インターネットで適性検査を受検するWebテスト。企業は筆記試験会場を用意する必要がなく、学生も自分の好きな時間帯で受検できる……といいことずくめである。Webテストでは、日本エス・エイチ・エル社のものが最もよく利用されている。私も何社かで受検した。

3月中旬、ある会社の面接の帰り。同じ時間帯の面接を受けていた他大学の人と話をしていた。私が「Webテストは難しい」という話をすると、彼は「俺はいつも満点だ」という。その理由を聞くと、

「東大生のくせに、そんなことが分からないのか」

と言われてしまった。簡単に点を取る方法があるらしい。要するに、

問題が難しければ優秀な人に解いてもらい、問題が多ければ友人と協力して解く

ということだ。この話を聞いてショックを受けた。Webテストで落ちた会社もあるのに。

Webテストの留意点 〜学生の様々な受け止め方〜

学生に対するWebテストのアンケート結果(前出のリクルート社調査による)でも、性格検査についての否定的な回答は27%に留まるのに対し、能力検査についての否定的な意見は49%という結果となっています。

この背景には「回答しているのが確実に本人かどうか分からない」というWebの特性があります。現在のインターネット及びコンピュータ技術では、インターネットに接続する人物の特定を完全に行うことは困難です。応募者本人でない者が「なりすまし」て受検したり、友人同士で協力し合って受検するのを防ぐことはできません。

社会人になれば、自分1人の力では困難な仕事もある。困難な仕事をやりぬくには、上司の力を借りたり、同僚と協力したりすればよい。企業はWebテストを通して「他人の力を借りてでも高い成果を出す社員」を求めているのだろうか。

そんなWebテストでは、どのような問題が出題されているのだろうか?

言語分野の例題(正解は過去のネタ参照)

次の文章を読み、設問文がA,B,Cのいずれに当てはまるか解答しなさい。

 寺田寅彦は高知県生まれの物理学者・随筆家・俳人である。東京帝国大学で物理学を学び、結晶に対する先進的な研究を行った。彼は文学にも造詣が深く、科学と文学を調和させた随筆を数多く残している。近年の大学では文系・理系の枠を越えた研究が流行しているが、そのルーツは寺田寅彦に求めることができるかもしれない。

【設問1】 寺田寅彦は後世の研究に影響を与えた。
【設問2】 寺田寅彦は高校時代、夏目漱石に師事した。
【設問3】 寺田寅彦は数学者であり、文章の中で科学と文学を調和させた。

A 本文から論理的に考えて正しい。
B 本文から論理的に考えて間違っている。
C 本文からだけでは論理的に判断できない。

試験時間15分で8つの文章を読み、文章ごとに4つずつある設問に答える。合計32問。実際のテストで出題される文章の長さは、例題の2倍以上。読むだけでも大変だ。また、以前書いたようにBかCかで迷ってしまう問題も多い。出題者に正解を聞いてみたいものだ。

計数分野の例題1

人口の最も多い国はどこか。 (クリックで表を拡大)

計数問題の例題

(1) A国  (2) B国  (3) C国  (4) D国  (5) E国

電卓の使用が認められているが、とにかく時間が足りない。29問を15分で解く必要がある。1問あたり約30秒。すべてを計算していては間に合わない。この問題の場合、「普及率が低くても発行部数が多いのは、人口が多いから」という関係に気づけば、計算をほとんどせずに(3)を選ぶことができる。

計数問題では、以下のような問題が出題されることもある。

計数分野の例題2(正解は過去のネタ参照)

以下の表から規則性を読み取ると、D国の観光客数は何人と考えられるか。(クリックで表を拡大)

観光客数

(1) 100万人  (2) 200万人  (3) 300万人  (4) 400万人  (5) 500万人

近年導入された、表の規則性から空欄を埋める問題。20分で20題出題され、問題に使われる表は1問ごとに変わる。問題のルールを知っていれば簡単だが、知らないと無駄な労力を使って自滅。 ルールについては、過去のネタ参照。

過去のネタ1:あなたは解けますか?
過去のネタ2:「バトル・ロワイアル」を思い出してみた

Webテストの対策本は多いが、空欄を埋める問題の対策はこの本が詳しいようだ。私はこっちの本を見たが、空欄を埋める問題の例題が1問だけだった。1問だけ紹介されていた例題は、ポンプの1分あたり排水量水槽を空にする時間の関係。「1分あたり排水量」と「空にする時間」が反比例するということは、常識的に考えればすぐ分かる。

実際のテストでは、どのデータとどのデータが関係しているかを直感的に理解するのは難しい。