。こういう仕事をしているからかもしれませんが、
 歴史に名を連ねるものに愛着をもつようになりました。新しいものの
 価値というのは、あっという間に陳腐化いたします。しかし、歴史
 の波の淘汰の中で生き残った者には、やはりそこに何かが宿っている
 と思っています。それは、車でもそうですし、コインでもそうですし、
 書籍もそうですが、時代を超えて生き残ったものには何かが宿っている
 と信じています。

 その集大成が美術品であって、本物の絵描きを目指している方々は、
 時代を超える絵を描きたいと思っている方々なのだと私は思っています。
 
 
              
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
           03-3573-7075