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スイスからきたピアは、6月から変則的に3ヶ月コースに編入した。


まだ3ヶ月コー??がメインだった3年前に予約していたからだ。


彼女が入った6月は、ちょうど前期の創造月間に当たっており、


入るや早々彼女は他の8人の生徒のそれぞれの実験にコーボディとして参加した。


そのフレキシビリティには驚いた。


前々から準備していたのだろうが、そうそうでき???ことではない。





彼女は長期間ヨガ教師とクレニオセイクラルワークを続けてきたことを後に知った。


ちょうど私が、この秋からはじめて取り組もうとしている憑依体と、


透明共振体への変成のために、


よりいっそう思考を止め、鎮静化する新しい方法を探しているときだった。


憑依体になるには、どんな自分以外の時空からやってくるクオリアにも


即座に共振し、みずからのからだをそのクオリアの媒体として明け渡す訓練をする。


そのためには、どんな奇妙なクオリアが訪れても大丈夫なように、


はるかに強靭に自分の心身を制御する技能を身につける必要がある。


とりわけ、どんな見知らぬ情動にたかられても、


同時に心身の静寂さを保ち続???ねばならない。


そのためには、長く静かな呼吸をすることが役に立つことは


経験から知っていた。


だが、それは通常の肺呼吸のリズムよりはは??かに長いゆっくりしたものだ。


それがいったい何なのか、また、


それをどう伝えればいいのかが分からなかった。





そんなおり、前々から気になっていたクレニオセイクラルのメソッドでは


肺呼吸とはべつの生命の呼吸という概念があることを書物を通じて知った。


そこで、これはまたとない機会だと、ピアにクレニオのワークを何回かお願いした。





クレニオセイクラル・メソッドによると、生体には三つのリズムがあるという。


いずれも肺呼吸とは根本的に異なる、「生命の呼吸」である。


クレニオでは肺呼吸は第二次呼吸であり、この生命の呼吸を第一次呼吸と呼ぶ。


第一次呼吸は三つのリズムを通して現れる。


ひとつは、ロングタイド(潮流)と呼ばれる、45秒から???0秒かけて行われている生命の息吹で、


吸気の際にはからだは上方と横方向にゆっくりと拡がっていく。


呼気の際には逆に下方と上下方向に細長いからだになる。


このリズムに沿ってからだのゆっくりとした伸展・収縮を感じると、とても落ち着くことができる。


肺呼吸のリズムとは直接には対応しないから、途中で何度か息を継げばいい。


自分が自分の命とともにあるという??とが共にあるということが実感できる。





第二のリズムは、ミッドタイド、あるいは体液タイドと呼ばれるもので、


12秒間ほどかけてからだの伸展・収縮が繰り返されている。


このリズムもまたすこぶる心身を鎮静することに役立つ。


からだをゆっくりくつろぎながら広げていく。


体液の流れがくつろぎながら広がっていく。


そして重力を受け入れ、戻って静まっていく。


潮の満ち干のように繰り返してされている命とひとつになる。


従来から行っている調体9番のからだの細分化は、


極点ではからだの部位から細胞レベルにまで進む。


すべての瞬間にからだを構成する60兆の細胞の共振パターンが


刻々と変わっていくことを感じることが??きればなおいい。





第三のリズムはいわゆるCRI(クレニオセイクラル インパルス)と呼ばれるもので


1分間に8回から12回の頻度で繰り返されている頭蓋仙骨運動のパターンを示す。


調体二番のゆらぎ瞑想で、もっとも心地よいゆらぎを探っていくと


ちょうどこのリズムに相当していることがわかる。





あらゆる変成のなかにおいて、自分が何かに囚われていると感じたときは


ただちにこの「生命の呼吸」のリズムを思い出すのがいい。


すると囚われていた何らかのクオリアに身を預けながら、


同時に自分が自分の命と共にあることを思い出させてくれる。


何が起ころうとも大丈夫という天心の状態に心身を鎮めることができる。





ピアから、これらの生命の呼吸を学びながら、これこそ求め続けていたものだと確信した。





ピアの三ヶ月の最後の実験は、彼女が踊るとき、


他の生徒は、もっとも微細な灰柱の歩行ではじめ、


やがてからだの各部に最小サイズのサブボディの胎児の息吹を感じながら


それを最小限に保ったまま運ぶ巣の歩行に移行し、


ところどころで、フルサイズのサブボディの動きを??すというシンプルなものだった。


彼女は他の生徒に、どの動きのときもいつも静かな自分の元にあるようにと頼んだ。


たった一回だけ通しの練習をしただけだったが、


はじめ???ら終わりまで、全員が微細な生命共振を共有し続けていたことが感じられた。


おそらく、ピアから学んだ生命の呼吸を思い出していたのだろう。


私たちがひとつの舞踏作品を見て、最も美しいと感じられるものは、


このすべてがひとつになっているという目に見えない微細な出来事を通じてなのだ。


それが実現されていた。


ピアのクレニオワークのおかげである。





ありがとう、ピア。


これで私たちはこの秋から新しい未踏の領野に進み入ることができる。


憑依体も、透明共振体も、共振塾で取り扱???のははじめての試みとなる。


だが、もっともそれに必要なものを私たちは手に入れることができた。





さまざまな十体に変成するのは、


それを通じて人間という束縛から身を解き放って生命になるためだ。


土方巽がその晩年に、希求した「生命の呼称で呼ばれる舞踏」を実現するために


私たちはこの秋から前人未到の領野に入る。


生命の舞踏へ、


生命に起こっていることをすべて透明に見えるからだになるため???、


猛訓練への準備が整った。











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