石灯篭(とうろう)庭園造園・神社寺院用石製品 墓石の老舗石屋
㈱杉田石材店

【創業190余年の老舗石屋】 国内最大級の在庫展示数 石灯篭(とうろう)水鉢など庭用石製品をはじめ、石製品全般取り扱っております。
本格こだわりの手作り石灯篭(とうろう)をお探しの方は実際に見比べてください。展示場と併設の工場では職人の制作風景もご覧いただけます。
~心のかよう石づくり~をめざし見る人の心が豊かになるよう心を込めて造っております。これからも技術を絶え間なく積み重ねてまいります。
当ブログでは石彫刻品 記念碑 石像 モニュメント等の製作過程や設置事例をはじめ石屋の日々をお伝えしております。

こちらの「見ざる聞かざる言わざる」の三猿石像は愛知県新城市 庚申寺にあるものです。
三猿石像|新城市庚申寺
121年間地域の人たちを見守ってきた三猿石像の風化が進んでいる為、既存の石像を移設保存し、複製を制作させていただくことになりました。
手足が落ちてしまった『言わざる』
庚申寺三猿石像風化
『見ざる』も手足が落ちていました。
庚申寺三猿石像風化
顔はセメントで貼り合わされ補修されていました。
庚申寺三猿石像風化
苔に覆われ見えづらくなっていますが写真に写りきらないヒビがあちらこちらにあります。
庚申寺三猿石像風化
石の表面が浮くように剥がれていく石質で猿本体も台座も風化が進み全体にヒビが多い状態でした。
庚申寺三猿石像風化
庚申寺三猿石像風化
この状態からの補修は困難な為、屋根のある場所へ移設し保存されることになりました。
移設工事前に、ヒビに石材用の接着剤を差し込みこれ以上破損しないように補強しました。
既存の三猿石像を昨年10月に移設したときの様子
三猿石像|新城市庚申寺
破損しないように慎重に作業をしました。
三猿石像|新城市庚申寺
貴重な石造品なので、台座の柱に直接セメントが付かないような方法で設置します。破損の恐れがある為、底面に穴をあける加工は出来ませんでした。
三猿石像|新城市庚申寺
短い柱状の台石を作り、本体底面とピンで固定します。
三猿石像|新城市庚申寺
三猿石像|新城市庚申寺
庚申寺にある三猿石像の由来と二代目制作の経緯が紹介されている案内板
庚申寺三猿石像の案内
地域の方たちに古くから愛されている思いが伝わってきます。
三猿石像庚申寺(新城市)
ただいま複製を制作するために三猿像は工場にてお預かりしております。
三猿石像|新城庚申寺 (1)
【見ざる】 顔が見えないけれど可愛い猿 右手足は欠損しています。
三猿石像|新城庚申寺 (2)
【聞かざる】 涼やかな顔の猿 欠損が少なく原形が一番残っています。 
三猿石像|新城庚申寺 (3)
【言わざる】 ぱっちり目の猿 左手足が破損しています。
三猿石像|新城庚申寺 (4)
動物の猿ではなく、人をモデルとしているようで、誰かに似ているようなと思わせる猿の顔。
三猿石像|新城庚申寺 (5)
複製の制作工程を今後ご紹介していきます。

三猿を調べてみるとThree wise monkeys といって海外でも戒めの言葉として伝えられていたり、見ざる言わざる聞かざると同様の意味を持つ言葉は世界各地であるそうです。猿は日本では桃と組み合わせて長寿の吉祥文様になっているものを見かけます。
陶磁美術館水滴大島コレクション
愛知県陶磁美術館(大島国康コレクションの水滴)のパンフレットより
言わざると聞かざるを合わせた猿?これって完全に聞こえている・・・と思っていたのですが、要領を得ない人をサルと揶揄することから、ようやく作品の意味を理解できました。聞かざるが上手くできていない姿が可愛らしい猿です。(N)

雪見燈籠の受の向きが上下間違っているものを見かけますので、見分け方法をご紹介します。
【見分け方1】 側面の彫刻で見分ける
古代雪見は格狭間が彫ってあることが多いです。
石灯篭の向き古代雪見受け (2)
角雪見や丸雪見は『波・しぶき』の彫刻が一般的なので波の形としぶきの具合で上下が分かります。うさぎや獅子が彫刻された豪華なものもあります。
灯篭の向き(角雪見受)
灯篭の向き(角雪見受)1
側面に彫刻がない場合や上下対称の図柄が彫ってあるものもあります。そんな時は別の見分け方があります。
【見分け方2】 段が作ってある面が上面です。火袋の底面と同じ形の段が作られています。段がない場合には平らな面が上です。
灯籠向き(雪見の受)
段がある面が上です。2段または1段のことが多いです。古代雪見は一段です。
石灯篭の向き古代雪見受四角 - コピー
薄い段の場合もあります。
灯篭の向き古代雪見受
【見分け方3】 下側は反りがあります。段差がなく、すぼまっている面が下側です。
石灯篭向き(雪見受)曲線
勧修寺の受は上面は段がなく平らで、下側が曲線ですぼまっています。
石灯篭の向き勧修寺受
【見分け方4】 側面の形に尖った角がある場合は先端が下向きになります
雪見の向き八角雪見(受)
丸雪見の場合 上面の段は控えめです。石燈籠の向き(丸雪見受)2
下側には段差がなく曲線です。
石燈籠の向き(丸雪見受)1
一般的な雪見灯篭を想定して説明しましたが、上の見分け方を総合しても受の上下の判断が付かない雪見灯篭もあります。例えば泉涌寺型の雪見灯篭は上の見分け方に全て当てはまりません。受の側面の彫刻もなく、上面も下面も平らです。
石燈籠の向き泉涌寺(受)
石燈籠の向き泉涌寺(受)2
見た目には上下とも同じ作りです。
見分ける方法としては、大入れ(浅いはめ込み)の形を参考にします。
泉涌寺の場合、八角の火袋が収まるように八角形の溝がある面が上面です。
灯篭の向き(受の上下)
下面は足の四角が収まるように四角の溝が作られます。
灯篭の向き(受の上下)四角
しかし、はめ込みがない場合もあり、上下とも同じ作りの可能性もあります。他にも分かりづらい灯籠があるかもしれません。火袋や足との接合部のサイズを比べて正しい向きを確認してください。

私たちがお客様にお渡しする際には設置時に迷わないように上下が分かるよう印を付けてお渡ししております。
向きを間違えると不安定になり衝撃に弱くなります。正しい向きで設置することをお勧めいたします。
しかし『寄せ灯篭』といって本来の使い方と異なる組みあわせをしている灯篭もあります。背の低い小さな灯籠であれば向きや順番、他の灯篭のパーツと組み替えてアレンジして楽しむのも面白いと思います。
寄せ灯篭として有名な孤篷庵は全てのパーツをそれぞれ異なる石塔などから寄せ合わせています。例えば本歌の(灯籠の原型となるもの)受は塔の笠を逆さまにして利用されています。
寄灯篭
本来とは異なる向き等で建てる場合には、重量バランスや安定を考慮して楽しんでください。元々の正しい組み合わせの順番で向きを揃えて建てることを想定して灯籠がデザインされ作られていることを忘れずに。お庭の灯篭などで向きがご心配な場合にはお問い合わせください。(N)

【雪見燈籠の火袋の上下】について

【禅導寺の受が上下間違っている事例】


日本に現存する最古の石灯篭は当麻寺(奈良時代)、続いて柚ノ木(平安時代)、平等院(平安時代)の灯篭といわれています。柚ノ木も平等院も灯篭としては似たデザインがなく、それぞれ独創的なデザインと言えます。
石燈籠の形デザイン
(画像は弊社製作品)
鎌倉期よりも前の時代では現存するものが少なく推測の域ですが、2基を見る限り、ほかにも創意のある石燈籠が数多く作られていたのではないでしょうか。一つ一つ手で作り、神仏に供えるとなれば唯一無二のものを作り上げたのではないかと考えてしまいます。

平等院の灯篭のデザインを詳しく紹介します。火袋のデザインについては前回の記事
平等院型石燈籠
2枚の石を立てた特徴的な火袋の為、本来見えるはずのない笠の底面がほぼ見えています。
平等院(笠)
【一般的な石燈籠の笠と火袋】笠の底面は火袋に隠れて見えません。
笠と火袋(太秦)
平等院型は受の天面も見えます。
平等院灯篭(受)
【一般的な灯篭】受の上に火袋が重なり受の天面中央は見えなくなります。
火袋と受(太秦)
平等院のように火袋の窓がここまで広い灯籠は他にありません。開口から本尊の礼拝する為のデザインといわれ大きな火口は額縁のような役割をしています。
平等院石燈籠(火袋)
受全体が見えるデザインなので、他の灯篭とは違い上面には段差や飾がなく曲線の美しいものになっています。
平等院(受)
天面のラインは途切れることなく広がり、平等院の建築や池の水面にも通じるものがあり、横に広がる穏やかな安定感があります。現代でも通じるようなシンプルでモダンなデザインです。
平等院石燈籠(受)
また火袋側面の彫刻はシンプルで斜線の線彫りが面白いです。
平等院火袋の彫刻
受の曲線の他にも地輪の曲線も気持ちがよいです。そして地輪いっぱいに花びらを彫刻せず、大胆な余白の取り方が絶妙です。
平等院型石燈籠|地輪
【その他の灯籠の地輪】柱の周辺から縁取りまで花びらを作ることが一般的です。
石燈籠の地輪
石燈籠の地輪
【平等院の地輪】柱から蓮弁の始まりまでにゆるやかな曲線で余白が広くとってあります。
地輪(平等院)
火袋を二枚の板にするという斬新なアイディアは小心者にはできないです。これを作って怒られやしないかなど心配無用な人なのだから、デザインする人は権力のある人だったのでしょうか。受け入れる側も革新的で寛大なセンスのある人だったと思われます。案外石燈籠作りは権威のある仕事だったのかもしれないと想像してみるのも楽しいです。平等院の灯篭は笠も変わっているので、またご紹介します。(N)






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