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2024年11月09日発行
柳画廊

『アーティゾンミュージアム』

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       今の美術業界を考える(その1057)

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アーティゾンミュージアム      2024年11月9日

ジャムセッション 石橋財団コレクション x 毛利悠子
ひとを描く
マティスのアトリエ
       
 日本橋のアーティゾンミュージアムに行ってまいりました。驚く
 のは上記の3つの企画展を実施しながら入場料が都会の真ん中で
 ありながら1500円ということです。

 実際には、普段の常設を中心とした展示ではありますが、それぞれ
 に展示をキュレーションして、作品の選定をして見せるということは
 非常に大変なことだと思います。

 まず、2024年のヴェネチア・ビエンナーレの日本館に参加された
 毛利悠子さんの展示を石橋財団の作品とともに見せる企画も素敵
 でした。このシャムセッションということで、ヴェネチア・ビエン
 ナーレに参加された作家の紹介を、こちらのアーティゾンミュージ
 アムでは定期的にされていて、日本人の現代アートの紹介の機会と
 なっています。ヴェネチアビエンナーレは芸術における世界的な
 由緒ある展示会で、日本を代表された作家が、こちらの民間の美術
 館であるアーティゾンミュージアムで実施されているということは、
 物凄いことだと思います。 本来であれば、国立美術館などで実施
 するべき展覧会なのではないかと思ってしまいます。

 次に「ひとを描く」ということはヨーロッパの美術の歴史を見て
 みるとこの「人を描くこと」は作品制作の重要な要素であり、特に
 自画像は、自らの技量を占めることのできる題材であると同時に、
 新しい表現の実験の場でもあったようです。また写真のない時代
 には肖像画は、画家たちにとって重要な生活の糧にもなっていた
 ようです。面白い視点による企画だと思いました。

 そして最後に「マティスのアトリエ 」ですが、最近、石橋財団が
 アンリマティスの「踊り子とロカイユのひじ掛け椅子、黒の背景」
 をコレクションに加えられたことをきっかけに、石橋財団が所有
 するマティスの作品によるコレクション展です。マティスは晩年、
 体調を壊されている中で、寝椅子のように改造したベッドの上に
 カンヴァスを持ち込んでおり、このことはマティスの居場所がその
 まま、アトリエになることを示しています。
 マテイスにとって、アトリエとはどのように機能しているのかを
 石橋財団のコレクションを通して、考察する展示企画という事なの
 だそうです。

 これだけ盛りだくさんの展示企画を銀座のすぐそばで拝見できる
 事は、非常に恵まれて幸せな事だと思っています。

              
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075