こちらの「見ざる聞かざる言わざる」の三猿石像は愛知県新城市 庚申寺にあるものです。
三猿石像|新城市庚申寺
121年間地域の人たちを見守ってきた三猿石像の風化が進んでいる為、既存の石像を移設保存し、複製を制作させていただくことになりました。
手足が落ちてしまった『言わざる』
庚申寺三猿石像風化
『見ざる』も手足が落ちていました。
庚申寺三猿石像風化
顔はセメントで貼り合わされ補修されていました。
庚申寺三猿石像風化
苔に覆われ見えづらくなっていますが写真に写りきらないヒビがあちらこちらにあります。
庚申寺三猿石像風化
石の表面が浮くように剥がれていく石質で猿本体も台座も風化が進み全体にヒビが多い状態でした。
庚申寺三猿石像風化
庚申寺三猿石像風化
この状態からの補修は困難な為、屋根のある場所へ移設し保存されることになりました。
移設工事前に、ヒビに石材用の接着剤を差し込みこれ以上破損しないように補強しました。
既存の三猿石像を昨年10月に移設したときの様子
三猿石像|新城市庚申寺
破損しないように慎重に作業をしました。
三猿石像|新城市庚申寺
貴重な石造品なので、台座の柱に直接セメントが付かないような方法で設置します。破損の恐れがある為、底面に穴をあける加工は出来ませんでした。
三猿石像|新城市庚申寺
短い柱状の台石を作り、本体底面とピンで固定します。
三猿石像|新城市庚申寺
三猿石像|新城市庚申寺
庚申寺にある三猿石像の由来と二代目制作の経緯が紹介されている案内板
庚申寺三猿石像の案内
地域の方たちに古くから愛されている思いが伝わってきます。
三猿石像庚申寺(新城市)
ただいま複製を制作するために三猿像は工場にてお預かりしております。
三猿石像|新城庚申寺 (1)
【見ざる】 顔が見えないけれど可愛い猿 右手足は欠損しています。
三猿石像|新城庚申寺 (2)
【聞かざる】 涼やかな顔の猿 欠損が少なく原形が一番残っています。 
三猿石像|新城庚申寺 (3)
【言わざる】 ぱっちり目の猿 左手足が破損しています。
三猿石像|新城庚申寺 (4)
動物の猿ではなく、人をモデルとしているようで、誰かに似ているようなと思わせる猿の顔。
三猿石像|新城庚申寺 (5)
複製の制作工程を今後ご紹介していきます。

三猿を調べてみるとThree wise monkeys といって海外でも戒めの言葉として伝えられていたり、見ざる言わざる聞かざると同様の意味を持つ言葉は世界各地であるそうです。猿は日本では桃と組み合わせて長寿の吉祥文様になっているものを見かけます。
陶磁美術館水滴大島コレクション
愛知県陶磁美術館(大島国康コレクションの水滴)のパンフレットより
言わざると聞かざるを合わせた猿?これって完全に聞こえている・・・と思っていたのですが、要領を得ない人をサルと揶揄することから、ようやく作品の意味を理解できました。聞かざるが上手くできていない姿が可愛らしい猿です。(N)

三猿石像の制作の様子を紹介しております↓