2007年02月12日

アチェで和平協定が結ばれてよかった

この本を読んで最初に、アチェで和平協定が結ばれてよかったと思いました。とはいっても内乱状態では復興もままならなかったと思うので自然な流れだと思いますが。日本に住んでいると平和が当たり前なので、戦争状態で地震が起きるよりもはるかに被害は少ないです。しかし、それでも阪神淡路大震災では5000人を超える被害を受けたのだから、戦争状態で同じ地震が起きたら20,000人を超える規模ぐらいになったのではないかと思います。逆を言えば、いま紛争が起こっている地域で地震が起きた場合、その被害はとても大きいものになるだろうと予測できます。また、地震の混乱に乗じてテロなどが起きる可能性もあります。地震は社会情勢によって被害の大きさが変わるということを授業で学んだので、地震予知と同時に社会情勢の回復も、地震災害の予防のひとつになるのだと思います。
私はいま大学で土木構造の勉強をしていますが、地震の存在は忘れることができません。地震で破壊された橋や道路は市などの公的機関が直すのですが、スマトラ地震の時は公務員がほとんど亡くなってしまった地域もあり、道路の復興でさえ自分たちの力で行わないといけない地域も多かったようです。日本、例えば阪神淡路大震災では道路はもちろん市などの公的機関が修復し、さらに仮設住宅なども公的機関が設営しています。それを考えると、スマトラ地震での修復はとても大変なものだっただろうと思います。しかし橋などの巨大な構造物を作るための高度な技術を持った研究者が現地に少ないなどの問題もあるようです。そのような地域に行き、技術を伝えることが将来にわたって必要なのでしょう。そのような技術の支援制度は現状ではまだしっかりしていないので、これから整備していかないといけないことだと思います。
今回の本で一番興味があったのは、生活の復興の部分でした。人々がどのようにして復興作業に取りかかっていたなどは、とても興味深く読むことができました。
復興に成功した町と復興が遅れている町の差は、人々の普段からのコミュニケーションの差です。このことは、現在の日本の都市部でも地震が起きたときに問題になるのではないかと思います。よく言われることに「下宿先で地震が起きたけれど、隣の人が無事かどうかわからない」ということがあります。私も、現在の状況はそうだとしか言えないと思います。下宿の場合、アパートの住民で集まって焼肉パーティを行うといった話も聞いたことがありますが、ほとんどの場合は隣の家の人との接点はほとんどなく、地震が起きたときに救出が困難になると思いますし、避難生活も孤独なものになってしまうと思います。スマトラ地震の場合、田舎のほうでは国などからの支援がほとんどなかったため自分たちで協力しなければ生きていけない状態だったそうです。いま名古屋で東海地震が起きたとしても、近所の人とコミュニケーション不足で死ぬというところまでは行かないと思いますが、私も普段から近所の人とコミュニケーションを欠かさないよう気をつけていきたいと思います。
名古屋大学工学部社会環境工学科2年 藤嶋

sumatra2004quake at 09:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2006年12月22日

海外NGOがもっとも頼りなどうれしかった

難解なテーマをわかりやすく伝えようとする意図が読み取れて、感心しました。また、アンケートが貴重ですね。海外のNGOがもっとも頼りになったという回答を知り、NGOの一員としてうれしく思いました。
コモンズ 大江
コモンズはアチェに関連する書籍を積極的に出版されています


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2006年12月14日

「実際の自然」や「現実の災害」から学ぼうという姿勢が伝わる

「実際の自然」や「現実の災害」から学ぼうという木股さんの変わらぬ姿勢、役に立ちたいという思い、強く伝わってきます。
 私にインパクトがあったのは、それまでの共同研究が基礎にあること(50p)、コミュニティのリーダーの能力によって復興速度が違うこと(131p)、生活再建にもっとも役に立ったのが海外のNGOと答えた人がもっとも多いこと(155p)、足で歩く調査の重要性を述べている箇所(198p)などでした。
 「おわりに」に安藤さんから提案があったことが書いてありますが、どうして、防災研究所ではこのような提案が無かったのか、いぶかしく思いました。
 最後に、不満を書かせて下さい。全体に(とくに第1章と第2章)、余りも文章が押さえ気味に書かれているので、関係した方々の思いが伝わり切れていないと感じました。科学者として、冷静に書くことは重要ですが、その中にも、熱い思いを折り込まなければ、一般書としては物足りないものがあるような気がします。

京都大学防災研究所 川崎一朗

川崎さんは「スロー地震とは何か」で彼の研究に対する熱意を熱く語ってみえます。

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2006年12月01日

優れた災害教育の教科書

本書は、スマトラ沖地震津波で最大の被害を受けたインドネシア・バンダアチェの学術調査を中心に、これと対照させて日本の津波被害の歴史、これから予想される南海津波、東南海地震などの問題に触れている幅広く且つ中身の濃い本です。災害調査現場のようすが手に取るように伝わってきます。日本の理科教育における災害リテラシーについても触れています。そして何といっても嬉しいのは、広く一般対象としていますから、文章が読みやすく、ドキュメンタリー風に読みやすく書けています。難しいことをやさしく理解してもらおうという姿勢が随所に現れていて大変好感が持てます。
 この調査の目標に文理連携型を実践しようという意気込みがあるとのことで、歴史分野を科学的に捉えた新しいタイプの本といえます。
地学教育革命人

amazonに紹介されたレビュー


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2006年11月19日

このような努力の一つひとつが現地の人たちの知識を育て、その地に新しい学問の根をおろす

 名古屋大学の環境学研究科にある地震火山研究センターの木股文昭さんが公表しているウェブサイトでは、インドネシアでの専門家の活躍が紹介されている。次つぎと確かな研究成果が得られて、それらの成果をインドネシアで発表しながら討論を進めている様子が紹介されている。このような活動を新聞はもっと報道してほしい。

  ここもまた学問の街春の川         中村夕衣

 二〇〇五年七月には、ジャカルタで、スマトラ地震と津波被害のワークショップが開かれた。二五日から二七日まで、ジャヤカルタのBPPT(研究技術省)で開催された、日本のJAMSTECとBPPTによる国際ワークショップである。
 また、インドネシアのパダンでは、次のスマトラ地震をテーマにワークショップが開催された。スマトラ地震前からスマトラに注目して取り組んでいた、カリフォルニア工科大学のケリー・シー教授らの働きかけで、次に予測される大地震に関するワークショップが、アメリカ合衆国、インドネシア、日本の共催で開かれたという。
 また、木股さんたちは、アチェの和平をきっかけに、スマトラ断層の地殻変動の調査の計画を実行し、村人からの歓迎を受けながら調査を精力的に進めた。二〇〇五年一一月三〇日には、バンダアチェでシアクラ大学と共同のセミナーを開催した。バンダアチェ初の地震と津波に関するこのセミナーには、二〇〇名を上回る人びとが集まってきたという。名古屋大学からも一一名の研究者と院生が参加した。このような努力の一つひとつが現地の人たちの知識を育て、その地に新しい学問の根をおろしていくのである。

  ものの種深き地底をめざしたり       中田美子

尾池和夫さん(京都大学総長) サイト「京都の地球科学(150)インドネシアの地震と火山(その3)」から引用させていただく

sumatra2004quake at 12:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

貴重な現場ネタとして知識を仕入れたい

 昨日、スマトラ津波の本が届いたと思ったら、千島の地震が起こりました。あまり大きなイベントに「つき」がなかった小生にとっては、ほどほどの出来事でしたが、初期段階では情報量はスマトラも紙一重、初期の段階で的確敏速な判断行動をとれるようにというのは、我々にとっては重い課題と改めて感じました。
 木股さんは、現場という現場を渡り歩いておられますが、小生はいつも後詰め、後備部隊の仕事ばかりで修羅場をくぐった経験がありません。頂いた本は貴重な現場ネタとして知識を仕入れたいと思います。どうもありがとうございました。
濱田 信生さん (気象庁地震火山部長)

sumatra2004quake at 10:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2006年11月16日

広い視野に基づく災害研究がもたらした成果

 15日夜8時半頃に津波警報が出た最中ですが、木股・田中・木村編著『超巨大地震がやってきたースマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社、11月刊)の紹介をします。
 スマトラ沖津波の調査報告かと思って読み始めましたが、それだけの書物ではありませんでした。読みやすい文章、難しいことをやさしく説く姿勢に誘われて、本を閉じることなく、読み終わりました(第1章の自然現象としての超巨大地震は飛ばし読みですが)。
 本書は、スマトラ沖地震津波で激甚被害を受けたインドネシア・バンダアチェの多角的調査を中心に、現地での津波観測施設の問題、日本の津波被害の歴史、これから予想される南海津波、東南海地震などにも言及する幅広く且つ中身の濃い本です。
 たとえば、開発途上国での自然災害の救援、海外支援が国民全体のレベルに届かない問題点などにも率直に言及しながら、その原因を被災地の社会構造、政治紛争の問題を踏まえて指摘しています。これは、広い視野に基づく災害研究がもたらした成果でしょう。 
 本書のあとがきによれば、これは文理連携型を実践しようという意気込みで、スマトラ沖地震津波の被災地に災害発生以来2ヶ月後から数次入って調査したとのことです。復興の姿を時間をおいて調査した結果、復興達成度の地域差も歴然としているとのことです。
 内容的にも研究のスタイルとしても一押しの本です。
北原糸子さん (次々と歴史災害を新たな観点から掘り起こし 活躍中です)

sumatra2004quake at 07:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!書評 | 読後感想

2006年11月13日

世界の国々の関係が「成熟」せねば

スマトラの地震の救援活動において、世界が一歩成熟したとのお話は重要だと思います。この自然災害の大きなエネルギーは核兵器という姿でいつでも現れる時代になってしまいましたので、世界の国々の関係が「成熟」せねばならないと思います。大地震の研究はその役に立つかもしれません。
皆様方のご活躍を期待申し上げます。
村松郁栄さん (岐阜大学名誉教授・地震学)濃尾地震の現地岐阜で50年、その集大成として「濃尾震災―明治24年内陸最大の地震」(古今書院)を出版。

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2006年11月10日

産総研からも「きちんとわかる巨大地震」の出版

私たちの本「超巨大地震がやってきた」に先立ち、産業総合研究所から「きちんとわかる巨大地震」が出版された。さっそく購入して通勤電車の中で一気に読んだ。たしかに「きちんと」巨大地震について記されたものである。3分の1がルポライターの取材を整理し、そのあとに産総研の若手研究者の熱き語りに触れることができる。最後に記された「地震の発生間隔に比べて、我々が自身の観測を続けている期間があまりにも短い。。。。とはいえ再度実験のような「やり直し」はまったくできないため、少ない記録をやりくりする以外に、古い地震に迫る手段はない。」に同感した。

sumatra2004quake at 17:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!関連 

2006年10月06日

あなたは 超巨大地震から生き残れますか? 伊藤和明さんの推薦

2004年12月26日、スマトラ島沖巨大地震による大津波は、20万人をこえる犠牲者を出し、世界中を震撼させた。この災害には、将来、日本列島で起きるであろう大地震や大津波から生き残るための多くの教訓が秘められている。地震学・地理学・経済学・社会学・心理学の研究者による画期的な「防災」の本であり、多くの人々によって読まれることを望みたい。(元NHK解説委員 伊藤和明)

sumatra2004quake at 23:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!書評 
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