近年、信州にはワイナリーが次々誕生しています。
これから生まれようとしているところもかなりあるようです。

また信州ワインはこの数年で格段に味が良くなったという噂です。
やがて山梨を超えた本格的ワイン産地になっていく予感がします。

先日信州に旅行した際に、立ち寄った小さなワイナリーの話を書きます。

東御市(とうみし)は小諸市と上田市との間にあり、湯の丸高原や菅平への入り口としても知られています。
東御市には5つのワイナリーがあるそうです。
そのひとつが有名な玉村豊男氏の「ヴィラデスト・ガアーデンファーム・アンド・ワイナリー」ですが、そこからさほど遠くないところに、今回訪れたワイナリー「リュードヴァン(Rue de Vin」があります。

なぜここに行くことになったのか、さしたる理由はありません。
ネットでお昼を食べるところを探していたところ、千曲川ワインバレーなる記事を見かけ、見ているうちに「リュードヴァン」が手軽なランチをやっていることがわかり、行ってみるかということになった次第です。
土日以外は要予約ということで前日に電話しました。

東部湯の丸インターチェンジを降りて、北側の山を10分くらい登ったところの中腹にありました。
そこは葡萄畑になっていて、広く開けています。
そこにこんな感じのショップ兼レストランと、その後にワイン工場がかわいく立っていました。

RuedeVin

駐車場の脇にはお花畑があり、左側の斜面には葡萄畑が広がっています。
右の奥には八ヶ岳連峰があります。

中に入ると、10ー15坪くらいでしょうか、けして広くはない、レストランともショップともいいがたい空間がありました。
イメージしていたのとは少々違っていたので、戸惑いました。
ショップにしては、商品も余り飾ってありませんし、レストランといっても、ただテーブルがいくつか置いてある程度で、こじゃれた雰囲気でもありません。

しかし、女性が笑顔で迎えてくれました。
店にはその方しかいませんからシェフなのでしょうが、ソムリエバッジをつけています。

右側の八ヶ岳のほうの窓に向けて私たちのテーブルがきちんとしたレストランのようにセットされていました。

ランチは1種類なので、選ぶ必要はなかったのですが、水を運んできた彼女がこのワイナリーとここでつくっているワインについて熱く説明してくれます。

それを聞いていたら、ワインを注文しなければならないような気分になってしまいました。
一応、相棒に運転の交替を頼んで飲むことに決定しましたが、どれにしようか迷っていると、「赤ワインは在庫が切れていてお出しできません。申し訳ないのですが、白の中からお選びください。」と言うのです。

更に迷っていると、
「ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネの2種類を半分ずつお出ししましょうか。」
(下の写真の右から3番目と一番左のボトルです)
「いいですねぇ、それでお願いします。」という具合に決まりました。

リュードヴァン

後で聞いた話ですが、赤ワインは今の生産量では1,000本くらいしかできないのだそうです。
生産量に対して固定費がかかるので、どうしても値段が5,500円と高くなってしまうのですが、それでも毎年すぐに売れ切れてしまうそうです。

さて、白ワインのお味はどうかというと、どちらも辛口で、葡萄の味が残り、やはり日本のワイン独特の味がします。私にはいまひとつかと思えますが、正直、ワインの味はよくわかりません。
シャルドネのほうが飲みやすかったかな。


ランチは美味しくいただきました。
特に高原野菜のサラダは新鮮で、野菜の種類も豊富でした。
   *(この種の野菜は、最近、軽井沢の『発地市庭』というところで手軽にまとまって手に入ります。)

この日、客は私たちの一組しかいませんでした。
食事を運んできたときも、料理の準備の合間にも、食事の後にも、彼女からいろいろ興味深い話を楽しく聞かせていただきました。

ワイナリーといっても葡萄を育てるところから醸造・販売まですべての工程を手がけているところは少なく、「リュードヴァン」のこだわりはそこにあると言います。

長野県には、「原産地呼称管理制度」といって農産物の品質を保証する制度があります。
外国から葡萄を買ったり、ワインを買ってラベルだけ貼って売り出す業者とは区別して、葡萄の生育から手がけ、醸造まで一貫して管理し、品評会での評価を得てオーソライズされた商品ということです。
ワインのほかシードル、日本酒なども含まれています。
長野県はワイン葡萄の生産量では日本一だそうです。

玉村豊男氏が代表を務める地域の共同出資会社「アルカンヴィーニュ」では、『千曲ワインアカデミー』という“栽培醸造経営講座”が開かれていて、全国から若い人が集まってきているそうです。
ここで教育を受けた人たちが、葡萄の栽培や醸造の仕事に就いたり、将来ワイナリーの経営を志望して付近の市町村に住み着いているみたいです。

起業までには資金や土地の確保などいろいろ苦労も伴うようですが、なんだか、東御市が豊かな住みやすい土地に思えてきました。

「リュードヴァン」の社長さんにはお目にかかれませんでしたが、この地域をワインで観光開発していく夢をお持ちだそうです。
店舗の正面の小さな山を新しく借りることができたそうで、そこに畑を広げ、参入者を募り、ワイン工場や、レストラン、ショップ、宿泊施設などを展開し、ワインヴァレーとして発展させる構想です。

そういえば、社名はフランス語で「ワイン通り」という意味でしたね。
夢を社名に乗せて頑張っているということですね。
いつか、ここが人で賑わう通りになることを願っています。

彼女が一人でシェフ、ウェートレス、ソムリエ、販売員、加えて時間のあるときにはラベル貼りと活躍する姿は、とっても生き生きとして映りました。
そして、信州の片隅で夢を追いかけて一生懸命に奮闘している小さなワイナリーを応援したくなりました。

今回もまた長くなってしまい申し訳ありませんでした。
瓶