行政書士試験受験者に幸あれ

行政書士試験を受験する方に、少しは役立つかも知れないことを書きます。

行政書士試験に役立つかも知れないことを書いています。初めての方はリンク集の筆頭にある「拙ブログの使い方」を読んで下さい。勝手ながら、勘違いや入力ミスは避けられませんので、疑義があった際には指摘して戴けると助かります。また、行政書士試験の範囲内ならば、質問にはできるだけ回答します。コメント欄に書くか、長くなるようでしたらメールを下さい。

加計学園問題を行政法から見てみる7 文部科学省告示(審査基準)と意見募集

 前回で終わりにするつもりだったのですが、意見募集の話が出てきましたので、簡単に書いておくことにします。  恐らく発端は、週刊文春なのだと思います。「『加計に決めた』政府決定2カ月前に山本大臣発言 議事録を入手」から。

以下引用(太字は済印によるもの。以下同じ)

 獣医学部の新設を巡る問題で、内閣府の山本幸三担当大臣が、政府が学校法人を決定する2カ月前に、加計学園に決めたと日本獣医師会に通告していた議事録を「週刊文春」が入手した。  獣医師会の議事録によると、2016年11月17日、山本大臣は、日本獣医師会本部を訪問し、会長ら役員に次の通り述べている。
・  ・  ・  ・  ・
 この日は、獣医学部の新設をどの学校法人が担うかを政府が決定する2カ月前だったが、この議事録により、「加計ありき」で進んでいたことが裏付けられた。・・・

引用終了

 何故「11月17日」だったのか、という話です。続きを読む

加計学園問題を行政法から見てみる6 訴訟の方法を取らない理由2

もしも加計学園が数年前に獣医学部の認可申請をし、その不認可処分に対して訴訟をしていたら

という仮定の話の続きです。
 前回は、処分の取消しの訴えでは、例え取消判決を得てももう一度不認可処分をされることがあり得る、という話をしました。

Ⅱ.義務付けの訴え
 処分取消しの訴えでは単に時間の無駄だけでなく、文部科学省に睨まれることで却って不利になりかねません。そこで、考えられるのが義務付けの訴えです。続きを読む

加計学園問題を行政法から見てみる5 訴訟の方法を取らない理由1

 獣医学部新設を認めないという文部科学省の「審査基準」ついて拙ブログが、裁判になれば「違法」と判断される可能性が高いと考えていることは前回まででお解り戴けたと思います。それを前提に、

何故、加計学園は行政訴訟を提起しないのか

について、拙ブログの考えを書くことにします。

Ⅰ.処分の取消しの訴え
ⅰ)方法としての処分の取消しの訴え
 拙ブログの行政法に於ける基本の図は、

法律 ―――― 行政行為 ――― 行政上の強制執行
            |
           公定力
             ↓
         国民の側から否定する手段
          ・行政上の不服申立て
         ・取消訴訟

です。行政行為は法律に基づいて為され(「法律の留保の原則」)、それを否定するための方法として、行政上の不服申立てと取消訴訟が用意されていることを表しています。続きを読む

加計学園問題を行政法から見てみる4 閉会中審査の話と訂正

 「クーラー嫌いの爺」は暑さに完全に負け、更新が滞りがちになってしまい申し訳ありません。先延ばしになっている、

「何故加計学園は行政訴訟を提起しないのか」

を書こうとしたのですが、その前に書くべきことが2つ生じたため、今日はこれを書きます。今まで書いてきたことの補充・訂正で、試験との直接の関係はありません

 1つ目は10日に行われた参考人を呼んでの両院での閉会中審査に関するものです。全部を見たわけではありませんが、見る人の立ち位置(前川喜平前文部科学事務次官の発言を重視するかどうか)によって注目する発言などが大幅に異なるのではないかという印象を持ちました。

 文部科学省の「岩盤規制」である告示(審査基準)を批判的に扱っている拙ブログは加戸守行前愛媛県知事(元は文部科学省のキャリア官僚のようだ)による「ゆがめられた行政が正された」などの発言が説得力を持つと思ったのですが、「朝日と毎日は『ゆがめられた行政が正された』の加戸守行前愛媛県知事発言取り上げず」によると、朝日新聞や毎日新聞は加戸前知事の発言を紙面では全くと言って良いほど取り上げていなかったようです。最初の部分(リード)だけ引用します。続きを読む

加計学園問題を行政法から見てみる3 営業許可と目的二分論

 前回の最後に「それじゃあ何故加計学園は訴訟などで争わなかったのか、という話になるのですが」と書いたのですが、その前に訴訟になった場合について拙ブログの考えなどを書いておくことにします。

Ⅱ.営業許可と目的二分論
ⅰ)「営業許可」は原則として「許可」
 様々な営業について許可制が敷かれているのですが、伝統的な行政法では基本的に「許可」と考えられています。「原則として」、「基本的に」と入れるのは、今は思いつきませんが例外もあり得るだろうと考えるからです。

 そもそもは国民の自由であったものを公益目的から一律に禁止し、一定の要件を備えた場合にその禁止を解除する行政行為伝統的な行政法では「許可」に分類しており、「営業許可」はその典型と考えられてきました。

 行政行為の分類は近年ほとんど出題されなくなりましたので、古い問題を入れます。

平成3年・本試験問題
問35 特許とは、講学上、行政庁が相手方に対し、法律上の権利、能力又は包括的法律関係を設定する行為をいうが、次の事項のうち、この特許に当たらないものはどれか。
1 医師の免許
2 道路に電柱を設置するための道路管理者の許可
3 外国人の帰化の許可
4 公有水面埋立ての免許
5 鉱業権設定の許可続きを読む

加計学園問題を行政法から見てみる2 審査基準と訴訟

Ⅰ.審査基準
ⅲ)審査基準は行政規則
 審査基準は行政庁が許認可をするための基準ですから、「行政立法」の観点からは行政規則に分類されます。つまり、行政内部のものなのですが、申請に対する処分の相手方である国民・市民はこれに沿わないと許認可が得られないため、その決定には原則として意見公募手続が必要になっています。

行政手続法
(意見公募手続)
39条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資 料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない
(2項以下略)続きを読む

加計学園問題を行政法から見てみる1 審査基準

 時事です。今回の常会(通常国会)後半で話題になった加計学園問題について、審査基準の観点から書こうと思います。試験用としては、

行政手続法
(審査基準)
5条 行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2項 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3項 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない

(定義)
2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
8 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。
ロ 審査基準申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

を確認してくれれば足りると思います。続きを読む

国家賠償法35 河川3 多摩川水害

 大東水害訴訟で、河川の氾濫のような場合は容易には賠償請求が認められないことになりました。そんな中、結果として(最高裁判決に基づく差戻審で)認められたのが「多摩川水害訴訟」ですので、これについて書いておくことにします。

 昭和49年8月30日からの豪雨が原因という40年以上も前のことですので、ご存じの方は少ないと思います。NHKの「マイホーム流失 多摩川堤防決壊」から。

以下引用(太字は済印によるもの。以下同じ)

9月1日、台風による大雨のため多摩川の堤防が東京・狛江市で決壊、マイホームが次々と濁流に呑まれていった流失した家屋は19戸。この辺りはもともと多摩川の河原だが、堤防の決壊は明治43年以来で、家を失った人たちは混乱した。家を失った人たちに支払われた保険金は、一戸当たり120万円だった。

引用終了続きを読む

国家賠償法34 河川2 大東水害訴訟2

Ⅱ.大東水害訴訟
ⅳ)裁判要旨
 前回は大東水害最高裁判決(最判昭59.1.26)の判決文からの引用で終わりましたので、今日は最高裁がまとめた裁判要旨を入れます。

裁判要旨
1.河川の管理についての瑕疵の有無は、過去に発生した水害の規模発生の頻度、発生原因、被害の性質降雨状況、流域の地形その他の自然的条件、土地の利用状況その他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無及びその程度等諸般の事情を総合的に考慮し、河川管理における財政的、技術的及び社会的諸制約のもとでの同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認しうる安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきである。
2.改修計画に基づいて現に改修中である河川については、右計画が、全体として、過去の水害の発生状況その他諸般の事情を総合的に考慮し、河川管理の一般水準及び社会通念に照らして、格別不合理なものと認められないときは、その後の事情の変動により未改修部分につき水害発生の危険性が特に顕著となり、早期の改修工事を施行しなければならないと認めるべき特段の事由が生じない限り、当該河川の管理に瑕疵があるということはできない続きを読む

国家賠償法33 河川1 大東水害訴訟1

 自然公物としての河川の話に入ります。例によって前置きや過去の繰り返しが長くなってしまい、裁判要旨に至りませんでしたので、適当に読み流して下さい

国家賠償法
2条1項 道路,河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは,国又は公共団体は,これを賠償する責に任ずる。

平成21年・本試験問題
問題19 国家賠償法2条にいう公の営造物に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

3 河川・海浜等の自然公物は公の営造物に当たらないが、これに付随する堤防や防波堤は人工公物であり公の営造物に当たるので、賠償責任が成立するのは、堤防等に起因する損害の場合に限られる。

解答・解説
3 ☓ 条文に「河川」とあり、「自然公物」も含まれると解釈されているので本肢は妥当でない(☓)記述です。続きを読む
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