杉山茂樹のBLOGマガジン

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  • 静岡県出身。東京都在住。AB型
  • スポーツライター
  • 得意分野はサッカーでヨーロッパが厚め
  • W杯は82年のスペイン大会以降、9大会連続現地取材
  • 五輪も夏冬併せ9度取材
  • テーマは「サッカーらしさ」「サッカーっぽさ」の追求
  • 愛称はスギッチ。サッカー番長。スタジアム評論家
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【メルマガ】CS優勝の価値とプレーの可能性を向上させた柴崎の左サイドハーフ起用

 チャンピオンシップ決勝で浦和を下し優勝を飾った鹿島。石井監督の采配で目
を引いたのは、柴崎岳の置き場所だ。交代で出場した第1戦、先発を飾った第2
戦とも、起用したポジションは左のサイドハーフ。

 頭を過ぎったのは、デルピエーロだ。93−94シーズン、パドヴァからユベント
スに移籍すると翌シーズン、10代でスタメンの座を不動のものにした。左サイド
ハーフとして、だ。

 当時、マルチェロ・リッピ監督が採用した布陣は中盤フラット型4−4−2。
80年代末からイタリアで流行し始めたプレッシングサッカーの代名詞と言うべき
布陣だ。鹿島の4−4−2は、中盤フラット型と言うより、真ん中で構える2人の
中盤選手が、両サイドハーフより若干、下がり気味に構えるが、それぞれは、ゲー
ムメーカータイプの選手に最適なポジションが用意されていないという点で一致す
る。

 イタリアではその後、プレッシングの流行が止まり、中盤フラット型4−4−2
も衰退。後方で守るカテナチオが復活し、布陣も二等辺三角形を描きやすい守備
的サッカーの定番と言われる3−4−1−2に変わっていった。10番タイプの選手
にとって、歓迎すべき事象となった。2トップ下という、キャラにうってつけのポ
ジションが誕生したからだ。

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ペトロヴィッチの限界を見たCS決勝。浦和はいつまで引っ張るのか

 さいたまスタジアムは、最寄り駅である浦和美園駅から、徒歩で30分近く離れた場所にある。アクセスの悪さこそが、このスタジアム最大の問題。勝ったチームはともかく、負けたチームのサポーターにとってその帰路は、オケラ街道さながらの憂鬱な道のりになる。

 チャンピオンシップ決勝第2戦。その終了後、家路を急ごうと駅を目指して早足に歩けば、敗者となった浦和サポーターのこぼす愚痴の数々が、否応なく耳に入り込んできた。

「このサッカーでもし勝っても、なんか嬉しくないんだよね、俺は」。印象に残ったのはこの台詞。サポーターの間で、サッカーそのものへの不満が燻っていることは、この30分弱の道のりを行くだけで、かなり鮮明になった。

 浦和と鹿島。勝利が順当な結果に見えるのは浦和だ。その2015年の売り上げは約61億円。2位FC東京に約14億円差をつけ断トツの首位を行く。鹿島は43億円で17億円差の5位。2015年に限った話ではない。浦和の断トツリードは、もう何年も続く傾向だ。

 試合後、チャンピオンシップのレギュレーションに対する不満を口にしたペトロヴィッチ監督。だが、他のどの監督より、恵まれた環境下に置かれている自覚がないはずがない。常勝軍団であるべきだとは言わないが、予算規模断トツチームに相応しい、王道を行く、世俗的ではない超然としたサッカーを示す任務が監督にはある。日本サッカーのためにも。そうした視点で決勝戦を眺めると、浦和のサッカーが、とてもみみっちく見えた。

 カシマスタジアムで行われた第1戦。1−0でリードした浦和は、後半の途中から、攻撃の手を緩めた。追加点を狙いに行くことより、1−0を維持しようと、後ろに下がった。それまで、上手にサッカーを進めていたのは浦和。浦和は、自らの手でよい流れを止めた。

 後半29分に行われた武藤と青木の交代、言い換えれば、アタッカーを落とし、守備的MFを投入する交代は、「より守備的に」というペトロヴィッチからのメッセージに聞こえた。瞬間、危ないと思わずにはいられなかった。

 アウェイゴールルールで行われるこの決勝戦。年間チャンピオンチームが有利になるのは、そのルールに照らしても同点になる場合のみだ。ユーロや欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメント等々を眺めれば、PK戦に及ぶケースはせいぜい10%程度。第2戦の試合後、アドバンテージの程が少なすぎると、不満を漏らしたペトロヴィッチ。だが、それは最初から分かっていたはずだ。問題は、それを知っていたにもかかわらず、積極的にアウェイゴールを狙いに行かず、守りを固める“穴熊戦法”にすがった点にある。

 もし浦和が2−0にすることができれば、鹿島は第2戦で3点以上が必要になる。浦和優勝の可能性はグッと増す。逆に1−1に追いつかれても、アウェイゴールルールと、2戦の合計がオールスクエアになっても浦和勝利という、2つのアドバンテージが残る。そこでの1得点は通常の1得点より、はるかに貴重であるのに対し、1失点は、通常の1失点よりショックの程が低い。

 そうした好条件にもかかわらず、守りに入ったペトロヴィッチ。「攻撃的サッカーだ!」と、これまで胸を張るシーンに何度か遭遇しているが、実際には、その真反対に位置するサッカーであることが、白日の下に晒された瞬間だった。

 第2戦。浦和は前半7分、早々に1点先制する。だが、2対1で勝たない限り優勝はないという鹿島のハンディに変わりはない。興梠が挙げた浦和の先制点に重みは一切、存在しなかった。その盲点を鹿島は突く。むしろその挑戦者精神を加速させた。

 だが、前半40分、金崎にゴールを許すまで、浦和の選手の危機意識は低そうだった。勢いがなくなったその後のプレイと比較すれば、違いは明らかになった。

 それを境に不安を覗かせるようになった選手。応援の音量を低下させた浦和サポーターの姿も鮮明になった。スタンドの1割にも満たない鹿島サポーターが活気づき、その他大勢の浦和サポーターが沈黙するバランスの悪いにスタジアム内の構図に、危ないムードはプンプンと漂っていた。

 ペトロヴィッチは、そのタイミングで高木に代え、再び青木を投入。第1戦と同種のより守備的な交代を行った。守る浦和、攻める鹿島。この構図を浦和の監督自らが描き出そうとした。

 かつて、ミラン等、イタリアのクラブはその方法で成功した。バルサに対して、前評判で劣りながら勝利をモノにしている。だが先述の通り、浦和対鹿島は、資金力豊富な強者と弱者の関係にある。

 ペトロヴィッチが監督に就任して丸5年。絶えず優勝候補に挙げられながら、優勝はもちろん、王者らしい振る舞いができずにいる浦和。力がありそうなのにそれができない理由は、監督のサッカーの志向性と密接な関係がある。浦和という日本を代表するビッグクラブと、ペトロヴィッチとの相性はよろしくない。なにより敗れたときに、大きな悔いが残る。格好悪く映る。

 なぜちゃんと攻めなかったのか、日本一の強者なのに、小心者のようなサッカーをするのか。ペトロヴィッチはサンフレッチェ広島の監督ではないのだ。

 敗れても、強者に相応しい王道を行く模範的なサッカーを披露したなら救いはある。浦和ファンは意気消沈しても、他のクラブのファンは浦和を陰でこっそりリスペクトする。浦和に偉大さを覚えるものだ。つまり、愛されキャラになる。全国各地に隠れ浦和ファンは、多く存在することになるだろう。いまよりはるかに。浦和はペトロヴィッチをいつまで引っ張るつもりなのか。

 ペトロヴィッチの限界を見たチャンピオンシップ決勝。鹿島の石井監督の方が、僕の目には断然上に映るのだった。

東京五輪ボランティアユニフォーム騒動。その本来の任務とのギャップに内向きニッポンを垣間見る

 小池都知事のツルの一声で、デザインの見直しが決まったボランティア・スタッフのユニフォーム問題。舛添前都知事がゴーを出したデザインより、小池都知事の、ケチの付け所に僕は違和感を抱く。

「色がバラバラ。これを着たいからボランティアになりますという話も聞かれない。都民が着たくなるようなものにすることが東京のPRになる」と、小池都知事は、こんなデザインのユニフォームを着るのは、東京の不名誉だと間接的に述べたわけだ。

 ワイドショーでは、それを受けてコメンテーターが議論を始めた。著名なデザイナーも登場。独自の思いを語った。中には、見直しによる経済的な損失を指摘する人もいたが、大勢を占めたのは舛添前都知事がゴーを出した案はダサいという意見。ネットの記事やSNS等々でも、それに呼応するような反応が飛び交った。小池都知事の人気ぶりを示す一件と言える。
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【メルマガ】東京五輪会場問題。ファーストが都民では恥ずかしい。思い出すべきは「お・も・て・な・し」

 プレイヤーズ・ファースト。アスリート・ファースト。新国立競技場建設の設
計デザインで揺れていた頃、しきりに登場したのがこのフレーズだ。なにより選
手の要望に立脚すべし。選手にとって理想的なスタジアムを建てるべきだと叫ば
れていた。

 だが、そう言い切ってしまっていいものだろうかと僕はいささか懐疑的な目で
見ていた。競技会の主役は確かに選手。世界最高水準の選手が集う五輪の場合は
とりわけだ。しかし、観衆なくして五輪は成立しない。好記録も観衆なしには期
待できない。観衆もいわば参加者。五輪にとって必要不可欠な要素になる。

 五輪のスタンドは国際色豊かだ。観衆は世界各国から訪れる。実際、IOC総
会の最終プレゼンテーションで、滝川クリステル氏は「お・も・て・な・し」を
決め台詞のように使い、開催をたぐり寄せた経緯がある。スタジアムこそ、一番
のおもてなしの場所になる。観戦者ファーストは、スタジアム建設において、プ
レイヤーズ・ファーストと同じぐらい重要なコンセプトなのだ。

 しかし、いま最も声高に叫ばれているファーストは都民だ。豊洲市場の問題な
ら、そりゃそうだと完全に納得するが、小池都知事は五輪のボート会場の問題に
まで、それを適用している。

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【メルマガ】選手としていかに格好よく老いていくか。本田圭佑に今こそ奨めたいカズの生き様

 サウジアラビア戦でスタメン落ちした本田と香川。1試合限りの突発的事件な
のか。今後も継続しそうな深刻な問題なのか。所属チームで試合に出場できない
ことが外された一番の理由だとすれば、それぞれの監督から、低評価を下されて
いる現状を踏まえると、重大な問題と捉えるべきだろう。

 早急な移籍こそが、スタメン出場への必須条件。だが、移籍には相手が必要だ。
金銭的な問題も、年齢的な問題も絡む。

 出場時間で上回るのは香川。世間的評価がそれに比例するとすれば、興味を示
すクラブはあるハズだ。しかし、彼の場合は移籍金が高い。ドルトムントはマン
Uから10億円以上で買い戻しているので、放出する場合、それに近い金額でない
と割が合わない。それでも欲しいというクラブは現れるのか。半額でも苦しい。
ドルトムントが金額を損を承知で大幅に引き下げるなら可能性は開けるが、渋れ
ば残留。飼い殺しの運命が待っている。代表スタメンの座は遠くなるばかり。

 一方、本田はミランに、CSKAモスクワから移籍金ゼロでやってきた。その
点では、香川より放出しやすい選手と言えるが、今季の出場時間は僅か81分。戦
力外同然の状態にある。世間的評価も低そうだ。実際、欧州の知られたクラブで
獲得の動きを見せているクラブはないと聞く。現状で獲得の用意があるクラブは
中国スーパーリーグの上海上港のみらしい。この状況に変化がなく、その一方で
日本代表のスタメンを望むなら、上海に行くしか方法はない。
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模範的サッカー。川崎を下した鹿島に好印象を抱いた理由

 チャンピオンシップ準決勝で、川崎フロンターレを1−0で下し、決勝進出を決めた鹿島アントラーズ。それは好印象を抱かせた上での価値ある勝利だった。

 何と言っても見た目が奇麗だった。

 パスワーク自慢の川崎の方が、奇麗さという点で勝るような印象を受ける。一般的な評価は、ともすると逆だ。しかし川崎のサッカーは、これまでも述べてきたが、進むべき方向性に難がある。いるべき場所、使った方がいい場所や方向に人がいない。局面の戦いにこだわるあまり、展開の鮮やかさという点に物足りなさが残るのだ。フォーメーションは大抵、崩れた状態にある。したがって、そのパスワークにはどこか無理を感じる。円滑に進まない。バランスよく整っていないのだ。
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3つのポイントが示す非サッカー的な日本人気質

 予想されたことではある。

 先日のサウジアラビア戦で、本田圭佑と香川真司が先発を外れた一件は、まさに事件に値した。遅すぎる決断とは、こちらの見解だが、それはともかく、外れるか否かは戦前の一番の関心事だった。メディアの多くの予想は「2人ともに外れる」で、前日のスポーツニュースに出演していた元選手の評論家も例外ではなかった。

 だが、彼らを含むその多くは、「外すべきだ」とは言わなかった。もちろんその逆も含めてだが、スタメンを予想することだけにほぼ終始した。

 ハリルホジッチの去就にまつわる問題も、「解任すべきだ」とは言わない。「続投すべきだ」とも言わない。「ただ、協会内部には依然として解任論を唱える声は多く……」と、先行きが不透明であることを伝えるに止めている。

 自らの意見を語ることはまずない。本田、香川は外すべき。あるいは、ハリルホジッチは解任すべきと述べる人は、必然的に辛口として扱われる。本田、香川は使うべき。ハリルホジッチは続投させるべきとの意見も出ないので、世の中には甘口も存在しない。意見を述べる人はすべて辛口。意見を述べようとしない、安全ゾーンに身を潜める人からそう言われると、無性に腹が立つ。人間不信に陥るとは大袈裟だが、ダメなモノを見てしまったような暗澹たる気持ちに、毎度のことながら襲われる。

 外国にはあり得ない話。その2番目は応援だ。サウジ戦の応援風景を見た欧州在住者は、試合を観戦しながらこう漏らした。「同じ曲をずっと歌ってるんですね」。実際には応援歌は幾つか存在するが、同じ曲に聞こえてしまう理由は、その単調さにある。スタンドは常時、盛り上がっているかのように見える。だが、一定のリズム、テンポで刻まれるので、メリハリがなく、パンチ力に欠ける。それがのべつ幕なし続くので、開始して10分も経つと威圧感のないBGMに聞こえてくる。

 見ている、ピッチ上の選手からは見られている緊張関係に乏しい応援風景なのだ。審判の判定に、なにより即座に反応できていない。これでは審判や、相手チームにプレッシャーは掛からない。応援の目的が何なのか、伝わってこないのだ。歌は抑揚なくずっと歌われ続ける。が、効果的ではない。日本代表戦に限った話ではない。Jリーグの応援にも通底する傾向だが、世界的には珍しい応援風景になる。日本の常識は世界の非常識と言われるものは数多いが、欧州在住者の感想に基づけば、これもそのひとつになる。

 3番目は、判定に対する反応だ。サウジアラビアの監督、ファンマルヴァイクは前半終了間際、シンガポール人の主審が吹いたPKの笛について試合後の会見でこう述べた。「ハーフタイムにビデオで確認したが、ハンドには見えなかった」。比較的淡々と。激高するわけでもなく。

 清武のシュートをブロックした場所は胸。その跳ね返りのボールが腕をかすめたかどうかは微妙だが、PKを取ってもらえなくても文句の言えない、日本贔屓の判定だった。笛が吹かれなければ、結果はどうなっていたか。この予選の行くえを左右する大きな大きな判定。ハリルホジッチのクビを繋ぎ止めた(?)判定。さらには、UAE戦の判定(ゴールを割っていたかに見えたがノーゴール)を相殺するPK判定とも言える。

 UAE戦の判定には、「ゴールを奪われた」と、後々までしつこく不満を口にしたハリルホジッチだが、今回は、その件について一切触れなかった。UAE戦でのカタール人の主審の判定には、あれだけ騒いでおきながら、シンガポールの笛にはコメントなし。落ち着いた様子のファンマルヴァイクとの差、監督としての器の違いを見せられた瞬間だった。

 だが、ここでの本題はハリルホジッチの態度ではない。日本人の気質だ。日本のメディアも、UAE戦後、いわゆる中東の笛に過剰なまでに反応。ハリルホジッチと同じような勢いで、判定に異を唱えた。主審の判定はいわば天の配剤。不利益を被ることもあれば、利益に繋がることもあると、大局的な見地で眺めることができなかった。

 サウジ戦におけるシンガポールの笛に、大喜びしたのなら対の関係となり相殺されることになるが、その点には、ほぼ触れず終い。ハリルホジッチと同類になってしまった。例えば、日曜朝の高視聴率番組、サンデーモーニングでは、試合を振り返るVTRに、問題のシーンは盛り込まれていなかった。いきなりPKを蹴るシーンから始まった。

 自分たちの不利は騒ぐだけ騒いでおきながら、ラッキーには沈黙。バランスの悪さ、さらに言えば格好悪さ、ここに極まれりである。

 少しでもリスクがある案件には、意見さえ述べようとせず、一方で、意見を述べる人を辛口と称す。盛り上がっているように見えるが、ピッチ上にはあまり反映されていない応援風景。そして主審の判定に対するバランス感覚に欠ける反応等々、僕にはそれらが非サッカー的なものに見える。サッカーというスポーツの勝手が分かっていない、サッカー文化から逸脱した事象だ。ハリルホジッチが、UAE戦の笛について、いつまでもくどくど訴える姿も、そんな非サッカー的な日本人気質を見透かした、賛同狙いのポーズに見えてしまう。

 その国のサッカーのレベルは、サッカーを構成する要素の平均値。日本が苦戦する原因を、プレイ以外の要素にも垣間見てしまうのである。

【メルマガ】ハリルジャパンに求められる「航海士」のエッセンス

 J1の最終節で、ガンバ大阪に痛恨の逆転負けを喫し、年間優勝を逃した川崎
フロンターレ。前回のメルマガでは、その敗因について考察したが、日本代表が
抱える傾向もまるで同じだ。次に進むべき進路。選択する方向のまずさが、リズ
ム、テンポを乱す原因、さらには試合運びを不安定にさせる原因だと見る。

 速攻ではなく遅攻に切り替わった際に露見する傾向だが、先のオマーン戦でも、
昨日のサウジ戦でも、指針のない攻撃が目に付いた。行き当たりばったりの攻撃。
出たとこ勝負の攻撃。その場のフィーリングに任せた攻撃。相手の弱点より、自
分たちの都合を重視するボール回し等々、様々な言い方ができるが、ザックリと
言えば、展開力の欠如だ。

 サウジ戦。見るべきものは相手側にあった。彼らが、洒脱で流ちょうなパス回
しを展開したわけではない。ともすると、日本のパス回しよりどんくさく映った
が、その1本1本のパスには意図が感じられた。ボールをどちらに持ち出していく
のが適切か。今いる場所から、目指すべき場所へのルーティングを模索しながら
パス交換を演じるシーンが目に付いた。サイドチェンジも、幾度か決めていた。

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「本田、香川抜き」が成功のサウジ戦。ひと安心のいま必要なことは?

 2−1。グループで首位を行くサウジアラビアに勝利したうえ、オーストラリアがこの日、タイに引き分けたため、日本はグループ2位、すなわち自動出場圏内に順位を上げた。まずはひと安心。来年3月に再開される後半戦に、前向きな姿勢で臨めることになった。「やばいぞ!」という危機感はひとまず収束。監督交代話も立ち消えになりそうな雲行きだ。
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本田と香川。足りていないのは試合勘だけではない。

 サウジアラビア戦で、スタメンから外される可能性が出て来た本田と香川。香川は怪我も関係しているらしいが、一番の問題は、所属クラブで出場機会を得られないことだ。ではなぜ出られないのか。監督との相性の悪さもあるだろうが、所属クラブのレベルに、自身のレベルが追いついていないことが一番だ。

 かつては出場できていたが、その数は次第に減少。そして今季に至ったわけだが、下り坂であることは前々から分かっていた。急に発生した事態ではない。大一番を前にしたこのバタバタ劇は、想像力不足が招いた準備不足。そのための仕込みをしてこなかった監督(だけではないが)の楽観的思考に原因がある。

 本田の場合は、試合勘の無さもさることながら、全盛期に比べ技術的にも後退した。一目瞭然なのは馬力。オマーン戦の後半14分、正面から放ったシュートシーンで言えば、かつてならドカンと、もっと強いシュートが打てていた。強シューターとしての魅力は、どこかに葬り去られた状態にある。

 キープ力。縦への推進力も減退した。例えば、かつては4−2−3−1の3の右を務めても、内へ入るばかりではなく縦突破にもトライし、成功させていた。中央に折り返す段で、利き足ではない右足のキックを迫られたこともある。最近のコメントで自身の足の遅さについて言及した本田だが、それが縦突破をしない理由の一つのように聞こえたので、あえて言わせてもらえば、縦突破に最も必要なのはスピードではない。逆を取る力とその感覚だ。

 馬力もさることながら、逆を取る力が最も衰えた点であるような気がする。言い換えれば、1対1で相手を抜く力だ。その瞬間、かつては相手のマーカーに対して、常に優位に立っていた。何を隠そう、本田を高校選手権で初めて見た時、この選手はモノが違うとピンときたのだけれど、その一番の理由は、1対1における迫力満点の面構えだった。相手を怖じ気づかせるような強気の姿勢に、これはタマが違うとその将来に期待を膨らませたものだが、そうした場を圧倒する凄みを、いまの本田に見ることはできない。相手を呑んで掛かることができていない。

 縦ではなく横へ移動。すなわち真ん中に入り込む傾向が、年々強まっている。FWと言うより、それはMF的な行動だ。1対1を避け、安住の地を求めて彷徨う弱気、功を焦る自信のなさが見え隠れする。

 いるべき場所にいない。求められているものと異なる方向に進めば、チームとしてのバランスは崩れる。結果として、右SB酒井宏樹は孤立。攻撃参加したくても、本田と絡むことができないので、攻め上がりは単騎になる。成功する見込みは立ちにくい上に、背後も危険に曝されるので、自重が最善の選択になる。

 オマーン戦で、酒井宏樹と本田が、右サイドを協力しながら突いたシーンは何度あっただろうか。左右のバランスは大きく崩れた状態に陥った。

 さらに言えば、相手が強くなれば、日本の右サイド(相手の左サイドは)、数的不利に陥る可能性が高い。ディフェンス能力の低い穴が生じることは見えている。

 ハリルホジッチがオーストラリア戦で、本田をセンターフォワードで起用した大きな理由だと思う。最初から真ん中に置き、従来の本田のポジションに小林を起用すれば、右サイドに穴は発生しない。オマーンのような弱い相手なら、致命傷にはならないが、強い相手には、右、本田は大きなリスクになる。

 サウジは現在、グループで首位を行く簡単ではない相手。右の本田はリスクになりかねない存在だ。そうした視点に立てば、オーストラリア戦のようにセンターフォワードで起用したくなるが、今回は、オマーン戦で2ゴールを挙げ、好調をアピールした大迫がいる。センターフォワードとしての力をシンプルに比べれば、軍配は大迫に挙がる。本田のスタメン落ちは筋の通る適切な選択になる。

 サウジ戦を前にして「俺はこれまで代表で、自分の力で道を切り開いてきたと思っている。代表に相応しい選手かどうかは自分で判断できる」と、経験と貢献度を主張した本田。しかし、代表チームは循環する集団だ。入り口と出口の門は常に開いている。その上、サウジ戦は大一番。絶対に負けられない、それこそ甲子園の高校野球を連想させるトーナメント戦に近い戦いだ。リーグ戦を戦うクラブチームより、はるかにシビアな状態にある。問われているのはいま。過去ではない。

 もう一人のエース香川についても触れておきたい。彼の最大の問題は1トップ下しかできない非ユーティリティ性にある。右サイドができない理由を彼は「右利きなので」と語ったそうだが、右利きでも右サイドで活躍した選手は過去にごまんといる(もちろん現在にも)。苦手な理由は、右サイドとしての技術的追求を怠ってきたからだと思う。

 ならば、左サイドが得意なのかと言えば、ザックジャパン時代を見れば明らか。左サイドにいたたまれず、真ん中に入り込んでしまう癖が、ブラジルW杯初戦、コートジボワール戦で致命傷となったのは記憶に新しい。「力が同じならユーティリティ性が高い方を選ぶ」とは、ヒディンクを初めとする欧州の多くの監督から聞いた言葉だが、ドルトムントで出場機会が激減した理由でもあろう。

 現在の日本代表では清武との比較になるが、彼は右も左もできる。なんとかこなすことができる。この差は大きい。香川より清武を先発で起用した方が、メンバー交代等、その後の選択肢は増える。香川が真ん中で圧倒的な力を発揮しているなら話は別だが、代表でそうした試合にお目に掛かったケースはごく僅か。こちらもスタメン落ちは、順当な判断になる。

 本田と香川。足りていないのは試合勘だけではない。実力不足も、以前から目立っていたのだ。外すか外さないかの議論は、繰り返しになるが、もっと早くから湧き起こっているべきだったのだ。日本が苦戦を強いられているそれこそが一番の問題。僕の目にはそう映る。

ハリル解任に備えあれば憂いなし。日本代表の新監督候補はこんなにいる

 W杯予選の最中に日本代表監督が交代したのは19年前に遡る。98年フランスW杯アジア最終予選。加茂周から岡田武史への交代だ。実行されたのは全8試合中、4試合を消化した折り返しのタイミングだった。

 その時、日本の順位はグループ3位(勝ち点5)。プレーオフ(別グループの2位チームと戦う)進出圏内の2位はUAE(同7)で、勝ち点2のリードを許していた。監督交代後、日本は残る4試合で勝ち点8を積み上げて2位に滑り込み、ジョホールバル(マレーシア)で行なわれたイランとのプレーオフに進出。そこで逆転勝利を飾り、W杯初出場を決めた。
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