イラク戦。
 ブラジルW杯出場は9割方確定した。日本はいま、世界で最もW杯本大会に近い距離にいるチーム。「当確マーク」が、すぐにでも出そうな状態にある。そうして意味では、日本は思いきり順調なステップを踏んでいることになる。

 その一方で、本大会での活躍を考えると物足りなさを覚える。
 日本の実力は右肩上がりを示している。その一方で、世界のレベルはけっして上がっていない。これまでも再三述べてきたように、いま日本は大いなるチャンスを迎えている。次回ブラジルW杯で、過去最高位を収めることは夢ではない状況にある──との視点に立つと、それに相応しい強化ができているのか、はなはだ疑問に感じる。日本の立ち位置を正確に把握し、膨らんでいる可能性をもっと大切にする必要性を感じる。

 というわけで採点です。

GK川島 7 危ないシーンは多々あったが、それでも大丈夫だろうと、最後まで楽観的でいられた理由は、GK川島の存在が大きい。よほど凄いシュートを浴びない限り、よほど完璧に崩されない限り、よほど不運に見舞われない限り、失点しないだろうと、最後まで安心して見ていられた。

DF駒野 6 安定感は内田以上。これまでは内田のサブに甘んじていたが、いま現在は拮抗した状態にあるのではないか。とはいえイラク戦では後半尻すぼみ。攻撃参加の仕方も単独色が強く単調だった。

DF伊野波 5 相手FWに対して劣勢だった。フィードにも物足りなさを感じた。

DF吉田 5.5 伊野波同様、相手のFWの方が強そうに見えた。五輪チームで見せたような余裕はなかった。元の吉田に戻ってしまったような印象。 

DF長友 6.5 安心してみていられる選手の1人。W杯の準々決勝でプレイしても大丈夫な選手。キックにパンチ力が着けば鬼に金棒。右サイドバックでのプレイも見てみたい。

MF長谷部 5 存在感が希薄。チームにプラスの影響力を与えることができなかった。

MF遠藤 5.5 格上感を出せず。チームの心臓部になれなかった。長谷部とのコンビを、つい最近まで多くの人は絶賛したが、いまそれを言う人は少ない。コンビとしての旬が過ぎてしまった感じだ。 

MF本田 6.5 ほぼノーミス。ザックジャパンというより本田ジャパン。監督より頼りになる存在。この日は、プレイのエリアがいつもより低めで、決定機に顔を出す回数はその分少なかった。FW的というよりもMF的だった。いまひとつ元気のない長谷部、遠藤の役までこなしていた感じだ。

FW岡崎 6.5 先制点のアシストを機にプレイに躍動感が漲るようになった。同じ高さでプレイする逆サイドの清武より、良い選手に見えた。

FW清武 5 4─2─3─1の3の列は、本田、香川がリードし、岡崎、清武が3番目の座を争う展開。両ライバルが揃ってスタメンで出場することになったイラク戦は、その優劣を見極めるまたとない機会になった。活躍するのはどちらか。試合の焦点の一つだった。にもかかわらず清武は、大人しいスケールの小さなプレイに終始してしまった。FW的なプレイをした岡崎に対し、清武は中盤的なプレイをした。パス回しはそつなくこなしたが、アタッカー、チャンスメーカーとしての魅力は発揮できなかった。もう30分、ピッチに立っていてもゴールの期待は抱けそうもないプレイをした。4─2─3─1の3の選手の評価は、パスを何本通したかではない。ゴールシーンにどれほど絡めたかになる。清武の課題は得点力。この日、日本が1点に終わってしまった原因の何割かは、その中盤的な気質にあると思う。

FW 前田 6.5 もっと図々しく、偉そうにプレイして欲しい。一番偉いのは本田ではなく俺だという顔で。決勝ゴールを挙げたセンターフォワードに、脚光があまり当たらない現実。問題だと思う。

※交替選手
MF 細貝 採点なし
FW ハーフナ—・マイク 採点なし

ザッケローニ 4.5 交替を送り出したのは89分と90分。ザッケローニは「W杯出場が決まるまで、新戦力を試すつもりはない」「現在のスタメンとその他の選手との間には差がある」とも語っている。ジーコジャパンがラスト半年で失速した原因、岡田ジャパンがW杯本番直前にドタバタ状態になった原因は、このメンバーの固定化にある。4.5枠もある世界一緩い予選環境の中で、負けることを極端に恐れ、ガチガチのメンバーで戦い続けるツケが、最後に出てしまったわけだが、ザックジャパンもそれと同じ道を歩んでいる。

「W杯予選は何が起きるか分かりませんから」と解説者はいう。そうして危機感を煽ろうとするわけだが、それは98年以前の話。日本の実力がまだ低く、枠が2枠とか3.5枠しかなかった古き良き時代の話だ。減枠になるか、日本がかつてのように弱くならない限り、残念ながら予選にハラハラドキドキ感を抱くことはできない。

 そうした状況と日本はどう向き合っていくか。欧州の大国と呼ばれる国からやってきた監督なら、そのあたりとフレキシブルに上手く向き合うことができるだろうとの読みは甘かった。このままでは近い将来、下り坂を迎えることは見えている。その都度、反省検証を怠ったツケがここに来て現れてしまっている。ちゃんとやればW杯で上位を狙える力があるだけに、残念な気がしてならない。