水循環基本法―外資の森林買収に対抗―?2013年06月25日」で、一度とりあげたのですが、この法律のどこに「中国などの外資による森林買収に歯止めをかける狙い」があるのでしょうか。


水循環基本法が成立 外資の森林買収に歯止め
2014.3.27 21:24 産経新聞
国内の水資源の保全を図る水循環基本法が27日の衆院本会議で、全会一致で可決、成立した。

水資源の乱開発を防ぐため、政府に必要な法整備を求める内容で、野放図となっていた中国などの外資による森林買収に歯止めをかける狙いも
ある

国土交通省や厚生労働省など7つの省が縦割りで河川や上下水道、農業用水などを管理してきた現行の体制は、内閣に設置する「水循環政策本部」(本部長=首相)が一元的に管理、規制する体制に改める。これまで法律で規制されてこなかった地下水も、国や自治体の管理対象に含める

外資による森林買収は地下水の開発が目的とされ、林野庁の確認では平成17年以前は5件、20ヘクタールだった森林買収は、18~24年は68件、801ヘクタールに激増した。国・地域別では18~24年の累計で280ヘクタールの中国(香港を含む)資本が圧倒的に多く、シンガポール資本の79ヘクタールと続く。買収地域は北海道が中心で、群馬、神奈川、長野などにも広がる。

こうした森林買収の実態を踏まえ、超党派の「水制度改革議員連盟」(代表・石原伸晃環境相)が法案を策定
。昨年の通常国会の衆院本会議で全会一致で可決したものの、参院で安倍晋三首相への問責決議が可決された影響で、審議未了のまま廃案となっていた。

今国会では参院先議の法案として、今月20日に参院を通過した。自民党の高市早苗政調会長は27日の記者会見で「今後さらに実効的な規定を備えた法律が整備されるべきだ」と述べた。

■水循環基本法のポイント 
・水を「国民共有の貴重な財産」と位置付ける
・政府は水循環基本計画を定め、5年ごとに見直す
・内閣に水循環政策本部(本部長=首相)を置く
・政府と自治体は森林、河川、農地、都市施設などを整備する
・政府は水循環に関する研究開発を推進し、研究者を養成する
・8月1日を水の日とし、政府と自治体はその趣旨にふさわしい事業を実施する

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140327/stt14032721260013-n2.htm

外資による森林買収は地下水の開発が目的とされ」← こういう話が喧伝されてから、もう何年たったのでしょうか。水源林を買った外資が地下水の(乱)開発を始めた事例があるのでしょうか。
地下水開発目的で水源林を買収するなら、なぜ北海道に偏っているのでしょうか。もう、この類の話はデマだったと認定していいんじゃないでしょうか。

もしこの法律が本当に、「外資による(地下水開発を目的とした)森林買収を阻止」する目的で作られたとすれば、デマに基づいて法律を作ったことになります。

「地下水の”乱”開発」をしないのなら外資はいくらでも森林を買えます。もともと「地下水開発」の意図がないのならこの法律は無関係です。

水循環基本法―外資の森林買収に対抗―?で、この法案作成にあたった水制度改革議連の立ち上げ時の中川秀直氏のインタビュ-をとりあげましたが、外資の森林買収云々などという話は一言もありません。

息子さんの現水制度改革議員連盟事務局長の中川俊直氏も、外資の森林買収を阻止、などとは一言もおっしゃっていません。

【インタビュー】衆院議員・中川俊直さん(43)水制度改革で縦割り行政を打破
2013.11.9 05:00sankeibiz

--地下水汚染や取水制限に対する法規制がないなど現行法の不備を指摘している

「わが国の水制度は縦割りの代表例の一つ。水に関する法律は少なくとも50本はあるが、水制度の基本理念を定めた基本法すらない。例えば河川法と森林法、海岸法は所管する省庁や管理責任者が異なる。水の公共性すら明確になっていない状況は大問題だ」

--超党派の議員連盟で水循環基本法案を提出する


基本法案は、本格的な水制度改革のスタートラインになる。法案では『健全な水循環の維持又は回復』『水の公共性』など5つの基本理念を掲げ、国や事業者、国民などの責務を明らかにする。縦割り行政とならないように、内閣に『水循環政策本部』を設置し、内閣総理大臣を本部長として縦割りを廃した体制をとる」

--外資による国内の森林買収が問題となっている


健全な水循環を阻害する行為は規制すべきだと考える。地下水はこれまで『私水』と考えられてきた。しかし、水循環基本法案では『水は国民共有の財産』で、『水の適正かつ有効な利用の促進などの措置を適切に講じる』と規定している

これまでは、水源林の所有者の行為を規制する根拠がなかったが、基本法によって悪質行為に対する規制が可能になる。
法案成立後、個別法など所要の法整備を検討したい

--参考になる海外の取り組みは

「最近、大阪ガスが英国の上水道事業に乗り出すという発表があった。日本の上下水道でも老朽化で更新時期を迎えており、思い切った制度改革が必要となっている。英国での民営化路線を参考にして研究している

--水インフラの輸出が期待されている

「仏企業が強く、日本は出遅れているが、水循環政策本部を中心に議論して取り組んでもらいたい」(以下略)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131109/mca1311090503008-n1.htm


「健全な水循環を阻害する行為」、「悪質行為に対する規制」が可能になるだけで、この規制は当然水源林の所有者が外資(外国人)かどうかは無関係です。
所有者の使用を制限するだけですから、外資による森林買収(=所有)そのものに影響を与えようがありません。
水源地や周辺地域の乱開発を防ぐ規制をしているような森林の方が、価値が上がると聞いたこともあります。

では水循環基本法は何が目的か、というと中川父子議員が共通して言及しているように、水事業の行政改革、民営化ではないでしょうか。

「日本の上下水道でも老朽化で更新時期を迎えており、そのためには巨額な費用が必要。そのためには思い切った制度改革が必要であり、民営化が最適である。」
「ただ、公共性の高い地域独占事業を、利益追求が目的の民間企業に委ねるのは問題がある。何らかの公的関与が必要。(秀直氏)」


そのために、まずは、これまでのように地表水だけでなく、地下水も含めて全ての水を「国民共有の貴重な財産」とすることで、公的関与の根拠を作った、ということではないか、と思うのです。

英国の民営化を参考にしているとのことですが、「英国は、思い切った事業の広域化を進め、その後、公的な関与の道を確保した上で完全民営化を断行(秀直氏」したそうです。ねらいは、英国風水事業民営化ではないでしょうか。

「水制度改革」議連―この名前がそのまま基本法の目的をあらわしているではありませんか。

水循環基本法の一番の肝は、これまで土地所有者の私有物だった地下水を地表水と同様、「国民共有の貴重な財産」と規定した点だと思います。

基本法ですから、これを基にどういう規定が策定されるのかわかりませんが、例えば、地下水の取水は今も地盤沈下を防ぐとか、自治体によって制限がありますが、何が変わるのでしょうか。
自宅に井戸があるとするとその水は、この基本法によって、いきなり自分のものではなく公共物になるってことですね。
そうなると、公共物を私用で使うことになりますから、税金とか使用料みたいなものを徴収されることになるのでしょうか。
それから、どうでもいいんですけど、この水制度改革議連の代表はのぶてるですが、「8月1日を水の日」なんてどうでもいいことを思いついたのはこの人ではないかと想像します。