心不全

    放送大学から

    ヘモグロビン

    Shinchishiki_Jan2012_Niwa01


    ヘモグロビンAはα鎖2つとベータ鎖2つ 計4つのたんぱく質から成る4量体構造 
    鉄イオンが2価のとき「ヘム」 4つのたんぱく質に囲まれて酸化が起きにくい。
    ヘムはグロビンのポケットに収納される。

    酸素は空気中(760mmHg)に20%=152mmHg 人の肺には水蒸気が飽和、炭酸ガスもあるのでより低く100mmHg程度 このときのヘモグロビン酸素飽和度は100%=4つのヘムが酸素と100%結合 
    一方静脈血の酸素分圧は40mmHg =酸素飽和度75% つまり酸素を一個手放す

    MbHbbindcurve


    ミオグロビンは単量体で機能 ヘモグロビンから酸素をもらって筋肉中に貯蔵
    ヘモグロビンの酸素乖離曲線が右にシフト =より多くの酸素を放出することが可能になる…アロステリック効果 30mmHgではヘモグロビンは75%の酸素を放出 

    酸素を離したヘモグロビンAは水素イオンや炭酸ガスと結びついて肺に持ち帰る。…血液のpHを一定に保つ働き
    pHが上がる、体温が上がると酸素乖離曲線が右にシフト ⇒より多くの酸素を手放しやすくなる。

    このように機能を秒単位で変えるために大きな分子構造になっている。



    血流量の調整

    毛細血管領域では動脈の圧が高く、静脈で低い。したがって血管から組織へ:水のろ過 組織から静脈へ戻る(スターリング仮説) 全てが血管に戻るのでなく10%はリンパ管へ

    バランスが崩れれば、組織に水が残る=浮腫 血液を全身に送り出す力が弱ければ、肺の浮腫(左心不全)
    血液を受け取って肺に送る力が弱ければ足の浮腫(右心不全)

    栄養失調で血漿タンパク質量が低下すれば、膠質浸透圧低下し、浮腫を招く

    腎不全でNa排泄が低下しても、血液量が増えることで膠質浸透圧低下し、浮腫を招く

    50歳以上の人口のうち男性50%、女性40%が高血圧、うち9割が本態性高血圧・・・原因は塩分、ストレスなど

    脳はグルコースを貯蔵できないので常に血液供給を要する。





    image66


    アセチルコリンが血管内皮細胞のムスカリン受容体に作用 ⇒内皮細胞からNOガスが発生、内皮を弛緩させる。⇒心筋の収縮力、心拍数、伝導速度いずれも低下


    心筋細胞にて、Na+-Ca+交換系は普段細胞の外にCaを出す。 ステロイド骨格が糖についた物質を強心配糖体,またはジギタリス製剤ともいう。
    強心配糖体はNaが細胞外に出ないようにブロック その結果Na+-Ca+交換系はNaが増えたのを代償するために、Caを細胞内に取り込もうとする。(心筋の酸素消費量を上げない)⇒心筋の収縮力増加、心拍数、伝導速度いずれも低下

    pharmacology-b6



    もう一つの強心薬 サイクリックAMPについて 
    β1受容体刺激薬はATPからcAMP産生を促す。その過程でPDEが作用、代謝された5’AMPはもはや心収縮、心拍をもたらさない。そこでPDE阻害薬で5’AMP産生を抑制⇒cAMP産生↑ (心拍も上げるので、心筋の酸素消費量を上げる) ⇒心筋の収縮力、心拍数、伝導速度いずれも増加



    この辺で文献を調べてみます。

    The effect of digoxin on mortality and morbidity in patients with heart failure. The Digitalis Investigation Group.

    Abstract
    BACKGROUND:
    The role of cardiac glycosides in treating patients with chronic heart failure and normal sinus rhythm remains controversial. We studied the effect of digoxin on mortality and hospitalization in a randomized, double-blind clinical trial.

     慢性心不全でAf-患者の治療における強心配糖体の役割について ジゴキシンの効果を無作為二重盲検臨床試験にて検証 アウトカムは死亡率と入院

    METHODS:
    In the main trial, patients with a left ventricular ejection fraction of 0.45 or less were randomly assigned to digoxin (3397 patients) or placebo (3403 patients) in addition to diuretics and angiotensin-converting-enzyme inhibitors (median dose of digoxin, 0.25 mg per day; average follow-up, 37 months). In an ancillary trial of patients with ejection fractions greater than 0.45, 492 patients were randomly assigned to digoxin and 496 to placebo.

     メイン試験ではEF 0.45 以下の患者をジゴキシン (患者 3,397 人) またはプラセボ (患者 3,403 人) 群にランダムに振り分けた。 それぞれ利尿剤、ACE阻害薬を投与されている。
    ジゴキシン投与量の中央値は0.25mg / 日、平均追跡期間 37 ヵ月)

    EF0.45 以上の患者のサブ試験では患者 492 人をジゴキシン、496 人をプラセボ群とした。

    RESULTS:
    In the main trial, mortality was unaffected. There were 1181 deaths (34.8 percent) with digoxin and 1194 deaths (35.1 percent) with placebo (risk ratio when digoxin was compared with placebo, 0.99; 95 percent confidence interval, 0.91 to 1.07; P=0.80).
    In the digoxin group, there was a trend toward a decrease in the risk of death attributed to worsening heart failure (risk ratio, 0.88; 95 percent confidence interval, 0.77 to 1.01; P=0.06). There were 6 percent fewer hospitalizations overall in that group than in the placebo group, and fewer patients were hospitalized for worsening heart failure (26.8 percent vs. 34.7 percent; risk ratio, 0.72; 95 percent confidence interval, 0.66 to 0.79; P<0.001). In the ancillary trial, the findings regarding the primary combined outcome of death or hospitalization due to worsening heart failure were consistent with the results of the main trial.

     メイン試験では死亡率は影響を受けなかった。ジゴキシン群の死亡は 1,181 例 ( 34.8% ) プラセボ群 1,194 例 ( 35.1% )

    ジゴキシン群では心不全悪化による死亡リスクが減少していた。 (リスク比 0.88)

    ジゴキシン群ではプラセボ群より入院率が 6%低く、心不全悪化による入院は26.8%対 34.7%、リスク比 0.72

    サブ試験では心不全による死亡率、入院率がメイン試験の結果と同様であった。


    CONCLUSIONS:
    Digoxin did not reduce overall mortality, but it reduced the rate of hospitalization both overall and for worsening heart failure. These findings define more precisely the role of digoxin in the management of chronic heart failure.

     ジゴキシンは総死亡率を減少させなかった。また心血管疾患による死亡率も低下させなかった。しかし総入院率および心不全の悪化による入院率を低下させた。

    http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199702203360801


    他にも何点か読みましたが、ジギタリス製剤の評価は別れているようです。

    NEJM  Lancet  BMJ  JAMA 、と所謂「4大ジャーナル」を読むにはそれらのサイトを見る、直接雑誌を手にするほかに、twitterでフォローする、という方法があります。

    例えば以下のようなニュースも、JAMAのtweetから見つけました。
    tweetのリンク先から全文が見れる場合もあります。

    Prevalence of a Healthy Lifestyle Among Individuals With Cardiovascular Disease in High-, Middle- and Low-Income Countries
    http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1679401&utm_campaign=social_041613&utm_medium=twitter&utm_source=@jama_current

    Importance Little is known about adoption of healthy lifestyle behaviors among individuals with a coronary heart disease (CHD) or stroke event in communities across a range of countries worldwide.

    Objective To examine the prevalence of avoidance or cessation of smoking, eating a healthy diet, and undertaking regular physical activities by individuals with a CHD or stroke event.

    Design, Setting, and Participants Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) was a large, prospective cohort study that used an epidemiological survey of 153 996 adults, aged 35 to 70 years, from 628 urban and rural communities in 3 high-income countries (HIC), 7 upper-middle-income countries (UMIC), 3 lower-middle-income countries (LMIC), and 4 low-income countries (LIC), who were enrolled between January 2003 and December 2009.

    Main Outcome Measures Smoking status (current, former, never), level of exercise (low, <600 metabolic equivalent task [MET]-min/wk; moderate, 600-3000 MET-min/wk; high, >3000 MET-min/wk), and diet (classified by the Food Frequency Questionnaire and defined using the Alternative Healthy Eating Index).

    Results Among 7519 individuals with self-reported CHD (past event: median, 5.0 [interquartile range {IQR}, 2.0-10.0] years ago) or stroke (past event: median, 4.0 [IQR, 2.0-8.0] years ago), 18.5% (95% CI, 17.6%-19.4%) continued to smoke; only 35.1% (95% CI, 29.6%-41.0%) undertook high levels of work- or leisure-related physical activity, and 39.0% (95% CI, 30.0%-48.7%) had healthy diets; 14.3% (95% CI, 11.7%-17.3%) did not undertake any of the 3 healthy lifestyle behaviors and 4.3% (95% CI, 3.1%-5.8%) had all 3. Overall, 52.5% (95% CI, 50.7%-54.3%) quit smoking (by income country classification: 74.9% [95% CI, 71.1%-78.6%] in HIC; 56.5% [95% CI, 53.4%-58.6%] in UMIC; 42.6% [95% CI, 39.6%-45.6%] in LMIC; and 38.1% [95% CI, 33.1%-43.2%] in LIC). Levels of physical activity increased with increasing country income but this trend was not statistically significant. The lowest prevalence of eating healthy diets was in LIC (25.8%; 95% CI, 13.0%-44.8%) compared with LMIC (43.2%; 95% CI, 30.0%-57.4%), UMIC (45.1%, 95% CI, 30.9%-60.1%), and HIC (43.4%, 95% CI, 21.0%-68.7%).

    Conclusion and Relevance Among a sample of patients with a CHD or stroke event from countries with varying income levels, the prevalence of healthy lifestyle behaviors was low, with even lower levels in poorer countries.


    心血管疾患または脳卒中になった患者のうち、発症5年後も以下の3つの健康習慣を続けている人は4.3%
    いずれもしていない不健康な人は 14.3 %
    喫煙を続けている人は18.5%


    ①禁煙 


    ②運動  活動量が高レベル

    身体活動レベルを以下の3層に分類

    低レベル 総METが600MET-分/week以下

    中等度レベル 総METが600~3000MET-分/week

    高レベル 5 日以上歩行や中等度の活動を組み合わせて行い、総METが3000/week以上


    ③食事   

    the Alternative Healthy Eating Index (AHEI)・・・野菜、果物、良質なたんぱく質 全粒穀物などを摂取している

    ahei-alternative-healthy-

    http://www.healthhabits.ca/2012/12/05/a-healthy-diet-will-lower-your-risk-of-heart-attack-stroke-death/
    http://www.cbc.ca/news/health/story/2013/04/17/hamilton-heart-disease-stroke-study.html?cmp=rss
    http://www.hindawi.com/journals/jnume/2011/398324/

    これらの習慣と内服薬で再発リスクは半減する。

    http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1379166



    日本語で読みたい場合、以下のサイトに会員登録しておくと、4大ジャーナルをはじめとする主要な海外文献のニュースが読めます。全文、とまではいきませんがアブストラクトか、たまにそれ以上の情報があります。

    でもいちいちこれらのサイトに飛んで「  」を探さないといけないのでめんどくさいですし、翻訳される記事の数は限られおり、さらに医師を対象にした内容です。


    m3.com 「海外ジャーナル」http://www.m3.com/

    日経メディカル オンライン 「海外論文ピックアップ」 http://medical.nikkeibp.co.jp/

    care net  「ジャーナル四天王」 http://www.carenet.com/

    Medical Tribune 「海外の主要医学誌から」http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/list_series/


    したがってリハビリに特化した海外文献を紹介しているサイト、例えば若林先生のブログhttp://rehabnutrition.blogspot.jp/の方がPT,OTにとって参考になると思います。

    心疾患患者のリハビリテーションにあたって例えば「急性心筋梗塞患者の運動療法の禁忌(Pollockらによる)」「土肥・Andersonの基準」などがありますが、これらは確たる根拠に基づいたものでしょうか。
    その点、安達仁「動いて治そう心臓病」はとても分かりやすかったので、以下にまとめます。
    動いて治そう心臓病
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    運動を始める前に
    ・健康な人でさえ、運動をすると危険な状況とは
    ①脱水の激しいとき
    ②血糖値が高すぎるとき(250mg/dl以上)
    ③過労、ストレスが続いているとき

    ・運動をしないほうが良いといわれている心臓病は以下、あてはまる人はそれほど多くない。
    ①中等度以上の大動脈弁狭窄
    ②肥大性閉塞性心筋症
    ③心筋梗塞発症当日
    ④心筋炎急性期
    ⑤血圧が下がってしまう不整脈
    ⑥大きい大動脈瘤、発症したての解離性大動脈瘤

    肥大性閉塞性心筋症、大動脈弁狭窄のように心臓の中に血液の流れを邪魔するような狭窄のある心臓病は禁忌 早く歩くと息切れがひどく起こり、血圧が15~20mmHg下がる場合や、心臓病になりたての人も禁忌


    これならシンプルで覚えやすいです。また以上のチェックリストに当てはまる人は、そもそも一般の病院でリハビリ処方が下りないと思います。

    狭心症
    ・身体を動かせば脈が速くなり、血圧が上がるのは当たり前 運動負荷での血圧上限は250mmHg ,健常者が急な階段を上がっても200くらいまでは上がる。運動負荷中に血圧がしっかり上がった方が寿命が長い。大動脈瘤のような特殊な病気では150mmHg
    ・脈も血圧も運動によって徐々に増える。したがって少しづつ休憩を取れば心臓への負担も少なくて済む
    ・脈が普段の倍になれば、心臓も倍の栄養を必要とするため血液の流れる量を2倍以上にしたい。動脈硬化のために血管を太くできないと血液不足が起こり胸痛が起こる。これが狭心症 30分以上痛みが続けば心筋梗塞に移行しつつある状態、または不安定狭心症を疑う。
    ・運動時の胸の痛み、息苦しさは典型タイプ 左肩、奥歯、のど、背中の痛み、胸焼けが数分続いてから消失するケースは狭心症の放散痛タイプかもしれない。 糖尿病があると症状を感じにくい。
    ・冠れん縮性狭心症は運動とは関係なく朝、夜中に冠動脈が痙攣発作を起こす。タバコ、飲酒に関係
    ・NEJM2009:360 961-972 によれば狭心症に対してカテーテル治療を行っても、行わなくても1年以内に再び心臓病にかかる割合は変わらない。
    ・プラークが大きくなり冠動脈内腔の75%を塞げば、運動により胸痛が出現(労作性狭心症) プラークが小さくても脂質に富み、炎症が起きていれば破裂しやすく冠動脈内の血栓形成、血管閉塞の原因になる。
    ・従来、動脈硬化は血管の内側に向けて進むと考えられていた。最近ではまず血管の外側に動脈硬化が進み、もうこれ以上外に広がることができなくなってから血管の内側に進むことが分かってきた。したがって動脈硬化が相当進まないと狭心症は出ない。
    ・血液1ml中に血小板は10~40万個もある。いったん血管内皮が傷ついて血栓ができ始めると、冠動脈の直径3.5mmを防ぐだけの血栓を作るのに、30秒もあれば十分 カテーテル治療が成功しても血栓ができ始めれば急性冠症候群は起こってしまう。
    slide08

    ・血管内皮細胞の機能異常は冠動脈の血流を抑制、運動時に十分拡張せず心筋虚血となる。NOガスの放出も弱くなり血栓ができやすい。
    ・冠危険因子は上記 運動は多くの因子を改善する。群馬県立心臓血管センターに入院した心疾患患者のうち、65%に境界性DM、またはDMがあった。
    ・軽い境界性DMには例えば「食後高血糖」がある。食事を摂ったあと血糖が200mg/dlぐらいにまで上がってしまう状況 食後高血糖は食後20~30分程度の軽い運動で予防できる。
    images (57)

    HbA1cは5.6以下ぐらいが望ましい。 運動と食事に気をつければ下げることも可能
    ・定期的な有酸素運動はHDLを増やし、LDLと中性脂肪、内臓脂肪(狭心症、心筋梗塞の原因とされている)を減らす。
    ・狭心症の予防と言う観点から、冠危険因子(脂質異常、糖尿病、高血圧、肥満、喫煙、運動不足)の改善が重要 運動によって危険因子を改善、さらに心臓の働き方を効率化させる。


    心筋梗塞・急性冠症候群
    血液の流れが十分に保たれているところでも、血管の壁が傷ついて血栓ができると、突然、30秒くらいの間に心筋梗塞になる。
    images (58)

    ・血栓ができはじめてもそれを溶かせれば梗塞にならない=「不安定狭心症」 血栓が溶けずある程度以上心臓がやられてしまえば「心筋梗塞」 この2つを合わせて「急性冠症候群(ACS)」と呼ぶようになった。 ACSは不整脈の原因にもなる。
    ・ACS・・・不安定プラークの破綻とそれに伴う血栓形成はFusterにより提唱された。(NEJM 326:242-250,310-318,1992)
    運動は心筋梗塞の引き金となる、脱水、高血糖、過労、ストレスを予防する。 運動はプラーク表面の膜を丈夫にするので、プラークが傷つきにくくなる。また血小板の興奮を抑えるので血栓ができにくくする。ひとたび血栓ができてしまっても血栓を溶かしてくれる。
    心筋梗塞発症直後は絶対安静 退院後なら身体を動かしてよい。
    ・筋肉を動かすと、その情報は呼吸中枢に届き、呼吸を深く、荒くする。筋肉が少ないと呼吸中枢へ送る情報量が強く出てしまう。抵抗運動と有酸素運動で筋力、持久力をつければ心臓への負担が減る。


    心不全
    心機能不全に加えて体全体の機能が低下した状態を心不全とよぶ。
    ・日本のような先進国では慢性心不全患者が全人口の2%を占め、今後も有病率は増加すると推計されている。2020年までに男性31%、女性17%の有病率に・・・予防こそが心不全治療の本丸
    ・心不全の原因は主に4つ、心臓弁膜症、心肥大、心筋症、冠状動脈疾患 多くの人に関わりがあるのが心肥大と冠状動脈疾患
    images (59)

    ・心不全で心臓の動きが悪くなると交感神経が活発になり、心臓を何とか動かそうとする。結果、呼吸も早くなり、息切れしやすくなる。また血液の循環が上手くいかないので他の臓器に血液が停滞する。
    ・心不全になると筋肉を細くするホルモンも分泌される。心臓がオーバーワークにならないように、手足の筋肉に血液を送らず、最低限必要な脳と内蔵から保護しようとする。=心臓悪液質 
    ・血管も細くなり免疫系の働きも弱くなる。⇒動機、息切れ、易疲労感
    fig3

    2001 ACA/AHA心不全治療ガイドラインでは「心不全の人は運動をしなければならない」と180度治療方針が変わった。 心不全になりそうな段階から重症心不全になっても、運動療法は基礎治療法として必須、とされている。
    ・運動によって心臓、血管の伸び縮みが改善、心拍出量が増える。
    ・ふくらはぎ、太ももには人差し指ほどの太さの静脈がある。歩行中に足がしっかりしていると、骨格筋ポンプ作用だけで血液を循環できる。⇒心臓は休憩できる。
    ・心不全急性期には交感神経が活発になる。運動は自律神経を安定させ、交感神経を和らげるので不整脈が出にくくなる。 運動療法は不整脈にも有効
    ・湿った咳は心不全のサイン 心臓から水分が漏出、臥床するとより肺に向かう。


    心臓病リハの順序

    ・前もって行うウオームアップは、心疾患患者にとって急激な運動に伴う心電図ST低下の頻度や心室性不整脈の誘発、左室収縮能低下に予防的に働く。
    ・ウオーミングアップ⇒筋トレ⇒有酸素運動⇒クールダウン の順で
    ・運動負荷試験の最初の1分間における心拍数の低下遅延は全死亡率の重要な予測因子か(NEJM 1999;341 1351-1357)

    ・筋トレは爪先立ちと腿上げを必須に
    ・より高い強度の運動を行えば有酸素運動能の改善度合いは高くなる。(JAMA 1995;273:1179-1184. 2002;288:1994-2000)
    ・運動中に心拍数が適切に増加しないことは心不全と関係し、死亡率を増大させる。(JAMA 1999;281 524-529)
    ・運動中の血圧低下は冠動脈疾患、心臓弁膜症、心筋症、各種不整脈を有する患者にみられる。
    ・散発性の心室性期外収縮は運動中には健常者の30~40%、冠動脈疾患患者の50~60%に生じる 持続性の頻発性期外収縮が起きれば、運動は中止する。
    ・典型的な狭心痛が生じた場合は冠動脈疾患が原因となって生じるECGの変化が有意に増加する(NEJM 1979;301:230-235)こと、虚血性のECG変化を伴わない狭心症はST変化のみの場合と同様に冠動脈疾患を示唆することの2つは冠動脈イベントの危険が増大する患者を同定するのに独立した予測因子

    ・クールダウンはHR,BPを安静時の値にまで戻し静脈還流を維持、運動後の低血圧や眩暈を防ぐ。さらに運動後にみられるカテコールアミン上昇の悪影響を取り除く。(JAMA 1984;251 630-632)


    今まで心不全の病態や病期分類を知っていても「それではどういう状態をいうのか」さっぱり分かりませんでした。「心臓の病気に加えて体全体の機能が低下した状態を心不全とよぶ。」という定義はとても分かりやすかったです。

    心不全に対する疾病管理の有効性について無作為臨床試験で検討したところ、循環器専門ナースによる心不全教育、ソーシャルワーカーによるコンサルテーション、医療チーム員による外来観察や訪問診療、電話コンサルトなどをすべて包括的に介入する疾病管理を導入することで全再入院率を13%減少、心不全による再入院リスク比を56%低下させることに成功した。(NEJM 333:1190-5,1995)

    上記報告のとおりチーム医療としてリハビリの果たす役割が期待されます。
    具体的な運動量、禁忌については「心疾患における運動療法に関するガイドライン」がありました。リンクしておきます。http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2002_saitoh_h.pdf

    (参考)
    【急性心筋梗塞患者の運動療法の禁忌(Pollockらによる)】
    1.不安定狭心症
    2.安静時の血圧が200mmHg以上,または拡張期血圧が120mmHg以上
    3.投薬と関係ない極端な血圧に低下
    4.中~重度大動脈弁狭窄
    5.急性の全身性疾患,発熱
    6.コントロールされていない上室性期外収縮
    7.コントロールされていない頻脈
    8.うっ血性心不全
    9.重度房室ブロック
    10.急性の心膜炎,心筋炎
    11.最近発症の血栓塞栓症
    12.血栓性静脈炎
    13.安静時の心電図でSTの3mm以上の低下,または上昇
    14.コントロールされていない糖尿病
    15.解離性大動脈痛
    16.心室瘡で臨床症状のあるもの
    17.運動不可能な四肢の障害

    【運動療法実施のための基準(Andersonの基準)(土肥変法)】
    Ⅰ.訓練を行わないほうがよい場合
    1.安静時脈拍赦120/分以上
    2.拡張期血圧120mmHg以上
    3.収縮期血圧 200mmHg以上
    4.労作性狭心症を現在有するもの
    5.新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
    6.うっ血性心不全の所見の明らかなもの
    7.心房細動以外の著しい不整脈
    8.訓練前すでに動悸,息切れのあるもの

    Ⅱ途中で別棟を中止する場合
    1.訓練中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合
    2.訓練中.脈拍数140/分をこえた場合
    3.訓練中,1分間10個以上の期外収縮が出現するか,または頻脈性不整脈(心房細動、上室性または心室性頻拍など)あるいは徐脈が出現した場合
    4.訓練中,収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合

    Ⅲ次の場合は訓練を一時中止し、回復を待って再開する
    1.脈拍数が運動前の30%を越えた場合。ただし、2分間の安静で10%に戻らない場合は、以後の訓練は中止するか、またはきわめて軽労作のものにきりかえる
    2.脈拍数が120/分をこえた場合
    3.1分間10回以下の期外収縮が出現した場合
    4.軽い動悸,息切れを訴えた場合

    心臓リハのリスク管理について、心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2007年改訂版)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_nohara_d.pdfhttp://www.kb-kaigoyobou.or.jp/report19-1.pdfとこれまでの記事から、①運動除外基準 ②運動前設定 ③運動中止基準 ④運動後に再度分類します。

    その前に「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」に知らなかったりうろ覚えの用語がいっぱい出てきたのでまとめます。

    心エコーの正常値

    【左心機能】僧帽弁逆流のdP/dtの正常値は1200mmHg/sec 以上で、800mmHg以下は高度心機能低下。LV-TEIインデックスの正常値は 0.38±0.04 で、0.45以上あれば左心不全。
    【拡張障害】左室内伝播速度が60cm/sec以下のときには左室拡張能低下。左室流入圧波形の E波のDcTが255msec以上のときは拡張能低下。
    【中心静脈圧上昇】肝静脈血流(S)の時間積分値を、収縮期(S)、拡張期(D)の肝静脈血流の時間積分値の合計で割ったもの(Systolic filling fraction)が55%をこえた場合、右室圧は8mmHg以上ある。
    【肺動脈圧】pulmonary acceleration time の正常値は 120msec 以上であるが、肺血圧が上昇するとともに短縮する。
    【肺動脈楔入圧】左室流入圧波形のE波の decelration time が130 msec以下であった場合、肺動脈楔入圧が18mmHg以上である可能性が高い。

    EF(左室駆出率)
    55~80%が正常範囲と考えられている。最も多用される心機能の指標である。これとBNPが30未満ならばほぼ心不全はないと考えられている。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E8%87%93%E8%B6%85%E9%9F%B3%E6%B3%A2%E6%A4%9C%E6%9F%BB


    BLSとACLSの違い

    AHAの定めた一次救命処置をBLS(Basic Life Support)、二次救命処置をACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)という。


    Karvonenの式

    運動負荷の目標心拍数を求める計算式

    ①予測最大心拍数=220-年齢or215- 0.66×年齢

    ②目標心拍数=(予測最大心拍数-安静時心拍数)×係数+安静時心拍数
    係数:0.6~0.7(高齢者の場合0.4~0.5程度でもよい)


    img_864661_24972581_0


    Borg指数

    1973年に Borg によって提唱された自覚的運動強度(PRE;rating of perceived exertion,Borg指数;→表8)を目安にする方法。

    Borg指数自体は、運動負荷試験の際、被験者の自覚症状を定量的に把握する目的で作成されたもの。安静時~運動時の概略心拍数を10で割った数値を、運動強度の指標(scale)とするhttp://homepage2.nifty.com/seri/heart/exe6.htm

    メッツ

    METs(メッツ) MetabolicEquivalents 
    1分間に生体が取り込む酸素の量 運動強度(運動耐容能)の単位
    1メッツ・時=1エクササイズ

    安静座位での酸素摂取量=3.5ml/kg/min
    例)普通の歩行3メッツ
    早歩き4メッツ
    ジョギング6メッツ
    http://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/shisei/keikaku/shingikai/kyoiku/sportskagakuiinkai.files/22-3kagakuiinn-shiryou3.pdf


    METS_012




    その他、以前の記事から抑えておくことをまとめます。

    突然死と不整脈

    ・突然死の死亡数は日本人の場合100人中3~4人程度、男性では40~50歳代の壮年期に、女性では70~80歳代にピークがある。これら突然死の3分の2が心疾患(病院外での突然死例は年間10万人、うち6万人弱が心臓性突然死)、そのうち90%は虚血性心疾患(広義の心筋梗塞) 発生時期は冬に多くみられる。 

    心疾患には不整脈が関係し、突然死の74%に冠動脈疾患(心室細動と心室頻脈)がみられた。心室性期外収縮の頻度が高いほど、突然死の発生率が高くなる。心室細動こそが心臓性突然死の原因病態および最終病態
    ・不整脈の代表的なものに期外収縮、心房細動、心室細動(不整脈のなかで最も危険) 
     危険な不整脈のサインは引きずり込まれるような眩暈、失神など
    ・不整脈で危険性があるものは心臓病や電解質の異常によるもの。良性、放置してよいものはストレス、タバコ、アルコールやコーヒーの飲みすぎなど コーヒーを1日9杯以上飲むと、心室性期外収縮の発症率が激増する。

    ・カリウムは下痢、嘔吐で大量に失われる。カリウムイオンが少なくなれば心筋の収縮が不足、不整脈が起こる。


    アルコール

    ・心筋梗塞発症数は年間15万人、致死率30~40% 
    ・アルコール心筋症の基本病態は拡張型心筋症 アルコールを大量に長期間摂取すると血圧が増加、心臓の負担が増える。アルコールで心房細動も誘発される。


    動脈硬化と高血圧


    ・虚血性心疾患や不整脈、その原因となる動脈硬化の危険因子について、介入不可能なのは年齢、性、家族歴 一方介入可能なのは高血圧、脂質異常症、喫煙(アメリカ学派はここまでを動脈硬化の3大危険因子としている)、肥満、糖尿病、高尿酸血症 

    ・高血圧患者は毎年5.5%の割合で増加、国内に推定3000万人 40代男性の40%が高血圧、50代では2人に1人、60代では60%、70代で70% 

    ・冠状動脈を原因とする突然死のうち96.4%が、冠状動脈に50%以上の狭窄があった。
     突然死のケースでは、安静時、運動時を問わず動脈硬化は60~70%発症している。


    疫学

    ・心疾患は欧米の死因1位、日本の死因2位だが富裕層で教育程度が高い日本人1000人の統計を取ると、1位。 生活習慣病は収入が高いこと、次に高学歴の二つが関係していると考えられる。

    300万人以上のマラソンランナーを調査、100万時間以上の有酸素運動をして心臓発作で死亡するのは2人 これは45歳の男性が平常時に心臓発作で死亡する確率と変わらない。運動をしないことでむしろ心臓を原因とする死のリスクが高まる。(BMJ 2007)

    アメリカの167の監視型心臓リハビリテーションプログラムを調査、100万人×時間に対して8.9人の心停止、3.4人の心筋梗塞、1.3人の心臓死が発生 ・・・十分管理された条件で行う運動療法は安全(JAMA 256:1160-1163,1986)

    ・13000人の運動選手を27年間追跡調査した結果、選手の中には拡張型心筋症、肥大型心筋症、不整脈源性右室異形成症など心臓性突然死の危険性がある患者が存在した。(NEJM 2008)

    ・普段から労働量が多い漁師は心筋梗塞や虚血性心疾患による突然死が少ない。

    運動除外基準についてまとめます。まずは心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2007年改訂版) 心不全運動療法の適応、禁忌からです。

    適応

    運動療法の適応となるのは,安定期にあるコントロールされた心不全で,NYHAⅡ~Ⅲ度の症例である.
    「安定期にある」とは,少なくとも過去1週間において心不全の自覚症状(呼吸困難,易疲労性など)および身体所見(浮腫,肺うっ血など)の増悪がないことをさす.
    「コントロールされた心不全」とは体液量が適正に管理されていること(“euvolemic”),具体的には,中等度以上の下肢浮腫が無いこと,および中等度以上の肺うっ血がないことなどをさす.

    開始時にBNPが400pg/ml以上を示す症例では,きわめて低強度とし,運動療法開始後の心不全の推移に関して注意深い観察が必要

    慢性心不全が「心大血管リハビリテーション」の対象疾患となる条件として,
    ① LVEF ≦ 40%,②血中 BNP ≧ 80pg/ml,③最高酸素摂取量≦80%のいずれかを満たすこととされている.


    心不全運動療法の禁忌

    Ⅰ.絶対的禁忌

    1)過去1週間以内における心不全の自覚症状(呼吸困難,易疲労性など)の増悪
    2)不安定狭心症または閾値の低い(平地ゆっくり歩行[2METs]で誘発される)心筋虚血
    3)手術適応のある重症弁膜症,特に大動脈弁狭窄症
    4)重症の左室流出路狭窄(閉塞性肥大型心筋症)
    5)未治療の運動誘発性重症不整脈(心室細動,持続性心室頻拍)
    6)活動性の心筋炎
    7)急性全身性疾患または発熱
    8) 運動療法が禁忌となるその他の疾患(中等症以上の大動脈瘤,重症高血圧,血栓性静脈炎,2週間以内の塞栓症,重篤な他臓器障害など)


    Ⅱ.相対的禁忌

    1)NYHAⅣ度または静注強心薬投与中の心不全
    2)過去1週間以内に体重が2kg以上増加した心不全
    3)運動により収縮期血圧が低下する例
    4)中等症の左室流出路狭窄
    5)運動誘発性の中等症不整脈(非持続性心室頻拍,頻脈性心房細動など)
    6)高度房室ブロック
    7)運動による自覚症状の悪化(疲労,めまい,発汗多量,呼吸困難など)


    Ⅲ. 禁忌とならないもの

    1)高齢
    2)左室駆出率低下
    3)補助人工心臓(LVAS)装着中の心不全
    4)埋め込み型除細動器(ICD)装着例



    ↓こちらは以前まとめた群馬県立心臓血管センターのものです。

    健康な人でさえ、運動をすると危険な状況とは

    ①脱水の激しいとき
    ②血糖値が高すぎるとき(250mg/dl以上)
    ③過労、ストレスが続いているとき


    運動をしないほうが良いといわれている心臓病は以下、あてはまる人はそれほど多くない。

    ①中等度以上の大動脈弁狭窄
    ②肥大性閉塞性心筋症
    ③心筋梗塞発症当日
    ④心筋炎急性期
    ⑤血圧が下がってしまう不整脈
    ⑥大きい大動脈瘤、発症したての解離性大動脈瘤

    肥大性閉塞性心筋症、大動脈弁狭窄のように心臓の中に血液の流れを邪魔するような狭窄のある心臓病は禁忌 早く歩くと息切れがひどく起こり、血圧が15~20mmHg下がる場合や、心臓病になりたての人も禁忌


    動いて治そう心臓病
    動いて治そう心臓病


    まずⅠ.絶対的禁忌と上記基準から除外した後でⅢに当てはまればリハ開始、Ⅱ.相対的禁忌に該当する場合は、以下を参考にしたら良いのではないでしょうか。


    A 有名な基準

    土肥・アンダーソンの基準

    1.安静時脈拍赦120/分以上
    2.拡張期血圧120mmHg以上
    3.収縮期血圧 200mmHg以上
    4.労作性狭心症を現在有するもの
    5.新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
    6.うっ血性心不全の所見の明らかなもの
    7.心房細動以外の著しい不整脈
    8.訓練前すでに動悸,息切れのあるもの



    Anderson - 服部の基準

    訓練を行わない

     1.安静時脈拍100以上
     2.拡張期血圧100以上
     3.心筋梗塞発作後3週間以内
     4.心不全症状
     5.重篤な不整脈



    B.他施設例

    エントリー除外条件(例)

    最近6ヶ月以内に心臓発作、脳卒中を起こした。
    急性の肝機能障害、または慢性のウィルス性肝炎の活動期である。
    糖尿病があり、6ヶ月以内に低血糖発作を起こしたことがある。
    血圧が収縮期血圧180mmHg以上、または拡張期血圧110mmHg以上である。
    脳血管疾患やアルツハイマー病などで痴呆があり参加が困難である。
    何等かの心臓病がある。
    急性期の整形外科的疾患、および神経症状がある。
    骨粗鬆症で、かつ、圧迫骨折の既往がある。

    拡張期血圧  100mmhg以上
    収縮期血圧  180mmhg以上
    安静時脈拍  100/分以上
    バイタルチェック時に事前中止

    http://www.kb-kaigoyobou.or.jp/report19-1.pdf


    参考
    nyhaclass



    NYHA心機能分類
    ニューヨーク心臓協会が定めた心不全の重症度分類 世界中で最も広く知られている分類法
    心不全の程度が重症化するほど治しにくく,かつ,余命が短い。

    I度

    心疾患があるが、身体活動には特に制約がなく日常労作により、特に不当な呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴がしょうじないもの。

    II度

    心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの;
    安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。

    III度

    心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの;
    安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。

    IV度

    心疾患があり、いかなる程度の身体労作の際にも上記愁訴が出現し、また、心不全症状、または、狭心症症候群が安静時においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。


    心不全については以下も参照
    h1346

    http://kotobank.jp/word/%E5%BF%83%E4%B8%8D%E5%85%A8

    心臓リハを始めるにあたってあらかじめ決めておくことをまとめます。
    まず「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2007年改訂版)」から、運動中の合併症リスクを層別化します。これはAHA exercise standardhttp://circ.ahajournals.org/content/91/2/580.fullを元にしています。
    同ガイドラインの心不全運動療法の禁忌Ⅱ、Ⅲに当てはまる場合を前提とし、クラスA,B,Cに分類、モニタリングする頻度を設定します。


    クラスA

    健康人

    1. 無症状で冠危険因子のない45歳未満の男性,55歳未満の女性
    2. 無症状あるいは心疾患のない45歳以上の男性あるいは55歳女性,かつ危険因子が2個以内
    3. 無症状あるいは心疾患のない45歳以上の男性あるいは55歳以上の女性,かつ危険因子が2個以上

    活動レベルのガイドライン:制限不要
    監視:不要
    心電図・血圧モニタ:不要



    クラスB

    安定した心血管疾患を有し,激しい運動でも合併症の危険性が低いがクラスAよりはやや危険性の高い人
    以下のいずれかに属するもの

    1.安定した冠動脈疾患
    2.中等症以下の弁膜症 重症狭窄症と閉鎖不全を除く
    3.先天性心不全
    4.EF(左室駆出率)30%未満の安定した心筋症 ←*ココ 肥大型心筋症と最近の心筋炎はのぞく
    5.運動中の異常応答がクラスCの基準に満たないもの

    臨床所見(以下のすべてを満たすこと)
    1.NYHA 1あるいは2
    2.運動耐容能6メッツ以下
    3.うっ血性心不全のないもの
    4.安静時あるいは6メッツ以下で心筋虚血のないもの
    5.運動中,収縮期血圧が適切に上昇するもの
    6.安静時・運動中ともに心室頻拍のないもの
    7.満足に自己管理のできること

    活動レベルのガイドライン:運動処方を作成してもらい個別化する必要あり
    監視:運動セッションへの初回参加時には,医療スタッフによる監視が有益
       自己管理ができるようになるまで習熟したスタッフの監視が必要
       医療スタッフはACLSにおける研修が望ましい
       一般スタッフはBLSの研修が望ましい
    心電図・血圧モニタ:開始初期6-12回は有用


    (*「EF(左室駆出率)30%未満」は原文になくcardiomyopathy(=拡張型心筋症)と書いてあるだけです。EF30%未満という異常値がリスクの低いクラスBに当てはまるとは思えず、誤訳かクラスCの訳と一緒になってしまったのではないでしょうか

    EF30%未満で安定、っていうのも意味不明ですし・・・)



    クラスC

    運動中に心血管合併症を伴う中から高リスクの患者,あるいは自己管理ができなかったり運動レベルを理解できないもの
    以下のいずれかに属するもの
    1.冠動脈疾患
    2.中等症以下の弁膜症 重症狭窄症と閉鎖不全を除く
    3.先天性心疾患
    4.EF30%未満の安定した心筋症 肥大型心筋症と最近の心筋炎はのぞく
    5.充分コントロールされていない心室性不整脈

    臨床所見(以下のいずれかを満たすこと)
    1.NYHA 3あるいは4
    2.運動耐容能6メッツ未満,6メッツ未満で虚血が出現する,運動中に血圧が低下する,運動中の非持続性心室頻拍出現
    3.原因のあきらかでない心停止の既往(心筋梗塞に伴うものなどは除く)
    4.生命を脅かす医学的な問題の存在

    活動レベルのガイドライン:運動処方を作成してもらい個別化する必要あり
    監視:安全性が確認されるまでは,毎回,医学的監視が有益
    心電図・血圧モニタ:安全性が確認されるまで,通常12回以上必要



    クラスD

    活動制限を要する不安定な状態
    以下のいずれかに属するもの

    1.不安定狭心症
    2.重症で症状のある弁膜症
    3.先天性心疾患
    4.代償されていない心不全
    5.コントロールされていない不整脈
    6.運動により悪化する医学的な状態の存在

    活動レベルのガイドライン:状態が改善するまで,活動は薦められない




    運動プログラムは同ガイドライン「現時点で推奨される心不全に対する運動処方」に、


    【開始初期】
    ・屋内歩行50~80m/分×5~10分間または自転車エルゴメータ10~20W×5~10分間程度から開始する.
    ・自覚症状や身体所見をめやすにして1ヶ月程度をかけて時間と強度を徐々に増量する.
    ・簡便法として,安静時HR+30拍/分(β遮断薬投与例では安静時HR+20拍/分)を目標HRとする方法もある.


    【安定期到達目標】
    a)最高酸素摂取量(peak VO2)の40~60%のレベルまたは嫌気性代謝閾値(AT)レベルのHR
    b)心拍数予備能(HR reserve)の30~50%,または最大HRの50~70%
    ・Karvonenの式([最高HR-安静時HR]×k+安静時HR)において,軽症(NYHAⅠ~Ⅱ)ではk=0.4~0.5,中等症~重症(NYHAⅢ)ではk=0.3~0.4
    c)自覚的運動強度(RPEまたはBorg指数):11(“楽である”)~13(“ややきつい”)のレベル

    運動持続時間
    ・1回5~10分×1日2回程度から開始,1日30~60分(1回20~30分×1日2回)まで徐々に増加させる.
    頻度
    ・週3~5回(重症例では週3回,軽症例では週5回まで増加させてもよい)
    ・週2~3回程度,低強度レジスタンス運動を併用してもよい.

    注意事項
    ・開始初期1ヶ月間は特に低強度とし,心不全の増悪に注意する.
    ・原則として開始初期は監視型,安定期では監視型と非監視型(在宅運動療法)との併用とする.
    ・経過中は,常に自覚症状,体重,血中BNPの変化に留意する



    具体的には以下p9、「表3 運動療法の実際」に従います。下記群馬県立心臓血管センター「ウオーミングアップ⇒筋トレ⇒有酸素運動⇒クールダウン」と同様です。
    http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_nohara_d.pdf



    参考


    心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインより、心血管疾患患者における運動時の一般的注意

    a)気分がよいときにのみ運動する,
    b)食後すぐに激しい運動をしない,
    c)天候にあわせて運動する,
    d)適切な服装と靴を着用する,
    e)自分の限界を把握する,
    f)適切な運動を選択する,
    g)自覚症状に注意する



    全身持久性運動

    乳酸閾値(嫌気性代謝閾値)レベルが推奨される。
    低体力者は最高酸素摂取量の40%程度の運動から

    酸素摂取量が測定できない場合以下の基準を参考にしておこなう。
    年齢最大心拍の60~70%。
    心拍予備の40~60%。
    Borg指数の11~13。



    筋力を発揮する運動

    最大筋力(1RM)の40%程度は安全性が高い。
    60%強度でも呼吸法に注意すれば安全に施行できることが多い。
    筋力測定ができない場合は以下の基準を参考にしておこなう。

    少なくとも連続して8回以上続けられる強度で行う。

    痛みを感じない強度で行う。

    伸張性筋収縮をできるだけ少なくする。

    息を止めず、吐きながら行う。

    各運動時間の休憩・安静を十分とる。



    群馬県立心臓血管センター

    ・前もって行うウオームアップは、心疾患患者にとって急激な運動に伴う心電図ST低下の頻度や心室性不整脈の誘発、左室収縮能低下に予防的に働く。
    ウオーミングアップ⇒筋トレ⇒有酸素運動⇒クールダウン の順で
    ・運動負荷試験の最初の1分間における心拍数の低下遅延は全死亡率の重要な予測因子か(NEJM 1999;341 1351-1357)

    ・筋トレは爪先立ちと腿上げを必須に
    ・より高い強度の運動を行えば有酸素運動能の改善度合いは高くなる。(JAMA 1995;273:1179-1184. 2002;288:1994-2000)

    心臓リハ中のリスク管理について「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2007年改訂版)」から、心不全運動療法の中止基準とクールダウンについてまとめます。


    安全性

    我が国の報告では,中等症~重症心不全の運動療法において,プログラムからの脱落の原因となった心事故(心不全悪化,低血圧,不整脈)の発生頻度は5%,運動療法の一時休止を要した心事故の頻度は8%であった.

    オーバーワークになっているかどうか

    運動療法における運動負荷量が過大であることを示唆する指標として,

    ①自覚症状(倦怠感持続,前日の疲労感の残存,同一負荷量におけるBorgスコアの2以上の上昇),

    ②体重増加傾向(1週間で2kg以上増加),

    ③心拍数増加傾向(安静時または同一負荷量における心拍数の10拍/分以上の上昇),

    ④血中BNP上昇傾向(前回よりも100pg/ml以上の上昇),が挙げられる.

    http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_nohara_d.pdf


    ガイドラインで記載されているのはここまで、運動中となると①、③が該当します。

    少ないので大元のAHAガイドラインを引用します。http://circ.ahajournals.org/content/91/2/580.full

    Monitoring of activity.

    運動中の観察項目

    Symptoms. CHEST DISCOMFORT 違和感suggesting ischemia 局所貧血, 虚血may present as chest tightness, fullness, pressure, or dull pain in the anterior precordium 前胸部and may radiate広く及ぼす. to the neck or arm.

    胸部の違和感、不快感は心筋に虚血が起きたことを示すサインかもしれない。この兆候は胸の圧迫感やしめつけられる感じ、或いは鈍い痛みとして表れ、前胸部から首、腕にかけて放散するかもしれない。


    SHORTNESS OF BREATH may suggest pulmonary congestion 肺うっ血, and appropriate 充当するassessment for pulmonary edema 肺浮腫is needed. Some shortness of breath and fatigue may occur because of the deconditioning effect of bed rest after a cardiovascular event or surgery. Edema on the chest x-ray film, rales, or a third heart sound on examination will clarify the presence of significant pulmonary edema.

    息切れは肺うっ血(肺を循環している血管の中の血液量が、多くなっている状態)さらに肺うっ血が進んで肺浮腫となったことを示す兆候かもしれない。
    心疾患、心血管術後の安静によって心機能は低下する。肺浮腫はX線検査、ラ音、第3心音聴取により明らかとなる。

    FAINTNESS 失神(or light-headedness 意識朦朧, もうろう状態) is common after a period of inactivity 無活動. This symptom does not necessarily have cardiac implications since it is often due to a contracted blood volume or loss of postural 体位reflexes caused by inactivity or surgery. Even so, individuals who become faint usually have a fall in blood pressure that could be hazardous if unattended.

    長期に臥床していると失神や意識消失が起きやすくなるが必ずしも心疾患によるものとはいえない。頸動脈洞や大動脈の圧受容器の反射が低下したり、血流量が減っていることが原因でも起こる。
    血圧低下が起きやすい患者には注意深い観察が必要である。

    WEAKNESS is a common symptom after a confining illness and need not be a concern. The sensation of fatigue will usually improve with time and conditioning. Weakness after cardiac surgery is particularly likely to occur because of low hemoglobin and may persist, interfering with the early phases of cardiac rehabilitation. Restitution 返還of hemoglobin to normal requires several weeks unless transfusions 輸血are administered.

    疲れやすさは時間と全身状態の改善で徐々に消失するため特別に注意を払う兆候ではない。心臓術後はヘモグロビン量の減少で疲労も起きやすくなる。その場合早期のリハや輸血によって解決されるだろう。

    Heart rate. A target heart rate should be considered when exercise is prescribed. The target heart rate is usually determined from the exercise test, but if an exercise test has not been done, a useful goal is to avoid increases of more than 20 beats per minute over the resting heart rate.

    心拍について 運動負荷試験を経ないで運動療法を始める場合、安静時の心拍数から20回を超えないように設定するべきである。

    Blood pressure. Blood pressure should be under control at the start of an exercise program. Specific guidelines for resting levels are difficult to set, but in general, activity should be restrained 抑制するuntil the clinician is satisfied with resting levels. A slight increase in systolic pressure 収縮期圧may precede 〈…の〉先に立つexercise training sessions due to anticipation 予期and is not a cause for concern.

    Increments 増加in systolic blood pressure during exercise are normal. However, if systolic blood pressure falls, the reason must be determined, and therapy should be initiated 始めるbefore proceeding 続行する.


    血圧は運動プログラムを始めるに当たって上限と下限を定める。運動中に収縮期血圧が上昇することは問題ない。運動中に下がってしまう場合、その原因を明らかにしてからプログラムを再開する。


    http://kotobank.jp/word/%E8%82%BA%E3%81%86%E3%81%A3%E8%A1%80%EF%BC%8F%E8%82%BA%E6%B0%B4%E8%85%AB

    http://merckmanual.jp/mmpej/sec06/ch065/ch065c.html

    以上のことから、心筋梗塞、肺浮腫、起立性低血圧の兆候に気をつけることと、心拍数と血圧のモニタリングを欠かさないこと とまとめられそうです。



    次に不整脈について

    「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2007年改訂版)」には運動中の不整脈について、アメリカスポーツ医学会の基準を挙げています。↓

    運動トレーニングの中止基準として以下のような Lown分類 2度以上の心室性不整脈をあげている.

      1)心室頻拍(3連発以上)
      2)R on Tの心室期外収縮
      3)頻発する単一源性心室期外収縮(30%以上)
      4)頻発する多源性の心室期外収縮(30%以上)
      5)2連発(1分間に 2回以上)

    .心室性不整脈の再現性や突然死発症に関わる心室性期外収縮については更に検討



    関連情報を加えます。

    ・運動中に心拍数が適切に増加しないことは心不全と関係し、死亡率を増大させる。(JAMA 1999;281 524-529)
    ・運動中の血圧低下は冠動脈疾患、心臓弁膜症、心筋症、各種不整脈を有する患者にみられる。
    ・散発性の心室性期外収縮は運動中には健常者の30~40%、冠動脈疾患患者の50~60%に生じる 持続性の頻発性期外収縮が起きれば、運動は中止する。
    ・典型的な狭心痛が生じた場合は冠動脈疾患が原因となって生じるECGの変化が有意に増加する(NEJM 1979;301:230-235)こと、虚血性のECG変化を伴わない狭心症はST変化のみの場合と同様に冠動脈疾患を示唆することの2つは冠動脈イベントの危険が増大する患者を同定するのに独立した予測因子




    最後にクールダウンについてまとめます。

    クールダウンはHR,BPを安静時の値にまで戻し静脈還流を維持、運動後の低血圧や眩暈を防ぐ。さらに運動後にみられるカテコールアミン上昇の悪影響を取り除く。(JAMA 1984;251 630-632)

    急性心筋梗塞患者1228人の発症前の身体活動について 激しい労作(6METs以上)後1時間以内に心筋梗塞を発症する危険度は5.9 それ以降発症する危険度は1.0より低かった。・・・心筋梗塞は労作後短時間で発症するため運動後の経過観察が重要(NEJM 329:1677-1683,1993)



    以上、心不全リハでは

    ①適応かどうか
    適応

    運動療法の適応となるのは,安定期にあるコントロールされた心不全で,NYHAⅡ~Ⅲ度の症例である.
    「安定期にある」とは,少なくとも過去1週間において心不全の自覚症状(呼吸困難,易疲労性など)および身体所見(浮腫,肺うっ血など)の増悪がないことをさす.
    「コントロールされた心不全」とは体液量が適正に管理されていること(“euvolemic”),具体的には,中等度以上の下肢浮腫が無いこと,および中等度以上の肺うっ血がないことなどをさす.

    開始時にBNPが400pg/ml以上を示す症例では,きわめて低強度とし,運動療法開始後の心不全の推移に関して注意深い観察が必要

    慢性心不全が「心大血管リハビリテーション」の対象疾患となる条件として,
    ① LVEF ≦ 40%,②血中 BNP ≧ 80pg/ml,③最高酸素摂取量≦80%のいずれかを満たすこととされている.


    心不全運動療法の禁忌

    Ⅰ.絶対的禁忌

    1)過去1週間以内における心不全の自覚症状(呼吸困難,易疲労性など)の増悪
    2)不安定狭心症または閾値の低い(平地ゆっくり歩行[2METs]で誘発される)心筋虚血
    3)手術適応のある重症弁膜症,特に大動脈弁狭窄症
    4)重症の左室流出路狭窄(閉塞性肥大型心筋症)
    5)未治療の運動誘発性重症不整脈(心室細動,持続性心室頻拍)
    6)活動性の心筋炎
    7)急性全身性疾患または発熱
    8) 運動療法が禁忌となるその他の疾患(中等症以上の大動脈瘤,重症高血圧,血栓性静脈炎,2週間以内の塞栓症,重篤な他臓器障害など)


    Ⅱ.相対的禁忌

    1)NYHAⅣ度または静注強心薬投与中の心不全
    2)過去1週間以内に体重が2kg以上増加した心不全
    3)運動により収縮期血圧が低下する例
    4)中等症の左室流出路狭窄
    5)運動誘発性の中等症不整脈(非持続性心室頻拍,頻脈性心房細動など)
    6)高度房室ブロック
    7)運動による自覚症状の悪化(疲労,めまい,発汗多量,呼吸困難など)


    Ⅲ. 禁忌とならないもの

    1)高齢
    2)左室駆出率低下
    3)補助人工心臓(LVAS)装着中の心不全
    4)埋め込み型除細動器(ICD)装着例



    ②適応ならばⅡ、ⅢについてAHAクラス分類をする

    クラスA

    健康人

    1. 無症状で冠危険因子のない45歳未満の男性,55歳未満の女性
    2. 無症状あるいは心疾患のない45歳以上の男性あるいは55歳女性,かつ危険因子が2個以内
    3. 無症状あるいは心疾患のない45歳以上の男性あるいは55歳以上の女性,かつ危険因子が2個以上

    活動レベルのガイドライン:制限不要
    監視:不要
    心電図・血圧モニタ:不要


    クラスB

    安定した心血管疾患を有し,激しい運動でも合併症の危険性が低いがクラスAよりはやや危険性の高い人
    以下のいずれかに属するもの

    1.安定した冠動脈疾患
    2.中等症以下の弁膜症 重症狭窄症と閉鎖不全を除く
    3.先天性心不全
    4.EF(左室駆出率)30%未満の安定した心筋症 肥大型心筋症と最近の心筋炎はのぞく
    5.運動中の異常応答がクラスCの基準に満たないもの

    臨床所見(以下のすべてを満たすこと)
    1.NYHA 1あるいは2
    2.運動耐容能6メッツ以下
    3.うっ血性心不全のないもの
    4.安静時あるいは6メッツ以下で心筋虚血のないもの
    5.運動中,収縮期血圧が適切に上昇するもの
    6.安静時・運動中ともに心室頻拍のないもの
    7.満足に自己管理のできること

    活動レベルのガイドライン:運動処方を作成してもらい個別化する必要あり
    監視:運動セッションへの初回参加時には,医療スタッフによる監視が有益
       自己管理ができるようになるまで習熟したスタッフの監視が必要
       医療スタッフはACLSにおける研修が望ましい
       一般スタッフはBLSの研修が望ましい
    心電図・血圧モニタ:開始初期6-12回は有用


    クラスC

    運動中に心血管合併症を伴う中から高リスクの患者,あるいは自己管理ができなかったり運動レベルを理解できないもの
    以下のいずれかに属するもの
    1.冠動脈疾患
    2.中等症以下の弁膜症 重症狭窄症と閉鎖不全を除く
    3.先天性心疾患
    4.EF30%未満の安定した心筋症 肥大型心筋症と最近の心筋炎はのぞく
    5.充分コントロールされていない心室性不整脈

    臨床所見(以下のいずれかを満たすこと)
    1.NYHA 3あるいは4
    2.運動耐容能6メッツ未満,6メッツ未満で虚血が出現する,運動中に血圧が低下する,運動中の非持続性心室頻拍出現
    3.原因のあきらかでない心停止の既往(心筋梗塞に伴うものなどは除く)
    4.生命を脅かす医学的な問題の存在

    活動レベルのガイドライン:運動処方を作成してもらい個別化する必要あり
    監視:安全性が確認されるまでは,毎回,医学的監視が有益
    心電図・血圧モニタ:安全性が確認されるまで,通常12回以上必要


    クラスD

    活動制限を要する不安定な状態
    以下のいずれかに属するもの

    1.不安定狭心症
    2.重症で症状のある弁膜症
    3.先天性心疾患
    4.代償されていない心不全
    5.コントロールされていない不整脈
    6.運動により悪化する医学的な状態の存在

    活動レベルのガイドライン:状態が改善するまで,活動は薦められない



    ③以上からクラスA,B,Cプログラムの設定を3段階に分ける。詳細はhttp://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_nohara_d.pdf p25表10参照

    ④運動中のリスク管理は上記


    再度NYHA分類、③のプラグラムにおけるBorg指数、Karvonenの式、%RMの早見表を挙げておきます。
    ざっくりまとめると心不全リハではAHAクラス分類がそのままNYHAに対応、クラスⅠなら高度、Ⅱなら中等度、Ⅲなら軽度負荷 Ⅳなら禁忌 

    運動中は胸痛、息切れ、失神、心拍上昇(安静時の心拍数から20回を超えないように)、血圧低下に注意
    、ということです。

    NYHA分類

    クラスⅠ:心疾患はあるが身体活動に制限はなく,通常の身体活動では疲労,動悸,呼吸困難,あるいは狭心痛を生じない。

    クラスⅡ:軽度の身体活動の制限はあるが,安静時には苦痛がない。通常の身体活動で疲労,動悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。

    クラスⅢ:身体活動に強い制限がある心疾患の患者であるが,安静時には苦痛がない。通常以下の身体活動でも疲労,動悸,呼吸困難,あるいは狭心痛を生じる。

    クラスⅣ:苦痛なしにはいかなる身体活動もできない心疾患の患者。安静時にも心不全症状や狭心症徴候が認められることがある。いかなる身体活動によっても苦痛が増悪する。



    Borg指数

    軽度負荷 10~11 楽である
    中等度負荷 11~13 ややきつい
    高度負荷 13~16 きつい




    Karvonenの式

    ([最高HR-安静時HR]×k+安静時HR)において,軽症(NYHAⅠ~Ⅱ)ではk=0.4~0.5,中等症~重症(NYHAⅢ)ではk=0.3~0.4

    軽度負荷 0.3~0.4
    中等度負荷 0.4~0.6
    高度負荷 0.6~0.7 


    RM



    %RM

    軽度負荷 20~30%   =26~32RM
    中等度負荷 40~60% =16~24RM
    高度負荷 80% =8RM

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