2017年04月22日


「なぁ、鶏。今さぁISO14001規格の新しいヤツを読んでんだけど・・・前よりも更に意味不明になった気がするなぁ。結局、何がどうなったワケ?」

「うーん、一言で言うと『今までウラでしていた事が前に出てきた』って印象ですね」

「ウラでしてきた事?」

「ええ、環境って元々『妥協』じゃないですか。品質管理なんかと違って」

「妥協?」

「品質管理は『不良ゼロ』を目指してますし、情報管理は『漏洩ゼロ』が目標ですよね?でも、エネルギーゼロで製造は出来ませんし、排出物だって『名目』がどうあれ、ゼロにはならんのですし」

「確かに。省エネ法だって正式な名称は『エネルギーの使用の合理化等に関する法律』だから経済との『妥協』と言えば妥協かもな」

「だとすると『何』と『何』の妥協なのかが問題なワケで」

「分かった用な、分からんような」

「例えば空調の設定温度ですが、ウチは夏場でも環境省の推奨する『28℃』にしませんよね?」

「ああ、アレか。だって室温は設定温度と差異が出るからな。28℃に設定しても、実際には30℃近くまでなるし」

「空間が広いと『空調機の周りだけ涼しい』なんて事に」

「それだと今度は、事務所則の方に抵触するだろ?」

「事務所則は『夏場は28℃以下』ですんで、30℃ならアウトかな?労安法的に言えば」

「夏場の『28℃』は厳密には『努力義務』だけどな・・・ただ、冬場は『室温10℃以下』なら『暖房の義務』がある。こっちは罰則付きのハズだ。何しろ、環境が労安よりも上位、という事はあるまい。同じ『法律』ってんなら、同様に順守しないと」

「事務所則、と言えば室温だけでなく『厳密には』湿度とかもありますよね?」

「あるなぁ『湿度70から40%以内』?だったかな。その他にも色々あったぞ?COやCO2、ホルムアルデヒド濃度とか?」

「すると『室温』だけで空調のON-OFFを決める事は出来ないと」

「梅雨時に蒸し蒸しすれば、室温28℃以下でも空調をかけて除湿する必要はあるわな」

「しかも、空調効果を上げるためには、なるべく暑い外気を『取り入れたく無い』処ですが『そうも行かない』と」

「人間の呼吸でCO2濃度が上がるからな。適度に換気しないと」

「そうなると、労安的には換気も空調もガンガン欲しいと」

「だが、同じ法律でも省エネ法は『そうはさせん!』と?」

「ええ。ですから省エネ法では『温度・湿度・COx濃度を勘案して基準を作って順守しろ』とあります。『判断基準』の方ですけどね」

「つまり、それが『妥協』?」

「その一例だと思います。それと、空調については社内の事情もあるじゃないですか」

「ああ、機械切削部門からは『昼夜で寒暖の差をつけるな!』と言われるな。室温が変化すると寸法が変わるって」

「なので『暑くなるまで我慢』とか出来ないんですよ」

「後は換気の問題もあるなぁ。夏の工場は熱気が凄いから換気が半端ないし」

「空調が追いつきませんものね。すると『設定温度』なんて、ほとんど無意味なんですよ。『常にフル運転』なんで」

「確かに」

「そういうアレコレが攻めぎ合った結果が、今の『管理条件』なんです。実際には」

「そう言われてみりゃぁ、排水だって廃棄物だって『現場の都合』や『業者の都合』、『法律』なんかが妥協して今の管理があると言えるかもな」

「『そういう事』って、今までは自分たちが『ウラ』でしてた事なんですよ。それが今回は『表に出てきた』って言うか」

「ふーん。まぁ、時代は『見える化』だって言うんだから、良いんじゃね?それでもさ」


















この記事へのコメント

1. Posted by おばQ   2017年04月23日 14:14
えー!規格改定は『今までウラでしていた事を前に出す』ためだったのですか!
知りませんでした。
私はてっきり日本規格協会が規格を売って、認証機関が講習会を開き、JRCAとCEARが審査員に研修をやり直させて、洗濯屋がその上前をはねるっていう巨大が詐欺システムかとばかり(以下略
2. Posted by 名古屋鶏   2017年04月23日 18:59
おばQ様
>洗濯屋がその上前をはねるっていう巨大が詐欺システム
鶏はいつも思うんですが。
「情報商材」ってあるじゃないですか?まぁ大抵はボッタクリ鷺なんですけど。アレらとISO認証は何がどう違うんでしょうか?
え?情報商材の方が儲かるって?うーむ、ISOは鷺にも満たない雀であったか・・・


3. Posted by 名古屋鶏   2017年04月24日 19:31
N様
審査でOKをもらう事だけが目的であれば、小難しい事を考える必要はありません。ただ、先生閣下が仰るように「当社では経営上の課題として斯く斯く然々がござります」と一覧表のひとつでも示せば済む話で。
しかして、実際の管理・現場の生きた仕事というのはそんな紙切れ一枚で何とかなるようなチョロいもんじゃないんです。むしろ、そうした実情を無視することを推奨するかのような審査員の誤誘導は害悪でしか無いような気もしますね。ま、気がするだけでしょうけど。

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