私、ふだん審判批判はなるべく書かないようにしてるんですよ。安いJRA叩きで衆愚受け狙い、みたいなの嫌だから。

 でも、今日の東京8Rは無いわ。しかも、降着なしで騎手アウトというのはもっと無いわ。逆ならまだ分かる。あれだけ派手に横跳びするのは馬の側の癖だから。

 このレースについてはあちこちで語られると思うので、重なることはなるべく書かないようにするけど、私の基本的な考え方は、このレースに限らず、こうです。
「審判の判断は絶対である。だからこそ、審判業務にあたる人間の資質や責任感は厳しく問われなくてはならない」

 たとえボブ・デービッドソンが下した出鱈目ジャッジであっても、それが下った以上プレイヤーは従わなければならない。その代わり、ボブに審判を続けさせてもいいのかということはきちんと検討されなくてはならないということです。

 一方で、今回の状況を理解するためには、JRAという企業の成り立ちや体質、文化を理解しないとファンの皆さんには分からない部分が残ってしまうでしょう。
 陰謀論的にJRA悪玉論を語る人は、JRAは上から下まで・右から左まで均質な悪だと思っているでしょうが、実際のJRAを理解するには「縦割り」と「社内カースト」を理解しないと始まりません。

 こんな裁定がまかり通っていたらファンの不信を買い売り上げがさらに落ちる、と考えるファンの方は多いでしょう。実はJRAの職員にもそう思っている人はいっぱいいますよ。でも、その多くは社内カーストの低い職員で、審判部門は売り上げやファン心理なんて知ったこっちゃない。社内カーストが上位でお客さんから遠いところにいる人間が好き勝手をやって、社内カーストが低い広報や競馬場の職員が矢面に立つ。「いかにもJRA」なシーンですよ。
 偶然とはいえ今回は加害馬が、広報と先週ぐだぐだに揉めた堀厩舎。そこまで意識すると、よくできたコントですわ。

 小島茂師は今後も取りうる手段をとっていくようですが、おそらくJRAが折れることはないでしょう。理事長も含めて役員が仮に内心で「なんだよあのジャッジ」と思っていたとしても、審判の無謬性を1ミリでも否定したら世界の終りだと思っているから、絶対にそれはしません。
 悩ましいのは、筋道論でJRAを責めることがゴールか、より良い競馬を実現することがゴールか、ということです。もし後者だとしたら、JRAにおすすめしたい選択肢がひとつだけあります。
 あまりにおかしいジャッジをした(と役員や人事も内心分かっている)職員(今回の当事者とは限らず)を、次の人事でとてつもないところに異動させることです。それによって、審判も聖域じゃねえぞ、客と会社なめんな、という姿勢を審判部門に対して見せることです。

 それはお客さんのカタルシスにはつながらないけど、お客さんに見えないところで行われるからこそ、JRAでも実行できる。そして、後に続く審判も、いまより緊張感をもって業務にあたるようになるでしょう。現在は悪い意味で聖域すぎ、一部のアウト大魔王とセーフ大魔王が、横車を押せる自分に酔っているとしか思えない。

 現状から一歩でも前に進むために、私がJRAのしかるべき人たちにおすすめする選択肢はこれです。ただし、とんでもないところに異動させるといっても、グリーンチャンネルとかにはよこさないでください。念のため。