2024年12月28日発行
柳画廊
『儒教のかたち こころの鑑』
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今の美術業界を考える(その1064)
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儒教のかたち こころの鑑 2024年12月28日
サントリー美術館 2025年1月226日まで
六本木にあるサントリー美術館に行ってまいりました。最近、
日本の歴史や文化に興味を持ち始めておりますので、日本の古い
ものを見たくなって伺ってまいりました。
そもそも私も儒教とは何かというと、自分の中に明確なものが
あるわけでもなく、この展覧会の言葉を借りると、紀元前6世紀
の中国で孔子が唱えて教説と、その後継者たちの解釈を指す思想
です。孔子が唱えた思想とは、五常(仁・義・礼・智・信)に
よる道徳観を習得・実践して成人に近づくことが目標であり、徳
をもって世を治める人間像を理想としています。
この展覧会では、いくつかの章にわかれて展示がされております。
天皇の学問としての儒教を見せる章。禅僧と儒教がどのような影響
を及ぼしたのかを見る章。江戸幕府の思想として儒教がどのような
役割を果たしたのか。そして最後に儒教がどのように日本に浸透
していったのかという章です。
朱子学というものは、儒教が発展したものなのだそうです。さらに
この展覧会や日本に及ぼした影響を考えると、日本は中国から歴史
的に多大な影響を受けてきておりますが、かならず日本風にアレンジ
していることも感じます。そして、日本は学問が大好きな国民である
ことも、この展覧会を通じてひしひしと感じました。
また、今回の展覧会の作品も東京国立博物館、根津美術館、徳川
美術館、京都博物館、京都仁和寺など、多くの所蔵されている所
からの貸し出しも受けており、かなり力の入った展覧会であると
感じました。日曜日の午前中に伺ったのですが、これだけレベルの
高い展覧会で、それほど多い人もなくゆったりと観覧できたのは
非常に贅沢な時間でした。
この儒教という考えは、私の世代からすると「南総里見八犬伝」
のような読本や「仮名手本忠臣蔵」といった歌舞伎の演目にも採用
されており、広く一般に親しまれているもので、そこから日本独自の
芸術が生まれてきていることも重要な要素だと思います。
私達の日本文化は中国から大きな影響を受けてきておりますが、必ず
自分たちの独自の視点を混ぜて表現する国民です。 それは明治維新
で西洋の文化を取り入れた時にも、手法や遠近法など技術的なものは
取り入れても、そこで表現する内面的なものには必ず日本人独特の
センスが取り込まれていると改めて感じることができた展覧会でした。
文責 野呂洋子
銀座柳画廊
http://www.yanagi.com
03-3573-7075
今の美術業界を考える(その1064)
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儒教のかたち こころの鑑 2024年12月28日
サントリー美術館 2025年1月226日まで
六本木にあるサントリー美術館に行ってまいりました。最近、
日本の歴史や文化に興味を持ち始めておりますので、日本の古い
ものを見たくなって伺ってまいりました。
そもそも私も儒教とは何かというと、自分の中に明確なものが
あるわけでもなく、この展覧会の言葉を借りると、紀元前6世紀
の中国で孔子が唱えて教説と、その後継者たちの解釈を指す思想
です。孔子が唱えた思想とは、五常(仁・義・礼・智・信)に
よる道徳観を習得・実践して成人に近づくことが目標であり、徳
をもって世を治める人間像を理想としています。
この展覧会では、いくつかの章にわかれて展示がされております。
天皇の学問としての儒教を見せる章。禅僧と儒教がどのような影響
を及ぼしたのかを見る章。江戸幕府の思想として儒教がどのような
役割を果たしたのか。そして最後に儒教がどのように日本に浸透
していったのかという章です。
朱子学というものは、儒教が発展したものなのだそうです。さらに
この展覧会や日本に及ぼした影響を考えると、日本は中国から歴史
的に多大な影響を受けてきておりますが、かならず日本風にアレンジ
していることも感じます。そして、日本は学問が大好きな国民である
ことも、この展覧会を通じてひしひしと感じました。
また、今回の展覧会の作品も東京国立博物館、根津美術館、徳川
美術館、京都博物館、京都仁和寺など、多くの所蔵されている所
からの貸し出しも受けており、かなり力の入った展覧会であると
感じました。日曜日の午前中に伺ったのですが、これだけレベルの
高い展覧会で、それほど多い人もなくゆったりと観覧できたのは
非常に贅沢な時間でした。
この儒教という考えは、私の世代からすると「南総里見八犬伝」
のような読本や「仮名手本忠臣蔵」といった歌舞伎の演目にも採用
されており、広く一般に親しまれているもので、そこから日本独自の
芸術が生まれてきていることも重要な要素だと思います。
私達の日本文化は中国から大きな影響を受けてきておりますが、必ず
自分たちの独自の視点を混ぜて表現する国民です。 それは明治維新
で西洋の文化を取り入れた時にも、手法や遠近法など技術的なものは
取り入れても、そこで表現する内面的なものには必ず日本人独特の
センスが取り込まれていると改めて感じることができた展覧会でした。
文責 野呂洋子
銀座柳画廊
http://www.yanagi.com
03-3573-7075