酔遊記

密かな楽しみ、味わい深い居酒屋をめぐる。

No.29 野球観戦、ビールがなければ味気ない

今日は野球の話です。

熊谷市を所在地にしているBCリーグ(Baseball Challenge League)の球団があります。
その名は『武蔵ヒートベアーズ』です。

年間68試合を公式戦とするプロ野球です。
いわば地域密着型の独立リーグで、9試合を熊谷で、そのほか埼玉県内の6地域で25試合を行っています。
現在、15勝16敗2分けで、Future-East 3位の成績です。

今日、試合が13時から熊谷さくら球場であったので、観に行ってきました。
今日の相手は『信濃グランスローズ』です。

ヒートベアーズの野球を見るのは実は初めてです。
創立は平成25年10月で、翌年4月から実戦がスタートしていますので、3年目に入ったところです。
創立当時はこの地に生まれたプロ球団だぞ、応援しないわけにはゆくまいと思っていたのですが、忙しさにかまけて今日の今日まで行くことができませんでした。

さて、今日は抜けるような晴天、刺すような日差しです。
球場までは車です。

結構急いで、試合開始15分くらい前に到着。駐車場は空(す)いています。
入場料は内野自由席が1,300円。

入り口の前にはキッチンカーやグッズ販売のブースが数軒あります。
コンビニで弁当を買うつもりだったのに、すっかり忘れて球場に着いてしまいました。
どういうわけか、チーカマだけを自宅の冷蔵庫からつかんで持ってきたのです。
これも習性でしょうか。

カレー焼きそば(カレー味の焼きそばということか)、冷や汁うどん、唐揚げ、タコライス・・・うーん、ビールが飲みたい。
野球をみる機会は以前ほど多くはないけれど、野球といえば後楽園ドームか神宮で、ビールを飲まなければ観る意味がないというほどビールは観戦のお供でした。

弁当やつまみはビールに合わせて買いたいところです。
車でしか来られないのがまことに残念。

おっと、ノンアルコールビールも売っているのです。
仕方がないと、これを買いますが、不満が内部にくすぶります。

ほかのものには迷わず(?)、ありきたりでビールに一番遠そうなカレーライス弁当に決めました。

球場の中に入ると、うぅぅ、人が少ない。外野も合わせて300ー400人でしょうか。
バックネット裏にも観客がいない。
地元だというのにこんなに人気がないのか、と正直思いました。

まぁ、試合が始まれば人が来るのだろうと、がらがらのバックネット裏に陣取りました。
椅子が熱い。

前の席に鞄を置いて、カレー弁当を広げて、ビールを置いて、悠々です。
チーカマをむいて、ノンアルコールを一口飲み干したところで試合開始。

『ヒートベアーズ』は後攻です。
1回の裏、いきなり先頭打者ホームランです。
それにしても、ノンアルコールビールとチーカマとカレーライスという組合せ、何とも味気ない。

ピッチャーのできがさほど良くはないと思っていたのに、意外や5回までノーヒットに押さえます。
マイナーリーグとはいえ、なかなか見応えがあります。
Honey Beesというチアガールの応援もちゃんとあります。

『武蔵ヒートベアーズ』もやるわいなと、いい気分になっていたところへ、6回になってワンナウトを取ってからピッチャーが突然崩れ出し、連続安打を浴び始め、一挙6点を取られ1ー6と、信じられない展開に。

9回にも大量点を入れられ、終わってみれば1ー13の大敗。
ビールが飲めなかったせいだけではなく、いつの間にか試合も味気ない結果に終わりました。

野球場の近くでスケッチを1枚。両端が若干切れていますが、とりあえずこんな感じの田んぼの中です。
ついででまことに恐縮です。

広瀬スケッチ

No.28 信州「真澄」の蔵元に偶然

私の好きな酒の銘柄に信州の「真澄」があります。
5月20日、思わぬことからこの醸造元を訪れることができました。

19日と20日、古い友人と2人で八ヶ岳と蓼科を周遊する車のツーリングに出かけました。
嬉しいことに、2日間とも完璧な晴天でした。

1日目は上信越自動車道から入り、野辺山の八ヶ岳高原ロッジ、清里の清泉寮、八ヶ岳高原ラインを通って御射鹿池を巡り、蓼科のホテルに宿泊。
東山魁夷の絵で有名な御射鹿池を、ホテルで一枚。

みしゃがいけ

筆を重ねすぎてしまいました。

2日目は朝から霧ヶ峰に出かけ、車山周辺から八島湿原に回り、グライダー練習場を散策しながら離着陸を見学。その後、ビーナスラインを霧ヶ峰から諏訪のほうに下りました。

諏訪の市街に入る道の突き当たりのところで信号停止をしていると、「宮坂醸造」の看板と「真澄」の旗が目に入りました。
道路の向こう側にはこの町に不似合いな、しゃれた構えの建物が見えます。左には杉玉飾りのあるやや古そうな建物もあります。

ここが「真澄の蔵元」かぁと、私は偶然の出会いに大いに感激ました。
しかし、予定が少し押していたので、寄ろうか迷いました。
すると、酒を飲まない友人が、「偶然とはいえ、せっかくだから寄ろうよ」と後を押してくれます。

車を駐車場に入れ、「セラ真澄」とあるモダンクラッシックな建物の中に入ると、しゃれたディスプレイのショップです。
右側が酒のコーナー、左側が陶器などの生活雑貨のコーナーになっています。

店内をいろいろ見て回っていると、宮坂醸造がどんなに歴史のある酒蔵かがわかってきました。
1662年の創業ということですから350年以上が経っているということです。苦しい時代もあったようです。


初めて真澄を知った時のことを覚えています。

もう15.6年、いやもっと前になるかもしれませんが、スノーシューを楽しむために戸隠に泊ったときのことです。
山から下りて宿に入った後、食事まで時間があるのでインストラクターと中社のあたりの土産物屋をひやかすことにしました。

ぶらぶら歩いていると、ある酒屋の店先に「あらばしりあります」と書かれた短冊の下に、無造作に新聞紙にくるまれて売られている酒を見つけました。
値段が書かれていません。
それにそもそもその頃の私は「あらばしり」という言葉も知りませんでした。

包みを取って驚きました。
あくまでその時の記憶ですが、銘柄も、醸造元も書かれてなく、手書きの数字のメモのような紙が貼られているだけでした。
明らかに商品として売られているものではなくて、サンプルかなにかのように見えました。
こうやって酒が売られているものなのだろうか、未醸造の酒なのだろうかと半信半疑で眺めていると、店の人は「これは出来上がった上等な酒だよ。春先に試験的に何本か回ってくるんだけれど、真澄のあらばしりさ」というような説明を聞かされました。

ラベルのついていない酒なんて見たことがなくおもしろそうだから、だまされたと思い1本求めました。
宿に戻って居合わせたグループの数人と囲炉裏のようなところで飲み始めたら、みんなが「これはうまい」と杯が進み,
あっという間に飲み干してしまいました。

翌日、私はこれを自分用に買い、荷物に入れました。
そんな思い出があり、信州に行くとよく飲む酒になりました。ワンカップもなかなかいけます。
その後、東京でもよく見かける銘柄になりました。


さて、店内には20種類近くが並んでいます。
私がよく買い求めるのは「純米吟醸辛口生一本」です。
しかし、今日偶然にここに来ることができた記念に「山花」を買うことにしました。

酒を選ぶことにばかり頭が行ってしまい、うっかりして店の写真を撮るのを忘れました。

その後は、清春芸術村により昼食を取り、中央高速で帰ってきました。

2日間の走行距離575km。半分近くルーフをオープンにして走っていたので、顔が日焼けでヒリヒリです。
さすがに疲れました。トシですねぇ。

No.27 北信州の春

先週、北信州を一人でドライブして来ました。

1日目は朝から雲一つない晴天。小布施でインターを下り、アップルラインという一般道を飯山方面へゆっくり進みました。

中野市に入ると、千曲川を挟んで(どこから信濃川になるかは知りませんが)対岸の遠くに上越方面の連山が、まだたくさんの雪をたたえて美しい姿を広げています。
もちろん、視界一面、桜と菜の花が、塗り込められたように景色を彩っています。
思わず、何度も車を降りて、その風景に見とれました。

昼食を飯山市の駅前の蕎麦屋で取ったのですが、女将さんに「近くの飯山城址の桜が見事だよ」といわれたので、寄ることに。
桜の咲き誇る石垣をたどりながら上へ登ります。3世代の家族が連れ立って花見に来ているのを目にすると、気持ちが休まります。

頂上から眺めた桜並木と菜の花と千曲川と雪の山々。
言葉は要りません。なんともいえない日本の原風景です。

菜の花公園

北信州2017


それから飯山市の菜の花公園に行きました。
城址公園の対岸の山腹になるので、今度は信越方面の黒姫山、斑尾山、妙高山といった山々が眺められます。菜の花はまだこれからです。


さらに山の奥へ進んで、飯山市瑞穂地区福島を訪れました。
山峡の小さな集落です。
今は、車のナビがあるので、こんな山道でも迷うことはありません。

大銀杏の木を見た後、2kmほど先で車を置き、山道を登りながら棚田を見て回りました。
ここの棚田は石組みで土留めされている珍しいものです。
かつては数百枚もあったそうですが、現在は地区の人たちが数十枚を文化的に保存しているのだそうです。

棚田を上り詰めたあたりに、小さな「阿弥陀堂」があります。
映画「阿弥陀堂だより」を撮影するためにつくられたお堂なのですが、これも地域の人たちが保存しています。

   雪解水 避(よ)けて到れり 阿弥陀堂

そこからは信越方面の山々が、棚田をずうと下って平野の先に立ち上がるようにして眺められます。
今夜宿泊する斑尾山が正面に見えます。

スケッチをする人が2人いました。
実は、「阿弥陀堂だより」を観たときに、ここの風景に魅せられ、いつかここを訪れたいと思っていたのです。

1時間ほどの散策になりましたが、車に戻ってホテルまでドライブです。

あの花と桜のトンネルをいくつも貫いて飯山に下ります。
前田夕暮の歌にこんなのがありました。

自然が ずんずん体のなかを通過する ――山、山、山

斑尾高原の手前から残雪が見え始め、やがて2m以上もある壁になっていきます。
車の運転をマニュアルモードに切り替えてヘアピンカーブをこなします。
下りでギアを低回転にしたときの振るえるエンジン音が車体から体感として伝わってきます。
これがたまりません。

30分ほど堪能してスキー場のある温泉に到着。


2日目。今日も文句のつけようのない快晴。

昨夜のうちに、どうしてももう一度、瑞穂区福島の集落周辺を訪れたいと思い、9時に出発、逆光でない棚田からの風景をスケッチに収めました。

飯山のスケッチ

その後は「故郷(ふるさと)」や「朧月夜」で知られる中野市の高野辰之記念館、谷厳寺の千本桜を巡り、2時頃小布施に出て、遅い昼食を取りました。


一人旅は、連れのことを気にせず好きなときに好きなところに好きなだけいられて、いいものです。
たまには一人で旅に出かけてみませんか。

今回は、お酒に関する話題はありませんでしたが、夜の食事に合わせて飲んだ飯山の地酒「水尾」と信濃町の「松尾」は、ともに心に残る酒でした。
土産には「水尾」の大吟醸を奮発しました。