美術博士 純丘曜彰教授のドイツ大学講義日誌

マインツ大学 メディア学部 映画学科 客員教授

December 2015

人探しの難しさ

 昨年、日本を発った友人一家と連絡が取れない。そろそろ一年になる。カリフォルニアにいるとは思うのだが、よくわからない。まあ、私に連絡が無くても、それはそれなのだが、他の友人のところも連絡が取れないとのこと。いろいろ心配している。

 このネット時代、調べる気になれば、というより、テレビ局のころから、その手の仕事が仕事なのだが、調べていいものなのかどうか。というのも、友人の仕事が仕事なので、いろいろその仕事の都合があって、いましばらく連絡を取れない、取れない状況にあるのかもしれない。しかし、家族まで、というのは、ちょっとよくわからない。

 米国の場合、Truthfinder とか、MyLifeとか、Homemetryとか、いろいろな人間の検索手段があって、これでさまざまな公文書、交通違反や訴訟などの記録まで、ごっそり漁り出すことができてしまう。しかし、これが、ひどい。年齢と州が同じだと、同じ人物扱い。だから、同姓同名がごっそりいっしょこたになってしまう。そもそも、米国では親子がシニア、ジュニアと、まったく同じ名前を使うことは珍しくもない。おまけに、ファミリーネームが同じ、というだけで、みんな親族。逆に、ミドルネームが入っていたり、無かったり、フルで書かれていたり、で、同じ人がまったくの別人物に。こういう国で、社会保険番号が重視されるのはよくわかる。

 もうすこし細かく文章解析で同定していく方法もあるのだが、もともとセキュリティが堅い組織で、本人も自覚を持っていると、痕跡は多くないし、痕跡をたどれないように、わざと混乱させているだろうと思われることもある。これまた、やれば読み解ける、というより、わざと読み解けるようになっているのだろうが、そもそも、こちらからの連絡が届いているはずなのに、向こうから連絡が無い、というのが、なんらかのメッセージで、一番の問題は、そのメッセージの意味が読み解けない、ということ。同業というわけでもないので、先方の昨今の仕事の様子が、どうにも想像がつかない。

 さて、どうしたものか。いちおうは、住所も、電話も、割り出せてしまったのだが、確実に組織を通じて転送されて届いているはずのオフィシャルルートのメールにも返事が無いのに、電話したり、手紙を出したりしていいものなのかどうか。データ相互でのウラは取れても、そのデータどおりに、そこに住んでいる実証が無い。米国で、あのあたりだと、自分で持っていても、人に貸している可能性も高い。

 いや、こうなると、連絡を取るのが目的では無い。なにごとも無いのなら、それはそれでいい。ただ、なにかあったのなら、こっちで連絡や様子伺いなど、友人として手助けできることもあるのではないか、遠慮無く言ってくれればいいのに、と、やきもきしている。まあ、連絡が無いのだから、その必要も無い、ということなのか。それにしても、急に一年、様子がわからなくなる、というのは、友人として心配だ。

雪が無い!

 日本も妙な天気続きだが、ヨーロッパもおかしい。クリスマスももうすぐというのに、どこにも雪が無い。ガルミッシュパルテンキルヒェンやベルヒテスガーデンも、まったく積雪無し。地べたが出ている。スイスのベルンはもちろんグリンデルヴァルトでさえ雪が無い。もちろん上まで登れば白いが、それだってはげちょろけ。チロルの山間のインスブルックも、山の頂点が白いだけ。気温は1度そこそこで、寒いことは寒いのだが、雨になってしまう。それでよけいに雪が融ける。スキー場も惨憺たるもの。高度が高いところはいいが、これでは麓まで降りて来られない。下りもリフトだ。

 パリでCOP21(国連気候変動会議)だそうだが、この現状を見れば、そりゃ危機感も持つだろう。もともとさして雪など降らない街中からすれば、変な天気だ、くらいのものだが、アルプスで、雪のある無しは、見た目にも決定的。だいいちスキー場などの観光産業が、まったく成り立たない。ここまで景観が違うと、やばい、と思わない方がおかしい。

 とはいえ、二酸化炭素排出のせいなのか? 石油石炭燃料を使わなければ、もとに戻るものなのか。地球の歴史からすれば、気候なんか、これが本来の定常状態などということがあったためしはなく、やたら寒くなったり、暖かくなったり、変化し続けている。もちろん、人間のせいで人間が住めなくなる、というのは、バカげていることだが、逆に、人間がなにかすれば、なんとかなる、などというのも、同じくらい思い上がりの気がする。

 アルプスが隆起したころ、氷河谷ができたころになど、人間の力で戻せるわけが無い。冬場の産業や海っぺりの砂浜を不当占拠して住み着いた大都会を守るため、というのは、結局のところ、別の意味の既得権保護の話で、なかなか合意形成には至るまい。

 古代のギリシアやローマの人々は、あまりの暑さゆえに、裸同然のかっこうで街をうろうろしていたが、そのうち、クリスマスも、スキーやソリも、歴史上の文化になってしまうのだろうか。いや、もう、なりつつあるのかもしれない。現に、ヨーロッパのどこを探しても、絵に描いたようなクリスマスシーズンを見ることができない。残っているのは、フィンランドのサンタ村、ロヴァニエミくらいか。そこだって、いつまでもつやら。来年にでも行って見てきたい。
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Profile
純丘 曜彰
すみおか てるあき 

美術博士(東京藝術大学/美学)、文学修士(東京大学/哲学)、東海大学准教授、ドイツ・ヨハンネス=グーテンベルク(マインツ)大学客員教授を経て、現在、大阪芸術大学教授。専門は哲学、メディア文化論。

東京生まれ。東京大学教養学部1組(横断インタークラス)、同文学部哲学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻修了。テレビ朝日報道局報道制作部ブレーンとして『朝まで生テレビ!』を手がけ、現職に至る。

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