20180613_101118私は今、伊香保温泉のホテル松本楼さんに来ています。

先日、新幹線の中で痛ましい事件が起きました。

その容疑者について「容疑者は、自閉症(発達障害)である!」という情報が多く報じられました。

いかし、容疑者が何らかの診断を受けていたことや、精神科への入院歴があることにどんな意味があるのでしょう?

これまで積み重ねられてきたたくさんの犯罪心理学の研究で、発達障害を含む精神障害と犯罪・非行との関連性は明確に否定されています。

もちろん、精神障害や発達障害をもつ人の中にも犯罪を犯す人はいますが、「健常者」と呼ばれる人にも犯罪を犯す人はいます。

どちらの集団でも、ほとんどの人は犯罪を犯さないのです!

ある調査によると、「健常者」と呼ばれる人が犯罪を犯す割合は約0.2%であるのに対し、精神障害者が犯罪を犯す割合は約0.1%にすぎません。

さらに言うと、わが国の人口全体に占める精神障害者は約3.1%であるのに対し、刑法犯全体に占める精神障害者は約1.7%です。

つまり、精神障害者よりも「健常者」のほうが犯罪に至る割合がずっと多いのです!

こうした事実を見ただけでも精神障害や発達障害が犯罪の「原因」であると決めつけることが正しくないことがわかると思います。

しかし、ある犯罪を犯した人に精神障害や発達障害があると、犯罪と精神障害の間に密接な関係にあるような報道がされ、印象づけられてしまうのです!

では、どんなことが犯罪の原因になるのでしょう?

カナダの犯罪心理学者アンドリューとボンタは、たくさんの研究データベースから、犯罪に至る者とそうでない者を分ける要因(犯罪のリスクファクター)を8種類見出し、それらを「セントラルエイト」と名づけました。

セントラルエイトでは、犯罪の要因として、以下の8つを挙げています。

その中でも特に犯罪に強い影響を及ぼすという研究結果が得られた「犯罪歴」「反社会的人格(パーソナリティ)」「反社会的認知」「反社会的仲間関係(不良交友)」の4つをビッグフォーと呼んでいます。

1.犯罪歴

セントラルエイトにおける犯罪歴は、公的に履歴が残っている非行や犯罪だけでなく、発覚していないものも含みます。

2.反社会的人格(パーソナリティ)

反社会的人格(パーソナリティ)とは、社会のルールや他人のことを軽く考え、自分の欲求のままに行動を起こしやすい人格のことです。

3.反社会的認知

反社会的認知とは、一般的な常識や社会のルールから逸脱した物事の捉え方を言います。

4.反社会的仲間関係(不良交友)

反社会的仲間関係とは、素行不良者との交友のことです。

5.家庭(家族・婚姻)の問題

家庭の問題とは、両親の不和離婚、子供の面前での家庭内暴力、虐待などの子供の成長に悪影響を与える家庭内の問題全般のことです。

6、社会生活(学校・職場)の問題

社会生活の問題とは、子供の社会適応の問題のことです。

具体的には、いじめや不登校、職場に馴染めない、職場での人間関係の悪さなどをいいます。

7.余暇活動

余暇活動とは、学校や仕事以外に熱中できる趣味を持っているかどうか、自分の居場所だと思える場所があるかどうかなどが、余暇活動に当てはまります。

8.物質乱用

物質濫用とは、薬物、酒、たばこなどの物質を、心や身体に悪影響が出ているのに繰り返して使うことです。

物質濫用の程度が重いほど、非行(犯罪)に及ぶリスクは高くなる傾向にあります。

しかし、家庭や社会生活の問題、反社会的認知などは、普通に社会生活を送っている人でも多少は抱えているものです。

ですから、セントラルエイトのいくつかに当てはまるからと言って、それが必ず非行(犯罪)につながるものだと考える必要はありません。

それと同じで、発達障害という診断を「マイノリティ(少数者)」を排除するためのレッテルにしてはいけないということをぜひ理解しておいてほしいと思うのです。

そうしないと、発達障害と診断をされることを恐れて、早期に受診する人が減り、専門家の指導を受ければ普通に社会に適応できる人ができなくなってしまう恐れが増えると思うのです。

DSCF2081発達障害という診断は、「生きづらさ」や「生活上の困難」を抱えている人たちが、「生きづらさ」をなくすための適切な支援や治療が受けられるようにするための目印に過ぎません。

それなのに事件が起きるたびに容疑者の障害歴が必要以上にクローズアップされがちです。

こうした報道はとても危険なものだということをぜひ知っておいてほしいと思うのです。

今日のひとこと
「誤った情報は、人を狂わす!」


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