アランフェスへようこそ

「アランフェス協奏曲」に関して、市販されているレコード・テープ・CDなどで、多数のアーティストの演奏を聴いた雑感です・・・杉山直樹

 目標であった七十七話を迎えることになりました。ある時期から、最終回はこの一枚と決めていました。それがミロシュ・カラダグリッチの演奏する、『 アランフェス協奏曲・第二楽章・アダージョ 』でした。  R・S・マーサに始まり、N・イエペス、J・ウイリアムス、P ...

 意識して管楽器を続けて選んだという訳ではありません。結果としてそうなっていたということでお許しください。あまたあるアランフェスの演奏を加えたCDのなかで、ブラスだけのグループが演じているのは、二枚しかありません。今回取り上げた、グライムソープ・コリアリ ...

 ランク付けの好きなアメリカ人たちが選んだ、『20世紀のもっとも偉大な金管楽器演奏者』の部門で、栄光の一位に輝いたのは、有名なサッチモでもなければ、帝王・マイルでもなく、フランス人のモーリス・アンドレでした。正直私には意外な感じも受けたのですが、それだけ ...

 私はここにいたる迄、浅学と偏見を承知のうえで、あえてライナーノーツからの引用は控えるようにしていました、が、今回は禁を破ることにしました。 「 第二楽章アダージョは戸惑ってしまうほど有名だが、この曲がこれまでに従わされた、数多くの原曲とは異なる楽器編成 ...

 一言でまとめるなら、「絹の肌触りの無印良品」のアランフェスというところか。長所は破綻がない演奏ということで、短所は引き込まれる魅力と、面白みに欠けるさらっとした演奏、ということになるかも知れません。  イントロは素直に聞けるし、室内管弦楽団かと思わせる ...

 今悔いています。なぜもっと早く、これを紹介させていただいてなかったのかと。その理由の一つに、ドミンゴとの兼ね合いもありました。どちらも、パバロッティを加え、三大テナーとして、四半世紀以上にわたって、世界のオペラ界を背負って立ってきた方、取り上げるときは ...

 前回は可憐で純な女性のヴォーカルを取り上げさせていただきました。ということもあり、今回は男性のけれん味のない堂々としたアランフェスを取り上げることにします。テナー歌手のアンドレア・ボチェッリが、ヴァイオリニストのロリン・マゼールとの共演により、唱いあげ ...

アランフェスを取り上げている女性歌手は数名おります。名だたる名歌手ばかりです。ここまで、六十七の個人や演奏グループを取り上げさせていただきましたが、女性歌手は五人おります。演奏者での村治佳織の二十二歳には及びませんが、キャサリーンは女性のヴォーカリストと ...

 正直にいって、最初にこれを聴いたときには、引いた感じを受けてしまいました。異質のアランフェスだったからです。ジャケットは素敵なのですが、演奏されている内容の変化は乏しいし、淡々としすぎて、頼りなさの極みのような、ましてや、イントロはスペイン風というより ...

セルジョ・ファンニの、知的で端正なトランペットではじまるこのアランフェス、私的には、マイルスの『 スケッチ・オブ・スペイン 』と、ハーブ・アルパートの『 ライズ 』と、この一枚を、トランペットが主役のアランフェス御三家として認定したいくらいです。が、残念なこと ...

 決して二度目のE・J・Tではありません。34回で取り上げていたのは、ギターにジェシ・ヴァン・ルーラーをフューチャリングしていて、実質、カルテットでの演奏だったわけですが、実は、その10年前にオランダで収録されていた、E・J・Tがトリオとして単独でのアラン ...

 クラシックでの、アランフェス協奏曲の第二楽章の演奏時間は、約11分かかります。その8分30秒に演じられるカデンツァの部分を、私は魔の8:30と呼んでいます。私が取り上げたほとんどの作品が、8分を過ぎるあたりまでは甲乙を付けがたい演奏がされています。  第 ...

 実はまだ、日本人による優れたアランフェスが、もう一枚残されていました。日本を代表するジャズ・ベーシストの藤原清登が、トリオで演奏しているリーダー作です。彼はベース・デュオという形で、もう一枚、アランフェスのはいったリーダー作を残しています。彼のこの作品の ...

 正直、こんなアランフェスが身近にあったことに驚いています。それに発売当初から購入していたにもかかわらず、今になってここに引っ張り出している、自らのいい加減さにも驚いている次第です。  コーラス・グループでのアランフェスといえば、第14回の、『スイングル ...

 ここでもアランフェスは、CDの1曲目にはいっています。パーカッションの響きが魅力的で、肩に力のはいらない、軽快なアランフェスです。ドライブ時のBGMには最適な一枚です。流れていく景色を、さわやかに引き立ててくれそうです。 この演奏での特徴はといえば、楽 ...

 テテ・モントリューのことをいつ知ったのか、思い出そうとしているのですが、どうしても思い出せないのです。このCDを入手する前から、名前は知っていたはずですが、多分、どこかジャズ喫茶かどこかで、聞き覚えてい名前だったに違いありません。 そのテテのピアノに、 ...

 さり気ないアランフェスです。ギターのケニーに、ベースのスタンリーのトリオが共演している一枚です。ピアノはルー・マシューズに、ドラムスはポール・ハンフリーという、このカルテットの演じるアランフェス、欠点を見つけることが難しい一枚です。 といって、ここは凄 ...

 彼女はパリのコンセル・ヴァトワールのパープの先生だそうです。このCDは近くのレコード店で入手したものです。ジャケットも、アランフェスらしくないし、説明書もないし、ジャケットにある説明文はフランス語だし、読めないものに役立ちません。 もともと。この連載を ...

 モダン・ジャズ・クァルテット(以後MJQ)も、ローリンド・アルメイダも、すでに取り上げているグループであり、ギタリストです。アランフェスを知ったもの同志が、一緒に演奏したのが、1964年に発売された、MJQの代表作の、『コラボレーション』だったのです。 ...

 ロン・カーターは、紹介するまでもなく、ジャズでのアランフェスを代表する、ジム・ホールの名盤『CONCIERTO』でのベースの担当者。その彼がリーダーとして挑むアランフェスです。前回の名盤は、ビッグネームの六人で演奏するアランフェス、それにたいし今回は三人です。  ...

 何とも爽やかで、後になにも残らないのではと思えてしまうくらいの、さり気ないアランフェスがありました。BGMとしても、入門編としても最適なアランフェスは?と訊かれた、まっさきにこのトーマス・ハーディン・トリオが1995年に録音した、『アダージョ』というタ ...

 どうも私は金管楽器があまりお好みではないようです。といいながら、このデビッド・マシューズが率いる、マンハッタン・ジャズ・オーケストラ(以後MGO)を取り上げているのは、自己矛盾かとも思いますが、前回のジム・ホールとの共演も含めて、アランフェスに、人並み ...

 ジム・ホールのギターは素晴らしい。ジャケットも洒落ていていい。でも、ここまでこの曲を選ばなかったのは…どうも、共演しているオーケストラが、私の気にいらないらしい。 このオーケストラの中心人物、デビッド・マシューズといえば、1984年に『M・J・Q』を結 ...

 頼りないくらいに切ない、導入の部分の響きをどう言葉に代えればいいのか迷ってしまいます。それにこのCDは、私との相性が悪いというか、巡り会わせが悪いというのか、私のアランフェス・コレクションにあっては日の目を見ることのない一枚でもあったのです。 チャーリ ...

 ギター・デュオと呼んだらいいのか、ツゥイン・ギターといえばいいのか、いずれにしても、二人で二台のギターで原曲に忠実に演奏している、これもやはり珍しいアランフェスの一枚といえるでしょう。オーケストラで演奏されるものと、内容も演奏時間も全く同じと考えて差し ...

 このCDを手にするまで、私の知っていたトゥーツ・シールマンスは、ジャズ・ハーモニカの第一人者ということでした。それにおかしなことにこの曲では、ハーモニカだけではなく、得意の口笛さえ吹いてないのです。この名手ぞろいのケニー・ドリュー・トリオの演奏する『ア ...

 お手数ですが、少しカーソルを動かして、このCDのジャケットを眺めて下さい。モノクロの写真で恐縮ですが、今回は、このギターを抱えている、フランス人形のような顔をしている娘が演奏しているアランフェスです。本当にこの娘が?と、疑問さえもたれてしまいそうな一枚 ...

 カデンツァに至るまでは、甲乙のつけがたい演奏ばかりなので、何をどう書いたらいいのか分からなくなっています。最初に感じるのは、このトゥリビオ・サントス演じる一枚は、オーケストラに助けられているかなという気分です。イングリッシュホーンが、控え目だけどきれい ...

 難しい曲を「さり気なく」弾いている感じの、優しく穏やかに聞ける一枚です。上手く弾いてみせようとか、聴いている人に、誉められようとか、そんな気負いが全く感じられないのです。この、エドゥアルド・フェルナンデスというギタリストは、ギターという楽器とは関係の薄 ...

 モレーノは独学によりギターを習得したという、メキシコのギター奏者です。また協奏曲や独奏曲など、ギターのための作品をつくっている、作曲家としての活動もおこなっています。このモレーノと、エンリケ・バディスという指揮者と、メキシコ州立交響楽団という、私には耳 ...

 今、聴き比べたメモを整理しているところです。新しい発見もありました。ロメロ兄弟の次男、ペペに、1995年の収録時に、アドバイザーとして立ち会っていたロドリーゴが語っていました。「第二楽章の旋律は、生まれることなく亡くなってしまった、愛児への追悼の思いを ...

 今回は、同じ演奏家の、聴き比べということで、まずは先輩格にあたるナルシソ・イエペスをと思ったのですが、その前に、ちょいと横道にそれて、余談を入れさせていただきます。食べ物の趣味の話で、日本蕎麦の話です。 半世紀も前のことですが、私が大学に通う乗換駅の、 ...

 私の拙い『アランフェス雑感』も、気がついてみたら、一回目をはじめてから一年余り、取り上げたアーティストも五十名(グループ)を超えていました。そして立ち止まって、振り返ってみました。 私は、何をしたかったのだろう?と。多分、レコードやCDの中にこめられた ...

  顔がいい、スタイルもいい、そのうえ性格までいい、そんな理想的な女が少ないように、すべてが整った、完璧な『アランフェス協奏曲・第二楽章』なんて、ある訳ないのかも知れないのですが、そのないもの強請りをするのが、コレクターといわれる人間の、悲しい性なのかも知 ...

 間違いがなければ、ジャケットには、スペインを代表する画家のゴヤの、「着衣のマハ」を用いているのが、キューバ生まれのギタリスト、マヌエル・バルエコの演じている『アランフェス』です。 作曲者のロドリーゴは、ゴヤの描いた『憂愁に満ちた面影』をアランフェスのイ ...

 クラシックの世界で、ギター協奏曲として誕生した『アランフェス』ですが、今回を迎えるまでに、この曲の誕生に大きな貢献をした、デ・ラ・マーサを初回に選ばせていただき、計八名のクラシック・ギター演奏家を紹介させていただいております。この曲の発生からすれば、も ...

 私が、クロード・チアリのベスト盤を買った目的は、「哀愁のコルドバ」という、ダリダが歌う曲が聴きたかったからです。その昔、スペインに行ったことがあるという女性が、この曲の日本語訳をした詞が、とても素的だと教えてくれ、彼女の家で聞かされて以来、その詞の一節 ...

 音楽を楽しむのには、色々な楽しみ方があります。…曲が好きだから…演奏している人が好きだから…楽器が大好きだから…などなど、他にも理由になるものは、沢山あると思います。今回選んだ、このマンハッタン・ジャズ・クインテットはといえば、当然、私にとっては、大好 ...

 チック・コリアは、三回目の登場ということになります。最初に選んだのは三回目に鬼才のジャズ・シンガー、ボビー・マクファーリンとの、意表をついたデュオによる演奏です。そして二回目は、日本のホープ上原ひろみとの、親子デュオともいえるピアノの連弾で、十五回目の ...

 音楽の幅広いジャンルの一つに、イージー・リスニングと呼ばれる、ある意味、わけの判りにくい世界が存在します。一般的にいえば、BGM的に、気軽に聞き流しやすい音楽として、認知されているようです。 その代表的なものに、クラシックの交響楽団とは趣を異にしている ...

 ラリー・アドラーは、「ハーモニカ」という楽器の演奏家としては、「キング・オブ・ハーモニカ」と呼ばれ、クラシックからポピュラーまで、幅広く演奏している、アメリカ生まれの演奏者だということです。 このハーモニカという、馴染み深いくせに、よく知られていない楽 ...

 名曲中の名曲、「サマー・タイム」をタイトルにしているCDの一曲目に,「アランフェス」がおかれているという、意表を突かれた形の、ヴァイブとピアノを中心としたアルバムでもあります。選曲を見てみますと、冬をテーマにした曲もありますので、タイトルと選曲とは因果関 ...

 紹介させていただくのが、少し遅すぎたのではと、今は後悔しています。ジャケットの装丁も雑ですし、見栄えがいいわけでもありません。そんな訳で、私の部屋のCD棚の目立たないところで、眠ってしまっていたようです。装丁が雑と書きましたけれど、雑なのは装丁だけでは ...

 私が所有している、「アランフェス」の第二楽章を演じている音源の中で、この一枚が、最短のアランフェスです。たった二分十三秒のアランフェスです。その一枚をここに選んだのは、何よりもガイタと呼ばれる、スペインのガリシアという地方で、ケルト民族が用いているバグ ...

 この一枚を、アランフェスのベスト・スリーに挙げている識者もいます。でも私の率直な印象はといえば、「可もなし不可もなし」というところです。今までクラシックの演奏者に対してふれてきた印象に比べて、もう一つインパクトが足りないことは否めません。 唯一の欠点を ...

 ジャズの世界でアランフェスを代表する一枚として、三十年間以上もの間、人気を保ち続けている1978年にスタジオ録りされた一枚です。しかしアルメイダにとって、これがアランフェスの初演盤ではありません。遡ること四十八年前、彼はモダン・ジャズ・カルテットと、「 ...

 超人気ピアノトリオのE・J・Tが、これも若手の超人気ギタリスト、ジェシ・ヴァン・ルーラーをフューチャリングしたアランフェス…とくると、超々づくしで、何か商業ベースの具にされてしまったような匂いもしますが、まあいいでしょう、演奏さえよければいいのですから ...

 アランフェスの第二楽章を聞きく時、私は先ず、イントロのイングリッシュホルンの部分の、色彩の濃淡と量感を聴き分けます。この作品はそのイントロの部分から、都会的とも思える、淡く繊細な感じで入っています。ということもあり、このボネルの一枚は、ギター部分に入っ ...

 今、思い込みの怖さを感じながら、この四弦の楽器の、親しみやすい、ウクレレという楽器が奏でるアランフェスを聴いています。誰もがウクレレといえばハワイアンです。最近はハワイアンという言葉もあまり聞かれなくなりましたが、私の大学時代には、どの学校にもハワイア ...

 この2005年に録音された演奏は、厚くて深い響きだけど、暗さはありません。むしろ切れもあって、明快な音でもあります。今まで聴いてきたアランフェスとは、全く異質の、唯一無二のアランフェスです。それでいて、どこを切り取っても、全てがアランフェスという、完璧 ...

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