・予後予測
初診時15秒端座位保持可能であれば4週以内に歩行可能 座位保持不能であれば歩行やADLに介助、監視要(石神)
m-FIM 39以下に転倒が最多


・バランス
①TUG
肘掛け椅子の高さは46cm 3m先で折り返し
10秒以内 異常なし
20秒以内 屋内外出可能
30秒以上 要介助
転倒リスクはカットオフが13.5秒 (村永信吾「高齢者の運動機能と理学療法」PTジャーナル2009.10)

入院高齢患者の屋外歩行自立カットオフは12秒
CIの院内自立歩行は20秒
屋外自立は17秒(CR 2007 6)
Cut-off値:Shumway-Cookは転倒経験者と非経験者を対比しcut off値を13.5秒とし、Bischoffは地域在住高齢者と施設利用者と対比しcut off値を12秒としている。
また、2005年本邦で行われた介護予防事業では要支援の高齢者の平均値が12.2秒であった。以上の報告をもとに、介護予防の観点から運動器不安定症のcut off値は11秒と設定されている。

Shumway-Cookによる転倒リスク TUG 13.5sec FRT 15.3cm BBS 45

②BBS
高齢者の平均は50-55  45未満の転倒リスクは高い
歩行器使用33.1
屋内杖歩行45.3
屋外杖使用48.3
補助具なし 49.6

46以上 病棟内自立 36以上 病棟内見守り

③片脚立位
片脚立位保持時間は60歳代前半で20歳代の20%、80歳代で5-6% 閉眼時の転倒リスクは5秒以下、開眼では20秒以下(村永信吾「高齢者の運動機能と理学療法」PTジャーナル2009.10)

④2ステップテスト 
最大2歩幅÷身長で計測
加齢に伴い減少するが、80歳を超えても日常生活が自立していれば1.0を下回らない。(村永信吾「高齢者の運動機能と理学療法」PTジャーナル2009.10)

⑤FRT 
25cm以上を1とすると、15以下の転倒リスクは4倍


・下肢筋力
①30秒椅子立ち上がりテスト 
14.5回/30秒が転倒リスクのカットオフ
126365422339616402247_cs30

(年代別に標準化されていました。http://www.eonet.ne.jp/~toshiaki/CS-30.html)


②椅子からの立ち上がりを5回行うテスト 
14.5秒が転倒リスクのカットオフ 

正常歩行には両脚で20cmの台から、階段昇降には片足で40cmの台からの立ち上がり能力が必要(村永信吾「高齢者の運動機能と理学療法」PTジャーナル2009.10)


・歩行距離、速度
①歩行速度
通常歩行のカットオフポイントは1.0m/秒
屋外活動性の高い高齢者は平均70-80m/分(1.16-1.33m/秒) 
低い高齢者の平均40m/分(0.66m/秒) 
青信号を渡り終える早さ 60m/分(1m/秒)
(村永信吾「高齢者の運動機能と理学療法」PTジャーナル2009.10)

②5m歩行
75歳以上、5m歩行時間のカットオフを4.3秒と設定 以下では3年後も良好な歩行能力を維持 以上ではIADL低下 (PT 2010 7)

③10m歩行 
助走を含めた16mを歩行 24.6秒 屋内歩行  11.6秒 屋外歩行
      10m歩行速度が遅くなるほど要介護度が高くなる。

(補足)
Relationship Between Step Length Asymmetry and Walking Performance in Subjects With Chronic Hemiparesis http://www.me.utexas.edu/~neptune/Papers/apmr88(1).pdf

上記論文には歩行速度の分類が

speed less than 0.4m/s(household ambulatory);

0.4 to 0.8m/s (limited community);

or speed greater than 0.8m/s (community ambulatory).

と記述されており、これを10m歩行に換算すると0.4m/s=25秒  0.8m/s=12.5秒となります。このデータの出処が
Classification of Walking Handicap in the Stroke Population
Jacquelin Perry, MD; Mary Garrett, PhD, MISCP; JoAnne K. Gronley, MS, PT; Sara J. Mulroy, PhD, PT http://stroke.ahajournals.org/content/26/6/982

とstrokeからなので「屋内歩行  25秒 屋外歩行 12.5秒」と設定した場合の信憑性は高いと思われます。

④6分歩行
男性の平均距離576m 女性494m COPD患者200mは外出不可 400mは歩行自立、外出可
    65-69歳の男性 612m 女性 563m
    70-74歳の男性 584m 女性 535m
    75-79歳の男性 546m 女性 499m
80m/分(1.33m/秒)で332m以上歩ければ一般社会の歩行者として自立(村永信吾「高齢者の運動機能と理学療法」PTジャーナル2009.10)


上記バランス、歩行指標は複数評価してFIMのADL予後予測モデルと照合、退院か入院継続かのボーダーラインにある患者の判定に使用しています。
次に訓練方法について、カナダWestern Ontario大学でまとめた「Evidence-Based Review of Stroke Rehabilitation」から下肢リハビリテーションのエビデンス:Level1を転載します。http://www.kio.ac.jp/~a.matsuo/index.html

・課題特異性歩行訓練は、脳卒中患者の歩行の改善において強いエビデンス(Level1a)がある。

・慢性脳卒中患者においてバランストレーニングはアウトカムを改善させるという非常に強いevidenceがある(レベル1a)

・理学療法と併せた,リズミカル音刺激が結果として歩行を有意に改善させるという強いevidence(Level 1a)がある.

・理学療法に感覚刺激を組み合わせることで歩行に有意な改善があるという強い(レベル1a)エビデンス

・FESと歩行練習は、片麻痺歩行の改善に対し、非常に強いevidence(レベル1a)がある。

・バイオフィードバック訓練は、大半のfairからgoodの質のRCTで慢性期脳卒中患者の歩行と起立を改善するとしており、歩行の再教育において前向きな有効性があるという強いevidence(レベル1a)を示す。


バランストレーニングについては、次のような報告もあります。
歩行能力の改善に最も重要な決定因子はバランス能力で下肢筋力よりも強い相関があった.(歩行能力ともっともよく相関するのが,麻痺の改善よりも,健側での代償機能も含めたバランス能力) Predicting improvement in gait after stroke 2005(12)
Predicting improvement in gait after stroke 2005(12)http://mojareha.blog.so-net.ne.jp/2006-10-12#more

・上肢筋力は8~10週目まで改善,無視は6週目まで改善
・下肢筋力,バランス能力は10週目まで改善
・ADLは10週目,歩行能力は6週目,巧緻性は8週目まで改善
※年齢,性別,タイプ,左右は影響しなかった.
【考察】
・機能回復は16週目まで生じ,少なくとも16%改善し,発症早期ほど回復が大きかった.
・年齢,性別,タイプ,左右は影響しなかった.
・回復が終わる時期は6~10週で,これまでの報告と一致する.
・全体の回復は並行しており,上肢機能の回復が下肢機能より回復が遅いという証拠はなかった.
http://mojareha.blog.so-net.ne.jp/2006-09-29#more


ADL自立に大きな影響を与える「歩行」は麻痺側の機能回復というよりもバランス能力が回復するかどうかにかかっているようです。
いずれも「素人でもできる健康情報の信頼性を判断するためのフローチャート」のステップ4、「定評のある医学専門誌に載った論文」ではないので参考程度の情報といえます。
複数の情報から麻痺の回復はほぼ2ヶ月まで、その期間中はできれば3単位割きたいと思いました。以後もADLについては回復するようですが、それはむしろ健側を含めた下肢の筋力、バランス能力に拠るところが大きいと思われます。