2026年02月14日発行
柳画廊
『新しき油絵・小出楢重』
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今の美術業界を考える(その1122)
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新しき油絵・小出楢重 2026年2月14日
府中市美術館 3月1日まで
多磨霊園のお墓参りの帰りに、府中市美術館の小出楢重展を拝見
してまいりました。1887年生まれの小出楢重は生粋の大阪人
で、西洋思考のモダニスト。一筋縄でとらえきれない面白さを
お持ちです。
明治という時代に生まれ、長い鎖国から西洋という文化が入って
きた日本に生まれ「新しき日本へ新しき花を発祥させるには根の
ない木を植えてはいけない」と言い、東洋と西洋に文化的風土の
違いを強く自覚し、そのうえで日本人としていかに油絵を描く
べきかを追求した画家、小出楢重。大阪中心部の商家に生まれ、
濃厚な庶民文化につつまれて育ちながら、洋行後は西洋の文化を
骨肉化すべく、衣食住を洋風に改め、大正から昭和初期にかけて
のモダンな都市文化を体現いたしました。
芸大に入る前は父親と一緒に日本画を習い、芸大受験で洋画家
は落ちたものの、日本画では及第点ということで、初めは芸大
の日本画を選考しておりました。その時代の作品が、展覧会の
入ってすぐの場所に陳列されており、その技術の高さに唸り
ました。
小出楢重といえば、石橋財団にある「帽子をかぶった自画像」や
大原美術館所蔵の「Nの家族」が有名ですが、その両方とも、
この展覧会で拝見することができました。
私たちは画商の仕事をしていて、よく欧米のギャラリーの方や、
現代アートを扱っている画商さんなどに、日本の近代絵画は
西洋の物真似で、独自性がない。と言われることが多々あります
が、小出楢重の言葉を拝見すれば、それが違うことがわかり
ます。
油絵という材料を使いながらも、日本独自の文化に根差した洋画
の世界を確立することを明治の作家がしてきたことであります。
銀座柳画廊で扱っている岡野博先生も、油絵という西洋の文化の
上で出来た材料で絵画を制作するには、その現場のフランスで生活
しなければ本質は理解できないといって13年もフランスで生活を
されています。
芸術を極めるということは、根っこの部分は同じであって、生活
の中から文化が育つもので、日本人という血を消し去って、日本人
が独自の新しい芸術を生み出すことはできないのだと思います。
明治という新しい時代を生き抜いた画家の仕事を拝見することで
多くの刺激をもらいました。
文責 野呂洋子
銀座柳画廊
http://www.yanagi.com
03-3573-7075
今の美術業界を考える(その1122)
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新しき油絵・小出楢重 2026年2月14日
府中市美術館 3月1日まで
多磨霊園のお墓参りの帰りに、府中市美術館の小出楢重展を拝見
してまいりました。1887年生まれの小出楢重は生粋の大阪人
で、西洋思考のモダニスト。一筋縄でとらえきれない面白さを
お持ちです。
明治という時代に生まれ、長い鎖国から西洋という文化が入って
きた日本に生まれ「新しき日本へ新しき花を発祥させるには根の
ない木を植えてはいけない」と言い、東洋と西洋に文化的風土の
違いを強く自覚し、そのうえで日本人としていかに油絵を描く
べきかを追求した画家、小出楢重。大阪中心部の商家に生まれ、
濃厚な庶民文化につつまれて育ちながら、洋行後は西洋の文化を
骨肉化すべく、衣食住を洋風に改め、大正から昭和初期にかけて
のモダンな都市文化を体現いたしました。
芸大に入る前は父親と一緒に日本画を習い、芸大受験で洋画家
は落ちたものの、日本画では及第点ということで、初めは芸大
の日本画を選考しておりました。その時代の作品が、展覧会の
入ってすぐの場所に陳列されており、その技術の高さに唸り
ました。
小出楢重といえば、石橋財団にある「帽子をかぶった自画像」や
大原美術館所蔵の「Nの家族」が有名ですが、その両方とも、
この展覧会で拝見することができました。
私たちは画商の仕事をしていて、よく欧米のギャラリーの方や、
現代アートを扱っている画商さんなどに、日本の近代絵画は
西洋の物真似で、独自性がない。と言われることが多々あります
が、小出楢重の言葉を拝見すれば、それが違うことがわかり
ます。
油絵という材料を使いながらも、日本独自の文化に根差した洋画
の世界を確立することを明治の作家がしてきたことであります。
銀座柳画廊で扱っている岡野博先生も、油絵という西洋の文化の
上で出来た材料で絵画を制作するには、その現場のフランスで生活
しなければ本質は理解できないといって13年もフランスで生活を
されています。
芸術を極めるということは、根っこの部分は同じであって、生活
の中から文化が育つもので、日本人という血を消し去って、日本人
が独自の新しい芸術を生み出すことはできないのだと思います。
明治という新しい時代を生き抜いた画家の仕事を拝見することで
多くの刺激をもらいました。
文責 野呂洋子
銀座柳画廊
http://www.yanagi.com
03-3573-7075