メールマガジン/ブログ - 最新情報

2026年06月13日発行
柳画廊

『カール・ヴァルザー』

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

      今の美術業界を考える(その1139)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
カール・ヴァルザー          2026年6月13日
      於 東京ステーションギャラリー  6月21日まで

 カール・ヴァルザーはスイスのベルン近郊で1877年に生まれ
 ました。日本の美術業界においても、彼の名前を知る人は決して
 多くはないと思います。そして、日本で初めての回顧展を東京
 ステーションギャラリーで開催とのことで拝見してまいりました。

 120年前に、この画家がドイツの出版社に依頼されて小説家の
 ケラーマンとともに日本に滞在されています。このころのヨーロ
 ッパは日本趣味といいますか、ジャポニズムに湧いていた時代
 ですが、実際に日本にこられた方は少なく、ヨーロッパに戻って
 日本の風景や歌舞伎役者など、全くの異文化を絵画で紹介された
 数少ない作家なのだと思います。

 またヴァルザーは有名な作家というわけではありませんが、挿絵、
 舞台美術、室内装飾や壁画などの分野で活躍されておりました。
 ドイツとスイスにはいくつもの壁画が現存しています。

 舞台美術の分野ではシェイクスピアをはじめ、多くの作品のセット
 やコスチュームのデザインを担当いたしました。コスチュームの
 デザイン画は、まるでファッション画のような華やかさを感じさせ
 ます。

 また、装丁や挿絵でも弟のローベルトの本をはじめ、多くの仕事を
 残しています。

 1900年初頭のヨーロッパは植民地政策により、多くのアジアの国
 を植民地にしておりましたが、日本は植民地化されることなく、
 日露戦争ではアジアの小国が勝利することで驚かせました。芸術の
 世界では「ジャポニズム」が流行し、日本は神秘的で洗練された文化
 を持つ憧れの国として認識されていたのだと思います。

 そういう意味において、日本でカールヴァルザーを紹介することは非常に
 意味のあることですし、当時のヨーロッパの方々が日本の芸術をどのよう
 に理解して、興味を持ったのかを理解することは大切です。

 カールヴァルザーの作品を通して、当時の日本がヨーロッパからどのよう
 に見られていたのかを知る良い機会ですので多くの方にも知っていただきたい
 作家の一人となりました。
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075