2016年9月 5日(月曜日)です。

始めに9月の長期休診案内です。

9月10日(土曜日)〜9月15日(木曜日)まで休診となります。

長い期間の休診のためご不自由をおかけします。





このブログは「大船駅北口歯科 歯周病専門サイト」です。

今日のテーマは、
『口腔内細菌』になります。

虫歯 や 歯周病 は、細菌がいなければ起こらない病気であり、
この細菌をコントロールすることが予防につながるのです。

この話はだいぶ前にもしたことがあったのですが、
口腔内細菌を学ぶことは
歯周病 や 虫歯の予防を知るために非常に重要なことです。

それでは 今回から数回に分けて解説します


1.私達の身体は細菌だらけ!
人間は一生の中で無菌の状態でいられるのは胎内で過ごす期間だけです。

出生するとすぐに細菌感染を起こし、生体の各所で菌の増殖が始まります。

一度細菌感染した部位は一生排除されずに定着するものも少なくないのです。

つまり 私達の生体は細菌と共存している状態なのです。



2.歯周病は感染症!
歯周病細菌はどこから感染すると思いますか?

例えば、侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)の原因菌とされる
Aa菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)は、
大人から大人へと感染することはなく、
まだ 永久歯が生えそろわない
10歳頃に大人から子供へ感染することが研究により分かっています。
                             * Slos J:Scand J Dent Res,1976

これは子供の口腔内は まだ細菌のグループが安定していないため、
外来から感染を起こします。

また、抗生剤を長期服用していた場合などは、
口腔内の健康な細菌グループがいったんいなくなるため、
新たに細菌の環境がそろう前に細菌に感染する可能性があります。

 * 細菌の名称はよく変わります 上記は2011年時点での名称です。
   旧名は、Actinobacillus actinomycetemcomitansです。
 * 1999年以前に思春期前歯肉炎、若年性歯周炎、急速進行性歯周と
  呼ばれていたものを まとめて侵襲性歯周炎と分類しています。

その他の歯周病細菌についても夫婦間 や 親子間 で感染していることが
多くの研究で明らかにされています。
                       * Greenstein G, et al:J Periodontol,1997
                       * Petit M D A,et al:J Periodont Res,1993

唾液を介した感染が主なルートであれば、
歯周病治療後の再感染を防止したり
、歯周病細菌を持っている人が そうでない人に移さないようにすることは重要です。

歯周病治療を行う場合には、ご本人の治療を行うだけでなく、
生活を共にしている家族全ての人の治療が必要ということになります。



3.口腔内には細菌がいっぱい!
人間の身体にはさまざまな部位で細菌が生息しています。

口腔内に生存する細菌の種類
500〜700種類と言われています。

口腔内に存在するデンタルプラーク中の細菌はものすごい数です。

デンタルプラーク1mg当たりの細菌の数は
1億個も存在します。

デンタルプラークは細菌の塊なのです。

「えーそんなに細菌がいるの?」
と思われるかと思います。

しかし、口腔内に生息する細菌が全て問題なのではありません。

正常細菌叢(せいじょう さいきんそう)と言われる細菌は、
健康な身体に住み着く細菌です。

これらの正常細菌叢は、
外部からの絶えまなく侵入してくる病原微生物からの攻撃を防御しているのです。

細菌が存在することは決して悪いことではないのです。

外出から帰ってきたり、食事の前に手を洗うことは非常に有効です。

しかし、これにより細菌がいなくなるわけではありません。

その理由について解説します。
例えば、皮膚に存在する常在細菌は、1 cm2当 たり10.000個存在しています。

これらの常在細菌は、適切な手洗い(水、石けん等の使用)で90%以上 除去されます。

しかし、除去される細菌は表層のみであり、
毛嚢(もうのう)や汗腺(かんせん)の深部に定着している細菌は容易に除去できないため、
数時間経つとこれらの細菌が増殖し元の状態に戻ってしまいます。

ただし、これが悪いわけではありません。

常在細菌は常にバランスを保っており、
特定の細菌が増えないようにコントロールされているのです。

しかし、衛生面を極度に意識し、
過剰な消毒を繰り返すことによりそのバランスが崩れて悪影響を及ぼすこともあります。

口腔内の細菌もそうです。

先程説明したように 口腔内の歯垢(しこう)には、
1mg当たりの細菌の数は1億個も存在します。

唾液には、
1ml当たり1.000.000〜10.000.000.000個 存在しています。

これは正常な状態なのです。

問題となるのは、細菌のバランス種類 なのです。


4.好気性菌 と 嫌気性菌とは?
口腔内の細菌を理解するためには、
好気性菌
嫌気性菌 という2つの細菌を知ることが必要です。

口腔内には大きく分けて
好気性菌(こうきせいきん) と
嫌気性菌(けんきせいきん)
が存在します。

好気性菌は、
酸素が存在する部位でのみ生きることが可能な細菌です。
嫌気性菌は、
酸素が存在する部位では生きるのが困難な細菌です。

先程デンタルプラークには 多くの細菌が生息していると説明しましたが、
歯周病で問題となる 歯肉の中の歯周ポケット内部に存在する
デンタルプラークの中に生息する細菌のほとんどは、嫌気性菌なのです。

嫌気性菌が歯周病の原因となるのです。

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つまり歯周ポケット の内部には 酸素が嫌いな嫌気性菌 が生息しているのです。

「歯周ポケットの中は酸素がないの?」
ということですが、
歯周ポケット内部の酸素濃度1%以下です。
(ちなみに私達が生活する空気中の酸素濃度は21%です)

歯周ポケットは、酸素が嫌いな嫌気性菌(歯周病にとって悪い菌)にとっては
とても住み心地が良い場所なのです。


喫煙者は、非喫煙者と比較して、
歯周病の進行は 6倍以上も早い という論文データがあります。

この理由(原因)の一つとして 喫煙者の歯周ポケット内部の酸素濃度は正常状態(非喫煙者)の半分程度というデータからも 喫煙者は嫌気性菌が繁殖しやすい環境であることが分かります。


5.細菌の栄養源
口腔内の細菌はなにを栄養源として生きているのでしょうか?
口腔内細菌が必要とする栄養源は、細菌の種類により非常に複雑なものがあります。

私達が口腔内に見える汚れを「歯肉縁プラーク」と言います。

それに対し歯周ポケット内部に存在する汚れを「歯肉縁プラーク」と言います。

口腔内に見える汚れの中に生息する細菌(歯肉縁プラーク細菌)
の主な栄養源は唾液中のアミノ酸です。

歯肉縁上プラーク細菌とは、
好気性菌のことです。

酸素が存在する部位でのみ生きることが可能な細菌ですね。
また、好気性菌は、
唾液以外にも 食物と共に取り込む ショ糖 や ブドウ糖、果糖 を利用する細菌も多く存在します。

決して細菌(好気性菌の多くは)は、食物を栄養源としているのではないのです。
主な栄養源は唾液なのです。

しかし、唾液中には抗菌性物質が存在しており、
唾液は細菌を殺す働きもあるのです。

唾液は細菌を退治する非常に重要な面(抗菌性)を持っていると共に
唾液中のアミノ酸は、細菌の栄養源ともなっているのです。

それに対して 歯周ポケット 内部に生息する細菌(歯肉縁プラーク細菌:嫌気性菌)の主な栄養源は歯肉溝滲出液(しにくこうしんしゅつえき)のアミノ酸です。
                           *Goodson J M:Periodontol 2000,1994
歯肉溝滲出液とは、
歯周ポケット内部からでる液体のことです。

正常状態では、歯周ポケット内部を1分で満たす程度の割合で分泌されています。

歯肉溝滲出液は、単に嫌気性菌の栄養源になっているだけではありません。
歯肉溝滲出液は、
歯周ポケット内部に侵入してきた細菌を洗い流す働きがあります。

また、この歯肉溝滲出液には、
細菌を撃退する成分(抗菌成分)も含まれています。

例えて言うと、
鼻の穴の中に外来から侵入してきた物に対して、鼻汁が出て洗い流したり、
目にゴミが入った場合には、涙が出て洗い流すのと同じようなことです。

生体の防御反応といってもいいでしょう。

しかし、この防御としての歯肉溝滲出液は、細菌の栄養源ともなるのです。

また、細菌の中には、他の細菌が出す代謝産物である乳酸を利用するものもあります。

もちろん歯周ポケット内部の細菌とは、酸素が嫌いな嫌気性菌(歯周病にとって悪い菌)のことです。


この続きはまた次回のブログで解説します。



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