岩手葛巻の田舎の三代目石屋、トラベリングです。
  
  今回は、お墓を建てる時に良く聞かれる、
  『建立者様名』の彫刻と色についてです。
  「誰にしたらいいの?」
  「何で赤色なの?」
  「なぜ彫るの?」
  良く聞かれる質問です。
  意味について知らない方も多いのでは?
家族

お墓の建立者の名、赤の色、それって必要なの?その疑問お答えします!!
 ●お墓の後ろや横に彫っている建立者名は必要なの?
  建立者名の彫刻位置は特に決まっているわけではありませんが、
  建立者名と建立年月は、棹石の左面か裏面に刻まれている場合が多く見られます。
  また建立者として刻むのは、故人の配偶者か後継ぎのどちらかか、
  最近では両方の連名もあります、生前墓の場合は夫婦連名もあります。
  「お金を出した人」ということで、家族全員の連名の場合も。
  「故人のお金で建てたので」ということで、故人の名前にするケースもあります。
  ※お墓に刻む「建立者」と墓地の名義人とは、必ずしも一致させる必要はありません。
  
  これらは、そのお墓の管理または守っていく人を表している場合が多く、
  彫られたことで守らなければという自覚も生まれます、
  家族からその想いを託されているわけです。
  特に後継ぎの名前を彫ることで、
  責任者になってもらい、その責任者が自立し一人の人間になっていくわけです。
  墓相的にもその家族の相続運が強くなっていくと言われています。

 ●建立者の名前が「赤」になっているのはなぜ?
  『朱色=赤色』
  もともと寺院で「生前戒名」を与えられた、
  墓石に彫刻する時に「朱」を入れていました。
  仏教で「戒名」は、仏門に入った証、戒律を守るしるしとして与えられる名前です。
  かつては、「戒め」過ちを犯さないよう、
  自らの訓戒として生前にお寺にて戒名をいただいておりました。
  そして、墓石に戒名を彫る場合に生前受領したと分かるように『朱色』を入れていた事から、
  建立者の名前にも朱を入れ「まだ生きています」とするようになったのです。
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 ●日本との繋がりが深かった『朱色』。
  「朱」は「赤色」を表す漢字として有名です。
  朱色は昔から日本と繋がりが深い色でした。
  「朱」は「木」に「一」を組み合わせた漢字です。
  「木」の真ん中に横線を引くことで「木の中心部分」を表し、
  「幹の真ん中の赤い部分」を指したのが「朱」のはじまりだそうです。
  一点の曇りもない輝く太陽の色といえる。
  縄文時代には朱が使われたようで、福井県の鳥浜貝塚から朱が塗られた鉢が出土しており、
  京都府の古墳からは天然の朱の塊も出土している。
  弥生時代から古墳時代にかけては、墳墓の内壁へ朱を塗っていたとも言われています。
  また、死者の再生を願って遺骨へ朱を塗ることが行われたそうです。
  六世紀に仏教が伝来して中国の政治文化の影響が顕著になるにしたがって、
  大きな都が造営され、宮殿に加えて巨大な寺院の建築が盛んになった。
  そびえ立つ五重の塔や金堂などの建造物には朱が塗られ、
  法隆寺の金堂壁画のような絵画にも朱が彩りとして使われた。
  
 ●最後に
  石に彫る責任感の芽生えと、家族の想い、
  そして、継ぐ、繋いでいく、守っていく強い意志が表わされています。
  『朱色』『朱字』の意味を知り、
  日本伝統のお墓のありかたを考えていくと
  そこには繋がりが深かった『色』とその意味、
  繋げ、守り続けていく「かたち」がありました。

  そして、私たちは生きていく・・・