2008年07月19日

書籍「E・S・ガードナーへの手紙」読了。


E・S・ガードナーへの手紙
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書評/ミステリ・サスペンス

書籍「E・S・ガードナーへの手紙」スーザン・カンデル・著 青木純子・訳 東京創元社・刊を読了。
これは本が好き!プロジェクトからの献本です。

この本の原題は“I Dreamed I Married Perry Mason”ということで、TVドラマ化もされた弁護士ペリー・メイスンの生みの親、ガードナーの本を書いている伝記作家のシシーが、ガードナーの調べごとをしているうちに、彼の関わった半世紀前の事件に巻き込まれるという話。

ガードナーゆかりの地の事件なので、伝記のための調べごとの時も事件のことに気が散ってそちらを調べ始めたり、聞き込みの口実に本の取材だと言ってみたり。伝記を書く仕事というものと、探偵の仕事が上手い具合にミックスされ、ペリー・メイスン、もしくはガードナーが乗り移ったかのように細かく動き、調べ、頭を働かせるシシーの描写が面白かったですね。

とにかくあれこれ頭を使っているんだな、と感じるのは、()書きの多さだろう。余計なことを()書きでつらつらと書いてある。始めはちょっと読み辛く感じるものの、ああ、この人はこういう感じに思考しているんだ、という感じに同時に湧き上がる雑念の多さが伝わって来て、これはこれでアリな描写なのだとだんだん慣れて来ます。雑念が多くてあっちこっちに考えが飛んでうまくまとまらないんだな、と。
この描写は、特徴ある部分かもしれません。

あと目についたのは、シシーはとてもスタイリッシュで美人さんなので、着飾ったりするのが大好きで、あちこちに散らばるファッション用語や服やら靴やらの描写、魅力的な男性とのやり取りやファッション談義の多さ。
でもそれらには、ちょっと辟易。
一般的には、おしゃれで格好良い女性像そのものなのでしょうが、どうにもそういう部分に興味がないので、本編と関わり無くぽんぽんと出てきては、ロマンスに繋がったりするのが、なんだかなぁという感じでした。
ただ、元来おしゃれ好きな人には、彼女の住まいがウェスト・ハリウッドだったりするので、そういう土地に住まってスペイン風の住居に住み、離婚歴アリとはいえ作家として優雅なシングルライフを送る、きらびやかな世界を堪能できて良いかもしれないです。

物語に関しては、う〜ん、正直なところ、謎が謎を呼んで、という感じでもなく、半世紀前の出来事ということもあり、いろんな情報は錯綜するものの、情報の羅列という感じで、事件とか人間関係がうまく整理できなかったですね。(私の読解力不足か?)
もう少し現在まで関わっているとか、それぞれの人物像が思い描けるような描写があれば、ミスリードされたり、浮かび上がる事件の真相に深みも出るとは思うのですが...まぁ、結局、シシーの描写と犯人描写に割くので精一杯だったのかな?という感じもあります。わりと犯人予測できますしね。

あとは、テレサ・フリン事件の動機とか、メレディス・アランの変貌ぶりとか、洋服が無造作に散乱しているとか、何かもっと意味があるのでは?と勘ぐりたくなる部分が、振り返るとあれこれあるのですが、そのへんには一切触れないまま、終わっている。
まぁ、シシーは単なる伝記作家で、今回はE・S・ガードナー伝を書くのが本来の目的だったじゃないか、ということで解釈すれば、細かいことなのかもしれない。
他人をとことん知り尽くすなんてできっこない。まずもって不可能、心の奥底までは覗けない。(p341)
何か、逃げの文章のような気もしますが(^^;

ミステリとしては、ちょっと物足りない部分もありますが、ガードナーの基礎知識も自然と理解できますし、ヴィンテージファッションやおしゃれな世界の好きな人には充分満足できるのではないかと思います。

su_da_chi at 12:56│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!書籍:本が好き!プロジェクト | 書籍:翻訳モノ

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