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2024年11月16日発行
柳画廊

『芸術の力』

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       今の美術業界を考える(その1058)

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芸術の力              2024年11月16日

 先週、同業者の同い年の仲間と還暦パーティを開きました。趣旨
 としては、私達の仕事は芸術を扱う仕事であり、一人一人、色々
 な思いで仕事をしておりますが、基本的には一匹オオカミですし、
 交換会のようなもので、なんとなくお付き合いはするものの、
 真面目な話をすることは殆どありません。

 そこで、これから同業者の後輩の方々をご招待して、私達が
 何を考えて仕事をしているか、後輩の皆さんに何を伝えたいかと
 いうようなことを交流を通じて伝えることができたらと、立食
 形式でパーティのようなものを催しました。

 発起人は京都の思文閣の田中大社長のお名前で、そうそうたる画商
 の皆様11人の発起人で、私は社長でもありませんので末席の末席
 に入れさせて頂きました。同い年の画商さんが多いのも驚きでした。

 オークション関係者など、美術の売買をされている若手画商さん達
 をお呼びして、事前に我々に質問事項などを出してもらい、それ
 に対してランダムにお答えするという形式をとらせていただきました。

 生まれ変わっても画商になりますか? とか、 今まで一番印象に
 残った取引はなんですか? など、さまざまな質問がありました。
 その中で、特に印象に残った質問と答えをひとつご紹介いたします。
 若い頃にやっておけばよかったと思う事、もしくは若い頃にやっておく
 べきことは何でしょうか? という質問です。

 この質問に対して、同業者で私も尊敬しているバーバリーアートス
ペースのバーバリーさんは、若い人たちに、もっと苦労をしてもら
いたい。と返答をしておりました。彼自身、海外から日本に来られて、
見るからに外国人の風貌で、日本で美術を扱う仕事をしていく上では
想像を絶する苦労を若い頃からたくさん経験されています。バーバリー
さんの若い頃の苦労は、必ず将来の自信につながるから、というお話
でした。知っているだけに説得力がありました。
 また、発起人代表の田中大さんも、ご挨拶で非常に深い話をされて
 おり、同級生でありますが尊敬に値する方だと思いました。
 そして、乗り越えた苦労が人を魅力的にするのだと確信いたしました。

 仕事は一人でやっているわけではありません。私も銀座柳画廊の社長
 を信じて、今までやってきておりますが、同業者の仲間にも尊敬する
 方々いるということが、これから仕事をしていく上で大きな原動力
 になると思っています。

 私達画商の使命は芸術の力を信じて、社会をより良い場所にする
 ことであり、芸術の力を多くの人に伝えていくことです。その
 手法は多岐にわたるため画廊によって個性があり、それが楽しいの
 だと思います。

 私達の感動が多くの若手画商に伝わっていればこの上ない幸せです。
              
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
           03-3573-7075