うん十年前、私が中学生だった頃、バンドでギターをやってましたので、高校生のほかのメンバーと一緒によく喫茶店なるところにこっそり行きました。

曲の打ち合わせや練習の後の意見交換をするわけですが、どうも周りをみると、自分たちは浮いています。当時喫茶店はほぼ背広を着た男の人ばかりで、怖い顔をして新聞を見ている人、何かを手帳に書いている人、タバコをひたすら吸っている人、疲れて眉間にしわを寄せて寝ている人。

なにせ一杯800円のブルーマウンテンですから(ブルマンって今は死語?)、何時間も同じ席で粘るのは皆同じですが、仲間でわいわいやっている私たちは浮きまくりです。

時は数十年流れて、シアトル発のカフェチェーン文化が一時期世界中を覆い尽くしましたが、その大元スターバックスが経営危機であえいでいます。

スターバックス、不況で「実存の危機」ニューズウィークの記事より
*リンクを貼っていいとのことなので貼らせてもらいました。

上記の記事によると、すでに1万8千人も解雇し、店舗も多数閉鎖したスターバックスですが、まだ経営的に立ち直れないようです。

しかし、スターバックスがだめになったのは不況のせいではなく、もともと持っていた「ウリ」だったところが消滅したからではないかと思います。

このタイプのカフェチェーンの「ウリ」となるコンセプトはなんだったのでしょう?女性が入りやすいことでしょうか?禁煙になっていることでしょうか?

実は「独立した個人が社会的なつながりを感じながら好きなことができる」というのがコンセプトだったと思います。誰もまだ実際はそういいませんが。

例えばカフェチェーンで注文を正確にこなすには自分でメニューを研究して自分の好きなものを何回か事前に頼んで試してみて、そしてレジのエプロンのお兄さんにかっこよく一発で伝えなければなりません。ここが誰にも依存しない、自分が独立した存在になれるところです。

そして一人用のスツールやソファを独占します。ここが個人を更に強く意識するところです。

しかし周りをみると案外仕事の書類を読んでいたり、備え付けの流行の雑誌を読んでいたり、自分の本を読んでいたり、ノートPCでインターネットのページを読んでいたり、なんとなく社会とのつながりをぼんやりと感じさせる活動をしています。自分もそれを一つ選んでやることで社会的な活動をしている気分がでます。

これがウリだったと思うのです。

ところが、おんなじ店が何千とできるにいたって、このウリの部分の魅力が無くなりました。カフェチェーンでPCをやっている人は多分今この瞬間に何億人かいるのです!備え付けの雑誌を手に取り、布や革張りのソファに気持ちよく座っている女性はたぶん何億人かいるのです!

そう気がついたとき、独立した個人であるという気持ちが一気に吹き飛びました。せっかくメニューも研究したのに自分と同じものを頼む人が何億もほかにいるのです。

多数の店舗を短期間で増殖したカフェチェーンは基本コンセプトがそもそも大きな矛盾をはらんでいたということになります。

ではカフェに行かなくなった人たち、独立した個人の意識をカフェで磨いた人たちは今何をしているのでしょう?

私はワイン文化に静かに移行したとにらんでいます。

ワインの銘柄を覚えたり、自分で好きな味を探すというところが似ています。でも違うところもあります。カフェチェーン文化では怖い顔を演じ続けなければいけませんが、ワイン文化では笑いが絶えません。一緒に飲む人との会話が途絶えません。

飲み終わった後もカフェはカフェインが切れることで倦怠感に襲われますが、ワインのほうは何だかほんわかします。

ワインは無条件で人とのつながりを呼び込むようです。それはそうです。なにせ一本のボトルは六人で分けるようにできていますから。カフェチェーンのコーヒーはいくら特大グランデを買っても分けないでしょう?いや、一杯だけ買って分ける倹約家もいるかもしれませんが(笑)

自分は人と違う!独立した「個」なのだ!と思いたいのは特に若い人に顕著です。20代、あるいは30代真ん中ぐらいまでは他の人との関係は、あくまで比較、競争の対象です。そういう人がおそらくカフェチェーン文化で怖い顔して仕事をしたりPCを叩いていたのでしょう。

しかし35歳も過ぎると、人といるのが楽しくなります。なんだか他の人と何かを分け合いたい気がしてきます。そうなったときに手にする飲み物がワインのような気がします。

独立した自分でいたい!でも怖い顔をして自分が自分がと自分のことばかり考えたくない!世の中とつながっているような気分になるだけじゃなく、本当にたくさんの人とつながりたい!

そう思ったとき、コルクをシュポンと開けて、わいわい飲むのがいいのではないでしょうか。

かなりの数のカフェチェーン文化で育った方たちが、今後ワイン文化に移ってくるようなわくわくする予感がしています。

ではこんな状況で、一体どこがその受け皿になるのでしょう?また書きますね~

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*昨日はブラウザーをアップグレードしたらフリーズしてしまい、あわてて前のグレードに戻したら変なことになって英語の方はHTMLが出るわ、日本語は連投になるわで、申し訳ありませんでした。今落ち着いたみたいです。

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全然関係ないのですが、私が4年以上も前に書いていた『成功哲学クイズトリビア』というブログがあってワインリテラシーを書き始めてからなぜか一日数名の方がこっちも見てくださるので、

おかし~な~、どうやって見に来てくださるのかな~

と思っていたら、私のプロフィールを開くとなぜかその横に成功哲学クイズトリビアが出るではありませんか・・・

ずいぶん前に書いたトリビアですが、もし何かのお役に立てば幸いです。