杉山茂樹のBLOGマガジン

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[プロフィール]
  • 静岡県出身。東京都在住。AB型
  • スポーツライター
  • 得意分野はサッカーでヨーロッパが厚め
  • W杯は82年のスペイン大会以降、11大会連続現地取材
  • 五輪も夏冬併せ9度取材
  • テーマは「サッカーらしさ」「サッカーっぽさ」の追求
  • 愛称はスギッチ。サッカー番長。スタジアム評論家
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    三笘薫、代表戦前とは別人のような動き EL2位以内確保もブライトンは茨の道が続く

     ヨーロッパリーグ(EL)第5節。第6節を残して、ベスト16にストレートインできる首位でグループリーグ突破を決めたのは、アタランタ(グループD)、リバプール(※グループE)、レバークーゼン(グループH)の3チームだ(*は日本人選手が所属するクラブ)。

     2位以内を確保したのはウエストハム、フライブルク(※)、マルセイユ、ブライトン(※)、スポルティング(※)、レンヌ、ビジャレアル、スラビア・プラハ、ローマの9チームに及んだ。

     つまり、ベスト16入りを決めた日本人選手は遠藤航(リバプール)ひとり。2位以内を確保した日本人選手は、堂安律(フライブルク)、三笘薫(ブライトン)、守田英正(スポルティング)の3人になる。
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    【有料記事】選手の多機能性追求の足枷になる日本の勝利至上主義。細谷真大は兼ウイングを目指せ


     先のミャンマー戦とシリア戦に1トップとしてスタメンを張った上田綺世。ミャンマー戦にはハットトリック。シリア戦でも2ゴールを挙げている。怪我で招集を辞退した古橋亨梧(セルティック)を尻目に株を上げた恰好だ。

     しかし、所属クラブ(フェイエノールト)では出番に恵まれていない。古橋が毎試合ほぼ先発を飾るのに対し、上田はもっぱら交代出場だ。

     先のチャンピオンズリーグ(CL)第5週、アトレティコとのホーム戦では後半の頭から出場したが、今季の国内リーグ、CL全18試合中、出場した試合は14で、スタメン出場は1試合に過ぎない。1試合あたりの平均出場時間は、出番のなかった試合を除いても約22分(ロスタイム含まず)となる。

     1トップとして先発を飾るサンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)の能力が高すぎることがまずひとつ。上田がトップ(真ん中)しかできない非多機能型選手であることも輪を掛ける。先述のアトレティコ戦に後半フル出場できた理由は、相手のアトレティコにリードを奪われ、逆転しないとグループリーグ落ちが決定するため、得点欲しさに布陣を4-2-3-1から4-4-2に変更したためである。トップを2枚に増やしたことで、早めに出場機会が巡ってきた。

     だが、この世の中において2トップは少数派だ。1トップ主流の時代においてそこしかできないと、出場枠は1つしかなくなる。自分の調子がいくらよくても、ライバルの調子がそれ以上によければ、出場時間は限られる。交代出場が大半を占めることになるが、1トップ下や左右のウイングを務めることができれば、出場時間は必然的に伸びる。

     浅野拓磨は前回のミャンマー戦、シリア戦では1トップとして出場する機会がなかった。後半の途中、上田と交代したのは若手の細谷真大。浅野が1トップしかできない選手なら、細谷に抜かれ3番手以下に転落したと言う話になる。しかし浅野はシリア戦で左ウイングとしてスタメンを飾った。ウイング兼ストライカーにプレーの幅を広げつつある。

     W杯本大会を戦う23人枠を考えたとき、プライオリティが高くなるのは浅野のような複数ポジションをこなす多機能型だ。もちろんバランスの問題になるが、1トップしかできない選手が、その3番手候補だとすると23枠からはみ出る可能性が高まる。続きをYahoo有料記事で読む
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    ク保建英は登場で試合を一変 冨安健洋は断トツの出来栄え CLベスト16に日本人3人

     チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第5節。前節までのバイエルン、レアル・マドリード、レアル・ソシエダ、インテル、マンチェスター・シティ、ライプツィヒの6チームに加え、アーセナル、PSV、アトレティコ・マドリード、ラツィオ、ドルトムント、バルセロナの6チームが新たにベスト16入りを決めた。

     脱落が確定したチームはランス、セビージャ、ウニオン・ベルリン、ザルツブルク、ベンフィカ、フェイエノールト、セルティック、ヤングボーイズ、ツルヴェナ・スヴェズダ(レッドスター)、アントワープの10チーム。

     まだ確定していないチームは、コペンハーゲン、ガラタサライ、マンチェスター・ユナイテッド(グループA)、ナポリ、ブラガ(グループC)、パリ・サンジェルマン、ニューカッスル、ミラン(グループF)、ポルト、シャフタール(グループH)の10チームだ。
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    【有料記事】レベルダウン著しいJリーグとレベルアップ著しい日本代表。アンバランスに支配される日本の行く末

     J1リーグ。2位の横浜F・マリノスがアルビレックス新潟に引き分け、首位を行くヴィッセル神戸が名古屋グランパスに勝利したため、優勝の栄冠は最終節を待たずに神戸の頭上に輝いた。

     勝ち点差2で迎えた試合だった。両者が競いあうスリリングな展開になっていたことは確かである。しかし世の中の反応はいまひとつ鈍かった。その反応の強弱を何で判断するか。テレビ、新聞からネットに移行したいま、正確に捉えることは難しくなっているが、少なくとも阪神とオリックスが日本シリーズを争ったプロ野球には大きく劣っていた気がする。

     横浜FMが、優勝した昨季を上回るサッカーをしながら神戸に優勝を浚われたわけではない。神戸に敗れたと言うより、昨季の自分たちに敗れた恰好だ。メンバー的にもサッカー的にも後退したことで、よく言えば手堅い、悪く言えば古典的なサッカーを展開する神戸に遅れを取った。

     右肩上がりが終焉を迎え、右肩下がりが始まったシーズン。Jリーグの2023年シーズンを一言でいえばそうなる。Jリーグがレベルダウンした原因を探すことは簡単だ。現在100人に迫る日本人選手が欧州でプレーしているからだ。その数が増えることは、Jリーグ側にとっては人材の流出に当たる。

     選手個々のレベルが上がったことでJリーグのレベルは下がったーーとは皮肉な結果である。これはJリーグの市場価値が下がったことを意味する。折からの円安がそれを後押しする。Jリーグのチームには外国人選手の値段が滅茶苦茶高く感じられるのだ。外国人枠を満たしているクラブはけっして多くない。外国人選手の質も高いとは言えない。ベンチを温める選手は少なくない。

     この欄でも以前に紹介したことがあるエピソードだが、ロベルト・カルロスに1996-97シーズン、インテルからレアル・マドリードに移籍してきたタイミングでJリーグという選択肢はなかったのかと訪ねれば「ブラジル人選手の間では4、5番目のリーグだ」と述べていた。

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    日本代表のトップ下は久保建英か鎌田大地か 選択肢が増えたことこそW杯予選の収穫

     サウジアラビアのジッダで行なわれたシリア戦。スタメンを飾ったのは以下の11人だった。
     鈴木彩艶、菅原由勢、谷口彰悟、冨安健洋、伊藤洋輝、遠藤航、守田英正、久保建英、伊東純也、浅野拓磨、上田綺世。布陣は4−2−3−1。
     
     一方、その5日前(16日)のミャンマー戦には以下の11人が先発した。
     大迫敬介、毎熊晟矢、谷口彰悟、町田浩樹、中山雄太、田中碧、鎌田大地、南野拓実、堂安律、相馬勇紀、上田綺世。布陣は4−3−3だった。
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    【有料記事】日本によいサッカースタジアムが必要な理由。ピッチに描かれるデザインを見逃すな

     アウェー戦をテレビ観戦できなかったシリア戦。これがもしラグビーだったら、ここまでの騒ぎになっていただろうか。ラグビーは番狂わせの少ない、実力差がスコアに直結しやすいスポーツだ。ラグビーの日本代表がサッカーで言うシリアレベルの国に敗れる心配はないだろう。その心配が少なからずあるのがサッカーだ。運が試合結果に及ぼす影響は3割。弱者を相手にした場合でも、観戦にはそれなりのドキドキ感がつきまとう。

     シリア戦。終わってみれば結果は5-0だった。心配は杞憂に終わった。だがナマでキチンと見たかったという気持ちは強く残る。できればスタンドで観戦したい。日本代表というより、その根底にあるのはサッカーゲームそのものへの興味や関心だ。

     サッカー観戦は何が楽しいのか。スポーツは筋書きのないドラマと言われる。サッカーも例外ではない。しかし単なる筋書きではない。具体的にはピッチに描かれるデザインに筋書きがないのだ。

     真っ白なキャンバスに描かれていく絵を眺めることと観戦は似ている。90分間の間にどんな絵が完成するか。鑑賞する気分でピッチ上の試合に目を凝らしている。

     絵は毎試合異なる。筆のタッチもすべて違う。同じプレーを拝むことは生涯2度とないのである。そこに貴重さ、尊さを覚える。サッカーに限った話ではないが、デザイン性が最も問われていると言いたくなるのがサッカーだ。ハイレベルの戦いになれば、芸術と言いたくなるデザイン、展開美にも遭遇することもできる。

     試合結果とそれは時に別物になる。「美しいサッカー、きれいなサッカーをしても試合に勝たなくては何の意味もない」とは、あるサイドの人がよく口にしがちな台詞だが、筆者はそれとは逆の立場にいる。少なくとも、美しくないサッカー、きれいではないサッカーは見たくない。それで試合に勝っても感激は少ないという立場にいる。

     眺望のよい、視角に優れたスタジアムで試合を観戦したときは、なおさらそう思う。正面スタンド上階の記者席に座る筆者は、ピッチ上に描かれるデザインや芸術性を、ベンチで観戦している監督以上にハッキリと視界に捉えることができる。

    「娯楽性と勝利をクルマの両輪のように追求せよ」とは、ヨハン・クライフがバルセロナ監督を務めていたときに聞かされた言葉だが、実際にその言葉に負けない試合を98000人収容の巨大なスタジアム(カンプノウ)で見せられると、筆者がそれまで備えていた「美しいサッカーをしても勝たなくてはなんの意味もない」という概念は、たちどころに雲散霧消したのだった。
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    U−22日本代表がアルゼンチンに大勝も露呈した日本サッカーの構造的問題 大岩ジャパンに期待すること

     アルゼンチンに5−2で勝利を飾ったとなれば、普通は喜ぶものだ。ネットニュースの見出しを見ていると実際、はしゃぐような見出しが目に留まるが、当の大岩剛U−22日本代表監督は試合後、「試合には勝ったが、満足していない」と語った。本心だと考えたい。

     親善試合を分析しようとした場合、90分間、1試合を通しで考えないほうがいい。試合の途中から両監督とも意図的にメンバーを崩して戦おうとするからだ。
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    日本代表は攻め続けても課題をクリアできず サイド攻撃が機能しない理由は?

     ミャンマー戦の5−0という結果をどう見るか。ボール支配率は72対28で、シュート数は24対0だった。日本はほぼ攻め続け、ミャンマーは守り続けた。

     ミャンマーの監督曰く、「10−0で敗れた前回のようなことがないように」と、5バックで守りを固めてきた。森保一監督は試合後、「予想どおりの展開になった」と述べた。引いて構える相手をどう崩すか。日本代表に突きつけられた課題は試合前からハッキリしていた。そうした視点でこの試合を見たとき、合格か失格かと言えば、後者になる。
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    【有料記事】ベストメンバーの呪縛に取り憑かれる日本人代表監督

     1998年フランスW杯予選に臨む少し前だったと記憶する。時の代表監督、加茂周氏はメンバー選考の考え方についてこう話した。

    「14人目までは順当に決まる。スタメンの11人と交代の出場の3人は実力で選んでいけばいい。だがそれ以降は実力だけで選ばない。試合に出ない可能性が高くなるので、ベンチを温め続けても大丈夫な選手か、チームにマイナスな行動を取らない選手であるかが選考の基準になる」

     だが、フランスW杯本大会ではそれとは真反対の考え方が注目を集めることになった。この大会から3人に増えた交代枠をフル活用する戦術的交代である。ベスト4に入ったオランダ代表を率いたフース・ヒディンク監督が披露した、ベンチに下げる選手と異なるポジションの選手を投入し、ピッチ上の選手を玉突きで移動させる交代術だ。

     ヒディンクは本大会直前の最終合宿に入る前、すべての選手にFAXを送った。採用する布陣とそれぞれの選手がプレーするポジションの可能性を示した何十通りもの布陣図を、だ。最終合宿でこのすべてを試すのでそのつもりでいてくれ、とのメッセージを添えて。大会後、ヒディンクにインタビューした際、直に聞かされたエピソードなので間違いない。メンバー全員が高いモチベーションでW杯本大会に臨むことになったのだ。

     選手の多機能性をベースにした戦術的交代はこれを機に急速に浸透。選手のローテーションをそれに絡めるやり方が、短期集中トーナメントの主流になっていった。

     当時の概念を後で振り返ったとき、酷く前時代的だったと痛感させられる事例が、長くこの仕事に就いているといくつかある。ベストメンバー論はそのひとつになる。交代枠5人制に移行して数年経過したいま、26〜27年前に加茂さんが口にした選手起用法を振り返ると隔世の感に襲われる。

     2007年、後にサッカー協会の会長を務めた当時の犬飼基昭専務理事は、川崎フロンターレがACLとリーグ戦とで、メンバーの多くを入れ替えて戦ったことに対し、激しく怒って見せた。
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    三笘薫のシャビに通じる「方向性のよさ」を再認識 日本代表でも発揮できるか

     プレミアリーグ第12節、ブライトンホームのアメックススタジアムに3万1367人の観衆を集めて行なわれたシェフィールド戦。

     前戦のヨーロッパリーグ(EL)アヤックス戦で珍しく低調なプレーを見せた三笘薫は、この試合ベンチスタートとなった。プレミアリーグ、ELで8試合続けてきたフルタイム出場はここで途切れることになった。

     代表戦ウィークを控えた最後の試合である。イギリスと日本の時差は現在9時間。帰国して2日後に時差ボケと戦いながら試合をするわけだ。相手が弱小のミャンマーでも、高いパフォーマンスは望みにくい。ベンチスタートというロベルト・デ・ゼルビ監督のこの判断は、歓迎すべき話だった。
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    三笘薫は守備にかかる負担が足かせに EL出場の日本代表選手の現状を総チェック

     ヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第4節。チャンピオンズリーグが同じく残り2節を余した段で6チームが突破を決めたのに対し、ELで突破を決めたのはアタランタ(グループD)、レバークーゼン(グループH)の2チームに終わった。

     ELの場合、2位以内に入っても、CLのグループステージで3位に終わった"脱落組"とプレーオフを戦い、勝利を収めなければベスト16入りできない。ELのグループステージ2位チームにとって、CLのグループステージ3位チームはたいていの場合、格上に当たる。決勝トーナメント進出を確実にするためには、首位通過する必要がある。
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