杉山茂樹のBLOGマガジン

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[プロフィール]
  • 静岡県出身。東京都在住。AB型
  • スポーツライター
  • 得意分野はサッカーでヨーロッパが厚め
  • W杯は82年のスペイン大会以降、10大会連続現地取材
  • 五輪も夏冬併せ9度取材
  • テーマは「サッカーらしさ」「サッカーっぽさ」の追求
  • 愛称はスギッチ。サッカー番長。スタジアム評論家
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    【有料記事】番狂わせの可能性膨らむ東京ヴェルディ。気になる名波監督の守備的サッカー

     選手交代の意図を聞かれた名波監督は「ご想像にお任せします」と一言。質問を嫌った。試合後の会見の冒頭で「残酷な結果を受け止めるのに必死な状態」と、心境を吐露しているとはいえ、余裕の無さを露呈させたことは、戦術家と持ち上げられる監督らしからぬ姿に見えた。

     名波監督率いるジュビロ磐田は、ご承知のようにJリーグ最終戦で川崎Fに逆転負け。J1リーグ16位となり、来る12月8日、東京ヴェルディとの入れ替え戦に臨むことになった。

     選手の知名度、本来の実力を比較すれば、80対20で磐田が有利に見える。しかし、実際は接戦になる気がしてならない。55対45。磐田が守備的な戦いをすればするほど、その差は縮まる。東京Vに昇格のチャンスは膨らむ。

     川崎F戦。磐田が決勝ゴールを許したのは追加タイムに入った94分だった。そのプレーオフ行きは最後の最後、まさに土壇場で決定した。

     劇的な幕切れだったが、磐田がアウェーで川崎Fに敗れることは、意外な話ではない。実力的に見てその敗戦確率は7割〜8割だ。それと名古屋対湘南戦の引き分け(2-2)と、鹿島対鳥栖の引き分け(0-0)とが重なる可能性となるとグッと低くなるが、それでも2、3割はあったわけで、名波監督は「残酷な結果」と言うが、必然性は高かったのである。

     予想外な展開を作り出したのは磐田の方だった。後半33分、大久保嘉人のゴールで先制したことだ。いったん試合をリードし、好ましい展開に持ち込んだ磐田。それでいながらどうして、残酷な結果へと導かれることになったのか。問われるべきはその原因だ。残酷な結果は突如、訪れたわけではない。
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    ドーハの悲劇と、ロストフの悲劇と、Jリーグに通底する日本サッカーの気質

     J1参入プレーオフ2回戦。横浜FC(3位)対東京ヴェルディ(6位)は0-0で推移し、7分間の追加タイムに突入した。事件が起きたのは96分。東京VはCKのチャンスを得ると、そのボールは攻め上がっていたGK上福元直人に向かっていった。

     躍動感溢れるアクションから放たれたそのヘディングを、横浜GK南雄太は際どくセーブ。しかし、そのこぼれ球をドウグラス・ヴィエイラに突かれた。

     横浜FCが下位チームの東京Vに土壇場で決勝点が生まれた瞬間である。

     ご承知のように下位チームにとって引き分けは敗戦に相当し、上位チームの引き分けは勝利に相当する。つまり、敗色濃厚だった東京Vにとってこの一撃は、「ソロホーマー」ではない、まさに逆転弾に相当した。

     ホーム&アウェー方式のアウェーゴールルールに似た意味がある。精神的にもスコア的にも優位に立っていた上位チームの足下は、この瞬間、大きく揺らぐことになった。ここで1点奪い返せば、それは再逆転を意味するが、時間が押し詰まっていると焦り、慌てる。

     参入プレーオフ1回戦、大宮アルディージャ対東京Vも例外ではなかった。5位と6位のこの対決は、後半13分、東京Vが退場者を出し11人対10人の関係になっていた。スコアは0-0。東京Vは圧倒的不利な状況にあった。

     大宮はその逆。このまま時間が経過すればオッケーだった。逆転にされにくい状況であったにもかかわらず、後半25分、FKからいきなり逆転弾に相当するゴールを奪われてしまう。

     残りは20分強。それまで守備的に構えていた大宮は慌てて反撃に転じ、大型FWシモビッチを投入するなど、パワープレーに打って出た。この試合で大宮が普通にサッカーをした時間は何分もなかった。本来の力を発揮できずに敗れたという印象だ。

     試合の設定に慣れていないことが一番だと思われるが、参入プレーオフを連続して観戦すると、試合の中身が必要以上にドタバタしていたことに気付かされる。

     横浜FC対東京V戦は、繰り返すが、追加タイムは7分の表示だった。3分だと少ない。4分だと標準。5分だと長い。これが追加タイムが掲示されたときの常識的な感想だと思われるが、それが7分と出たとき、三ツ沢スタジアムを満員に埋めた観衆はざわついた。少なくとも、そのうちの2分以上は、横浜FCのGK南の怪我の処置に費やされた時間だった。

     その時、南の背後に陣取った3千人ぐらいの東京Vサポーターは、時間稼ぎではないかとブーイングを飛ばしたものだ。しかし、いざ7分の表示が掲げられると、今度は横浜FCのファンが焦った。横浜FCの選手の反応もファンと同じだったに違いない。あと1点取らなければ敗退が決まる東京Vが慌てるのは当然。だが、それと同じぐらい、いやそれ以上に横浜FCの選手も平常心を乱していた。

     そしてレフェリーだ。この日、笛を吹いたのはプロフェッショナルレフェリーの松尾一氏だったが、不必要な警告を出したり、反則を取るべき所を見逃したりと、こちらの不安定ぶりも同じレベルで目に止まった。

     乱れがちな試合を上手く収める。優秀といわれるレフェリーは選手より精神的に落ち着きがあり、一段上をゆく存在であるべきだが、この場合はそうではなかった。特殊なレギュレーションに選手と同じように慌てていた。

     東京Vのロティーナ監督は、試合後の会見で不満を口にした。昨季のプレーオフ名古屋グランパス対ジェフ千葉戦における判定のおかしさについても、それから1年経ったいま、その当事者でもないのに語っていた。

     この複雑な設定の参入プレーオフを、キチッと裁ける審判は、日本に何人いるだろうか。とはいえ、サッカーのレベルというものは、選手が審判を大きく上回ることもなければ、審判が選手を大きく上回ることもない。どっちもどっち。お互いは相殺される関係にある。

     主審のジャッジで思い出すのは、Jリーグ33節、清水エスパルス対ヴィッセル神戸戦のトラブルだ。その19分間にも及ぶ追加タイムは明らかに変だった。どこをどう解釈しても19分は長すぎた。選手のプレーも確かに問題だったが、柿沼主審のジャッジはそれを大きく超えていた。誰よりも審判がパニックに陥っていたと言われても仕方のない不手際だった。

     Jリーグ最終節。入れ替え戦に出場するチームは、名古屋グランパスで決まりか、と思われた瞬間、ジュビロ磐田が追加タイムで川崎フロンターレに逆転弾を許し、その該当チームになったーーという一件も、まさにドタバタ劇だった。よくいえばドラマチック。エンターテインメント性に溢れた展開となるが、僕の目には上等なものに映らなかった。

     日本人とサッカーの関係について、つい心配したくなる。審判を含めて、気質的に向いていないのではないか。日本はともすると、こうしたドタバタが起きそうもないお国柄に見えるが、実際はその逆。

     なぜ最後にドタバタしてしまうのか。パニックに陥るのか。その理由はもっと考察されるべきだと2018年も師走を迎えたいま改めて思う。ドーハの悲劇。そして、あのベルギー戦で大逆転を許した原因と、いまJリーグ終盤で起きている出来事と根は同じである気がして仕方がない。

    【有料記事】気になるエムバッペの可能性。バルサ、アーセナルでプレーしたアンリとの違い

     グループリーグ第5週を終了したチャンピオンズリーグ(CL)。最大の激戦区はパリサンジェルマン(PSG)、リバプール、ナポリ、レッドスター・ベオグラードの4チームが同居するC組だ。ベスト16の椅子がすでに12決まる中で、このC組はひとつも決まっていない。勝ち点3差の間に、第5週でナポリに敗れ脱落が決まったレッドスター以外の3チームがひしめいている。

     ベスト16入りするためには最終戦の勝利が不可欠。となると、アウェー戦ながらレッドスターと対戦するPSGが、直接対決するナポリ、リバプールより若干有利に見えるが、いずれにせよ最後まで予断を許さない状況だ。

     C組のレベルは確かに高い。昨季の準優勝チームで今季のプレミアでも現在2位に付けるリバプールと、フランスリーグで現在首位を独走する金満クラブのPSG。この両チームが2強かと思われたが現在、この両チームを抑えて首位に立つのはナポリ。実際、現在の立ち位置に相応しいよいサッカーを展開している。逆にPSG、リバプールには物足りなさを覚える。

     第5週では、この両チームがパルクデプランスで直接対戦した。ホームのPSGは37分までに2-0としたが、前半終了間際、PKを決められ1点差とされる。その後スコアは動かず、2-1で終了した。この結果、3位と2位だったPSGとリバプールの関係は、2位と3位に入れ替わることになった。
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    混戦CLで注目はアヤックス。 オランダ勢で12季ぶりベスト16進出

     チャンピオンズリーグ(CL)はグループリーグの第5節を終了し、全8グループ中5グループで上位2位以内が確定。計12チームがベスト16入りを決めた。逆に、最終節を待たずに13チームの脱落が決まった。上位と下位との格差が広がる傾向は年々深まるばかり。これでは、CLは決勝トーナメントでベスト16以降の戦いを見れば十分という話になりかねない。
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    まるでC級かD級のホラー映画。J1参入プレーオフはサッカーの本質からズレている

     大宮アルディージャと東京ヴェルディが対戦したJ1参入プレーオフ。気がつけば「昇格プレーオフ」という名前ではなくなっていた。

     今季から、参入プレーオフを勝ち抜いたチームがJ1の16位と昇格プレーオフを争う方式に変更になったのだ。これまで16位のチームは、17位、18位と同様、自動的に降格したが、今季から入れ替え戦=昇格プレーオフという救済措置が設けられることになった。

     降格枠、昇格枠はそれぞれ3から実質2.5に縮小された。J1のチームにとって歓迎すべき変更であり、J2のチームにとっては好ましくない変更だ。入れ替えの幅はなぜJ1有利に縮小されたのか。
     
     大宮(J2リーグ5位)対東京V(J2リーグ6位)に話を戻せば、結果は1-0で東京Vの勝利に終わった。
     
     ご承知の通り、リーグ戦で成績下位のチームが勝ち抜くためには勝利が義務づけられている。引き分け、同点ではダメ。しかもアウェー戦。ホーム&アウェーではない敵地での90分1本勝負だ。
     
     東京Vは後半13分、MF内田達也が累積2枚目の警告で退場処分に遭い10人での戦いを余儀なくされていた。1人少ない状況にもかかわらず、セットプレーから1点を奪い、勝利を掴むことに成功した。
     
     退場で10人になるまで、試合を押していたのは東京Vだった。引き分けではダメ。勝利以外道はない90分の1本勝負。力が拮抗していれば、そうなるのが自然の摂理だろう。
     
     一方が攻めて一方が守る。J1参入プレーオフは特殊な試合展開になっていた。東京Vのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は、スペイン人監督ながら守備的な手堅いサッカーをする監督として知られる。この一戦にも最終ラインに常時3人が構える3-4-2-1で臨んだ。にもかかわらず、内田が退場した後半13分まで東京Vは大宮を圧倒した。セットプレーが決まり、1-0で勝利したが、もしこれが入っていなければ、引き分けていた(敗れていた)可能性がある。
     
     実際、決定的なチャンスは、試合を優勢に進めていたにもかかわらず、ほぼゼロだった。リスクを負わない攻撃だったからだ。最終ラインには繰り返すが常時3人残っていた。2バックで対応する4バックの一般的な布陣より1人余っていた。言い換えれば、前線に1人少なかった。
     
     FKから平智広のヘディングシュートが決まったのは後半26分だが、それが決まっていなければ、ロティーナ監督は10人になっていたとはいえ、4バックにして前線に1人人数を増やして、得点を狙いに行ったのではないだろうか。
     
     勝利以外に道はないにもかかわらず、実際のサッカーはあまり攻撃的ではない。大宮戦ではその特殊性が露わになることはなかったが、次戦対横浜FC戦ではどうだろうか。

     終盤、大宮の猛攻を耐え忍び、無失点で切り抜けると、東京Vの選手はまるで昇格を決めたかのように歓びを爆発させた。J1昇格までの道のりは長い。残された90分1本勝負のアウェー戦2試合を、2連勝で切り抜ける必要がある。少し喜びすぎのように見えたが、それ以上に違和感を覚えたのが、厳しすぎる昇格の条件だ。

     入れ替え戦=昇格プレーオフぐらいはホーム&アウェーで、と言いたくなる。先ほど2.5枠と述べたが、J1の16位側にはホームで戦える利点も加わるので、実際には2.2枠ぐらいだ。3枠から一気に0.8減った計算になる。J1側になぜ急にここまで有利な設定に変わったのか。

     戦う前から両チームには大きなハンディ差が存在する。これでは試合の戦い方に大きな影響が出る。この大宮対東京V戦がそうだったように、試合は大味になりがちだ。引き分けでもいい上位チーム(大宮)は、慎重に試合を進めようとする。その結果、精神的に守勢に回る。

     で、相手に1点奪われ、得点が必要になると急に攻め始める。この試合では東京V側に退場者が出たこともあるが、大宮はそれを機に、今度はほぼ一方的にしかもパワープレーを頻繁に交えながら攻め立てた。

     普通の状態がないので、試合は絶えずドタバタと荒れていた。日本人選手はパニックに陥りやすい気質であると見ているが、その悪い癖が発揮されやすい環境になっていた。エンタメ性に溢れた展開とも言えるが、それは上級ではけっしてない。B級ホラーという言い回しがあるが、この際、それは褒めすぎで、C級かD級のホラーというべきだろう。

     主審の腕がよくないと、試合が荒れる可能性も秘めている。実際、この試合でも東京Vは退場者を出したが、内田に2枚目のイエローを翳した高山主審の笛は、いささか厳しいように見えた。

     90分1本勝負では、それで試合が決まってしまう可能性が高い。東京Vは、それを最大3試合続けてクリアしなければJ1昇格を果たせない。入れ替えの制度として問題ありといいたくなる。もう少し本来の実力が発揮されやすいフェアで真っ当な試合が見たい。今季から変更になった参入プレーオフ、昇格プレーオフの仕組みは、サッカーの本質から外れている気がする。来季から再考を促したい。せめて昇格プレーオフは、延長ありのホーム&アウェーで行うべきだろう。

    JFA審判委員長が語る「VAR導入が与える ジャッジやプレーへの影響」

     ロシアW杯でおなじみになったVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)。各国リーグで続々と導入されており、Jリーグでも近い将来、導入される可能性は高い。そもそもVARとは何か。また、それが導入されることでジャッジやプレーにどういう影響があるのか。日本サッカー協会(JFA)の小川佳実審判委員長に聞いた。
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    日本も導入間近? JFA審判委員長に聞く 「VARでサッカーはこうなる」

    小川佳実JFA審判委員長インタビュー(前編)

     ロシアW杯で導入され、一躍、脚光を浴びることになったVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)。今季はスペイン、ドイツなど、欧州の主要リーグでも続々と導入され、サッカーシーンにまたたく間に浸透した。思いのほか早く馴染み、市民権を得ることになった。Jリーグにも近い将来、導入されることになるだろうが、それはいつ頃になるのか。
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    【有料記事】ボール支配率は、なぜ上がらないのか。見えてきた森保ジャパンの特性

     ベネズエラとキルギス。その前に戦ったウルグアイとの差は著しかった。ベネズエラは2010年、2014年に続く来日。コンスタントに遠路はるばる日本まで、アウェー戦に訪れてくれるありがたい存在ながら、今回のチームの力は4年前、8年前のチームに劣っていた。

     ベネズエラと言えば南米10ヶ国の中で唯一W杯本大会に駒を進めたことがない実績に乏しい国。毎度最下位候補ながら、2010年南アW杯南米予選では8位。2014年ブラジルW杯南米予選では6位と健闘したが、直近のロシアW杯南米予選では定位置の最下位に終わっている。

     ただしFIFAランキングは29位で、日本(50位)より上だ。昨年のU-21W杯でも準優勝を飾ったが、だからといってベネズエラを格上と称し、リスペクトするのはどうかと思う。日本のテレビの話だが、アナ氏が読み上げる「格上ベネズエラと引き分け!」とのニュース原稿を耳にすると、いまだ無理な盛り上げをしなければ、世の中がうまく回らないサッカー界の実情を見るようで悲しくなる。

     続くキルギスも、アジアカップのグループリーグで対戦するトルクメニスタン、ウズベキスタンの仮想敵国とされていた。これまた無理を感じずにはいられない宣伝文句である。

     実際、キルギスは思い切り弱かった。FKで2-0とするゴールを叩き出した原口元気が、直後に見せた表情にすべては集約されていた。難しくないそのシュートを相手GKが後逸。まさに喜べないゴールとなった。

     レベル的にはW杯アジア予選の最初のラウンドで対戦するチームと同じぐらい。前回で言えばアフガニスタン。前々回で言えばタジキスタンとなるが、これらの対戦はあくまでも組み合わせ抽選によるものだ。意図的に組まれた親善試合の相手となると、いつ以来の対戦になるか。日本代表の取材経験が長いこちらだが、これほど弱い相手はちょっと記憶にない。親善試合をテストマッチとスマートに呼ぼうとすると、なおさら痛々しく感じる。
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    大谷翔平がサッカー選手だったら、ズラタン・イブラヒモビッチになれただろうか

     大谷翔平選手が帰国。記者会見を行う姿をテレビで眺めながら思った。もし野球ではなくてサッカーを選択していたら、どれほどの選手になっていただろうか。日本のズラタン・イブラヒモビッチになれただろうか、と。日本代表でプレーする姿を想像してみた。
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    MLBやバロンドールに学べ。大谷翔平の新人王受賞に思う記者投票の重要性

     大谷翔平選手がMLBの最優秀新人選手賞に輝いたというニュース。日本で普段、サッカーを取材している者にはとても羨ましく見える。大谷選手と言えば、身長の低い選手に好選手が集中する日本のサッカー界にはまったく存在しないタイプ。受賞は羨ましいと言うより画期的な出来事。羨ましいと感じるのは、最優秀新人選手賞(新人王)の選定方法にある。

     全米野球記者協会に所属する会員の投票によって決定されるという事実だ。同協会会員の投票で決まる賞は最優秀新人選手賞だけではない。最優秀選手賞、サイ・ヤング賞、そして最優秀監督賞もこの方式だ。投票資格は全米野球記者協会に10年以上在籍している記者にあるとのこと。日本でサッカー取材をメインに活動しているフリーランスライターの1人として、これこそが羨ましく見える点なのだ。

     翻ってJリーグはと言えば、ベスト11、年間最優秀選手賞とも選手、監督の投票だ。それを選考委員会なる組織がポジション別に整理して、発表するスタイルをJリーグ発足当時から25年間貫いている。記者は指をくわえて眺めているだけ。蚊帳の外に置かれた状態が続いている。

     発足当時、確かに日本の記者にベスト11を選定する力はなかった。Jリーグが急に誕生したため、専門性の高い記者の絶対数が不足していたからだ。選手、監督の投票に頼るのもやむなしという状態だったが、10年経てば立派な記者だ。全米野球記者協会に習えば、投票資格を得ることになる。

     Jリーグ元年から、もっと言えば日本リーグ時代から、取材を続けているこちらは年数的にはウン十年の経験がある。とは言っても日本は広い。J1に所属する18チームの試合を、生で均等に観戦取材することはできない。遠くのチームを見る機会は近くのチームを見る機会より少ない。すべてのチームを真にフェアな目で見ることができているかといえばノーだ。応援しているチームは特にないが、観戦に偏りがあることは認めないわけにはいかない。

     だが、その自覚はある。アンフェアにならないように可能な限りアンテナを巡らしている。もし投票資格を有することになったら、その点にますます気を配るだろう。

     投票資格を有する全米野球記者協会の記者も同じだと思う。アメリカは日本以上に広い。チーム数も多く、リーグも細分化されている。それでも各賞は記者投票の結果に委ねられている。

     記者が野球界から信用されているという感じだ。記者の地位の高さを証明する事例でもある。

     日本のプロ野球もベストイレブンは記者投票で選出される。サッカーより羨ましい環境にある。しかし投票権を持つのは基本的に新聞社協会に属しているメディアの記者に限られる。フリーランスに門戸は全く開かれていない。総合的に見て今日的なのは、断然サッカーだ。

     海外サッカーで、わかりやすい例は「バロンドール」だ。こちらも記者投票だが、ご承知のように、主宰しているのはフランス・フットボール誌というフランスのサッカー専門誌だ。2010年から「FIFA年間最優秀選手賞」と合体し、「FIFAバロンドール」と命名されたが、2016年に再び袂を分かち、現在に至っている。

     FIFA年間最優秀選手賞は、各国代表チームの監督と主将に投票権があるJリーグのベスト11と同じ選出法の賞だった。

     片やフランスフットボール誌選定のバロンドールは記者投票。両者が合体した2010年から2015年まで6年間も、この方式で行われた。

     再び別れたいま、FIFA年間最優秀選手賞は、投票方式もかつてのやり方に戻し「ザ・ベストFIFAフットボールアウォーズ」として存在する。どちらの賞の方が権威があるかと言えば断然、バロンドールになる。記者投票の重さを再認識させられる一件だ。

     選手、監督が選ぶ賞を否定するわけではないが、どちらかひとつとなれば記者投票だろう。内輪で選ぶより、外部を巻き込んだ方が広がりも生まれる。公的な度合いが増す。記者の職能の向上にも貢献するだろう。選手と記者との間によい緊張関係も生まれるはずだ。

     さらに言えば、報道の自由度を高める効果もある。日本のそれは世界で72番目と言うことらしいが、スポーツ界も例外には見えない。サッカー界もしかりだが、世界と接する機会が多い競技でもある。日本の伝統や古い習慣に準拠するのではなく世界の流れに従って欲しい。日本のスポーツ界をリードする存在であるためにも、ベスト11の選定方式は、記者投票に変更すべきだと思う。

    1軍と2軍が明確になった森保ジャパン。 アジアカップに向けて悪材料

     後半なかばから、柴崎岳(ヘタフェ)、大迫勇也(ブレーメン)、堂安律(フローニンゲン)、吉田麻也(サウサンプトン)、中島翔哉(ポルティモネンセ)、南野拓実(ザルツブルク)が次々に交代選手としてピッチに現れると、スタジアムは1軍選手の登場を喜ぶかのような華やいだムードに包まれた。
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