メールマガジン/ブログ - 最新情報

2026年05月02日発行
柳画廊

『藤田美術館』

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

      今の美術業界を考える(その1133)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
藤田美術館               2026年5月2日
            
 最近、大阪への往復が頻繁にありますので前から伺いたかった
 藤田美術館に行ってまいりました。ゴルフでのご縁も頂いており
 ましたので、学芸員の方にご説明も頂き、贅沢な時間を過ごさせ
 てまいりました。

 藤田美術館といえば、美術館の建て替え費用の捻出のために、
 2017年3月にニューヨークのクリスティーズにて、所蔵品
 31点をオークションに出品しアジア美術では大変大きな反響
 を呼び、予想価格を大きく上回る総額301億円(当時のレート)
 で落札されました。

 美術業界では、しばらくこの話題で持ち切りで、担当された山口
 さんも美術雑誌やテレビなどでもひっぱりだこで、いつかいきたい
 と思いながら、9年ごしで伺うことが叶いました。

 学芸員の方からの解説も秀逸で、藤田美術館のコレクションは
 明治時代に活躍した実業家、藤田傳三郎と、息子の平太郎、徳次郎
 によって築かれたとのことです。明治に入り廃仏毀釈の運動が盛んに
 なり、国の宝といえる仏像や美術品が燃やされたり、安値で海外に
 流出されるのを見て、粗雑に扱われる美術品に危機感を覚えて、
 収集をされたと言われています。

 事業で稼いだお金で、美術品を購入して、国の宝の散逸を防ごうと
 いう決意のもとに収集をされたそうです。また、それらの宝を個人
 の私有物として秘蔵するのではなく、広く世に公開し、同好の友と
 よろこびをわかち、また、その道の研究者のための資料として活用
 してもらいたいとの思いで、1954年に藤田美術館を開館させた
 のだそうです。

 私は前の藤田美術館にはいったことがなく、リニューアルした後の
 立派な美術館に伺ったのですが、日本国内に3点しかないと言われる
 曜変天目もじっくり拝見することができて、大満足でした。学芸員
 の方ともお話したのですが、日本の1980年代のバブルの時に、
 海外の美術品を買いあさるのではなく、日本の美術、日本人による
 美術品を買いあさっていれば、今の日本は違う景色を見ることが
 できたのだと思います。それでも明治の時期に、二束三文として
 扱われた日本美術や中国美術が今の現代において、大きく評価
 されていることを考えれば、日本に経済力があったときに、日本
 の文化に投資をしてこなかったことが悔やまれてなりません。

 藤田美術館でコレクションを拝見し、お話をお伺いする中で、これ
 から美術商としての役割を改めて再認識する良い機会となりました。

 またお伺いしたいと思います。
 
         
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
           03-3573-7075