杉山茂樹のBLOGマガジン

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  • [プロフィール]
  • 静岡県出身。東京都在住。AB型
  • スポーツライター
  • 得意分野はサッカーでヨーロッパが厚め
  • W杯は82年のスペイン大会以降、9大会連続現地取材
  • 五輪も夏冬併せ9度取材
  • テーマは「サッカーらしさ」「サッカーっぽさ」の追求
  • 愛称はスギッチ。サッカー番長。スタジアム評論家
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危機感のない脳天気な敗退。日本が見習うべきはスペインではなくアイスランドの番狂わせ

 別のコンセプトを提示できなかったものだろうか。イタリアの術中にはまり敗れるスペインを見て思ったことだ。攻めるスペイン。守るイタリア。この構図に遭遇するのは何回目か。ストーリーや「落ち」が最初から分かっている、お約束のお芝居。お決まりの展開だ。水戸黄門じゃないんだからと言いたくなる。

 その中にどっぷりと浸かり込んだスペイン。それを避けようとする努力も工夫も見られずじまい。傲慢。過信。警戒心ゼロ。巧いのは足ワザだけ。ボールの奪われ方に問題がありすぎるサッカー。これ以上、非頭脳的なサッカーはない。

 想起するのは悪い時のバルサであり、レアル・マドリーになるが、彼らには大層なFWがいる。メッシ、スアレス、ネイマール(バルサ)、クリスティアーノ・ロナウド、ベンゼマ、ベイル(マドリー)が、少々の問題を力ずくで解決してくれる。その決定力で、サッカーそのもののまずさを、補ってしまうことがしばしばある。問題は明るみになりにくいが、スペイン代表に彼らはいない。

 モラタはマドリーを出された、いわば修行中の選手だ。後半投入されたルーカス・バスケスも、マドリーでは上記3人のサブだ。バルサ、マドリーのFW力を10とすれば、スペイン代表は6〜7がいいところ。その分、サッカーの質を高める必要がある。アトレティコ・マドリー的になる必要があるが、スペイン代表の気質はバルサ、マドリー的だ。ビッグクラブ病を抱え多チームになっている。

 イタリアにはおあつらえ向きの、スペインは戦いやすいチーム。前回決勝でイタリアは0−4で敗れたが、中2日で戦うことになった日程の不利こそが一番の原因だった。参考にすべきは1−1で引き分けた、そのグループリーグにおける戦いになる。

 危機感のない能天気な集団。スペインは敗れるべくして敗れた。ある意味で予想通り。3連覇を狙うスペインの敗戦は、確かに大きなニュースだが、個人的には衝撃的な出来事ではない。事件と呼ぶには当たり前すぎる結果に思える。スタッド・ドゥ・フランスで実際に見たにもかかわらず、そうした印象を抱く。

 スペイン代表には、全く違うサッカーで出直して欲しい。個人的にはそう思う。スペイン国内にはいい選手が、たくさんいるのだから。代表監督はディエゴ・シメオネあたりにお願いしたいものだ。

 事件性という点では、その終了直後に、ニースで行われたイングランド対アイスランド戦の方が断然高い。アイスランドは氷河とオーロラで知られる極寒の地だ。人口は僅か32万人。旧大英帝国の一員ではないが、デンマークとともに英国の影響を受けてきた辺境国である。アイスランドにとってイングランドは、強国であり大国だと思う。そこに2対1で逆転勝ちするとは。なによりにアイスランド国民が一番驚いているのではないか。これぞ、今大会、最大の番狂わせになる。

 グループリーグの最終戦でオーストリアと対戦したアイスランドは、後半のロスタイムに入るまで1−1だった。このまま終わればグループリーグ15番目の通過。決勝トーナメント1回戦の相手はクロアチアになるはずだった。だが、その反動でオーストリアにゴールを許せば落選だ。攻撃にはリスクがあった。常識的なチームなら時間の経過を待ったはずだ。

 どうせやるならイングランドと思ったのかどうか定かではないが、というより、無欲だったと思う。最後まで全力で。そしてその結果、まさに終了直前の94分、決勝ゴールをゲットした。瞬間、決勝トーナメント1回戦の相手はイングランドに変わった。

 その真っ直ぐな感じこそがアイスランドの魅力になる。だが、珍しい集団かと言えば、あながちそうでもない。前にも述べたが、イングランドを除く英国系のチーム、ウェールズ、アイルランド、北アイルランドもそうした気質の国だ。アイスランドに敗れたオーストリア、ハンガリー、アルバニアなども、真っ直ぐなチームだった。本大会出場国が16から24に増えたことで出場機会を得たこうしたチームの敢闘精神は、今大会、新鮮な魅力として、改めてこちらの目に眩しく映った。

 そしてそのうちの2チーム(ウェールズ、アイスランド)が、8強入りした。ボール操作術で劣っても何のその。彼らは少しもへこたれなかった。自分自身でガックリすることはなかった。忠実勤勉真面目とは、日本人の気質を言い表したものだが、サッカーに落とし込むと、怪しかった。それがいっそう鮮明になったのが今回だ。日本にアイスランド的な魅力はない。その手の真面目さは持ち合わせていない。少しは巧いが、ものすごくは巧くない選手が、いちいちガッカリするサッカー。色気を覗かせながら、無欲とは一線を画すサッカーだ。スペインにありがちな傾向が見え隠れするのが日本。スペインの敗退を嘆くより、アイスランドの番狂わせにスポットを当てたほうが、日本につける薬としては有効だと僕は思う。 

次戦は難敵。ドイツの運命を握るのは「キレッキレ」のドラクスラー

 3対0。ドイツがよすぎたのか。スロバキアがダメすぎたのか。難しい問題だ。ドイツはこの結果、準々決勝でスペイン対イタリアの勝者と対戦することになった。大勝の後に待ち受けるのは苦戦。これがサッカーにありがちな傾向だとすれば、ドイツ人でさえスロバキアの無抵抗ぶりを嘆きたくなるだろう。
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ポルトガル、劇的勝利で8強へ。勝因は「苦戦続き」とレナト・サンチェス

 決勝トーナメント1回戦は、負ければその瞬間に終戦ということもあるが、この試合はこれまで見た中で一番の熱戦。劇的な幕切れが用意されたドラマ仕立ての好勝負だった。
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【メルマガ】使用率No.1タイに躍り出た4−3−3。ユーロの現場で攻撃サッカーの母国オランダの貢献度について考える

 本大会出場国が16から24に増加したにもかかわらず、予選で敗れてしまったオ
ランダ。前回、敗退したのは32年前の1984年だが、この時の本大会出場国はわ
ずか8チームだ。今回の予選落ちが、いかに大きな事件であるかは、2014年ブ
ラジルW杯3位、2010年南アW杯準優勝という近年の成績に照らすまでもない。

 オランダは成績に限らず、本大会に欠かせない存在だった。オーストリア、スイ
ス共催の2008年大会では、会場となったベルンに、10万人ものファンを送り込ん
でいる。実際にスタジアム内で観戦できたファンは1万人強。その他の9万人近い
ファンは、ベルンの市庁舎広場に設置された巨大スクリーンで観戦することになっ
た。すなわちオランダ人は、お祭り気分の盛り上げに大きく貢献した。

 毎度、開催国に大応援団を送り込み、舞台の盛り上げ役を果たしてきたオランダ。
彼ら不在のユーロは、風物詩がひとつ消えたようでいささか寂しいが、サッカー的
には、その影響力を改めて実感することができている。

 オランダは攻撃的サッカーの母国。かつて欧州に、守備的サッカーの波に襲われ
そうになった時も、頑なにその姿勢を貫いてきた。攻撃的サッカーがスタンダード
になった現在の欧州サッカーは、オランダの存在なくして語れないと言いたくなる。

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もし日本が出場していたら最下位確実!?ユーロ決勝Tは消耗戦に

 北アイルランド、アイルランド、ウェールズ――。イングランドはともかく、その他の英国系のチームが揃って16強入りすることを予想した人はどれほどいただろうか。さらにその北に位置する(英国+デンマーク)÷2的なイメージの小国アイスランドまでカウントすれば16チーム中5チームだ。
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16強最後のイスはアイルランド。イタリアの「主力温存」は吉と出るか

 決勝トーナメント16番目のイスに滑り込むのはどこか。

 各組の2位以内、計12チームと各組3位の中で成績のよい4チームで、ベスト16以降を争うユーロ2016。グループリーグ3週目の最終マッチを前に、14チームが16強入りを決めていた。この時点でまだ当落が確定していないのは、イタリアを除いたE組の3チーム(ベルギー、スウェーデン、アイルランド)と、その結果次第で(スウェーデンとアイルランドが引き分けた場合)、16入りが転がり込むトルコの計4チーム。
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トルコが16強に望み。複雑な3位争いで「裏カード」が白熱する

 グループリーグ最終戦。24チームを16チームに絞る過程を複雑にしているのが、6チームある各グループ3位の存在だ。ベスト16に進出できるのは、そのうちの4チーム。
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ユーロ2016開催中のフランスで18年前を思う。当時のサッカー熱はいまどこへ

 パリ・リヨン駅12時59分発TGV、ユーロ2016特別列車。サンテチエンヌで行われるイングランド対スロバキア戦を取材観戦するために、いまその車内に乗り込んだところだ。

 両軍サポーターが9割を占有するサッカー観戦列車。少しうるさいのが難点だが、雰囲気、旅情とも満点だ。

 ユーロは今回2016年大会から本大会出場枠が16から24に増大。開催期間も1ヶ月間に伸びた。94年W杯までと同等のスケールだ。拡大された中で行われているが、それに伴う弊害、すなわち散漫な印象はない。コンパクトさをいい感じで保っている。

 フランスという国の大きさとそれは深い関係がある。欧州にあってフランスは大国だが、国土面積は例えば、ブラジルほどではない。ロシアほどでも南アフリカほどでもない。コパアメリカ開催中のアメリカほどでもない。ロケーションも上々だ。欧州のド真ん中。日韓でもなければ、カタールでもない。辺地ではない本場欧州のド真ん中。最近のW杯開催国で匹敵するのは2006年ドイツぐらいだ。

 開催期間の1ヶ月間、現地に滞在し、各会場に足を運ぶ。旅は思いのほか快適だ。会場間のアクセスに優れているので移動をスムーズに行えるところがいい。寝不足になりながらもフランス国内を右往左往している。ほぼ毎日観戦できるところが、貧乏性の僕には何よりありがたい点だ。疲れるけれど快適。風邪気味で、お腹も緩めとは言え、サッカー好きには極楽気分。長いことこの職業を続けているのは、この快感を味わいたいためだと言っていい。

 この手の旅行を初めて経験したのは、まだ大学生の時だった82年スペインW杯。しかし当時、僕のようなお馬鹿なサッカーファンは思いのほか多くいた。少なくとも各種ツアーには、500人〜1000人程度、参加していた。日本が出場していないにもかかわらず、だ。

 日本人のW杯観戦者はその後も飛躍的に膨らんでいく。86年、90年、94年。そして日本が初出場を決めた98年フランス大会で、その数は爆発的に増大した。フランスを訪れた日本人観光客は10万人に達したと言われる。

 日本はその時、初戦でアルゼンチンと戦った。場所はトゥールーズ。TGVの始発駅であるパリ・モンパルナス駅の構内はその朝、おびただしい数の日本人で溢れそうになっていた。

 それから18年が経過した。僕がいまいるユーロの現場で、日本人の観戦観光客を見かけることはほとんどない。正確に言えば1人だけ。パリ・リヨン駅で、サンテチエンヌ行きのこのユーロ2016特別列車に乗車してきた日本人はメディア関係者以外ゼロだったと思う。

 今回のユーロ2016の観戦環境は、繰り返すが抜群だ。一週間その気になれば7試合観戦可能。世界のトップレベルの試合を短期間で効率よく、しかも本場の気分を味わいながら観戦する絶好の機会だ。

 2018年ロシア大会、2022年のカタール大会では堪能できそうもない味わいだ。ユーロも次回から集中大会ではなくなる。すなわちユーロ2016フランス大会は貴重な機会なのだ。

 この厳然とした事実に敏感になれている日本人は、かなり少ない。かつての熱はいったいどこへ行ってしまったのだろうか。

 テレビも放映権を持つWOWOWが、今回は現地ナマではなく、東京のスタジオで解説者と実況がモニター画面を見ながら音を入れるオフチューブで放送している。姿勢を従来から大きく後退させている。

 そして協会。フランス国籍を持っているハリルホジッチの姿こそ現地でたびたび見かけるが、日本人のスタッフの姿は確認できずにいる。今回に限った問題ではないが、貪欲に何かを吸収しようとする姿勢の低さ、その体制の脆弱さは大いに気になる。

 98年当時の熱気はどこへやら、だ。18年後、フランスを訪れて改めて痛感する。日本サッカー界の好ましくない傾向について。

 本大会出場国が16から24に増えたことで、日本に接近したレベルの国もそれに応じて増加。彼らが、強国に向かう姿はとても参考になる。日本人にとってのグループリーグ最大の見どころになるが、そうした視点は、東京にいてはおそらく湧いてこないと思う。

 パリ・リヨン駅を12時59分に発ったユーロ2016特別列車は、15時47分、定刻通りサンテチエンヌに到着。

 試合後は試合後で、ここからパリに戻る特別列車が何本か増発される。僕の列車は午前1時半発、パリ・リヨン駅到着は午前5時。パリのアパートで少し休んで夕方の列車でランスを目指す。ユーロ2016観戦取材旅行は、なかなか楽しいーーとあえて声を大にしていいたくなる。

テンションは高いが点は入らず。イングランド猛攻も実らずドロー

 サンテティエンヌで行なわれたイングランド対スロバキア。B組のライバル、ウェールズより上の順位でフィニッシュしたいイングランドが、引き分け狙いではなく、最初から勝利を積極的に求めて戦っていたことは明らかだった。
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首位で決勝T進出のフランス。「特殊なサッカー」は強豪国に通用するか

 フランス2勝、スイス1勝1分。フランスは突破を決め、スイスもほぼ大丈夫という設定の中で行なわれたA組の3戦目。
 結果は0−0で、フランスに続き、スイスも2位で通過を決めた。きわめて常識的な結果に終わったが、お互いが空気を察し、気の抜けた戦いを繰り広げたわけではない。それなりに面白い試合だった。目に新鮮な試合と言ってもいい。
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【メルマガ】ブックメーカーが3番人気に推すスペインを、優勝候補の本命に挙げたくなる理由

 グループリーグの2回戦目の戦いが進行中のユーロ2016。何日か前に書いた
原稿に、これだというチームがまだ見つからないと記しているが、3連覇を狙う
スペインは少し別格のようだ。

 後半42分に挙げた決勝点で勝利した、その初戦(対チェコ)の戦いぶりを見る
限りでは心許ない感じがしたが、第2戦のトルコ戦の内容はほぼ完璧。過去に見
たスペイン代表の中でも、1、2を争う上等な試合だった。

 中でも光る存在に見えるのはモラタとノリートだ。ともに過去のW杯、ユーロ
には出場していなかった新顔が、布陣の中にピタリとはまっている点こそがスペ
インの強みになる。

 ユベントス所属のモラタは、フェルナンド・トーレス以降、待望久しい本格派
のストライカー。一方のノリートはセルタ・デ・ビーゴ所属の29歳。チャンピオ
ンズリーグやヨーロッパリーグで活躍した経験がないため、今回のユーロ2016が
事実上の「欧州」デビュー戦だ。

 ポジションは4−3−「3」の「3」の左。左ウイングと呼ぶには中盤的なセン
スがあり、サイドハーフと呼ぶにはアタック能力が高い。

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