がん

    米国防総省は2011年3月12日から2011年5月11日までの60日間、屋外に24時間いた場合 東京在住の成人は甲状腺に5.2mSV被爆、と推計しています。
    ずっと外にいることはあり得ないので、0.4をかけるとより正確になるみたいです。

    東京(東京都)
    計測地:赤坂プレスセンター、ニュー山王ホテル米軍センター、米国大使館

    新生児~1歳未満   全身:0.079 rem(0.79mSv)甲状腺:1.20 rem(12.0mSv)
    1歳以上2歳未満   全身:0.09 rem(0.9mSv)  甲状腺:1.40 rem(14.0mSv)
    2歳以上7歳未満   全身:0.061 rem(0.61mSv)甲状腺:0.86 rem(8.6mSv)
    7歳以上12歳未満  全身:0.046 rem(0.46mSv)甲状腺:0.53 rem(5.3mSv)
    12歳以上17歳未満 全身:0.044 rem(0.44mSv)甲状腺:0.50 rem(5.0 mSv)
    大人(17歳以上)  全身:0.046 rem(0.46mSv)甲状腺:0.52 rem(5.2mSv)


    それでも5.2×0.4=2.08mSVですから年間の被爆限度規定1mSVの倍です。(乳幼児で4.8から5.6mSV) 宮城、栃木、茨城では10mSVを超えていますし、静岡でさえも1.8mSV(×0.4で0.72mSV)ということは被爆限度の7割を浴びたことになります。
    http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1475
    https://registry.csd.disa.mil/registryWeb/Registry/OperationTomodachi/DisplayEstimatedAreaDoses.do;jsessionid=a13932a1a2985e37ec83efaa57cb3b8d66ebe9008da5b13a292a6d5b3a1e1019.e3yLbh8Nch0Ke3iPc3ePbh8Se0

    Risk of cancer from diagnostic X-rays(Lancet 363 345-351) の内容は

    ・高線量域における甲状腺がん、乳がん、骨がん、皮膚がん、白血病などのリスク増加について多くのエビデンスが提供されている。
    日本では診断用X線によってがんが3.2%(年間7587件)増える可能性がある。
    ・日本のX線検査数は世界でも飛び抜けて多く日本のCT台数は、人口あたりの比較で他の14か国の平均の3.7倍

    http://homepage3.nifty.com/anshin-kagaku/theme_4_2.pdf
    http://www.radiology.jp/modules/news/article.php?storyid=106

    というのものです。

    甲状腺がんの特徴は以下のとおりです。

    ・American Cancer Societyによれば 2011年に新たに甲状腺がんと診断された48,000 例のうち男性11,470人に対して女性は 36,550 人と女性でより発症。
    ・3分の2は55歳以下、と若年者でより発症、女性の発症ピークは40歳から50歳代に対して男性は60歳から70歳代.
    ・兆候が無いので発症に気づきにくい。進行すれば首が腫れるので声変わりが起きる(Mayo Clinic)。
    ・1990年と比較して患者数は2倍以上になっている。超音波診断機の発達で、過去には発見できなかった小さい腫瘍も見つけられるようになったため。
    ・生存率は高い。早期に発見されれば100% 
    http://thechart.blogs.cnn.com/2012/11/09/5-things-you-need-to-know-about-thyroid-cancer/?cid=sf_twitter

    ・2mm程度の微少な結節も発見できるようになった。そのために却って低リスクの甲状腺がんまで治療対象になる可能性 
    http://www.bmj.com/content/347/bmj.f4706


    ・超音波検査にて ①完全な固形腫瘍 ②2cmを超える腫瘍 ③微小石灰化が確認できれば甲状腺がんと判断する上で有効http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1731965


    NATURE MEDICINEというサイトに「Metabolic gatekeeper provides new target for disrupting cancer metabolism」という記事が載っていました。http://blogs.nature.com/spoonful/2012/12/metabolic-gatekeeper-provides-new-target-for-disrupting-cancer-metabolism.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+nm%2Frss%2Fspoonful_of_medicine+%28Spoonful+of+Medicine+-+Blog+Posts%29
    長寿遺伝子として知られるサーチュイン遺伝子の一つ、SIRT6はカロリー制限によって発現、がん細胞の代謝を抑える、抗がん剤として働くようです。

    natureの関連HPには福島原発事故後に例えば奇形の蝶が発見された、という情報も掲載もされましたが放射線によるものかどうかはよく分からないようです。ただしチェルノブイリと同じレベルの事故が起きて未だに収束していないこと、チェルノブイリ周辺よりも人口密度が高いことを考えれば、今後何らかの放射線障害が起こる、と考えたほうが自然でしょう。
    http://www.nature.com/srep/2012/120809/srep00570/full/srep00570.html

    福島原発事故による健康被害は今のところ不明です。だからこそ肉類や乳製品など高カロリー食は控える、または摂取量そのものを減らすといったような、カロリスによる自衛策が望まれるのではないでしょうか。

    世界でがんにかかる女性の4人に1人は乳がんです。乳がんは女性に最も多くみられるがんです。

    日本国内の乳がんの死亡率トップは東京都です。ライフスタイルの変化で出産が高齢化しており、その分長年女性ホルモンが分泌され続けるから、というのが原因の一つです。
    環境ホルモンが脂肪すなわち乳房に蓄積しやすい、ということも以前の記事で紹介しました。http://blog.livedoor.jp/suchan4wd6/archives/6029537.html

    農業、工場勤務で乳がん発症リスクが1.68倍に、というように農薬、化学物質が発ガン原因とも考えられています。http://newsatjama.jama.com/2012/11/19/certain-jobs-may-put-women-at-greater-risk-of-developing-breast-cancer/
    http://www.ehjournal.net/content/11/1/87/abstract

    (予防策の一つとして野菜を多く摂取=血中カロチン濃度を20%高めることで乳がん発症リスクを15~20%下げることが出来ます。http://healthland.time.com/2012/12/07/certain-fruits-and-vegetables-linked-to-lower-breast-cancer-risk/ ただしサプリメントでは逆効果)

    それでは乳がん検診を受ければ早期発見、治療が可能でしょうか。

    Lancetによれば乳がん検診は早期治療で命が助かる確率の3倍、過剰治療を受けるリスクが高くなります。

    ・イギリス、10000人、50歳女性が乳がん検診を受ければ、その後20年間に乳がんによる死亡は43人が回避できる。(すなわちBMJ論説は乳がん検診による死亡率の低下は20~30%)
    ・ただし本来なら必要のないはずの放射線治療、抗がん剤、乳房摘出などを受けなければならない。その数は1万人中129人、1%強程度 検診を受ける頻度が上がるほど過剰診療率もUp


    http://www.usatoday.com/story/news/nation/2012/10/30/patients-decry-sexualization-of-breast-cancer/1630911/?sf6919423=1
    http://www.bbc.co.uk/news/health-20135391#?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
    http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961611-0/fulltext
    http://www.usatoday.com/story/news/world/2012/10/29/britain-mammograms-lives/1666709/?sf6897126=1
    http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-lung-cancer-20121029,0,7288369.story?track=rss&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter&dlvrit=53001
    http://www.bbc.co.uk/news/health-20145178#?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter


    NEJM でもLancet同様過剰診療が生み出されることを実証しています。

    Bleyer_big


    ・米国 Mammography で乳がんと診断された患者の3分の1に過剰診療=年間70000万人に相当
    ・過去30年で130万人が過剰診療を受け、41万人は早期でがんが発見された。
    ・1976年から2008年までに早期乳がん診断は10万人中112人から234人=122人増加、進行がんは102人から94人=8人減少 すなわち122人中8例のみ、進行がんが見つかったことになる。・・・検診で進行がんを発見する効果は限定的

    http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1206809
    http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1209407http://www.myhealthnewsdaily.com/3290-mammograms-breast-cancers-overdiagnosis-deaths.html?cid=dlvr.it


    過剰診療の具体例として、組織を必要以上に切除すること、再手術などが、http://www.msnbc.msn.com/id/50123842/ns/health-cancer/?ocid=twitter#.UMK4J4MQGNo 副作用には認知機能の低下、うつなどがあるようです。http://healthland.time.com/2012/12/07/cancer-and-foggy-thinking-is-chemotherapy-really-the-cause/

    NEJM論説では癌検診を受けるかどうか、そのメリットとデメリットについてデータが不十分であると指摘したうえで、以下の3つの意見を載せています。

    ・The American College of Radiology and American Cancer Society はともに現状でベストのスクリーニング手段がMammography であり、40歳以降は毎年受けることを推奨している。
    ・U.S. Preventive Services Task Force は50歳以降に隔年受診することを推奨
    ・そもそも40歳女性が10年間に乳がんで死亡する確率は0.17% スクリーニングで乳がんによる死亡が10~25%回避できる、といっても実質0.02~0.04%死亡を減らすだけ それに比べて過剰診療を受ける弊害が大きいので検診は避けるべき
    http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMclde1212888#t=cldeOpt3


    以前の記事では以下のように検診に効果が無いことについて紹介しました。

    ・16年間の前向き調査の結果、総合検診や人間ドックを受けても寿命は伸びない。

    ・前立腺癌や50歳以前の乳がん検診、心電図検査はがんや心疾患を予防できない。http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1367504

    ・チェコスロバキアで行われた肺がん検診についての前向き調査 結果:肺がんになった人も、それで死亡した人の数も、検診を受けていた方のグループで圧倒的に多かった。3年間にわたって計6回の癌検診を受けた人は肺がんだけでなく寿命までが短くなってしまった。
    ・日本の専門家が胃癌検診の科学的根拠として挙げている調査データはすべて後ろ向き調査
    ・後ろ向き調査は手間ひまをかけずに簡単にデータが集められる。日本で発表されているデータのほとんどは「癌検診は有効である」という結論になっているがどれも後ろ向き調査で得られたもの
    ・簡単に作った研究調査は海外の専門誌に掲載してもらえない(厳格な審査が行われる)のでほとんどが日本国内の雑誌に載せられる。
    ・一回限りの刺激でがんになることはほとんど無く、強い刺激が繰り返し身体に作用すると発癌の確率が高まる。癌検診でむやみにレントゲン検査を受けるのは危険
    ・心臓カテーテル検査での被ばく線量は平均2000ミリシーベルト、胸部レントゲン検査の2万回分
    心臓カテーテル検査を受けた人と受けなかった人の前向き調査 結果:検査も治療もしなかった人のほうが長生きした。
    ・日本のCTとMRIの保有台数は二位を大きく引き離して世界一位 病院や検診センターは競争に勝つために最新の機械を取り入れては、投資したお金を回収するために脳ドックなど無駄な検査を繰り返す。

    検診で寿命は延びない (PHP新書 669)
    検診で寿命は延びない (PHP新書 669)


    がん検診には被爆によるデメリットもあります。医業者が儲かるための検診、投薬に利用されないためにも、4大ジャーナル中心にエビデンスの集積が必要です。



    MDアンダーソンがんセンターがJohn F Kennedy の演説にちなんで「Moon Shots program」と題する計画を発表しました。
    目指すのは以下の癌を10年以内に撲滅させることで、アポロ計画のように前人未踏の偉業を成し遂げるという意気込みのようです。

    黒色腫

    肺がん

    前立腺がん

    Triple Negative乳がん
      
    Triple Negative卵巣がん

    急性骨髄性白血病

    慢性骨髄性白血病

    骨髄異形成症候群

    http://edition.cnn.com/2012/09/21/health/cancer-program/index.html?fb_action_ids=10152101524105551&fb_action_types=og.recommends&fb_source=other_multiline&action_object_map=%7B%2210152101524105551%22%3A440044556034416%7D&action_type_map=%7B%2210152101524105551%22%3A%22og.recommends%22%7D&action_ref_map=%5B%5D


    _63099729_cancer_rates_464



    ところで、BBC(イギリスの統計)によれば癌の死亡率は2030年までに減少するようです。その比率は癌全体で17%、個別に見ると卵巣癌で最も大きく43%、乳がん、大腸癌、前立腺癌、腎臓癌、肺がんと続きます。
    反対に死亡率の増加が見込まれているのが肝臓癌と口腔癌の2つです。
    減少する、とされている主な理由は喫煙者の減少、ということです。
    アメリカでもこの予想が当てはまると仮定して、何故減ると分かっている癌の撲滅を宣言したのでしょうか。または何故増える予定の癌を減らそうとしないのでしょうか?
    アメリカが癌研究、治療にかける予算は膨大なものです。あらかじめ減るものと分かっていて、多額の研究費をもらうために仰々しい名前のプランを立ち上げたのではないかと勘繰ってしまいます。
    もしくは治せるものから優先的に、という考え方なのでしょうか。


    こちら↓の記事によれば癌の死亡率は昔から変わっていないこと、癌の転移を防ぐための研究が進んでいないという問題点を挙げています。

    ・アメリカ人ががんで死亡する比率は1970年代、そして1950年代とほとんど変わりないのである。がんによる死亡率を、患者の大半が高齢者である心臓病や卒中といった病気の死亡率と比べると、暗澹たる思いは一層深まる。この50年間で年齢調整後の心臓病の死亡率は59%、卒中では69%も減少しているのである。

    ・この何十年間を通じてなぜ、この闘いに勝てていないのだろうか?そしてこうした状況を好転させるにはどうしたらいいのだろうか?

    ・「がん細胞の特徴は遺伝子的な不安定さにある」とヒューストンのM.D.アンダーソンがんセンターのがん生物学部教授、アイザイア・“ジョシュ”・フィドラーは言う。がん細胞のDNAは正常な細胞のようには固定されていない。正常な細胞はその30億文字のコードをそのまま次世代のひとつひとつの細胞に伝えていく。しかし、がん細胞は分裂すると、そのDNA情報を変更した形で伝える可能性がある。そしてそれがほんのわずかな変更であっても、細胞の行動に非常に大きな影響を及ぼす可能性がある。よって、がんは突然変異したひとつの細胞から始まると考えられているが、最終的に形成される腫瘍は様々な気まぐれな特質を持つ無数の細胞から成っているとフィドラーは述べており、「腫瘍の遺伝子が様々に異なることが治療の非常に大きな障害になっている」と述べている。

    ・アメリカ人は税金、寄付、民間企業の研究開発を通じて1971年以降、インフレ調整後で2,000億ドル近くをつぎ込んでいる計算になる。こうした国家レベルでの投資によってこれまでに何が得られたのか?

    ・ 昨年8月にブリティッシュ・メディカル・ジャーナルで発表された重要な研究のショッキングな結果もこうした問題のある現状を裏付けている。イタリア人の二人の薬理学者が1995年から2000年までに欧州で承認された新しい12のがん治療薬の臨床試験結果を詳しく調査し、適応症ごとに標準的な治療法との比較を行った。その結果、生存率の改善、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善、安全性の向上などの面で、いずれの新薬にも何ら大幅な優位性は認められなかった。しかし、これらの新薬はすべて、古い薬の何倍もの価格が付けられ、中には350倍のものさえあった。

    ・。イレッサは新たな生物製剤特効薬であり、がん細胞の分子レベルの信号伝達を阻害するように開発された化合物である。イレッサが症状の緩和や生存率の向上といった患者のためになる効能を持つことを示した治験はひとつもなかった。

    ・約2,400年前のギリシャの医師ヒポクラテスは、がんを、体中に広がり「カニの足のように」体のほかの部分をつかんでしまう病気と述べた。同様に、今日の医学の教科書には、がんは増殖している腫瘍細胞が、細胞同士の間にある薄いたんぱく質でできた基底膜を押し破るときに始まると書かれている。がんになるためには、悪性細胞が体のほかの部分を侵略しなければならないとは、なんともしゃれた言い方だ。
     ダートマス・メディカルス・スクールの薬理学および医学教授であるマイケル・スポーンはこうした考え方を「まったくのナンセンス!」と切り捨てる。彼は続けて言う。「我々はがんのこうした定義に1890年から縛られている。私もメディカルスクールで、侵襲があるまではがんではないと教えられた。これはまるで、真っ赤な炎が納屋の屋根からふきあがるまでは火事とは呼べないと言っているのと同じだ」。
     実際、がんはこれより早く始まっている。そしてこのことにこそ、がんを押さえ込む最良の戦略があると最近NCIから「Eminent Scholar」の称号を受けたスポーンは考えている。

    ・この残酷な戦いについてのアメリカの認識を変えるには、がん研究者がこの病気の撲滅に一致団結することが必要である。

    ・同時にNCIは、がんの成長を示すバイオマーカーの発見に全力を傾けるべきである。また、病気を回避あるいはコントロールできるチャンスを患者に与えてくれるような、簡単な血液検査や尿検査(例えばPSA検査)、あるいは高度な分子画像技術(PETやCTスキャン)で分かるバイオマーカーの発見にも尽力すべきだ。さらに言えば、喫煙の習慣を止めさせるだけで、アメリカ国内で何万件ものがんを防ぐことができ、がんによる死亡を30%減少させることができる。こうした明らかにまっとうな見解はインタビューしたすべての研究者から聞かれた。

    http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2004/20040517/823/


    すなわち、

    ①現状ではがん細胞を発ガン早期の段階で発見できない。(発ガン早期なら治癒率は飛躍的に伸びる。)

    ②発見できるようになったころには制御不可能なほどがん細胞が成長している。

    ③すなわちがんにならないことが最善の治療

    の3点に要約されます。


    ken

    ケンシロウが秘孔を突くと・・・


    b0066644_1533412

    相手は何の自覚症状も無いけれど、数秒後には「ひでぶ」になってしまうのでした。


    sinketusyuu01

    北斗4兄弟の長男、ラオウは南斗水鳥拳の継承者、レイの秘孔をついて「余命3日」と死を宣告します。


    o0480064011092660320

    レイはライバルを倒すためにどうしても生き延びたいので、北斗4兄弟次男のトキに秘孔をついてもらいます。


    o0480064011092663072

    その結果、一時的に死期は延びる代わりに手足の爪が剥がれるほど猛烈な副作用に苦しめられ、白髪になってしまいました。




    ・・・死に至る秘孔を発ガン物質、と仮定します。タバコや大気汚染、放射能に加工食品、魚の水銀汚染、化粧品に含まれる環境ホルモンなどこれまで如何に身の回りには発ガン物質があふれているかを紹介してきました。

    シャンプーをしたりソーセージやハンバーガーを食べたところでその場では何の自覚症状もありませんが、すでに発ガンの秘孔は押されているかもしれません。

    発ガン後、検査でようやく発見できるのはがん細胞の塊が1cm角になったころです。その時点でがん細胞の数は10億個(発ガンからおよそ9年経過)に増えています。

    「がん細胞は通常の細胞よりも運動能力が高く、細胞の隙間に入り込むので身体の中を自由に移動でき、なかなか死なないので正常な組織をどんどん占拠してあらゆる器官を働けなくします。」とも紹介しました。http://blog.livedoor.jp/suchan4wd6/archives/5979430.html

    仮に1cm角で発見、化学療法で根治できてもその後には副作用が待っています。脳卒中同様、なってからでは遅いのです。

    癌の症状や副作用に苦しめられたくなかったら、秘孔を突かれないようにすること(=発癌物質に晒されないよう情報アンテナを張っておくこと)が重要と思います。

    (追記)
    今月、同じテキサス州内にあるテキサスがん予防研究所では33人の科学者が辞職しました。すなわちがんの病理そのものを研究したいグループ( groups who want to focus on scientific research to answer basic questions about the disease, )と製薬会社から資金提供を受けつつ新薬開発を目指すグループ間(those who favor investment in commercial projects such as drug companies that can bring products quickly to market.)との間で対立があるようです。

    Scientists Quit Texas Cancer Institute in Flap
    http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203937004578079033293231440.html

    AUSTIN, Texas—Thirty-three scientists resigned 辞職する,辞任するfrom a state-funded cancer research institute this month, with some publicly complaining that political appointees were trying to improperly不適切に influence how its money was doled out 一部で与えられる.

    The Cancer Prevention and Research Institute of Texas, created in 2007 with a mission to spend $3 billion on cancer research and prevention by 2020, ranks as one of the most ambitious government efforts to combat the disease at a time of diminished public funding.

    Known as CPRIT and financed with public bonds, the institute has disbursed $755 million in cancer funding over the last three years—second in the U.S. only to the National Institutes of Health. Lance Armstrong, the now-disgraced cyclist, cancer survivor and Austin resident, had campaigned across the state to persuade voters to pass the ballot proposition that created it.

    But the institute has been battered by infighting between the panel of scientists who provide advice on research-grant requests—which numbered 140 before the 33 resigned—and its oversight committee, which includes laypeople appointed by state political leaders.

    Some of the departing scientists—who include Nobel laureates Phillip A. Sharp and Alfred Gilman, who had been the institute's chief scientific officer—said in resignation letters and interviews with The Wall Street Journal that they were protesting a willingness by the oversight committee to fund commercial projects aimed at developing new cancer therapies, regardless of whether the projects had been thoroughly vetted 綿密に調べる,点検する.by the scientists.

    The dispute reflects a larger debate in the cancer-research world between groups who want to focus on scientific research to answer basic questions about the disease, and those who favor investment in commercial projects such as drug companies that can bring products quickly to market.

    Scientists who remain on the institute's research-advisory panel say that Texas' unusual commitment to cancer research is too important to abandon.

    Richard Kolodner said he has decided to remain a scientific adviser provided the institute can retain the integrity of its peer-review process under the scientist chosen to succeed Dr. Gilman as research director.

    "A lot of money has gone into recruiting good scientists to Texas, which will pay dividends to the development of cancer research for years to come," said Mr. Kolodner, a professor at the Ludwig Institute for Cancer Research at the University of California, San Diego. "It's a very forward-thinking move on the part of the state of Texas."

    One of the institute's disputed 論争する,論じ合うdecisions was an $18 million grant its oversight committee approved in March to help the University of Texas' MD Anderson Cancer Center in Houston fund the development of new cancer drugs. The institute's scientific advisers argued that the oversight 監視,監督committee should have sent them the proposal 申し込み; 提案first, to determine whether it was worthy of the funds.

    "It is critically important for commercialization potential to be secondary at all times to scientific quality," Monica Bertagnolli of Brigham and Women's Hospital in Boston, one of the departing scientists, wrote in an Oct. 10 resignation letter.

    William Gimson, the institute's executive director, said in an interview that the oversight committee didn't break any rules in approving the MD Anderson funding. Under the institute's rules at the time, that type of grant didn't have to undergo scientific peer review, he said.

    Still, as a result of the scientists' complaints, he said the institute had suspended the MD Anderson grant, though the hospital will have a chance to reapply for the funding.

    "We will be good stewards of the public trust," Mr. Gimson said at a previously scheduled cancer conference the institute is holding this week, promising a "gold standard" scientific-review process.

    Texas Gov. Rick Perry added an endorsement Thursday, telling conference attendees that the institute was serving its intent by thrusting Texas into "the middle of the conversation" about finding a cure for cancer.

    Nonetheless, the gathering occasionally took on a defensive tone in the wake of the complaints from the departing scientists, with Mr. Gimson acknowledging in one speech that the institute had received "bad attention" and that it had listened to its detractors.

    In an interview, MD Anderson President Ronald DePinho said that its grant application got "pulled into this vortex of a fight between research and commercialization folks." The cancer center, he added, plans to resubmit its proposal and "welcomes the most rigorous 厳しい,厳格なscientific and business review possible."

    Charles Tate, a Houston venture capitalist who is member of the institute's oversight committee, said the institute is reaching out to scientists and cancer organizations across the state to get input into how funding should be divided between commercial projects and pure cancer research.

    "I think way too much of our funds have been spent on basic research," Mr. Tate said.

    In addition to the MD Anderson grant, scientists on the review panel complained that some oversight committee members unfairly questioned whether the scientists steered too much money to the University of Texas Southwestern Medical Center in Dallas. Dr. Gilman, the institute's former chief scientific officer, was closely connected to the medical center, including serving for a period as its dean.

    "The idea that I could rig things is ridiculous," said Dr. Gilman, who left the institute earlier this month because of disagreements with the oversight committee, including over the MD Anderson grant.

    Mr. Gimson denied that the oversight committee accused Dr. Gilman or other scientists of favoritism towards U.T. Southwestern. "Dr. Gilman has the highest level of integrity," he said.

    sun-wrinkle-unilateral-dermatoheliosis


    これは28年間、トラックの運転手を続けてきた方の写真です。顔の左半分でより老化が進んでいるのが分かります。運転中顔の左側により多くの紫外線を受けてきた結果、このような非対称な顔になってしまいました。http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1104059

    A 69-year-old man presented with a 25-year history of gradual, asymptomatic thickening and wrinkling of the skin on the left side of his face. The physical examination showed hyperkeratosis with accentuated ridging, multiple open comedones, and areas of nodular elastosis. Histopathological analysis showed an accumulation of elastolytic material in the dermis and the formation of milia within the vellus hair follicles. Findings were consistent with the Favre–Racouchot syndrome of photodamaged skin, known as dermatoheliosis. The patient reported that he had driven a delivery truck for 28 years. Ultraviolet A (UVA) rays transmit through window glass, penetrating the epidermis and upper layers of dermis. Chronic UVA exposure can result in thickening of the epidermis and stratum corneum, as well as destruction of elastic fibers. This photoaging effect of UVA is contrasted with photocarcinogenesis. Although exposure to ultraviolet B (UVB) rays is linked to a higher rate of photocarcinogenesis, UVA has also been shown to induce substantial DNA mutations and direct toxicity, leading to the formation of skin cancer. The use of sun protection and topical retinoids and periodic monitoring for skin cancer were recommended for the patient.http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1104059

    職業による紫外線=放射線被爆の他、発ガンリスクはどのようなものがあるでしょうか。BBC調査によればがんの40%は生活習慣に由来します。

    _57161709_cancer_causes1_624gr


    Nearly half of cancers diagnosed in the UK each year - over 130,000 in total - are caused by avoidable life choices including smoking, drinking and eating the wrong things, a review reveals.

    Tobacco is the biggest culprit, causing 23% of cases in men and 15.6% in women, says the Cancer Research UK report.
    Next comes a lack of fresh fruit and vegetables in men's diets, while for women it is being overweight.

    The report is published in the British Journal of Cancer.http://www.nature.com/bjc/journal/v105/n2s/full/bjc2011474a.html
    Its authors claim it is the most comprehensive analysis to date on the subject.
    Lead author Prof Max Parkin said: "Many people believe cancer is down to fate or 'in the genes' and that it is the luck of the draw whether they get it.
    "Looking at all the evidence, it's clear that around 40% of all cancers are caused by things we mostly have the power to change."

    Weighty matters

    For men, the best advice appears to be: stop smoking, eat more fruit and veg and cut down on how much alcohol you drink.

    For women, again, the reviews says the best advice is to stop smoking, but also watch your weight.

    Prof Parkin said: "We didn't expect to find that eating fruit and vegetables would prove to be so important in protecting men against cancer. And among women we didn't expect being overweight to be more of a risk factor than alcohol."
    In total, 14 lifestyle and environmental factors, such as where you live and the job you do, combine to cause 134,000 cancers in the UK each yea

    About 100,000 (34%) of the cancers are linked to smoking, diet, alcohol and excess weight.

    One in 25 of cancers is linked to a person's job, such as being exposed to chemicals or asbestos.
    Some risk factors are well established, such as smoking's link with lung cancer.
    But others are less recognised.
    For example, for breast cancer, nearly a 10th of the risk comes from being overweight or obese, far outweighing the impact of whether or not the woman breastfeeds or drinks alcohol.

    And for oesophageal 食道or gullet 喉頭cancer, half of the risk comes from eating too little fruit and veg, while only a fifth of the risk is from alcohol, the report shows.
    For stomach cancer, a fifth of the risk comes from having too much salt in the diet, data suggests.
    Some cancers, like mouth and throat cancer, are caused almost entirely by lifestyle choices.

    But others, like gall bladder胆嚢 cancer, are largely unrelated to lifestyle.

    The researchers base their calculations on predicted numbers of cases for 18 different types of cancer in 2010, using UK incidence figures for the 15-year period from 1993 to 2007.

    In men, 6.1% (9,600) of cancer cases were linked to a lack of fruit and vegetables, 4.9% (7,800) to occupation, 4.6% (7,300) to alcohol, 4.1% (6,500) to overweight and obesity and 3.5% (5,500) to excessive sun exposure and sunbeds.

    In women, 6.9% (10,800) were linked to overweight and obesity, 3.7% (5,800) to infections such as HPV (which causes most cases of cervical cancer), 3.6% (5,600) to excessive sun exposure and sunbeds, 3.4% (5,300) to lack of fruit and vegetables and 3.3% (5,100) to alcohol.

    Dr Rachel Thompson, of the World Cancer Research Fund, said the report added to the "now overwhelmingly strong evidence that our cancer risk is affected by our lifestyles".

    Dr Harpal Kumar, chief executive of Cancer Research UK, said leading a healthy lifestyle did not guarantee a person would not get cancer but the study showed "we can significantly stack the odds in our favour".
    "If there are things we can do to reduce our risk of cancer we should do as much as we possibly can," he said.
    Glyn Berwick, of Penny Brohn Cancer Care, which specialises in offering nutrition and exercise advice, agreed.
    "We know from years of experience the positive impact that changing lifetsyles can have."

    The president of the Royal College of Physicians, Sir Richard Thompson, said the findings were a wake-up call to the government to take stronger action on public health.
    "The rising incidence of preventable cancers shows that the 'carrot' approach of voluntary agreements with industry is not enough to prompt healthy behaviours, and needs to be replaced by the 'stick' approach of legislative solutions," he said

    The government said it was intending to begin a consultation on plain packaging by the end of this year.
    Diane Abbott, Shadow Public Health Minister, said: "The government is failing on all the main public health issues.

    "And the message from Labour, the Tory-led Public Health Committee, campaigners like Jamie Oliver and even some the government's own policy panels is clear: the government's approach to tackling lifestyle-related health problems is completely inadequate."
    Public Health Minister Anne Milton said: "We all know that around 23,000 cases of lung cancer could be stopped each year in England if people didn't smoke.

    "By making small changes we can cut our risk of serious health problems - give up smoking, watch what you drink, get more exercise and keep an eye on your weight."

    http://www.bbc.co.uk/news/health-16031149
    関連記事 http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/07/cancers-prevented-lifestyle-changes-study


    がんにならないためには禁煙、節酒、運動+減量ということです。赤ワインが身体にいい、という説もありますが、「自然と同じように人間の身体も偶然の力を借りて長い間に突然変異を繰り返し、身体全体の仕組みを作り出してきた。その仕組みの細かいところは、人間にはまだまだ分かっていない。
    身体の仕組みをすべて分かっていない人間が、一つの臓器に良いからといって赤ワインのような刺激物をがぶ飲みすること自体間違っている。」
    人生がラクになる数学のお話43
    クチコミを見る
     ので、情報は疫学データから重み付けするべきでしょう。

    他、以下のような情報もありました。

    ・乳がんは第一子の出産年齢が高くなると増加 BMI20でヒップ:ウェストの比率1対0.7の女性は長寿、健康、子育てに最適の体型 ・・・ティム・スペクター「99%は遺伝子で分かる」

    ・がんの80~90%は外部からの原因(環境因子)によって発生する。したがって理論的には予防できる病気である。
     ①植物の葉、食べごろになりつつある果物、代謝の活発な植物の成長部分は多量のビタミンを含んでいる。進化が特別に生み出した人類の食事はもとは葉っぱや熟したばかりの果物などであった。
     ②胃がんのリスクを下げるのに、確定的なのは果物、野菜のみ特に緑色野菜は肺がんと胃がんの予防に確実に役立つ。
     ③葱類の野菜やトマト、レモンが胃がんを予防する根拠は確定的
     ④果物、野菜が確定的にリスクをさげる部位は、口腔、喉頭、食道、肺、胃がんなど
     これらの結果はアメリカがNASAの宇宙開発に匹敵するほどの予算をかけて分かったものである。
    がんと心臓病は予防できる
    クチコミを見る

    ・アスピリンの定期的な使用は変異-PIK3CAの大腸癌患者の生存率を改善http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1207756 http://www.usatoday.com/story/news/nation/2012/10/24/aspirin-colon-cancer/1655457/?sf6797206=1

    ・緑茶を週に3杯以上飲む中国人女性の消化器系がん発症リスクは27%低下
    http://ajcn.nutrition.org/content/96/5/1056.abstract
    http://todayhealth.today.com/_news/2012/10/23/14652688-green-tea-appears-to-ward-off-some-cancers-in-women?lite?ocid=twitter

    natureができるまで、というビデオがありました。


    natureは世界中の専門化が厳しく査読、採用率は10%未満です。インパクトファクターは本誌だけでなく関連12誌も第一位です。http://www.natureasia.com/ja-jp/info/journals/impact-factors

    この権威ある雑誌に神戸大学の井垣 達吏准教授らの研究が載りました。

    「Mitochondrial defect 欠点,欠陥drives non-autonomous 自主的なtumour progression through Hippo signalling in Drosophila ショウジョウバエ

    「ミトコンドリア機能障害はがん抑制経路Hippo経路を介して周辺の良性腫瘍を悪性化する」

    * Hippo(ヒポ)経路
    がんに対して抑制的に働く細胞内シグナル伝達経路。通常、細胞増殖を抑制し、なおかつ細胞死を促進することで細胞ががん化するのを防いでいる。したがって、この経路が不活化するとがん化が促進すると考えられる。


    Mitochondrial respiratory 呼吸(作用)のfunction is frequently impaired in human cancers. However, the mechanisms by which mitochondrial dysfunction contributes to tumour progression remain elusive(なかなか)わかりにくい. Here we show in Drosophila imaginal epithelium 上皮that defects in mitochondrial function potently induce tumour progression of surrounding tissue in conjunction with oncogenic 発癌性のRas. Our data show that Ras activation and mitochondrial dysfunction cooperatively stimulate production of reactive oxygen species, which causes activation of c-Jun amino (N)-terminal kinase (JNK) signalling. JNK cooperates with oncogenic Ras to inactivate the Hippo pathway, leading to upregulation of its targets Unpaired (an interleukin-6 homologue) and Wingless (a Wnt homologue相同器官). Mitochondrial dysfunction in Ras-activated cells further cooperates with Ras signalling in neighbouring cells with normal mitochondrial function, causing benign tumours to exhibit metastatic behaviour. Our findings provide a mechanistic basis for interclonal tumour progression driven by mitochondrial dysfunction and oncogenic Ras.

    専門用語が多くてさっぱり英語が分からないのですが
    詳細が研究チームのHPに書いてあります。→http://www.jst.go.jp/pr/announce/20121001/index.html

    何故ミトコンドリアが弱るとがん化するか?

    ・がんのほとんどは上皮組織に生じる。
    ・正常な上皮細胞に複数の遺伝子変異が起こることで前がん細胞となり、さらに前がん細胞が過剰に増殖して良性腫瘍が形成される。
    ・良性腫瘍にさらに遺伝子変異が加わることで、組織浸潤能・転移能を持つがんが生じる。→腫瘍の悪性化
    ・ミトコンドリアの機能低下を招く遺伝子変異は、多くのがんに共通して生じていることが知られているが、ミトコンドリアの機能低下とがんの発生、進行との関係は、ほとんど分かっていなかった。
    ・ショウジョウバエの前がん状態の良性腫瘍中のある細胞の中で、Ras(ラス)遺伝子の活性化とミトコンドリア機能低下が同時に起こると、細胞内のストレスを感知する情報伝達経路が活性化し、細胞外に2種類のたんぱく質(炎症性サイトカイン、細胞増殖因子)が放出
    ・放出されたたんぱく質は良性腫瘍内の他の細胞を刺激し、細胞増殖能、組織浸潤能・転移能を増加させることでがん化を招く。

    *Ras(ラス)
    ヒトのがんの約3割で活性が高まっているがん遺伝子産物。膵臓がんでは約9割で活性が亢進している。Rasの活性が高まると細胞の増殖能や運動能が高まることが知られている。


    ミトコンドリアの機能低下ががんを招く、というより周りにあるがん細胞を悪性化させるようです。

    ・ミトコンドリア呼吸鎖の機能障害を起こすような遺伝子変異が良性腫瘍に導入されると、その良性腫瘍自身ではなく近隣細胞の増殖能が高まる
    ・ショウジョウバエの、stat と呼ばれる遺伝子が不活化すると周辺組織のがん化が起こらなくなる。statは細胞の増殖を促すたんぱく質で、アンペアード哺乳類ではIL-6(インターロイキン-6))と呼ばれる炎症性サイトカインによって活性化される。Rasの機能亢進とミトコンドリアの機能障害を同時に持つ細胞の中でアンペアード遺伝子の発現が高まっており、この細胞内でアンペアードの発現を抑制すると周辺細胞のがん化が起こらなくなった。
    ・Rasの機能亢進とミトコンドリアの機能障害を同時に持つ細胞では酸化ストレスを起こす活性酸素種が大量に産生され、これによって細胞ストレスに応答するJNKと呼ばれるリン酸化酵素が活性化する
    ・さらに、JNKとRasが同時に活性化するとHippo(ヒポ)経路と呼ばれるがん抑制経路が不活性化される。ヒポ経路は通常、アンペアード遺伝子や分泌性の細胞増殖因子ウィングレス(哺乳類ではWnt(ウィント))遺伝子の発現を抑制する。
    ・したがって、ヒポ経路が不活性化することでアンペアード(IL-6)やウィングレス(Wnt)の発現が高まり、これらが周辺細胞に作用してがん化を促す

    *ミトコンドリア呼吸鎖
    ミトコンドリアの内膜に存在するたんぱく質複合体で、電子伝達系を介してATPを産生する。活性酸素種の産生にも深く関与する。
    *アンペアード
    ショウジョウバエの炎症性サイトカインの1つで、哺乳類のインターロイキン6(IL-6)に相当する。炎症反応時に細胞から産生・放出される他、細胞の増殖にも深く関与するたんぱく質。
    * インターロイキン
    リンパ球やマクロファージなど、免疫担当細胞が産生するサイトカインの1種。細胞の活性化、分化、増殖、および細胞間の相互作用などに関与している。現在、20種以上が同定され、慢性関節リウマチ(IL-1)、アレルギー疾患(IL-5)など、さまざまな病態との関与が示唆されている。
    * ウィングレス
    ショウジョウバエの分泌性の細胞増殖因子の1つで、哺乳類のWnt(ウィント)に相当する。発生やがんに深く関与するたんぱく質。


    zu5


    ミトコンドリアの機能低下ががん細胞にみられることは以前から知られており、何故そうなるのかというと

    ①ミトコンドリアの機能低下とがん遺伝子の活性化が同時に起こると細胞が死ににくくなる。

    ②死ににくくなったがん細胞は発ガンに関係するたんぱく質を放出し続けるので周囲の細胞ががん化する。

    ということが分かりました。

    今後の展開として、
    「ミトコンドリア機能障害やそれによって炎症性サイトカインや細胞増殖因子が放出される機構、すなわち前がん細胞同士の相互作用を標的とした、これまでにない新しいがん治療法の確立が期待されます。」

    ミトコンドリアの機能が障害されればドミノ倒しのように周りが悪性腫瘍化する、ということです。この点が従来の遺伝子変異の蓄積とは異なるメカニズムであることが強調されていました。

    機能障害とは具体的には「ミトコンドリア呼吸鎖」でした。呼吸鎖とは・・・
    「 解糖やTCA回路によりNADH2+やFADH2の形で捕捉された水素は,ミトコンドリアのクリステにおいて,順次エネルギーが低くなるような一連の酵素系(複合体 I~IV)の連鎖を経て,最終受容体である酸素(O2)に渡されて水 H2Oになる。複合体 I~IVの段階は,ミトコンドリア内膜のタンパク質や補酵素間で電子のやり取りが起こる過程であるため電子伝達系と呼ばれる。また,複合体 I, III, IV の段階では,ミトコンドリアのマトリックスから膜間スペースにH+が汲み出され,内膜を隔てて水素イオンの濃度勾配が発生する。

     このプロトン(H+)濃度勾配で生じる化学ポテンシャルを利用して,複合体V(H+輸送ATPシンターゼ)はADPとリン酸からATPを合成する。この過程は酸化的リン酸化と呼ばれ,好気的代謝の中心となる。解糖などで基質のリン酸基の転移反応によってADPからATPを合成する基質レベルのリン酸化と区別される。
     つくられたATPは,ミトコンドリア内膜に存在するADP-ATPトランスロケーターを通って,ADPと交換に速やかに細胞質へと運ばれる(対向輸送, antiport)。

     これら全過程を呼吸鎖(respiratory chain)という。解糖や発酵など酸素を必要としない嫌気的な代謝しか行わない,嫌気生物(anaerobe)に比べて,TCA回路呼吸鎖を利用できる好気生物(aerobe)はより多くのエネルギーを獲得することができる」http://133.100.212.50/~bc1/Biochem/oxidphos.htm


    ミトコンドリアを活性するには運動、ということを以前の記事でも紹介しました。再掲します↓がんだけでなく心疾患や腎疾患などにも影響するようです。



    ・動くことの必要な筋肉細胞には一個の細胞中に数千個ものミトコンドリアが存在する。ミトコンドリアがATPを生み出す材料は脂肪とブドウ糖 だぶついた材料は中性脂肪として体内に蓄えられる。
    ・心筋では、冠動脈が細くなると酸素あたりのATP産生効率の高いブドウ糖を利用してATPを作る。心筋梗塞の診断「PETイメージング」ではこの機序を利用してブドウ糖が光っていればその分ブドウ糖がたくさん使われている=酸素不足と判定する。
    ・ミトコンドリアは通常、脂肪を燃やす。次にブドウ糖 酸素が少ないとミトコンドリアの外、細胞質でブドウ糖を分解する=解糖系 この方法は効率が悪いので乳酸が蓄積、疲労の原因となる。短距離走で使われる方法 マラソンランナーが疲れにくいのは解糖系を使わずに脂肪をうまく燃焼させるから。

    ・カロリーを制限でミトコンドリアが増加、ミトコンドリアのエネルギー産生効率が上がり活性酸素が増えにくくなる
    ・乳酸は糖を分解してエネルギーを生み出す過程でできるもの 炭素が3個、水素が6個、酸素が3個結合してできた物質 乳酸菌は乳酸を出す菌で、腸内に多く含まれ、腸を酸性に保ち胃腸の状態を整える。
    ・今までは酸素があるかないかで嫌気性・好気性の2者択一でATPが作られる、と言われていた。 しかし実際は安静時でもミトコンドリア反応量より多くの糖分解が行われており、乳酸が産生される。 脂肪を分解する過程では生じない。 
    ・乳酸は老廃物で、運動後に肝臓に運ばれ糖に戻されるとされてきた。実際は運動中にミトコンドリアで酸化されてエネルギーになっている。すなわち乳酸はすぐにエネルギーを生み出すことができるエネルギー源である。 疲労の原因とは全く関係が無い。
    ・糖尿病で起こる代謝性アシドーシス(血液の中の酸の蓄積と重炭酸塩の減少で血液の酸性度が高くなりすぎた状態)は酸欠のためでなく、むしろ乳酸を処理するミトコンドリアの問題であると考えられる。従来の治療のように重炭酸塩を点滴で投与する等、酸素と重炭酸塩バッファを管理しても完治できない。
    ・嫌気性代謝は無酸素運動と呼ばれ、短距離走がその代表である。しかし実際はどんな運動でも肺から酸素が取り込まれ全身に送られている。筋肉にももともと酸素があり、激しい運動をしても完全に無くなる事はない。無酸素運動の極致といわれる400m走終盤のダッシュもエネルギーの7~8割は酸素を使ったエネルギー産生によっている

    高血圧、高血糖でミトコンドリアのATP産生能力が低下すると細胞機能が低下、消化器系から慢性炎症反応がスタートする。
    ・ミトコンドリアDNAが傷害されると、身体の中で特にエネルギーが必要な臓器…脳、骨格筋、心臓が障害される。続いて腎臓障害、糖尿
    ・老化とミトコンドリアの衰えはイコール
     84歳以上の高齢者は若者と比べてミトコンドリアがATPを産生する能力が46%も低い 糖尿病、腎臓病、心不全はミトコンドリアの機能不全が原因
    ・慢性腎臓病ーCKDは腎臓のみならず心不全や脳卒中になる確立まで高くする。-「心腎連関」 CKD患者は推定2000万人 老化した腎臓から全身の臓器機能を低下させる何者かがあるらしい。CKD初期の段階でミトコンドリア機能は障害される。
    ・がん細胞は増殖するためにATPを大量に必要とするが、ミトコンドリアを使うと活性酸素が発生してしまうので細胞質で解糖系を主に使う。これをワールブルグ効果という。
    ・ブドウ糖の分解でできるピルビン酸はミトコンドリア内でPDH作用によりアセチルコリンCoAとなる。がん細胞はPDHの働きを弱めてミトコンドリアを使わないようにする。運動=筋肉収縮でPDHは活性化、がん細胞内で無理やりPDHを働くようにすることでがん細胞増殖を抑える、という戦術もある。
    ・長生きする人ほど血中インスリン濃度は低い。

    ・カロリー制限によって長寿遺伝子=サーチュイン遺伝子が増える。脂肪細胞はカロリー制限によってサーチュイン遺伝子を活性化するNamptを分泌する。
    ・サーチュイン遺伝子は現在7種類見つかっている。サーチュイン1はミトコンドリアを増やすタンパクPGC1を活性化する 6ヶ月、25%のカロリー制限で筋肉にPGC1が増えてミトコンドリア数が増加する。
    サーチュイン2から7は何をしているかよく分かっていない 3番はTCA回路で脂肪の燃焼を促し4番はすい臓でインスリンの分泌に関わるらしい
    ・体の中のミトコンドリアの80%は筋肉内に 一つの筋肉細胞の中に2000個 ATP産生効率の高い、「高効率ミトコンドリア」はややきつめの運動で細胞内を酸欠状態=栄養不足、飢餓状態にすることで増やせる。運動によってPGC1も増える ミトコンドリアが増えれば活性酸素の産生は低いレベルに抑えられ、疲れにくくなる。
    ・運動すると脈拍が増加、ナトリウム利尿ペプチドが心筋から分泌される ナトリウム利尿ペプチドは筋肉細胞に作用、cGMPを増やしてミトコンドリア数を増加させる。
    ミトコンドリアを鍛えるには燃料となる酸素を運ぶ血管が必要 ややきつめの運動をできるだけ長く続けると血管拡張ホルモンが分泌される。
    生体のエネルギーはミトコンドリアが酸素を取り込みATPを作ることで生み出されるがこの過程で必然的にフリーラジカルが作られてしまう。またミトコンドリアはフリーラジカルなどによるミトコンドリアDNAの傷害を修復できないので機能が老化しやすい。ミトコンドリアには抗酸化酵素、スーパーオキシド・ジムスターゼ(SOD)があり活性酸素を除去している。ビタミンE、Cにも抗酸化作用があるがどの程度摂取すれば効果があるかは明らかでない。

    人間は50歳を越えた頃から活性酸素に対する抵抗力が弱くなる。ミトコンドリアがATPを産生する仮定で活性酸素は生じてしまう。また、ミトコンドリアは細胞より早く老化する。」(リュック・モンタニエ)

    ・老化により筋収縮機能低下(老化によるミトコンドリアのATP産生減少が筋収縮を低下させる。)⇒巧緻性、俊敏性が低下 筋線維数減少⇒筋断面積減少(山崎俊明「高齢者の骨格筋機能と運動療法」PTジャーナル2007,1)


    ミトコンドリアの機能低下は細胞内ミトコンドリアの数が減ること、ミトコンドリアそのもののATP産生効率が悪くなること、の2つが大きな原因のようです。
    またフリーラジカルの影響を受けてDNAが傷害を受けても修復できないので、機能が低下しやすい、ということです。
    これらの要因に高血圧、高血糖、加齢なども加わります。

    ミトコンドリア数を増やし、効率を良くするには高血圧、高血糖の改善、きつめの運動またはカロリー制限でサーチュイン遺伝子(ミトコンドリア増殖にかかわる)を増やすこと、運動による脈拍増加でナトリウム利尿ペプチド(ミトコンドリア増殖にかかわる)を分泌させることなどの方法があります。

    がん発症について米国統計です。

    1990年より年1.5%の割合(男性で平均1.8%、女性1.4%)でがん死亡者は減少しているがHPV感染によるがん(子宮頸がん、肛門がん、性器に生じるがん、口腔・咽頭がん)の発症は増えている。また子宮がん、肝臓がん、すい臓がん、腎臓がん、皮膚がん、甲状腺がんの発症も増加しており、子宮がん、すい臓がん、腎臓がんは肥満、高カロリー、運動不足と(肥満は食道、乳、大腸、前立腺がんなどとも関連)、肝臓がんは肝炎ウィルス感染と、皮膚がんは紫外線量の増加と、甲状腺がんは医療検査による被曝と関連があると考えられている。

    HPVは性交・・・膣、口腔、肛門から感染する。肛門がんの90%、口腔、咽頭がんの60%、膣、陰茎など性器がんの40%はHPV感染が原因
    HPV感染については性交を始める思春期からHPV混合ワクチンを接種することが望ましいが、13~17歳女性で接種しているのは32%に留まる。米国内でHPV感染によるがんは男性2%、女性で3.3%を占め、子宮頸がんによる死亡者は毎年4000人となっている。

    http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-cancer-deaths-down-hpv-20130107,0,1165849.story?track=rss&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter&dlvrit=53001
    http://www.cbsnews.com/8301-204_162-57562527/cancers-tied-to-hpv-and-obesity-on-the-rise-in-u.s-says-report/
    http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/01/07/hpv-related-cancers-surge/1810491/?sf8406070=1
    http://www.msnbc.msn.com/id/50388546/ns/health-cancer/?ocid=twitter#.UOvqQm8QGNohttp://www.cbsnews.com/8301-204_162-57562421/obesity-survey-suggests-many-americans-dont-know-fat-can-cause-cancer-infertility/http://healthland.time.com/2013/01/08/cancer-rates-dropping-but-not-for-all-tumor-types/
    http://edition.cnn.com/2013/01/08/health/cancer-hpv/index.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+rss%2Fcnn_health+%28RSS%3A+Health%29&cid=sf_twitter


    ちなみに何で「混合」かというとHPVウィルスにはHPV 16型、HPV 18型、低リスクグループのHPV 6型、HPV 11型などヴァリエーションがあるからです。
    現存は2価、4価ワクチンでさらに他のHPVウィルスもカバーした8価ワクチンが開発中です。

    また「性交を始める前から」接種するのはHPVウィルスに感染してからワクチンを打っても効果が無いからです。

    s04

    http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/100128html/index2.html

    子宮頸がんの増加はカナダでも同様で、Canadian Task Force on Preventive Health Careでは25歳以上の女性に、3年ごとのスクリーニングテストを推奨しています。(2011年は1300人発症、350人死亡 子宮頸がんの予後は良好となっている。末期まで進んでいるケースではスクリーニングテストを受けていないか、テストのインターバルが長い場合がほとんど)http://www.cmaj.ca/content/185/1/35.full.pdf

    HPVワクチンといえば女性が打つものと思っていましたが、HPVウィルスの保有者は男性、18~70歳で65.2%、女性で80%と決して女性と比して低いものではありません。またJAMA調査より、口腔内のHPV感染は男性のほうが多いことが分かっています。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22282321

    HPVに感染しているとして、それではどの位の割合でがんに移行するのか?子宮頸がんの場合、日本では罹患率約0、08%、死亡率0.024%です。

    what_img_01


    上述のようにHPVウィルスは子宮頸がんだけでなく肛門、口腔がんも引き起こします。
    そこで米国(the Centers for Disease Control and Prevention)では少年にもHPVワクチン接種を推奨するようになりました。

    日本ではどうかというと2価、4価ワクチンともに認可されています。男性がHPVワクチンを打つことはできますが、副作用http://www.qlifepro.com/news/20120629/ministry-cervical-cancer-about-preventive-vaccine-attention.htmlがあっても自己責任、費用http://www.hanaoka-ladiesclinic.com/020/125hpv/は個人負担というのが現状のようです。

    ここにはインフルエンザワクチン同様、重篤な副作用が起きるリスクを含みます。
    Lancetによれば18から70歳、1159人の男性(HIVは陰性)を約2年間追跡調査した結果、女性および男性(=同性愛)の性的パートナーが多いほどHPV感染率も高いことが分かりました。

    Incidence and clearance of genital human papillomavirus infection in men (HIM): a cohort study.

    Abstract
    BACKGROUND:
    Human papillomaviruses (HPVs) cause genital warts and cancers in men. The natural history of HPV infection in men is largely unknown, and that information is needed to inform prevention strategies. The goal in this study was to estimate incidence and clearance of type-specific genital HPV infection in men, and to assess the associated factors.
    METHODS:
    Men (aged 18-70 years), residing in Brazil, Mexico, and the USA, who were HIV negative and reported no history of cancer were recruited from the general population, universities, and organised health-care systems. They were assessed every 6 months for a median follow-up of 27·5 months (18·0-31·2). Specimens from the coronal sulcus, glans penis, shaft, and scrotum were obtained for the assessment of the status of HPV genotypes.
    FINDINGS:
    In 1159 men, the incidence of a new genital HPV infection was 38·4 per 1000 person months (95% CI 34·3-43·0). Oncogenic HPV infection was significantly associated with having a high number of lifetime female sexual partners (hazard ratio 2·40, 1·38-4·18, for at least 50 partners vs not more than one partner), and number of male anal-sexual partners (2·57, 1·46-4·49, for at least three male partners vs no recent partners). Median duration of HPV infection was 7·52 months (6·80-8·61) for any HPV and 12·19 months (7·16-18·17) for HPV 16. Clearance of oncogenic HPV infection decreased in men with a high number of lifetime female partners (0·49, 0·31-0·76, for at least 50 female partners vs not more than one partner), and in men in Brazil (0·71, 0·56-0·91) and Mexico (0·73, 0·57-0·94) compared with the USA. Clearance of oncogenic HPV was more rapid with increasing age (1·02, 1·01-1·03).
    INTERPRETATION:
    The data from this study are useful for the development of realistic cost-effectiveness models for male HPV vaccination internationally.
    FUNDING:
    National Cancer Institute.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21367446


    HPV関連のがんにならないための自衛策としては自然免疫力を高める生活を送ること、複数の相手との性交渉を避けることと、といった月並みな方法が望ましいのではないでしょうか。

    I summarized lung,pancreatic ,liver cancer as follows .

    lung cancer

    例えば放射線治療について、肺癌末期(ⅢBからⅣ=リンパ節転移した癌)患者69%(大腸がん末期患者では81%)が放射線治療に効果があり、4割が「必ず治る」と信じているそうです。ところが事実は助かる見込みがなく(手術非適応)緩和ケアの対象です。
    http://www.bbc.co.uk/news/health-20135892#?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
    http://well.blogs.nytimes.com/2012/11/19/when-treating-cancer-is-not-an-option/?smid=tw-nytimeswell&seid=auto


    Mayo Clinicによれば女性の16人に1人、男性の13人に1人が肺がんになります。要因は以下です。

    ①喫煙

    ②受動喫煙

    ③ラドンガス

    ④アスベストなどの化学物質

    ⑤家族歴

    ⑥アルコールの過剰摂取・・・女性 1杯 男性 2杯/日

    ⑦喫煙による肺疾患

    http://www.mayoclinic.com/health/lung-cancer/DS00038/DSECTION=risk-factors

    ・肺の中には痛みを感じる神経が無く、末梢型で特に自覚症状が起き難い。中心型は初期から血痰が出るので気づきやすい。半数は手術できず。
    ・肺がんのハイリスクは「1日の喫煙本数×喫煙年数=400以上」、10倍から20倍肺がんに
    ・M.D. Anderson Cancer Centerは肺がんのハイリスクを50歳以上のヘビースモーカーと定義
    ・肺がん検診E1,E2判定について 平成21年新潟県の統計は E1判定 6398人 E2 171人 精密検査の結果、肺がんと診断されたのは109人 すなわち肺癌検診で高リスク群に診断されて肺がんになる確率は1.7% 新潟県統計⇒http://www.kenko-niigata.com/21/step2/sp_ganyobou/g_gankenshin_h21.html
    ・日本 2010年がんによる死亡者数 1位 肺がん 2位 胃がん 3位 大腸癌

    http://www.mayoclinic.com/health/lung-cancer/DS00038/DSECTION=symptoms

    WHO 毎年107000人がアスベスト由来で死亡 http://www.cbc.ca/news/health/story/2012/11/08/sk-asbestos-registry-advocate-121108.html?cmp=rss

    喫煙率 http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/PublicHealth/35848?utm_content=&utm_medium=email&utm_campaign=DailyHeadlines&utm_source=WC&xid=NL_DHE_2012-11-09&eun=g433722d0r&userid=433722&email=theimer.sharon@mayo.edu&mu_id=5531136
    http://www.mayoclinic.com/health/quit-smoking/SK00056




    What is "pancreatic cancer"

    The pancreas has two main jobs in the body:

    1,To make juices that help digest (break down) food.

    2, To make hormones, such as insulin and glucagon, that help control blood sugar levels. Both of these hormones help the body use and store the energy it gets from food.

    The digestive juices are made by exocrine pancreas cells and the hormones are made by endocrine pancreas cells. About 95% of pancreatic cancers begin in exocrine cells.

    CDR636528-571

    Risk factors for pancreatic cancer include the following:

    Smoking.

    Being very overweight.

    Having a personal history of diabetes or chronic pancreatitis.

    Having a family history of pancreatic cancer or pancreatitis.

    Having certain hereditary conditions, such as:
    Multiple endocrine neoplasia type 1 (MEN1) syndrome.
    Hereditary nonpolyposis colon cancer (HNPCC; Lynch syndrome).
    von Hippel-Lindau syndrome.
    Peutz-Jeghers syndrome.
    Hereditary breast and ovarian cancer syndrome.
    Familial atypical multiple mole melanoma (FAMMM) syndrome.


    Check with your doctor if you have any of the following problems:

    Jaundice (yellowing of the skin and whites of the eyes).
    Light-colored stools.
    Dark urine.
    Pain in the upper or middle abdomen and back.
    Weight loss for no known reason.
    Loss of appetite.
    Feeling very tired.


    Pancreatic cancer is difficult to detect and diagnose for the following reasons:

    There aren’t any noticeable signs or symptoms in the early stages of pancreatic cancer.
    The signs of pancreatic cancer, when present, are like the signs of many other illnesses.
    The pancreas is hidden behind other organs such as the stomach, small intestine, liver, gallbladder, spleen, and bile ducts.

    http://www.cancer.gov/cancertopics/pdq/treatment/pancreatic/Patient?utm_content=sf19416222&utm_medium=spredfast&utm_source=twitter&utm_campaign=National+Cancer+Institute&cid=sf19416222#Keypoint4



    Another information,

    Factors that may increase your risk of pancreatic cancer include:

    Being African-American
    Being overweight or obese
    Chronic inflammation of the pancreas (pancreatitis)
    Diabetes
    Family history of genetic syndromes that can increase cancer risk, including a BRCA2 gene mutation, Lynch syndrome and familial atypical mole-malignant melanoma (FAMMM)
    Personal or family history of pancreatic cancer
    Smoking

    http://www.mayoclinic.com/health/pancreatic-cancer/DS00357/DSECTION=risk-factors

    アルコール60g(ビール中瓶3本相当)を毎日飲むと、25年間で急性膵炎リスクが2,3%上昇
    アルコール、胆石は膵管を塞ぐので、膵液の行き先が無くなり、すい臓を溶かしてしまい急性膵炎となる。

    膵癌 http://www.mayoclinic.org/pancreatic-cancer/




    liver cancer

    肝臓にがん転移した患者さんに対して肝臓に流れ込む動脈、静脈をバルーンで通行止めにしてから抗がん剤を流し込む、という技術ができたそうです。この間肝臓は行き場の無くなった血液と薬剤でパンパンに膨らみ、他臓器に副作用を与えることなくがんを叩けます。
    この方法を2例に実施、がん組織は縮小しました。この方法は血流を分離しやすい、肺、腎臓、すい臓にも応用できます。http://www.bbc.co.uk/news/world-20270400#?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

    イギリスでは65歳以下の肝臓疾患による死亡が2000年から2009年で2割増加しています。その原因は主に①アルコールが安く手に入ること②肥満③感染の3つ、中でも飲酒と肥満、という生活習慣因子が重要です。http://www.bbc.co.uk/news/health-20410378#?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

    肝臓の働き
    肝臓は1,500gもある人体最大の臓器 500種類以上の働きがあるといわれている中で大きくは3つ
    ①解毒   
    ②代謝 
    ③胆汁合成 

    肝臓の働きをトータルにみるのがAST ALT・・・どちらも酵素 ALTはそのほとんどが肝臓の細胞内にある。ALTの数値が大きく上がっていたら、肝障害があると考える。ASTは肝臓内にもあるが、筋肉、心臓、腸などにも含まれる。したがってASTだけが高い場合は心筋梗塞、筋炎などを疑う。
    軽症慢性肝炎はALTが高く、肝硬変になるにつれてASTが高くなる ASTがALT1の3倍、4倍も高くなれば肝がんを合併している確率が高くなる
    94baa12c


    ・解毒 指標はγ-GTP、ALP・・・胆道系酵素 有害物質を分解、消化し無毒化 取り除けないと肝性脳症など
     ALPはリン酸化合物を分解 胆汁がうっ滞すると上昇する。

    ・代謝  指標はコリンエステラーゼ 
    人体の中で活躍する主なタンパク質は肝臓で合成されるアルブミン、低下した場合は肝機能の低下を反映(肝細胞でタンパクの合成ができなくなるため) 血漿浸透圧を保つ役割 不足すると全身の水分コントロールができずに浮腫、腹水が出る 凝固因子も肝臓で作られる。不足すると出血傾向
    グリコーゲン、脂肪も肝臓で備蓄 ただし、蓄えられる量はわずか

    ・胆汁生成 指標は総ビリルビン 脂肪の分解、吸収 過剰になれば黄疸

    肝臓病の分類
    ・ウィルス性肝炎
    肝炎には2種類 ウィルス性 非ウィルス性:脂肪肝、薬剤による副作用、自己免疫性疾患など ウィルスにはA,B,C,D,Eの五種類 A,B.Cその他で3:3:1:3の割合 
    C、B型は慢性の肝硬変、肝がんに進みやすい それぞれ75%、15%の確率 早期発見、治療が大事

    A型 経口感染で起きる 日本では年間20万人が発症 生ものに注意 予後は良好

    B型 血液感染で起きる・・・性行為、垂直感染(予防法が進んだのでほとんど無くなっている)など 日本でのキャリアーの割合は人口の1から2%程度、約150万人 70~80%の人は発症しない 大人で発症した場合は99%が急性肝炎 1%が劇症肝炎

    C型 日本では200万人が感染 感染者の8割が慢性肝炎、肝硬変に移行  

    ・非ウィルス性肝炎
    非ウィルス性の代表的なものが脂肪肝(本来機能すべき肝臓細胞のスペースを3割以上中性脂肪が取って代わってしまった状態) 成人人口の30%は脂肪肝、うち10%がNASHと言われている。
    NASH:非アルコール性脂肪肝炎は肥満、鉄分不足 食生活の欧米化でカロリーオーバーなどメタボに合併することで発症する生活習慣病 肥満大国のアメリカでは最も患者数の多い肝臓疾患 発ガンリスクを伴う肝炎
    肝臓の細胞に脂肪が溜まり、破裂して肝機能が悪くなる。アルコールを飲まなくても脂肪肝になる場合がある 
    肝機能異常者は日本で2000万人、子供がNASHになる可能性も 最近の子供は運動不足、ジャンクフードはカロリーも高い 
    肝臓に溜まった脂肪を落とすための有効な手だては有酸素運動、栄養指導

    今後はウィルス性肝炎が減少、アルコール性肝炎やNASH関連が増えていくと考えられている またNASHはウィルスと違って特効薬が無い

    ・肝炎が進行すると
    最初のウィルス感染から慢性肝炎へ進行、肝がんになるまでに20ー30年要する その間慢性の炎症が持続、肝臓の形態が変わり肝硬変に⇒肝硬変の半数は肝がんを合併(肝硬変患者の死因1位が肝がん、次に肝不全)
    日本の肝がんの原因 70-80%はウィルス性 残りは慢性炎症による・・・10から20%はアルコール性 5%くらいがNASH関連 
    肝臓病は症状がはっきりせず、自分でも気づかない 日本では毎年3万数千人が肝がんで、2万人が肝硬変で亡くなる 

    ・検査、治療、予防法
    肝臓検査 まずは血液検査から 慢性肝炎ぐらいまでであれば治せるようになってきている 肝硬変まで進むと治りにくい 日常生活での改善点 肝炎は禁酒 

    肝がんの発生は毎年3万人 

    酒をまったくの飲まないモルモン教徒はアメリカ人のガン死亡率の半分 心臓、血管障害の死亡率も半分に
    アルコールの分解過程で有毒のアセドアルデヒドが生成 アルコールやアセドアルデヒドに長くさらされるほど肝臓細胞の遺伝子異常が起こりやすくなる。アルコールで活性酸素も多く作られる。
    たとえ適正飲酒であっても長期にわたり習慣にすると注意が必要 
    アルコールは肝臓から出てくる胆汁性分を変え、粘膜を傷つけることでガン発生の危険率を高める。中性脂肪が増え、脂肪化も増進

    肝臓の障害が進むと脾臓の機能が高まり血小板数が必要以上に壊され、数が低下 血小板が下回るということは肝硬変、肝がんになっている可能性もある。

    国立がんセンターの臨床研究によれば、成人9万人を10年間追跡調査した結果、コーヒーを毎日飲むと肝臓ガンの発症リスクが半減した。

    B型 乳幼児で感染した場合の80%は無症候性 残りが慢性肝炎→肝硬変→肝がんに ウィルスは血液を通して伝染する。 歯ブラシやカミソリは別に 風呂や食器で感染することはない
    C型は大人も感染しやすく、肝炎、肝硬変、肝がんへと高確率に進行しやすい 発見されたのは1989年 輸血で感染 現在では感染対策ができている 89年以前に感染した人は注意、検査が勧められる 感染者の30%はウィルスが排除される 70%の人は徐々に肝炎が進行

    健診すると3割の人が脂肪肝⇒3つの改善点
    ・禁酒
    ・運動について 運動しすぎると肝臓に負担がかかり逆効果、肝硬変に進む可能性目安は・・・
    ALT AST 200以上 安静 
          100-200  軽い運動ー歩くことなど 
          50-100  疲れない運動 
          50以下 制限なし
    脂肪肝と言われたら、1日10000歩は歩くこと 実行できると半年で体重を5%減らせる
    ・食事 食べ過ぎに注意 便秘は有害物質の増加につながる 便通を良くするために食物繊維を積極的にとる C型は鉄分が蓄積されるので炎症を起こしやすい 鉄は控え目にーそば、レバー、牛は鉄が多い 少ないのは米、鳥胸肉など 緑茶は鉄の吸収を押さえる
    B型肝炎ウィルスに感染していて、動物性食品をより多く食べる人は血中コレステロール値が高く肝臓癌になりやすい。


      



    Last night I saw "Can we eat to starve cancer?" presented by William Li who is heads the Angiogenesis Foundation.http://www.angio.org/



    He said,

    The human body is literally packed with them: 60,000 miles(10万キロ) worth in a typical adult. End to end, that would form a line that would circle the earth twice.

    cf454c587848e53a147a99cd0cc98068-1024x557


    The smallest blood vessels are called capillaries; we've got 19 billion of them in our bodies.

    Now the remarkable thing about blood vessels is that they have this ability to adapt to whatever environment they're growing in. For example, in the liver they form channels to detoxify the blood; in the lung they line air sacs for gas exchange; in muscle they corkscrew so that muscles can contract without cutting off circulation; and in nerves they course along like power lines, keeping those nerves alive.

    So the body has the ability to regulate the amount of blood vessels that are present at any given time. It does this through an elaborate and elegant system of checks and balances, stimulators and inhibitors of angiogenesis, such that, when we need a brief burst of blood vessels, the body can do this by releasing stimulators, proteins called angiogenic factors that act as natural fertilizer and stimulate new blood vessels to sprout. And when those excess vessels are no longer needed, the body prunes them back to baseline using naturally occurring inhibitors of angiogenesis.

    And when angiogenesis is out of balance, a myriad of diseases result.
    For example, insufficient angiogenesis -- not enough blood vessels -- leads to wounds that don't heal, heart attacks, legs without circulation, death from stroke, nerve damage. And on the other end, excessive angiogenesis -- too many blood vessels -- drives disease, and we see this in cancer, blindness, arthritis, obesity, Alzheimer's disease.

    We're probably forming these microscopic cancers all the time in our body.they can't get any larger because they don't have a blood supply, so they don't have enough oxygen or nutrients.

    So the body's ability to balance angiogenesis, when it's working properly, prevents blood vessels from feeding cancers. And this turns out to be one of our most important defense mechanisms against cancer.

    In some cases, foods are more potent than the actual drugs. Soy, parsley, garlic, grapes, berries

    I know is a study of 79,000 men followed over 20 years, in which it was found that men who consumed cooked tomatoes two to three times a week had up to a 50 percent reduction in their risk of developing prostate cancer. Now, we know that tomatoes are a good source of lycopene, and lycopene is antiangiogenic.

    And for many people around the world, dietary cancer prevention may be the only practical solution because not everybody can afford expensive end-stage cancer treatments, but everybody could benefit from a healthy diet based on local, sustainable, antiangiogenic crops.



    So,these cancer-lung,liver,Pancreatic ,also other cancer ,All cancer and major illness may have same mechanism of pathogenesis.

    The key point may be "back to baseline"
    Excessive angiogenesis occurs cancer, blindness, arthritis, obesity, Alzheimer's disease
    On the other hand,insufficiency angiogenesis occurs heart attacks, stroke

    Diet may regulate the amount of blood vessels.

    浅香正博「胃の病気とピロリ菌」を読みました。内容をまとめます。
    胃の病気とピロリ菌―胃がんを防ぐために (中公新書)
    胃の病気とピロリ菌―胃がんを防ぐために (中公新書)
    クチコミを見る


    胃の解剖学

    ・胃と食道の境界には下部食道括約筋がある。この筋に障害が起きれば胃酸が食道にまで上がり、胃食道逆流症を発生 
    ・胃は消化管の中で最も空洞が広く壁も厚く作られている。胃壁は内側から粘膜層、筋層、しょう膜の3層から構成
    ・粘膜層は胃の内腔に面し胃液に常時さらされている。内部には無数の胃腺が分泌
    ・胃腺には噴門腺、胃底腺、幽門腺があり最も重要なのは胃底腺 消化酵素ペプシンの前駆体であるペプシノーゲンを分泌する主細胞 塩酸を分泌する壁細胞 粘液を分泌する副細胞を有する
    img3_2

    ・胃では食物を粥状にこなすために縦走筋、輪層筋に加えて他の消化管には無い、斜走筋が存在
    ・壁細胞には身体の中で一番多くのミトコンドリアを含む細胞 酸を作るのに大変なエネルギーを必要とするため
    ・胃液の消化能力は強力なのに、何故自分の胃粘膜は消化されないのか?それは副細胞から分泌される粘液と重炭酸塩で酸に対するバリアを作っているため
    img02 (1)

    ・ストレスによって胃の蠕動運動は止まり、胃液の分泌が増加 胃潰瘍、胃ガンの原因に 喫煙、食の欧米化による高カロリー食も胃液分泌を増やす原因 
    ・決まった時間に食事を摂ると、胃にリズムができるので、胃への負担が減る。
    ・ピロリ菌は胃粘膜の防御機構を攪乱して胃炎や消化性潰瘍を引き起こす


    ピロリ菌発見までの歴史
    ・1982 ウオーレンとマーシャルによって胃粘膜から新しい細菌が発見され、ヘリコバクター・ピロリ菌と名付けられた。1983年、そのレポートがランセットに掲載 
    細菌が胃炎を起こすことを証明するためにマーシャルは1984年、自分で細菌を飲み込んで急性胃炎を起こし、ピロリ菌と胃炎、胃潰瘍との関わりについての報告をまとめた。この論文もランセットに掲載された。
    ・その後の研究から、この細菌は胃炎を起こしさらに長期に渡る感染により萎縮性胃炎を引き起こすことが明らかになった。 これらの成果から、2005年、ウオーレンとマーシャルにノーベル生理学・医学賞が送られた
    ・2008年8月 著者はピロリ菌の除菌が胃ガン発生を抑制する、という研究成果をまとめ、その論文がランセットに掲載された。


    日本をはじめ、何故東アジアで胃がんが多いのか?
    ・ ピロリ菌は主に、汚染された水から感染すると考えられている 1945から1955年くらいまでは日本の復興期であり上下水道の設備が遅れていたために汚染された水、食物などからピロリ菌の感染が乳幼児に蔓延したと考えられる
    ・胃ガン発生は東アジアで多い。日本の50歳代後半の世代ではピロリ菌感染率が80%ときわめて高い。
    ・食塩単独では発ガン物質になりえないが、ピロリ菌感染が先行し胃に炎症所見を持っていると初めて強力な発ガン物質にになることが久山町研究で明らかになった。
    ・「胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃ガン」という胃炎から胃ガンへの連続性も証明 ピロリ菌陰性者ではほとんど胃ガンを発生しないことが明白となった。
    ・ピロリ菌は胃潰瘍だけでなくし心臓の血管、冠動脈の動脈硬化をす進めることも明らかに 
    ・現在は衛生設備が充実しているので若者の感染率は欧米なみに低い 高いのは60歳代以降、団塊の世代を含む集団


    ピロリ菌除菌による胃がん予防は可能
    ・尿素呼気試験はピロリ菌の診断に最も有効 2010年6月からは2種類の検査を組み合わせてピロリ菌感染症の診断が保険適用となった。一次、二次除菌療法でほとんどピロリ菌の除菌が成功する。
    ・日本での消化性潰瘍成因のうちピロリ菌由来のものは十二指腸潰瘍で95% 胃潰瘍で75%前後 ピロリ菌を除去すると胃粘膜防御機構が回復し、薬剤を使用しなくても潰瘍の再発は抑制される。
    日本には約6000万人のピロリ菌感染者が存在、ほぼ全てが慢性胃炎を持っている 
    ・60歳以降の男性では除菌による胃ガン予防効果は50%を割り込んでいる。50歳代以前ではほぼ100%ピロリ菌由来による胃ガン発生を予防できる。
    ・胃ガンの大半はピロリ菌感染で起きる。今でも胃ガンの発生率は高く年間50000人が亡くなっている。早急に対策をとってピロリ菌検査を義務づけ、陽性者全員を除菌すべき 除菌後も定期的に内視鏡検査をすれば胃ガンが発生しても大半が早期胃ガンとして診断され予後は極めて良好となる。
    ・ヘリコバクター・ピロリ菌除菌による日本の胃ガン予防は始まったばかり
    ・日本の感染症由来がんは40% 
    ・ピロリ菌以外の成因として重要なのは非ステロイド性消炎鎮痛薬=NSAIDs アスピリンが最も有名 この二つが消化性潰瘍の2大成因
    ・タバコと胃ガンの因果関係も証明されている。


    ピロリ菌に感染していても胃ガンにならない人ももいるわけでその人たちの免疫システムはどうなっているのか?また本書によれば「ピロリ菌は抗体による排除作業から逃れることができるので感染は一生続く」のにそれでも発生しない理由は?
    という疑問が残りました。
    榊原宣「胃がんと大腸がん」でも、「ヘリコバクターピロリ菌陽性者は陰性者と比較して2.8~6倍も胃がん発生率が高いが国内約6000万人のピロリ菌感染者に対して胃がん発生者は24万人 その全員がピロリ菌感染者だとしても感染者全体の0.4%にすぎない。」と指摘しています。

    また「ピロリ菌を保有している人は、保有していない人に比べて花粉症や喘息などのアレルギーに罹りにくい、という研究結果があるので、除菌するとかえってアレルギーが増える。」
    「ピロリ菌は胃酸を中和するので、除菌で食道癌が増える可能性がある」という意見もありました。
    薬の常識はウソだらけ (健康人新書)
    クチコミを見る

    疫学上も、日本人の胃酸はピロリ菌が減ったために強くなったという報告があります。

    2001年 米国対がん協会は「がん再発・転移予防のためのガン患者の食生活指針」でエビデンスA1(利益が証明されている)は食品衛生、A2(恐らく利益はあるが証明されていない)は「野菜と果物を増やす」「運動を増やす」「ベジタリアンの食事」であることを発表、

    2007年 世界がん研究基金「食物とがん予防のまとめ」によれば肥満や下腹部の脂肪貯留は大腸癌発生の大きなリスクの一つであること、
    世界がん研究基金と米国がん研究機関「食べ物・栄養・運動とがん予防指針」ではがんリスクが確実に低下するのは身体活動 
    リスクが確実に上がるのは赤身肉、加工肉、多量飲酒、肥満(1997年では可能性ありに留まっていたが、2007年は確実な危険因子となった。)、高身長という報告があります。
    51_content_15


    上記を、坪野吉孝先生のHPなどから補足します。
    2003年米国対がん協会 がん予防ガイドライン
    51_content_5

    この表の判定に基づいて、同協会(米国対がん協会)では、がん予防ガイドラインとして次の4項目を示しています。

    ① 植物性の食品を中心に、いろいろな種類の食物を食べる(野菜・果物・全粒穀物の摂取を心がけ、赤味の肉類を控える)。
    ② 運動を生活に取り入れる(中等度の運動を、週5日、1日30分以上)。
    ③ 健康体重の維持(肥満や過体重を避ける)
    ④ アルコール飲料を飲むなら、控えめにする。

    2001年版では断食療法、マクロビオティック療法、お茶、しょうがなど、十分なエビデンスはないけれど、アメリカの患者にとって関心の高い食事療法が取り上げられ、利益と害に関する判定が行われていました。2003年版でそれらが消えていますが、十分なデータがないことが、除外された原因でしょう

    http://www.metamedica.com/news2002/howto20.html
    http://www.gankurashi.jp/heart/?article_id=51


    2007年 世界がん研究基金報告書
    hs_canser

    世界がん研究基金の報告書は、「確実」「おそらく確実」と判定された要因に基づき、食物・栄養・運動によるがん予防に関して、以下の10項目の推奨を示しています。

    1 やせ(BMI18.5未満)にならない範囲で、できるだけ体重を減らす。
    2 毎日30分以上の運動をする(早歩きのような中等度の運動)。
    3 高カロリーの食品を控え目にし、糖分を加えた飲料を避ける(ファストフードやソフトドリンクなど)。
    4 いろいろな野菜、果物、全粒穀類、豆類を食べる(野菜と果物は一日400g以上)。
    5 肉類(牛・豚・羊等。鶏肉は除く)を控え目にし、加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ等)を避ける(肉類は週500g未満)。
    6 アルコール飲料を飲むなら、男性は一日2杯、女性は1杯までにする(1杯はアルコール10-15gに相当)。
    7 塩分の多い食品を控え目にする。
    8 がん予防の目的でサプリメントを使わない。
    9 生後6ヶ月までは母乳のみで育てるようにする(母親の乳がん予防と小児の肥満予防)。
    10 治療後のがん体験者は、がん予防のための上記の推奨にならう。

    http://blog.livedoor.jp/ytsubono/archives/51258416.html


    報告書の表から、胃がんについては特に塩分摂取との関連が高いようです。他コーヒー、酸味の強い果物、酢の物なども胃壁主細胞からの塩酸分泌を増やしてしまいます。
    ここに上記ガイドラインのような運動不足、野菜・果物摂取の不足などで個々人の免疫レベルに違いが出てくるのだろう、と思いました。

    主に腸の免疫システムについて、松生恒夫「腸ストレスを取ると老化は防げる」 伊藤裕「腸! いい話」からまとめました。↓にあるとおり食生活の欧米化が大腸がん増加の原因であるようです。

    ・酸素を取り込むことで生き物はATPというエネルギーを得て動き、食べることができるようになったが、その代わり活性酸素を廃棄物として出すので老化を避けられなくなった。
    ・生物の生きる目的は、「食べるため」なので最初に消化器系が発達した。異物を取り込むときに都合の悪いものは排除する必要がある。そのために免疫系が発達した。血液の中を流れるリンパ球が免疫系を担っている。免疫グロブリンの半数は腸管で作られる。腸管免疫はそれほど身体にとって重要 血液が優先的に振り分けられるのも消化器が30%で第一位 二位が腎臓で20%
    豊富な血管で覆われている腸、腎臓は最も早く老いやすい。 
    ・腸には神経細胞が1億個存在 脳と腸をつなぐ神経束は2000本しかなく、腸独自で自律的に臓器を動かすことができる。
    ・セロトニンは脳で1%、腸で95%、残りは腎臓や血小板などで産生される。欠乏すればうつ病をはじめ摂食障害、パニック障害、引きこもりなどの症状が起こりやすい。
    ・腸管免疫・・・身体に必要な栄養分は取り込み、有害物質は排除する。腸は人体最大の免疫器官
    ・胃の幽門部に食物が入るとガストリンを分泌、1日2L以上の胃酸が分泌される。十二指腸に食物が移動(炭水化物、タンパク質、脂肪の順)すればセクレチンが分泌、ガストリンを抑える。
    ・全身のリンパ球のうち60%は腸に存在 全身の抗体の60%が腸管で作られる。もっとも重要な役割を果たす腸管はパイエル板 主に回腸に存在、パイエル板のM細胞が病原菌を取り込み、それを察知した免疫細胞群(抗原提示細胞、T細胞、B細胞)がIgAを作る。
    20100328163006d97

    ・人体の腸の面積はテニスコート1面分 この腸内に100種類、100兆個の菌が生息 腸管粘膜には「腸関連リンパ組織(GALT)」があり、その容積は腸の25% 小腸粘膜面の絨毛を作る細胞寿命はわずか24時間 常にリニューアルして栄養を吸収している。
    ・小腸の細胞や白血球は寿命が短い。これら新しい細胞を生み出すもとが幹細胞 幹細胞は放射線に弱く死滅しやすい。
    ・腸管は全長9m 食物繊維摂取の減少から、日本人の腸は短縮傾向にある。体から老廃物が排出される割合は便75%、尿20%、汗3% 便秘が続けばそれだけ有害物質が体内に残り、発ガン物質が発生する可能性 
    ・腸内細菌の数は100兆個 重さにして1キロ 食べ物によって腸内細菌をコントロール、太りにくい体質にすることもできる。
    ・大腸ではイオン成分が吸収され、便が形成
    ・メタボは加齢と共に増えるが、その増加率は大腸癌有病率の上昇と同様の動きをみせる。
    ・大腸ガンは日本で毎年10万人(直腸、S状結腸の順で多い。これだけで大腸がんの7割)発症  日本人女性のガン死亡原因第一位 男性の場合3位(2009年) クローン病、潰瘍性大腸炎の罹患者も激増 いずれも40歳を境に増える。原因は食生活の欧米化=肉類の食べ過ぎ 1960年と比較して2005年は乳製品、肉類の摂取量が4倍になっている。 他肥満(1.4倍)、飲酒(2.1倍)、たばこ(1.4倍)、運動不足など
    ・女性は便秘気味の人が多く2人に1人が便秘症 7割の女性は2日に一回排便 炭水化物を抜くと食物繊維が不足して便秘になりやすい。
    大腸癌による死亡率は50年間で男性7倍、女性で6倍に増えてしまった。
    ・腸内細菌が大腸ガンに関係 ETBF菌が大腸ガンを起こしている可能性 人間での研究は現在進行中 日本人の10%はetbfを保有している ETBFを抑えるビフィズス菌(乳酸+酢酸を作る)がある。それがBB536 商品名ビヒダス 機能としてコレステロール低下、インフルエンザ予防、花粉症抑制、整腸作用など (ただしヨーグルトは動物性の乳酸菌 過剰摂取でコレステロール値の上昇を招く飽和脂肪酸が増えてしまう。)
    日本人の3人に1人が何らかのアレルギー症状を有しているといわれるが、腸内細菌の異常が原因になっている可能性 腸内細菌の割合は善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%がバランスの取れた状態とされている。


    「腸ストレス」を取ると老化は防げる (青春新書インテリジェンス)
    「腸ストレス」を取ると老化は防げる (青春新書インテリジェンス)
    クチコミを見る


    腸! いい話 (朝日新書)
    腸! いい話 (朝日新書)
    クチコミを見る


    欧米式食事の何が問題なのか?J Natl Cancer Instによれば、炭水化物の制限はステージ3大腸がん患者の生存率を上げます。
    ただし極端に制限する、ということではなくバランスよく栄養を摂り炭水化物の摂取を中程度にすることが推奨されています。

    大腸がんステージ3の5年生存率は50~65%、炭水化物を摂るほど死亡率は高まる(最大で80% The Journal of the National Cancer Institute)

    高血糖は大腸がん再発や死亡に関連 インスリンががん細胞の栄養となり、細胞死を防ぐために増殖しやすい、という仮説がある。

    ただし炭水化物や砂糖を全て制限すればよい、という単純な話でもなく炭水化物、糖それぞれの種類に応じて体内におきる反応も異なる。バランスの取れた食事を摂り、炭水化物の含有が低い食材に置き換える(例えばじゃがいもを豆、野菜に)などの工夫をすることが推奨される。
    ステージ3大腸がん患者1000人の食生活を調べたところ大半が西洋式の食事を摂っていた。
    ・グリセミック指数は、食後に血糖値を上昇させる程度による炭水化物のランキング GI値とも表現される。
     GI値が高いのはパン、じゃがいも、砂糖入り飲料、チョコレート 低いのは野菜、果物、未精製の穀物など

    ・グリセミック負荷はグリセミック指数に炭水化物の重量をかけた値で、血糖値を上昇させる程度をあらわす指標 10以下は低く(トマトジュース、桃、人参など) 20以上は高い(食パン、寿司、うどんなど) 白米は18。

    最新の研究でグリセミック指数/負荷が高いとがんの再発や死亡に関連することが分かった。大腸がん患者はこれらの指標を目安にする。
    ジュースや炭酸飲料、果物の中でもレーズン、ナツメなどはグリセミック負荷が高くりんご、オレンジは低い。

    http://jnci.oxfordjournals.org/content/early/2012/11/02/jnci.djs399.abstract
    http://well.blogs.nytimes.com/2012/11/09/can-foods-affect-colon-cancer-survival/?smid=tw-nytimeshealth&seid=auto
    グリセミック負荷 食品一覧表http://www.health.harvard.edu/newsweek/Glycemic_index_and_glycemic_load_for_100_foods.htm


    日本の研究でも、血糖値と大腸がんとの関係が示唆されています(JPHC)

    ・40歳から69歳の男女約4万2,000人(男性1万5,300人、女性 2万6,700人)を対象に、約11年半にわたり追跡調査
    血中インスリンが高いと、男性では最大3.2倍の大腸がんリスク増大がみられた。特に大腸がんの中で結腸がんについては、最大3.5倍の増大がみられた。女性では関連性がみられなかった。

    http://www.dm-net.co.jp/calendar/2007/005518.php

    ・空腹時高血糖は大腸癌の独立した危険因子
    http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/200905/510599.html



    インスリンを打てば大腸がんリスクも上がる、ということです。
    何故腸とインスリンに関係があるのか?
    腸管免疫の低下で炎症が発生→細胞内の炎症がインスリン伝達をブロック→血中インスリン増加 という機序のようです。http://allabout.co.jp/gm/gc/383728/
    糖尿病予防のための糖質制限や運動は大腸がんも防ぐ、と言えます。


    追記
    中国人女性73,061人、40~70歳を対象に9年間追跡調査、475例が大腸癌発症 グリセミック指数、炭水化物摂取量、糖尿病歴と大腸癌発生の間に相関は見られませんでした。http://ajcn.nutrition.org/content/early/2010/10/20/ajcn.110.003053.abstract


    Ann Intern Med. 6 November 2012;157(9):611-620より、50歳で大腸内視鏡検査陰性ならば、以後はガイドラインに規定された10年ごとに内視鏡検査、5年ごとにCT検査、または毎年の便潜血検査、高感度グアヤック法のいずれでもがんの検出率、死亡率は同じです。

    大腸内視鏡検査は10000人に25人の割合で腸壁に感染や炎症などの副作用や死亡が起こること(75歳以上で特に発生しやすい)、費用が高価であることから簡便にできて安上がりな他の検査(検便など)を受けても結果は変わらない、ということです。

    Rescreening of Persons With a Negative Colonoscopy Result: Results From a Microsimulation Model

    Background: Persons with a negative result on screening colonoscopy are recommended to repeat the procedure in 10 years.

    Objective: To assess the effectiveness and costs of colonoscopy versus other rescreening strategies after an initial negative colonoscopy result.

    Design: Microsimulation model.

    Data Sources: Literature and data from the Surveillance, Epidemiology, and End Results program.

    Target Population: Persons aged 50 years who had no adenomas or cancer detected on screening colonoscopy.

    Time Horizon: Lifetime.

    Perspective: Societal.

    Intervention: No further screening or rescreening starting at age 60 years with colonoscopy every 10 years, annual highly sensitive guaiac fecal occult blood testing (HSFOBT), annual fecal immunochemical testing (FIT), or computed tomographic colonography (CTC) every 5 years.

    Outcome Measures: Lifetime cases of colorectal cancer, life expectancy, and lifetime costs per 1000 persons, assuming either perfect or imperfect adherence.

    Results of Base-Case Analysis: Rescreening with any method substantially reduced the risk for colorectal cancer compared with no further screening (range, 7.7 to 12.6 lifetime cases per 1000 persons [perfect adherence] and 17.7 to 20.9 lifetime cases per 1000 persons [imperfect adherence] vs. 31.3 lifetime cases per 1000 persons with no further screening). In both adherence scenarios, the differences in life-years across rescreening strategies were small (range, 30 893 to 30 902 life-years per 1000 persons [perfect adherence] vs. 30 865 to 30 869 life-years per 1000 persons [imperfect adherence]). Rescreening with HSFOBT, FIT, or CTC had fewer complications and was less costly than continuing colonoscopy.

    Results of Sensitivity Analysis: Results were sensitive to test-specific adherence rates.

    Limitation: Data on adherence to rescreening were limited.

    Conclusion: Compared with the currently recommended strategy of continuing colonoscopy every 10 years after an initial negative examination, rescreening at age 60 years with annual HSFOBT, annual FIT, or CTC every 5 years provides approximately the same benefit in life-years with fewer complications at a lower cost. Therefore, it is reasonable to use other methods to rescreen persons with negative colonoscopy results.

    http://annals.org/article.aspx?articleid=1389847
    http://healthland.time.com/2012/11/06/one-colonoscopy-may-be-enough-to-prevent-colon-cancer-for-some/?iid=hl-main-lead
    http://www.foxnews.com/health/2012/11/06/1-colonoscopy-may-be-enough-for-lifetime/

    1997年、世界がん研究財団と米国がん研究財団がおよそ5000の学術論文を15人の専門家が分析してまとめた報告書を刊行した。(60年代以降に報告された約50万件の研究結果の中から信頼性の高い7000件の論文を選び、解析)
    この報告書で強調されているのは、がん予防のための食事として野菜、果物、ビタミン、食物繊維などを意識して摂り、脂肪、塩分、タバコ、アルコールは避けることであった。
    がんの発生に食事が30-35%関係する(タバコは30%)。消化管のがんが世界中で最も多い。 野菜や果物の多い食事を摂っていると胃がんや食道癌のリスクが低くなる。(「がんを防ぐ」)


    恐らく上記報告で、身体に良い食生活の結論は出ていると思います。同財団はがん予防14か条(タバコを含めると15か条)を提唱、以下の項目を守ることで世界の癌の発生頻度は30~40%減らすことが可能である、と推奨しています。http://www.asahi-net.or.jp/~bd9y-ktu/diet_f/repsum.html

    食品供給・食事そして関連ある因子

    1.食品供給と食事

    栄養的に十分で変化に富んだ主に植物由来に基づく食品を消費する集団
    色々な野菜や果物・豆類(豆科)と最小に加工された澱粉の主食品に富んだ植物性の食事を優先して選択しましょう。

    2.体重の維持

    個人のBMIが 18.5~25 の間で維持されるために、生涯を通して母集団(人集 団)平均体量指数(BMI)が21~23の間に。
    低体重や過体重になることを避け、成人期 体重増加を5 kg 以 下に止めましょう。

    3.身体活動を続ける。

    生涯を通して、激しい身体活動の機会を持ち、少なくとも身体活動レベル(PAL) 1.75に相当する活発な生活様式を続ける。
    職業上の活動が低いか中等度なら、一時間の活発な歩行若くはそれと類似した運動を毎日し、また合計で週一回少なくとも一時間の激しい運動をしましょう。



    食品と飲み物

    4.野菜と果物

    一年を通して、総熱量の7%になるように、色々な野菜と果物を取るよう促す。
    一日当たり400~800グラム若くは5盛以上の色々な野菜と果物を一年を通して食べましょう。

    5.その他の植物性食品

    なるべく最小に加工された色々な澱粉や植物由来の蛋白の豊富な食品で、総熱 量の45~60%を提供すること。精製砂糖は総熱量の10% 以下に。
    色々なシーリアル(コーンフレイク・オートミールなど穀物)・豆・根菜類・ 塊茎作物(ジャガイモ)そして大葉子(オオバコ)など、一日につき600~800グラ ムか七盛(皿)以上食べましょう。最小に加工された食品を選びましょう。精製砂糖(白砂糖)の消費を制限しましょう。

    6.アルコール性飲料

    アルコール消費は薦められない。過度のアルコール消費はやめる。アルコールを飲む人は、男性で総熱量の5%以下に、女性で2.5%以下に制限。
    飲酒は薦められません。飲むなら、一日当たり男性で2杯以下に、女性で一杯にしましょう。

    7.肉

    赤身の食肉、食べるなら、総熱量の10%以下の提供。
    食べるなら、赤身の食肉は一日当たり80グラム以下に制限しましょう。食肉の代わりに魚肉・鳥肉や家畜化されていない動物の肉を選ぶのが、好ましい。

    8.総脂肪と油

    脂肪と油の全体量は、総熱量の15%、30%以上にはならないこと。
    油の豊富な食品、特に動物由来のもの、を制限しましょう。適当な野菜オイルを控えめに使用する方を選びましょう。



    食品加工

    9.塩分と塩漬け

    全食源からの塩分は、成人で 6グラム/日以下にすべき。
    塩漬け食品や料理時と卓上塩の使用を制限しましょう。食品の味付けには、 ハーブや香辛料を使いましょう。

    10.貯蔵

    腐りやすい食品は、カビの混入汚染を最小にする方法で保存。
    環境の温度で長期間貯蔵の結果カビ毒の混入汚染の恐れのある、食品を食べないように。

    11.保存

    腐りやすい食品は、すぐ消費しないなら、冷凍か冷却。
    購入したり手製の腐りやすい食品を保存するには、冷凍やその他の適切な方法を使いなさい。

    12.色々な食品添加物と残留物

    供給食品の添加物・殺虫剤そしてその残留物、さらにその他の化学汚染の安全限界(安全基準)の強化の確立と監視。
    添加物・混入汚染そしてその他の残留物のレベルが適切に規制されているなら、食品や飲み物の中にあっても、それは有害であると知られていない。しかし、規制されていないか不適切な使用は健康に危険で、特に経済的に発展途上の国でこれが当てはまる。

    13.調理

    食肉や魚肉を食べる時、比較的低い温度で調理するよう薦める。
    黒焦げした食品を食べないように。食肉や魚肉を食べる人は、焼け焦げた肉汁を避けましょう。以下のものは稀に消費するように:じか火で焼いた食肉や魚肉(じか火焼き);薫製や塩漬けされた肉。



    食事補助品

    14.食事補助品

    食事補助品の使用がなくても癌の減少と両立する、地域住民の食事様式
    ここに上げた勧告に従った人は、おそらく食事補助品は、癌の危険性を減らすために必要がなく、役にたつ可能性もないでしょう。


    煙草

    タバコ

    如何なる形式であれ、タバコの製造・促進と使用を止めさせる。
    喫煙しない、またタバコを噛まない。


    「食べ物とがん予防」にあった「素人でもできる健康情報の信頼性を判断するためのフローチャート」はリハの論文を読むときにも参考になると思いました。著者のブログでも論文を紹介していますhttp://blog.livedoor.jp/ytsubono/

    ①具体的研究に基づいているか。 ・・・体験談は鵜呑みにできない、ということ
    ②研究対象はヒトか 実験動物や培養細胞で効果があっても人間に当てはまるとは限らない。 
    ③学会発表か、論文か 学会発表は審査が甘く提出した原稿が拒否されることはほとんど無い
    ④定評のある医学専門誌に載った論文か ⇒http://www.metamedica.com/news2002/howto08.html
    ⑤研究デザインは「無作為割付臨床試験」や「前向きコホート研究」か http://koujiebe.blog95.fc2.com/?mode=m&no=1980&cr=4c88b7e37eb36b2f7b7cb5fc58a9971d
    ⑥複数の研究で支持されているか

    メディアで取り上げられる情報はこうした検証が為されていず、多くは動物実験に過ぎない話や学会発表止まりの話だった。


    「食べ物とがん予防」で報告されたものはステップいくつまでクリアされているかも評価しているので信憑性は高いと思いました。③で栄養素ごとにまとめます。
    前向き研究については、リハビリ関連の文献検索で重要なことと思いますので別記事で紹介します。

    このページのトップヘ