2018年01月14日

白の世界

目を開くとそこには白い世界が一面に広がっていた。

「ここは、どこ……?」

声を発したものの、何もない白い世界に空しく放たれただけだった。周りは見渡す限り真っ白。まるで雪に覆われたような世界だとでも表現すればいいのかな。

そもそも今は何時だろう。辺りを見回しても白が広がるばかりで何も見つけられない。じゃあ自分の持ち物はと思って目線を下げてみると、なぜか何も身に着けていなかった。

「きゃっ!?」

誰もいないし、誰にも見られてないけれど、いきなり全裸になっていたら驚く。なぜ裸なの?

「どういうこと……?」

もしかして夢、なのかな? 明晰夢? こんな経験初めてだから、本当にそうなのかは確認できない。

でも私、寝てたんだっけ? 時間がわからないし、記憶が少し混乱してるから、これが夢かもしれないということを受け入れられない。

考えがまとまらないまま、いつの間にか白かった世界に色が付き始め、周りの風景が鮮明になってきた。

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2018年01月08日

日替わりマスター

冬の寒さが身に染みる。あまりの寒さに心まで凍えてしまうが、原因はそれだけではない。

仕事でまたミスをやらかして、今日も上司に怒られたばかりだ。自分では頑張っているつもりでも、必ずしもうまくいかないのはまあまあよくあることだと思うが、こうもミス続きなのは、何か悪循環に陥っているのかもしれない。

このまま家に帰っても、独身なので誰も迎えてくれることはない。でも誰かと話をしたい。

「そうだな……。今日はあそこに行くか」

しばらく御無沙汰だった例の場所に久しぶりに行こうと思った。長いこと行ってなかったし、事前予約もしてなかったから、”誰”が待ち受けているかはわからない。けれど、そういうのも込みで楽しもうと思い、僕は自分の頬を二度叩いて、少し気持ちを立て直したところで歩みを進めた。

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2018年01月05日

雑記(2018.1.5)

5日になりましたが、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

諸連絡といいますか、たまには雑記を書こうと思います。


(1)戴きものについて
拙作『乙女に棲むもの』につきまして、ポゼッションさん(@ajm496)からイラストを戴きました。
素敵なイラストをありがとうございます!
すでにお読みいただいている方もそうでない方も改めて御一読いただき、イラストも併せて御確認いただけると私もポゼッションさんも嬉しいです。

http://blog.livedoor.jp/sumimist/archives/70606041.html


(2)アクセス数について
ちょうど年明け2018年1月1日のどこかでPVが40万アクセスに到達しました。
当ブログにお越しいただき、私の作品をお読みいただいている皆さんには感謝するばかりです。
アクセス記念SSを書けるといいのですが、なかなかそうタイミングよく書けるものでもないので、また引き続き更新をお待ちいただければと思います。


(3)今年の予定について
前回の更新から少し間が空いていますが、次の更新はまだ先になると思います。
創作意欲はあるのですが、時間と体力が不足しているので、今年は去年ほどの更新ペースは維持できないと思いますが、少しずつ進めていこうと思います。
また、今年もとある企画に参加しようと考えています。まだ参加表明はしていませんが、書ける目途が付いたら正式に参加表明をしようと思いますので、そのときはお知らせします。不参加のときはお察しください。


(4)その他
昨年12月にpixivアカウントを作成しました。

https://www.pixiv.net/member.php?id=28720199

イラストは描いておりませんが、そちらでもSSを投稿しています。
メインはこちらでも好評だったSSの修正転載ですが、それ以外にも掲載、連載をしています。

『転生したら幸せになりたいよね1』
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8970934

こちらはブログ未掲載の連載SSです。
現在4話まで投稿しています。勢いに任せて書いているので、どこで行き詰まるかわかりませんが、御興味のある方はお読みいただけると幸いです。転生というタイトルですが、書いているのはスライム憑依です。

『入れ替わりサイクル』
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8999858

こちらもブログ未掲載で、Twitterに投稿した連続ツイートを一つにまとめたものです。
入れ替わりをテクニカルに書いたもので、一区切りで1ツイート(140文字以内)という制限で、細かい計算をしながら書きました。
私はあまり入れ替わりを書かないですが、もしこちらも御興味のある方はどうぞ。一昨日に『君の名は。』がテレビ放映されましたし、タイミング的にはちょうどいいですね。


長々と雑記を書きましたが、今年も1年よろしくお願いいたします。


sumimist at 21:30コメント(0)雑記

2017年12月11日

悲しき姉妹愛

閑静な住宅街にある一軒家。平穏なはずのこの街で住居侵入事件が起きていた。

平日の夕方前のまだ明るい時間、この家では帰宅部で早くに帰宅していた高校生の姉・笠松那海と、部活動が休みで同じく帰宅していた中学生の妹・麻緒が2人で留守番をしていた。

2人は共働きで不在の両親の代わりに家事を行っていた。2人が取り込んだ洗濯物をたたんでいるとインターホンが鳴ったため、那海が立ち上がって応答した。インターホン越しに男の声で宅配便を名乗ったので、印鑑を準備しつつ、無警戒で扉を開けたところ、突如として男が1人押し入ったのだった。

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2017年11月24日

紫露草

俺は今懐かしの母校に来ている。

(今も昔も変わんねぇな)

この高校を卒業して何年経っただろうか。俺も高校生だった頃はもっと華々しかった。いや、そんなことないか。そこそこの大学を卒業したのに就職活動に失敗し、かといって得体の知れないブラック企業なんぞに就職するのはごめんだからと、今ではすっかりひきこもりニートだ。そんなだから高校時代が懐かしく、高校生に戻りたいと思う気持ちもある。

廊下を進んでいると部活へと向かう女子2人が歩いてくるのが見えた。何部かわからないが格好からして運動部だろう。部活に情熱をかける女子たちの姿が眩しい。俺が立ち止まって見ているその横を、2人は素通りした。2人の女子はこちらに視線を向けることはなかった。それもそのはず、今の俺は誰にも見えない透明状態、透明人間というよりは幽霊といったところだ。

もちろん俺は生きている。化けて出たわけではない。いわゆる幽体離脱というやつで、幽体となった俺はふわふわと漂いながら、誰にも見られることなく、自由に動き回れるのだ。例えば女子更衣室だって女子トイレだって自由に入れるわけだし、誰にも咎められない。

だが今回の目的は覗きじゃない。今日やってきたのは別の理由だ。

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2017年11月12日

風紀委員の使命4

「また悲しいことが起きました」

飛鳥は前回の緊急集会よりさらに厳しい表情で風紀委員の面々を見つめて語り始めた。多くの委員は飛鳥と同じようにつらそうな顔をしていたが、未来はやはり嫌悪感たっぷりの表情で飛鳥を見返していた。そして亜海は――。

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2017年11月04日

スライム・エピデミック

とある県のとある市のとある地域。元々この地域は村だったが、市町村合併により他の町と一緒に県内で1、2を争う市と合併した。とはいえ、この地域が発展したかというとそういうわけでもなく、過疎化は進んだまま緩やかに人口減少の一途をたどっていることに変わりはなかった。

それでも最近は移住政策に力を入れている自治体も多い。数か月前にこの市の市営住宅に新たに引っ越してきた羽山一家は東京から移住してきた家族である。夫の帝司は都内で別の仕事をしていたが、移住とともに新しい職に就き、妻のつぐみは新居で家事を行いながら、3歳になった娘の凛香の世話をしている。

帝司とつぐみは大学卒業とともに結婚し、一人娘を授かった。都会の喧騒から離れた一家は、新しい生活に慣れるまで苦労しつつも、毎日楽しい日々を送っていた。

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2017年10月02日

あの人になりたくて

松森榛香になりたい。

僕と同学年で別のクラスにいる松森さん。

真面目な姿が好きだ。ひたむきな姿が好きだ。何事にも真剣な姿が好きだ。綺麗なスタイルが好きだ。ほどよく膨らんだ胸が好きだ。顔が好きだ。きりっとした目が好きだ。すっとした鼻が好きだ。みずみずしいピンクの唇が好きだ。短く切り揃えられた髪の毛が好きだ。無表情のようで時折見せる笑顔が好きだ。

彼女と付き合いたいと思ったこともある。でも僕なんかが彼女と釣り合うわけがない。現に彼女は部活に一生懸命で、受けた告白を全て断っていると聞く。そもそも勝ち目なんてない。

それに僕の想いは、自覚はあるが、若干歪んでいる。彼女と付き合いたいというのはちょっと違うと思う。僕は彼女になりたいのだ。

女の子になりたいのとは違う。この身体が彼女と同じ姿に変身するというのも惜しいが違う。話は元に戻るが、松森榛香になりたいのだ。彼女の身体をそのまま戴きたいのだ。いや、もらい受けたいというのはさすがに彼女に申し訳ない。ただ一時的でいいから、身体を間借りして彼女になってみたいのだ。松森さんになってあの身体を隅々まで味わいたい。

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2017年09月23日

執着液

放課後の中学校、グラウンドでは部活に一生懸命な運動部の生徒たちの声が響く中、生徒指導室の入口に一人佇む女子生徒がいた。短く切り揃えられたショートヘアーの彼女は、普段は快活な性格だが今はその元気がない。彼女はためらいつつも扉をノックした。

「どうぞー」

部屋の中からは女性教師・鶴原翔子の軽やかな声が聞こえた。

「失礼します」

入室の許可を得た女子生徒・初芝瑞季は、招かれるまま生徒指導室に入った。

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2017年09月18日

風紀委員の使命3

「今回緊急に集まっていただいたのは他でもありません。この1週間、この学校が荒れています。校舎の窓ガラスが割られ、花壇が踏み荒らされ、図書室の本が破り捨てられ、他にもいろいろと――」

飛鳥は苦々しい表情で風紀委員たちを見つめて、桜鳥女子高校の現状を語った。

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