行政書士試験受験者に幸あれ

行政書士試験を受験する方に、少しは役立つかも知れないことを書きます。

行政書士試験に役立つかも知れないことを書いています。初めての方はリンク集の筆頭にある「拙ブログの使い方」を読んで下さい。勝手ながら、勘違いや入力ミスは避けられませんので、疑義があった際には指摘して戴けると助かります。また、行政書士試験の範囲内ならば、質問にはできるだけ回答します。コメント欄に書くか、長くなるようでしたらメールを下さい。

2016年10月

国家賠償法6 公権力の行使5 権限の不行使1

Ⅰ.公権力の行使
ⅵ)権限の不行使
 「不作為」の一類型と言えるものですが、これについては平成21年に判例が出題されており、それは「判例六法」(有斐閣)に掲載されているものですので、この問題の肢を挙げながら事案などの説明をしようと思います。

 掲載されていながら出題されなかったのは平成26年の最高裁判例(つまり、出題後)だと思われますので、これは最後に入れることにします。 もうひとつ出題されたかどうか微妙な判例があるのですが(「水俣病関西訴訟」)これは肢3で説明します。今日の説明は肢2までです。

 取り敢えず、平成21年の問題全体を入れます。続きを読む

津波訴訟で思い出した判例など

 東日本大震災の津波で死亡した児童の遺族が提起した損害賠償請求訴訟について、約14億円の賠償を認める判決が仙台地方裁判所で出ました。
 国家賠償請求訴訟だと思われるので、これについていくつか書くことにします。

 争点は「過失」の認定のようで、細かい状況が分からない拙ブログ如きがその是非を述べることは控えるべきでしょうが、一言だけ。現実に被害・損害が発生しており、賠償するのは個人や企業ではなく地方公共団体(税金)です。この辺の事情が裁判官の判断に影響したのかどうか・・・。

 まず、訴訟の概要を「大川小津波訴訟、児童の遺族側が勝訴 石巻市などに約14億円の賠償命じる」から。

以下引用(太字は済印によるもの。以下同じ)

 東日本大震災の津波で児童・教職員の計84人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族29人が、市と県に計23億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、仙台地裁であった。高宮健二裁判長は学校の責任を認め、計約14億2600万円を支払うよう市と県に命じた
 判決は「市の広報車が巨大津波の襲来を告げて避難を呼び掛けて以降、教職員は大規模津波の襲来を予見していた」と予見可能性を認めた。

引用終了

Ⅰ.被告は市と県
 大川小学校は「宮城県石巻市立」となっていますから、被告は石巻市と宮城県だと思われます。続きを読む

国家賠償法5 公権力の行使4 不作為

 更新が滞りがちで申し訳ありません。
 私事ですが、小学校のクラス会の幹事に指名されてしまい、なんとか一昨日無事終了しました。数十年前に卒業した1クラスのクラス会にもかかわらず、20人以上が参加してくれましたので、読んで下さる方々には全く関係ない異ながら満足しているところです。

 そんなこんなで本試験までに国家賠償法は終わりそうもないことになりました。

国家賠償法のここの説明を読みたかった
国家賠償法のここが良く分からないから説明しろ

というものがありましたら、コメント欄にでも書いて下さい
 勿論、その他の質問でも構いません。

 試験に向けて集中力が増すこの時期は、新たな疑問がどんどん湧いてくると思います。だからと言って自分で調べるのは時間の無駄ですから、疑問が生じたら質問して下さい。「わざわざ質問するほどでも・・・」と質問を躊躇するようでしたら、取り敢えずそのまま暗記して試験に臨むべきだと思います。暗記する内容が正しいことが前提になりますが・・・。

Ⅰ.公権力の行使
ⅴ)不作為
 不作為も「公権力の行使」として国家賠償の対象になり得ます。
 何かをするのが「作為」で、しないのが「不作為」ですが、何もしないのではなくてある特定の行為をすべきなのにそれをしないのが「不作為」です。
 「不作為」のイメージを掴んでいただくために、有名な2つの判例を書くことにします。いずれも昨年に出題されましたので、今年に出題される可能性は低いものです。昨年は基本的な判例が出たと言って良いと思います。
 いつも書いているように不作為の「理解のため」と思って読んで下さい。続きを読む

国家賠償法4 公権力の行使3 国公立病院は民法で処理

Ⅰ.公権力の行使
ⅳ)国公立病院の医療過誤などは民法が適用
 国公立病院の医療過誤などで損害賠償を請求する場合は、民法715条が適用されているようです。過去問を先に入れます。

平成15年・本試験問題
問題10 国家賠償法についての次の記述のうち、判例に照らして妥当なものはどれか。

2 国家賠償法は国・公共団体の不法行為責任にかかる一般法であることから、国公立病院の医療過誤に関する責任も、民法第709条以下の不法行為責任に関する法理は適用されることなく、国家賠償法第1条が適用される。

解答・解説
2 ☓ 「国公立病院の医療過誤に関する責任」は民法の不法行為で処理されていると考えられますので、本肢は誤り(☓)です。

 従って、

国公立病院への医療過誤などの損害賠償請求は民法が適用されている(場合が多い)

というぐらいに覚えておけば充分だと思います。
 直ぐ後で判例を挙げますが、拙ブログとしては法論理的には微妙な気がします。続きを読む

国家賠償法3 公権力の行使2 行政指導

 試験に向けて最終仕上げに入っている方々には申し訳ないのですが、別ブログで蓮舫議員の二重国籍問題について国籍法、戸籍法の観点から書いていたら、次々と新しい話題が出て来てしまい、こちらの更新が滞ってしまいました。こちらはミスをできるだけ避けるべく確認・検証作業をしなければならないので、書くのに時間がかかってしまうため、ご容赦を・・・。

Ⅰ.公権力の行使
ⅲ)行政指導
 平成12年以降の問題を改めて確認したところ、「行政指導」に関しては出題されていないようです。このことから、

行政指導も国賠法上は「公権力の行使」になり得る

ということだけを覚えておけば何とかなると思います。
 従って、以下は“読み物”としてざっと読んでくれれば良いものです。2つの判例を挙げます。例によってだらだらと長い文章になってしまいました。

a.建築確認の留保
 事案の前に一寸だけ説明を書きます。
 都市計画地域などで建物を建築したり、一定規模の建物などを建築したりする場合には、建築主事などの建築確認を受ける必要があり、これがあって初めて建築工事を開始することができます。
 建てようとする建築物が建築関連法令に違反していないことを「確認」してもらうものですので、行政行為の分類では準法律行為的行政行為の「確認」です。続きを読む

国家賠償法2 公権力の行使1 国公立学校の教育活動

 要件に入ります。まず、条文から。

国家賠償法
1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは,国又は公共団体が,これを賠償する責に任ずる。
2項 前項の場合において,公務員に故意又は重大な過失があつたときは,国又は公共団体は,その公務員に対して求償権を有する。

Ⅰ.他との違い
ⅰ)行政手続法・行政事件訴訟法・行政不服審査法の「公権力の行使」
 国家賠償法の「公権力の行使」は、他の法律と違います。分かりやすいのは行政手続法でしょう。続きを読む

国家賠償法1 沿革と民法715条との違い

 偉そうな物言いから入ります。
 試験には知らないことも出ます。また、知っているものなのに勝手に読み間違えたり、勘違いをしたりというミスもあります。これらがあることを前提に全体として合格点(6割)を取らなければなりません。
 ミスとは反対に“運”による正解もあることはあるのですが、これは文字通り“幸運”に過ぎないのでこれを計算には入れられません。

 そんな中で合格点に至るためには、まず、

取れる(正解できる)ものを確実に取る(得点する)

ことが必要です。
 確実な得点源は何かというと、覚えればほぼ間違いなく得点できるものです。その筆頭は行政手続法でしょう。3問出題されるほぼすべてが条文ですから、覚えきることができれば正解に至ります。本来は行政不服審査法も同様なのですが、大改正されたばかりの今年はそう言えないものではあります。
 行政手続法ほどではありませんが、国家賠償法もそれに近いと思います。2問出題され、こちらは判例中心ですがほぼ範囲は決まっています。
 但し、知らない判例や出題されたことがない判例が出る可能性はあります。知らない判例が出た場合は、自分が取得した知識とそこから導かれる感覚で解くしかないと思っています。

 と言う訳で、国家賠償法について書いていこうと思います。判例を入れ出すと切りがないので、書かない判例が出題される可能性はあることを断っておきます
 恐らく、知識という観点からはお持ちの本に書いてあるものとそんなに変わらないものになるでしょう。いつものように「理解のため」だと思って下さい。
 今日は、試験には出ないであろう前提の説明です。続きを読む

スマートフォン3社への不思議な行政処分

 全くの第三者である拙ブログには一寸良く分からないというか納得しかねるのですが、「少しは役に立つ」かも知れないので取り上げることにします。

 今日の産經新聞3面(14版)に「実質0円 初の行政処分 総務省 携帯3社、過剰値引き」という記事が載っていました(ネット上の見出しは異なる)。「行政処分」の言葉が目に入ったので読んでみたのです。

以下引用(太字は済印によるもの。以下同じ)

 総務省は7日、携帯電話大手のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクがスマートフォン販売で行き過ぎた値引きを行っていたとして、電気通信事業法に基づく行政処分として再発防止策の報告を求めた。クーポン券の使用などにより、端末の購入者が「実質0円」を超える約2万円の値引きを受けられる例もあった。同省が3月に策定したガイドライン(指針)に基づく行政処分は初めてで、4月の行政指導よりも重い措置で対応した。
・  ・  ・  ・  ・
 3社はいずれも「真(しん)摯(し)に受け止める」とのコメントを発表した。・・・

引用終了

 記事を読んで、

えっ? ガイドライン違反で処分されちゃうの

と思ったわけです。そこで検索してみました。続きを読む

アメリカ大統領の拒否権と選挙

 最近の一般知識は情報関連を除くと出題者・採点者にとって正解が明確な歴史やデータなどが多くなる傾向にあり、政治や経済などに関する基本的な知識で解ける問題が少なくなっているのですが、現在話題になっているものをある程度理解していることは正解に至るうえで重要だと考えています。

 そんなことから今日はアメリカの大統領について、「拒否権」と「大統領選挙」に関する知識の確認です。

Ⅰ.拒否権と再議決
 こんな記事がありました。産経ニュースの9月29日付「米上下両院、オバマ大統領の拒否権初めて覆す テロ支援者制裁法」です。

以下引用(太字は済印によるもの。以下同じ)

【ワシントン=青木伸行】米上下両院は28日、オバマ大統領が新法の「テロ支援者制裁法」に対し発動した拒否権を、賛成多数で覆したオバマ政権下で拒否権が覆されたのは初めて。この結果、同法は成立し、その対象となるサウジアラビア政府が反発を強めることは必至で、政権には二重の意味で打撃だ。

引用終了

 議院内閣制の日本と異なり、三権が厳格に分離されているアメリカでは、大統領に拒否権が認められています。議会が議決した「テロ支援者制裁法」(正確には、「テロ支援者制裁法案」)についてオバマ大統領が拒否権を発動したら、議会が再議決したという記事です。続きを読む

少し見やすい登記

 行政不服審査法の改正点が前回で終わりました。行政不服審査法一般の話は少し時間を置き、時事などをいくつか書こうと考えています。今日は登記です。

 行政書士は司法書士と違って不動産登記に直接関わる資格ではありませんので、概要が分かっていれば充分だと思っています。そんなことから、

抵当権3 抵当権設定契約と目的物

で、法務省の「不動産登記のABC」にあった「登記事項証明書」の見本を入れたのですが、見にくくて良く分からないのではないかと思っていました。
 「市況かぶ全力2階建」の「登記の乱れは心の乱れ、綺麗な心は綺麗な不動産登記情報から」に、東京タワーの登記が入ったツイートがありましたので、こちらもとても見やすいとは言えないながら、背景が白い分だけ少しは見やすいと考えたため入れます。続きを読む
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