2006年11月
2006年11月19日
このような努力の一つひとつが現地の人たちの知識を育て、その地に新しい学問の根をおろす
名古屋大学の環境学研究科にある地震火山研究センターの木股文昭さんが公表しているウェブサイトでは、インドネシアでの専門家の活躍が紹介されている。次つぎと確かな研究成果が得られて、それらの成果をインドネシアで発表しながら討論を進めている様子が紹介されている。このような活動を新聞はもっと報道してほしい。
ここもまた学問の街春の川 中村夕衣
二〇〇五年七月には、ジャカルタで、スマトラ地震と津波被害のワークショップが開かれた。二五日から二七日まで、ジャヤカルタのBPPT(研究技術省)で開催された、日本のJAMSTECとBPPTによる国際ワークショップである。
また、インドネシアのパダンでは、次のスマトラ地震をテーマにワークショップが開催された。スマトラ地震前からスマトラに注目して取り組んでいた、カリフォルニア工科大学のケリー・シー教授らの働きかけで、次に予測される大地震に関するワークショップが、アメリカ合衆国、インドネシア、日本の共催で開かれたという。
また、木股さんたちは、アチェの和平をきっかけに、スマトラ断層の地殻変動の調査の計画を実行し、村人からの歓迎を受けながら調査を精力的に進めた。二〇〇五年一一月三〇日には、バンダアチェでシアクラ大学と共同のセミナーを開催した。バンダアチェ初の地震と津波に関するこのセミナーには、二〇〇名を上回る人びとが集まってきたという。名古屋大学からも一一名の研究者と院生が参加した。このような努力の一つひとつが現地の人たちの知識を育て、その地に新しい学問の根をおろしていくのである。
ものの種深き地底をめざしたり 中田美子
尾池和夫さん(京都大学総長) サイト「京都の地球科学(150)インドネシアの地震と火山(その3)」から引用させていただく
ここもまた学問の街春の川 中村夕衣
二〇〇五年七月には、ジャカルタで、スマトラ地震と津波被害のワークショップが開かれた。二五日から二七日まで、ジャヤカルタのBPPT(研究技術省)で開催された、日本のJAMSTECとBPPTによる国際ワークショップである。
また、インドネシアのパダンでは、次のスマトラ地震をテーマにワークショップが開催された。スマトラ地震前からスマトラに注目して取り組んでいた、カリフォルニア工科大学のケリー・シー教授らの働きかけで、次に予測される大地震に関するワークショップが、アメリカ合衆国、インドネシア、日本の共催で開かれたという。
また、木股さんたちは、アチェの和平をきっかけに、スマトラ断層の地殻変動の調査の計画を実行し、村人からの歓迎を受けながら調査を精力的に進めた。二〇〇五年一一月三〇日には、バンダアチェでシアクラ大学と共同のセミナーを開催した。バンダアチェ初の地震と津波に関するこのセミナーには、二〇〇名を上回る人びとが集まってきたという。名古屋大学からも一一名の研究者と院生が参加した。このような努力の一つひとつが現地の人たちの知識を育て、その地に新しい学問の根をおろしていくのである。
ものの種深き地底をめざしたり 中田美子
尾池和夫さん(京都大学総長) サイト「京都の地球科学(150)インドネシアの地震と火山(その3)」から引用させていただく
2006年11月16日
広い視野に基づく災害研究がもたらした成果
15日夜8時半頃に津波警報が出た最中ですが、木股・田中・木村編著『超巨大地震がやってきたースマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社、11月刊)の紹介をします。
スマトラ沖津波の調査報告かと思って読み始めましたが、それだけの書物ではありませんでした。読みやすい文章、難しいことをやさしく説く姿勢に誘われて、本を閉じることなく、読み終わりました(第1章の自然現象としての超巨大地震は飛ばし読みですが)。
本書は、スマトラ沖地震津波で激甚被害を受けたインドネシア・バンダアチェの多角的調査を中心に、現地での津波観測施設の問題、日本の津波被害の歴史、これから予想される南海津波、東南海地震などにも言及する幅広く且つ中身の濃い本です。
たとえば、開発途上国での自然災害の救援、海外支援が国民全体のレベルに届かない問題点などにも率直に言及しながら、その原因を被災地の社会構造、政治紛争の問題を踏まえて指摘しています。これは、広い視野に基づく災害研究がもたらした成果でしょう。
本書のあとがきによれば、これは文理連携型を実践しようという意気込みで、スマトラ沖地震津波の被災地に災害発生以来2ヶ月後から数次入って調査したとのことです。復興の姿を時間をおいて調査した結果、復興達成度の地域差も歴然としているとのことです。
内容的にも研究のスタイルとしても一押しの本です。
北原糸子さん (次々と歴史災害を新たな観点から掘り起こし 活躍中です)
スマトラ沖津波の調査報告かと思って読み始めましたが、それだけの書物ではありませんでした。読みやすい文章、難しいことをやさしく説く姿勢に誘われて、本を閉じることなく、読み終わりました(第1章の自然現象としての超巨大地震は飛ばし読みですが)。
本書は、スマトラ沖地震津波で激甚被害を受けたインドネシア・バンダアチェの多角的調査を中心に、現地での津波観測施設の問題、日本の津波被害の歴史、これから予想される南海津波、東南海地震などにも言及する幅広く且つ中身の濃い本です。
たとえば、開発途上国での自然災害の救援、海外支援が国民全体のレベルに届かない問題点などにも率直に言及しながら、その原因を被災地の社会構造、政治紛争の問題を踏まえて指摘しています。これは、広い視野に基づく災害研究がもたらした成果でしょう。
本書のあとがきによれば、これは文理連携型を実践しようという意気込みで、スマトラ沖地震津波の被災地に災害発生以来2ヶ月後から数次入って調査したとのことです。復興の姿を時間をおいて調査した結果、復興達成度の地域差も歴然としているとのことです。
内容的にも研究のスタイルとしても一押しの本です。
北原糸子さん (次々と歴史災害を新たな観点から掘り起こし 活躍中です)
2006年11月13日
世界の国々の関係が「成熟」せねば
スマトラの地震の救援活動において、世界が一歩成熟したとのお話は重要だと思います。この自然災害の大きなエネルギーは核兵器という姿でいつでも現れる時代になってしまいましたので、世界の国々の関係が「成熟」せねばならないと思います。大地震の研究はその役に立つかもしれません。
皆様方のご活躍を期待申し上げます。
村松郁栄さん (岐阜大学名誉教授・地震学)濃尾地震の現地岐阜で50年、その集大成として「濃尾震災―明治24年内陸最大の地震」(古今書院)を出版。
皆様方のご活躍を期待申し上げます。
村松郁栄さん (岐阜大学名誉教授・地震学)濃尾地震の現地岐阜で50年、その集大成として「濃尾震災―明治24年内陸最大の地震」(古今書院)を出版。