2010年01月29日

[私論]人脈 長州VS薩摩 その二

遺言のようになってしまった西村正雄が書いた安倍晋三への手紙の中で言われる「偏狭なナショナリスト」とは誰なのか。

ある事件から、その一端を垣間見ることができる。

平成18年の5月、当時晋三は官房長官だった。彼の名前で一通の祝電がある大会に贈られたのである。
場所は「マリンメッセ福岡」、8,000人の参加者の轟音のような拍手の中、祝電の披露の筆頭に「岸信介元首相のお孫さんである・・・」という前置きで晋三の祝電が披露された。そしてステージ中央で祝電を披露した人物は、日本統一教会会長、大塚克己だった。

この大会は、過去にも「霊感商法」など色々世を騒がせた、韓国に本部を置く宗教団体「世界基督教統一教会」の関連団体「天宙平和連合」が主催した合同結婚式を含む宗教集会だった。

統一教会の機関紙「世界日報」のホームページにもこの大会の記事が掲載され「安倍晋三内閣官房長官、保岡興治元法務大臣など」から祝電が贈られたことが記してある。
さんざん批判されたにも関わらず、結婚を希望する信者達を、教祖である文鮮明と妻が、相手を決め結婚させるという合同結婚式が尚続いていたことに驚きもあるが、祝電を贈るというのもどういう経緯なのか。

統一教会は、この福岡の大会を含め日本国内で12ヶ所で合同結婚式を開いており、直前の広島大会でも晋三は祝電を贈っている。
勿論、本人が直接電報を送っているわけではないだろう。ただ、数え切れない訴訟があり、多くの事案で違法性と裁判所が判断している宗教団体に、どういう係わり合いがあるというのだろう。



元々韓国の貧しい農村部の嫁探しが土台にあって、実家に財産のある日本女性を勧誘し入信させ、韓国の貧困層の男性と結婚させるという目的があった。特に日本の女子大生はターゲットだったから、統一教会系のサークルが大学に増殖したこともあった。
女性は韓国に移住し、儒教色の強い農村部で奴隷のように働かされる。韓国の中での日本人、当然虐められることになり、このことは以前より外務省内でも問題になっていた。
そのことを晋三は知らなかったのだろうか。

この時、祝電の問題性を感じた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が晋三側に公開質問状を送って真意を確認しようとしたが相手にされなかった。その対応に今度は各新聞社が事のてん末を一斉に報道した。それには無視できなかったのか、安倍事務所よりコメントが出たのである。
「私人の立場で、地元事務所が官房長官の肩書きを使って祝電を送った」という。「担当者によく注意した」と責任を地元の事務所担当者に転嫁したような回答であった。

元々晋三の祖父岸信介と日本統一教会会長の久保木修巳とは親しい関係にあった。岸と久保木は「自主憲法制定」で共に運動したことは有名であり、その付合いが孫の晋三にも続いたのかもしれない。

久保木は統一教会の政治組織として「国際勝共連合」を創設する。ある統一教会問題に詳しい弁護士などに言わせると、勝共連合の行動要綱と晋三の政治信条とは極めて近い、限りなく近いという。

勝共連合は「自主憲法制定」「教育基本法改正」「首相の靖国神社参拝は合憲」を掲げており、晋三と似つかわしいというよりも、今日の保守政治の主流的な考えと共通点があると思われる。

晋三が総裁戦の前に「美しい国へ」と題する著書を出している。また総裁戦のパンフレット「美しい国、日本。」と「美しい国」政権構想をアピールしているのだが、偶然なのか日本統一教会会長だった久保木の遺稿集として出版された本のタイトルは「美しい国 日本の使命」と文字面が妙に似ているのだ。

また、総裁戦を前に統一教会系週刊誌「サンデー世界日報」ではキャンペーンとも思われ安倍政権構想を賛辞し大いに評価できると締めくくっている。

何故に韓国の宗教団体が、靖国を肯定し、自主憲法制定と自衛権行使という、自国に不利と思われる日本の対外政策に同調するのだろうか。
また、日本の保守政治の中、晋三を代表とする政治潮流になぜ韓国系宗教団体の支援や力を必要としなければならないのか、そういう疑問も湧いてくるのである。
 まさか、儒教と道徳という共通項だけによって結びついているわけではないだろう。西村が晋三に残した手紙にあるように「晋ちゃんは人に利用されやすい」ということだけなのか。


ある雑誌によると「統一教会は日本の国会議員とさらに関係をつくるために、秘書を国会に送り続けています」、「その人数は三桁を越えるという話もある」という。そういうことであれば議員の地方事務所が統一教会のイベントに祝電を出していても不思議はないのかもしれない。

sugurupx at 22:23│ うんちく噺 | 歴史私論