2014年02月

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監督  ハイファ・アル=マンスール






サウジアラビア初の女性監督だそうだ。
情報によるとサウジアラビアには映画館がないとか。
え? それでなぜ、女性監督?
イスラムの戒律の厳しいサウジアラビアで、最近、女性にも運転免許証の交付を!と訴えてハンドルを握る女性が増えたというニュース画像を見たが・・・
やはり、じわじわと女性の地位向上の機運があがってきているのだろうか。
と興味をもって映画を見る。

10歳の少女ワジダ、お気に入りはポップス音楽。
他の子が白いソックスに黒い靴を履いて登校するのに、ワジダはスニーカー。
一応黒いベールはかぶるが、顔を隠すなんて面倒。
それより、幼馴染の少年と駆け比べをするほうが楽しいという活発な女の子。
少年が乗っているような自転車が欲しいのだが、いくら小遣いをためても、自転車代にはとどかない。
母親にねだっても「女の子が自転車なんて、とんでもない!」と一蹴される。
そもそも、男女別学は当然として、校内にいてさえも、通りかかった男性から姿を見られないよう、声も聞かれないよう、常に身を慎まなくてはならない。
母親は、常に夫に気遣っているのだが、女の子しか産めなかったため、正妻としての立場が危うくなっている。
という、イスラムの戒律や男女差別の問題が根底にあるのだが、けっして、それに抗うとか、なにかを声高に主張するという姿勢ではない。

ワジダは、コーランを唱えるコンクールに応募し、それまでほとんど読むことすらおぼつかなかったコーランを懸命に暗記し、朗誦まで覚えた。
それは、賞金で自転車を手に入れるため。
コンクールの日、父親は家を去った。
そして、ワジダは自転車を手に入れただろうか・・・・


社会の在り方はあり方として、現実は現実として受け止めつつ、少年少女の日常と、未来への希望を描く佳作。
十年以上前のイラン映画『運動靴と赤い金魚』や『友だちのうちはどこ?』を思い出した。
最近、イラン映画の話題を聞かないが・・・・


土曜日。
「妖怪と日本人の心」と題する日本文化研究センター所長小松和彦氏の講演を聞く。
昔は、妖怪は迷信。撲滅すべき存在と研究そのものを否定されてきたが、水木しげるや宮崎駿の作品を通して、キャラクターとしての妖怪が人気になり、認知されてきた。
人間がコントロールできる、人間にとって都合のよい、表の、日の当たる存在である”神”の対極として、人知を超えた、コントロールできない、災厄をもたらす、裏の、影の存在として、”妖怪・悪霊”はある。
という定義から、水木しげるの絵を最初に見た時は、すごい想像力、創造性だと感心したが、よくよく研究すると、江戸時代の浮世絵や平安絵巻などの妖怪図が元になっていることがわかった。
と、両方の画像で紹介。
へえええ。
韓国や中国にも妖怪はいるが、それは言葉として伝わっているだけで、共通認識されるような絵柄はない。なので、いま、アニメやコミックにしたくてもイメージ化が難しいようだ。
へええ。
恐怖の存在として、国家(王法)をおびやかすものが鬼・鵺。寺(仏法)をおびやかすものは天狗。
村落共同体をおびやかすものは、大蛇や狐狸など。
そして、個人や家をおびやかすものは亡霊や死霊。
などなど、ある程度知識やイメージとしてはあったが、学術的・論理的に、わかりやすく解説してくださり、なるほどなるほど。
妖怪の存在・変化は、人間の中にある善と悪。表と裏。陰と陽の文化と密接に関連している。
だから、調べれば調べるほど、面白いが、わからなくなる。
なるほどなるほど。奥が深いのだね。

日曜日。
義姉が寄贈したというお雛様を見に、一族の女どもうちそろって二川本陣資料館へ。

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昭和9年製とあるから、まだ、世の中の世相や物資が逼迫してない頃の品だな。





お雛様は、子どもの無事な成長を祈願し、あの世へ連れて行かれないよう、身代わりのよりしろを川に流したのが起源。
衛生・栄養状態の悪かった昔は、乳幼児の死亡率が高く、それは目に見えない悪霊の仕業と考えられていたからね。
つまり、日本文化の陰陽を象徴する一つ。
今では、ただ、わが子、わが孫の誕生を祝い成長を祈る飾り物となっているが、それでも親心、じじばば心は変わらないから、つい財布の紐がゆるむのだ。

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この季節は毎年、各家庭や蒐集家から寄贈された古いお雛様がずらーーっと展示されているが、ここ数年は飾り雛も陳列され、華やか。
寄贈された着物を着てコスプレもできる。


ふだん閑散としている館内は大賑わいだが、この展示には、全職員とボランティア総出で一週間かかるという。
美術館のハローキティ展といい、お雛様展示といい、普段美術や歴史建造物に興味のない人たちを呼び込むのに、涙ぐましい努力なのだ。
ご苦労様です。

夜中、目が覚めてTVをつけるも、女子フィギアは第二グループの演技が終わったあと。
浅田真央の高得点は確認できたが、演技のVTRは流れないまま。
ところどころウトウトしながらも、最後まで見続ける。
鈴木明子、頑張ったね。
私的にはコストナーが手足の長さをいかし、なおかつ上品な演技で良かったな。

朝食もそこそこに、地元小学校へ。
学校ボランティアのおじさんおばさんへ子ども達からの感謝の会。
可愛い歌声やパンジーの鉢植えをプレゼントされ、そのあと今度は確定申告へ。
昨日、書類漏れがあり、二度手間。
でもまあ、少しでも還付されるのなら、えんやこら。

ああ、くたびれたと自宅に帰り、TVをつけるが、どのチャンネルもタレントたちがにぎにぎしく騒いでいるだけで、肝腎の演技は細切れしか見られず。
まあ、フリーは4分もかかるからね。
あ、そうか、PCで見ればいいんだ。
動画でようやく観覧。
よかったねえ。頑張ったねえ、真央ちゃん。
すっかり近所のおばさん気分。

さて、と今度は美術館のハローキティアート展の開場式へ。

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ハローキティの三代目デザイナー山口裕子さんを迎えてセレモニー。
著作権保護の観点から写真撮影は遠慮していたが、テープカットの際は、撮影OKだったので、パチリ。
でも、一応、目隠しは施す。

続いて、山口さん自身が、展示物を紹介しながら、制作の裏話などを語ってくださる。
1974年生まれの猫ちゃんイラストグッズから、展覧会のために制作した油絵やオブジェまで、多彩な展示。
当時は名前もなく、単に子供向けのコイン入れや文具を飾る絵。
会社としてもさほど売れるとは思っていなかったふしがあり、三代目として指名されてもあまり嬉しくもなかったそうだ。(そのかわり、重圧もなかったかもしれない。
山口さんのキャラクターつくりのコンセプトは、“みんなの”キティちゃん。
購買層の希望や要望をできるだけ吸い上げ、それに応えるかたちで、最初は幼児や低学年向けだったのをその子達が成長してからも使えるよう中高生やOL向けに。
最初は北海道観光のためにと依頼されてつくったご当地キティちゃんも、いまでは全国津々浦々に広がり、こんなものまで。

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豊橋ちくわキティ







いまや、単なるお子ちゃまキャラクター商品を越えて、海外の有名アーティストにまで愛される存在となり、さまざまなグッズやノベルティとして販路を広げていった(そして、ジリ貧状態だったサンリオを立て直した)のは、ひとえに山口さん(とそのチーム)の手腕と努力。
ということが、トークと展示物を見て、リアルに伝わってきた。

玩具メーカーのキャラクターだったキティちゃんを考現学的、博物学的観点から見つめた展覧会。
三月いっぱい展示しています。グッズも多数販売しています。
よろしかったらお子さん、お孫さんと御一緒にどうぞ。
(大きい声では言えませんが、商品売り上げの一部が館の収入にもなりますので)


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韓国映画    
監督  イ・ファンギョン






国民に裁判のあり方を問う?模擬裁判で、過去の判例を問い直す若き女性弁護士。
それは、実の父親が冤罪により死刑になった事件・・・・

やや知的障害のあるイ・ヨングは、可愛い一人娘イェスンと二人暮らし。
イェスンのため、セーラームーンのランドセルを買おうとしたが、一足違いでよその親子に買われてしまう。
イェスンのランドセル! イェスンが買うんだ!と、子どものように言い張るイ・ヨング。
次の日、ランドセルを買った少女が、別の店で売っているよ、とイ・ヨングを案内してくれたのが悲劇の始まり。
イ・ヨングは、幼児誘拐・強姦致死の疑いで検挙され、刑務所へ。
収監された7番房は、6人部屋。
いずれも、やくざの親分だの、詐欺師だの、見るからにワルぞろい。
しかし、いつしか、純真無垢なイ・ヨングにワルたちも心を許し、彼のため、イェスンをこっそり房に運びこむ作戦を計画。
むさくるしい房に連れてこられたイェスンの天使のようなあどけなさと、父娘の情愛に一同はメロメロ。
が、当然、イェスンの存在は刑務所長の知るところとなり、懲罰を受けるのだが、そこでまたイ・ヨングの純真な魂に・・・・
ついには、刑務所全体がイ・ヨング父娘を応援するまでになるのだが・・・・

とまあ、あらすじを書くと、なんだかこそばゆいストーリーだが、泣かせ、笑わせ、また泣かせ・・・・
知的障害者と刑務所なんて、ちょっと間違うとキワモノ的になりがちだが、そこはメルヘン・お伽話として作られていて、うまいなあ。
ドロドロの韓流ドラマは苦手、というか、そもそも見たいとも思わないが、韓国映画って一昔前の日本にあったような家族愛とか懸命さ、の一方でやや大げさな演出で笑わせる部分もあり、けっこう以前から好きなのだ。
なによりも、この映画を成功させたのは幼いイェスンを演じた子役のかわいらしさ!
どこかで見たような・・・そうだ、家政婦のミタに出ていた本田望結によく似ていた。
日本でリメイクするとしたら、イ・ヨングはだれだろう、なんて思わずイメージしてしまった。

ああ、一人で、思い切り気持ちよく泣いてすっきりした。

姉は趣味で絵を描いていて、ときどき地元の市選抜展に入選、展示されている。
今年の作品は、二年前の母の一周忌、ホテル上階での精進落としの懇親中、孫(母からはひ孫)たちが退屈して、腰高の窓枠にのって窓から外を眺めては遊んでいた様子に着想を得て描いたものだとか。
では、見に行かねば、と作者である姉、兄夫婦ともども美術館へ。
なるほど。時間切れでいささか書きこみ不足らしいが、あの場の雰囲気はわかる。というか当事者にはわかる。

いつもなら車でいくところ、天候が荒れそうだということで、この日はJRの在来線でとことこ出かけた。
末娘宅にも、寄ろうと思ったが美術館往復だけで帰るから、と事前に連絡しておいたのだが、たまたま近くの歯科医院にきているとのことで、家族で立ち寄ってくれる。
では、作者とモデルの一人である子どもと一緒に、パチリ。

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写真を撮ってロビーに出たところで、姉の娘(私からは姪)がやってきて、期せずして家族会の様相。
母が、七回忌まで待ちきれなくて呼んだのかも。

末娘一家もまた、この悪天候で婿殿両親が来る予定が中止になったが、遅まきながらお食い初めをしようと鯛や赤飯はすでに予約してあるという。
急きょ、予定を変更して、我が家でお食い初めをすることに。
新しい食器の用意もなかったが、ま、いいか。

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どこで誰とやろうが、本人はわけがわからない。
一番喜んだのは、上の孫と、うちのジジ。

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