敗北の世界遺産決定から後、

”外務省は9日、世界文化遺産への登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」を巡り、植民地時代に朝鮮半島出身者が施設で働いた「徴用工」の歴史に関する対外発信を強化する方針を決めた日本経済新聞7/9)”


といった報道があり、一体どんな「発信」をするのかと気にかけていたのですが、一向に何か発信する気配がありません。「方針を決めた」というだけのことなので、この「発信」については来年度予算の概算要求に盛り込んでから・・・なんて話なのでしょうか?

jkl-furukawaのカレイドスコープ」さんが書いておられますが、西尾幹二氏がお怒りになるのも当然です。


35分くらい~

”(対外発信のために、外務省に今年度)700億円の予算がついた・・・、
 しかし、訴えるものは、和食とク-ルジャパン・・・バカじゃない?!


「ジャパン・ハウス(仮称)」の創設・運営業務 (外務省平成27年7月13日「現時点での業務概要」)
ジャパンハウス
この「戦略的対外発信」事業については、昨年とりあげたのですが、(2014/8/30)
ジャパンハウス1
概算要求の段階だったことと、「500億円」を「500億円」としていたので、訂正の意味も込めて少々とりあげておくことにしました。今年度の事業費としては、西尾氏の発言どおり700億円。

戦略的対外発信(約700 億円)
補正予算計上分305 億円と合わせれば、対前年度比500 億円の増となる。

<主な新規事業>


●ジャパン・ハウス(仮称)の創設・・・・・35.9 億円

「戦略的対外発信については、真に日本の『正しい姿』や多様な魅力の発信に向けて、海外の広報文化外交拠点の創設」

・平成27 年度中の開設・・・ロンドン(世界全体と欧州に向けた重要な情報発信拠点の一つ。)、ロサンゼルス(米国における重要な情報発信拠点の一つ。)、サンパウロ(日系人が多数居住。)に設置。
(※概算要求では51億円。香港、イスタンブール、ジャカルタへの設立も要求していた)

・ジャパン・ハウスは、民間企業への委託事業として運営。

・クールジャパン戦略との連携のほか、在外公館の広報文化センターや個別事業を扱う各省庁、地方自治体等と協力しつつ、「オールジャパン」で対外発信を強化していく。

●親日派・知日派の育成・・・・・77 億円
将来活躍が期待される海外の優秀な人材の発掘と日本への招へいを通じ、我が国の政治、社会、歴史及び外交政策に関する理解促進を図るとともに、中・長期的な日本の外交環境改善を図ることを目的として、
・米国・中南米を中心に各国・地域のニーズに応じた日本語普及事業の展開を図るべく日本語教師の確保や日本語専門家の派遣など、日本語教育の推進に・・・・・10.4 億円

・海外の日本研究機関・組織等への支援強化に・・・・・12.5 億円

・親日派・知日派育成のための交流拡充拠出金・・・・・28.8 億円


●上記の取組に加え、領土保全、歴史認識、積極的平和主義等について、日本の「正しい姿」を国際社会に発信するとともに、伝統文化やクールジャパンを含む日本の多様な魅力の発信を通じた対日理解の増進を図るため、平成26 年度に続き、

・日本国内の外交シンクタンクへの支援拡充に係る経費・・・・・7.3 億円、
・女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW!)の主催に係る経費・・・・・2.2 億円
主要国の在外公館における諸外国の動向及び日本に関連する報道等のモニタリングや対日世論調査の実施・に係る経費・・・・・6.7 億円

●在外公館による発信を一層強化するため、在外公館長によるスピーチ・寄稿等の補佐体制の整備やメディアトレーニングの実施など、機動的な政策広報活動に係る経費・・・・・約4.1 億円

 「戦略的対外発信」と外交実施体制の強化― 平成27 年度(2015 年度)外務省予算の概要 ―
               立法と調査 2015.3 No.362(参議院事務局企画調整室編集・発行)

 
ジャパンハウスについては「用地取得費だけで60億~70億円かかる」(産経新聞2014/8/28)と報じられてた件はどうなったのか?・・・という言う気もします。

なお、動画の西尾氏の主張にはほとんど同意なのですが、氏は安倍首相までは批判されていないようです(外務省止まり)。しかし、産経新聞の7/11付の記事を読むと、やはり安倍さんの判断ミスがあったと思います。

【世界遺産交渉の舞台裏】外相会談合意無視した韓国、密室で飛び交う怒号 交渉責任者「韓国の悪意に充ちた行為確信した2015.7.11 01:30 産経新聞

”日韓両政府は、外相会談や事務レベルなど同月21、22両日の協議で、委員会での声明を「forced to work(働かされた)」とすることで合意していた。”

”安倍は、国民が待ち望む世界文化遺産への登録、国交正常化50周年を迎えた日韓関係改善、日米同盟強化のための日米韓の連携など「大局的な政治判断で外務省がまとめてきた『forced to work(働かされた)』という案を了承した」(政府高官)という。

そして結局、日本側は「強制労働」という語句を使わないよう押し返し、「最後の一線は守った」(首相周辺)。”

安倍さんも、『forced to work』などという言葉を日本自ら発することの代償の大きさを認識できていなかったのですから。


ところで、日本にもう世界遺産はいらない(2015年06月02日)でとりあげた”ありがたがるな「世界遺産」”の寺脇研氏のインタビュ-記事を朝日新聞が掲載していました。
(異議あり)世界遺産、そんなにありがたいのか 文化庁文化部長だった寺脇研さん(7/15)

”ありがたがるな「世界遺産」”よりも、少々、くだくだしい感があり、文化庁が始めた「日本遺産」制度は「世界遺産」への登竜門に過ぎない、という明確な批判がなくなっていますが、近年の日本の世界遺産に対する異様な執着ぶりを顧みる上では、傾聴すべき点がありました。
(実際、「世界遺産は、登録されるも地獄、登録されないも地獄」というような話を聞いたこともありますし)

しかし、チャンネル桜の「安保法案」討論番組に登場しているのには驚きました。(この人、教育の専門家でしょう?)
⇒【平和安全法制討論】危機対応と安保法制[桜H27/7/18]

案の定、今日の国際情勢には全く疎いことをさらす羽目に。「国際情勢は厳しくなっていると思う」、と言っているもののまるで具体的に語っていない。

「今やっている内政政策では、経済効率を優先して、コンパクト・シティといって一か所にまとめて住まわそうと、海岸線なんかには、誰も住まなくなってしまうような政策をとっている。

安全保障を言うなら、まず全国津々浦々に人が住めるような状態をつくる、地方に人が住めるような政策をきちんとやるべき。」

と、この点はもっともなのですが、

「その上で、それだけでは足りない、危ないぞとなったら次の段階に進むべき」、

なんて言っているのです。内も外も同時にやらなきゃダメでしょ。単純に。

安倍さんの場合、外側は強くしようとしているのだけれど、内側では、寺脇氏の指摘するような、日本の社会を弱体化させるようなことを推進している、ここに矛盾があるのです。

今や財政の逼迫から、「選択と集中」の名のもとに、地方自治体にサバイバル「競争」をさせ、競争戦略で〇のところには補助金を出しますよ、という時代に突入しています。

故・宮本常一氏の言葉が思い起こされます。


私の日本地図〈7〉佐渡 (宮本常一著作集別集)



私の日本地図〈7〉佐渡 (宮本常一著作集別集) [単行本]
宮本 常一
未来社
2009-08




大佐渡 小佐渡 国中…この地をひらき 根をおろし生きてきた佐渡びとの暮らしの歳月とそのひたぶるいとなみの意思をよみ写し撮った佐渡一周紀行―(1970年初版)

われわれの最後の願望は、日本の隅々をまで安んじて人の住めるところにしたいということである。
かつて、「われわれの最後の願望は、日本の隅々をまで安んじて人の住めるところにしたい」といった宮本氏は、今の日本を見て、草葉の陰で何を思っているのでしょうか。