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　　　　　　今の美術業界を考える（その１１０３）

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本日はお日柄もよく　　　　　　　　　　２０２５年１０月４日
　　　　　　　　　　　　　　　原田マハ　著　　　　徳間文庫　
　　　　　　　　　　　　　　
　年配の友人に勧められて、この本を読みました。久しぶりに一気読
　みをいたしました。言葉の力を信じて、ということで、冒頭の文書
　は結婚式のスピーチからはじまり、最後は主人公が選挙のスピーチ
　ライターになるというストーリーです。

　私もこのコラムを書いているのも、言葉の力を信じているから書い
　ており、もちろん絵の力も信じておりますが、私の場合は絵から
　感じることが難しくて、言葉のサポートをもらって絵を見て感動
　できるようになった事も、この本を進める理由の一つです。

　多分、多くの方は抽象絵画を理解するのに、言葉の力を借りて感動
　しているのではないでしょうか？　それほどまでに、言葉の力は
　強力で感情を揺さぶることができるものだと私は信じています。

　この著書の原田マハさんは、絵画についても造詣が深く、美術に
　まつわる著書も多く出されておりますが、この原田マハさんをきっ
　かけにして美術ファンになられた方も多いのではないでしょうか？

　日本には言霊という言葉があり、言葉を発することで現実化すると
　いう考え方があり、私も言葉は慎重に使わなければいけないと思っ
　ております。特に、日本語というものは微妙なニュアンスを伝える
　のに適した言語であるため、使い方次第によっては危険である事も
　理解しています。

　この著書の中にある結婚式でのお祝いのスピーチなどは、涙がでる
　ほど良くねられており感動いたしました。そして、今でも覚えている
　のは、民主党が政権交代したときの選挙演説や、アメリカの大統領選
　で、民主党の黒人のオバマ大統領が大統領になったときの選挙演説は
　徹夜してリアルタイムで聞いたのを覚えています。

　そのようなリアルな出来事もちりばめながら、言葉の力を訴えている
　この本は、言葉に興味のある人や、結婚式のスピーチなど人前で話す
　機会がある方には是非、おすすめしたい１冊です。

　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　文責　 野呂洋子
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　銀座柳画廊
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　http://www.yanagi.com
03-3573-7075