美術博士 純丘曜彰教授のドイツ大学講義日誌

マインツ大学 メディア学部 映画学科 客員教授

May 2016

ニバリのネバリ

 ここのところ、いろいろ所用が多くて忙しく、ジロどころではなかった。ちらっと見ても、キッテル、カンチェラーラ、デュムラン、グライペル、と、なんだかみんないつの間にか山に登る前に帰っちゃってるし、レースも、だるだるで、やる気が感じられない。まるでフランスの前の足慣らし。ニバリもピンクのクルイスウィクに5分近くも差をつけられては、手も足も出るまい。

 と思っていたら、今日、突然、どうしちゃったの? えらいことになっている。とくに残り50キロあたりから、ものすごい展開。ピンクのクルイスウィックが自滅的に雪の壁に突っ込んで一回転。5位のザッカリンが路肩から自転車もばらばらに吹っ飛んで、鎖骨骨折。3位のヴァルヴェルデは、まったく調子が出ない。その間隙をぬって、われらがニバリがチャベスやニエヴェと競う。そして、最後の登り坂5キロでアタック! 振り切って勝っちゃった。なんだこりゃ。ニバリ、勝って泣いてるよ。去年からいろいろ言われてきて、わからないでもないが、そういうやつだっけ?

 実質、あと1ステージしかないのに、チャベスに44秒差でニバリ、1分5秒でクルイスウィク、1分48秒でヴァルヴェルデ。それも、第20ステージは、フランスからイタリアに戻る山岳コースで、距離は134キロと短めながら、カテゴリ1の2000メートル級の山を3回も登らないとといけない。そして、最後にイタリアに入って、8キロ下って2キロを登る。ひどいコースだ。だが、これって、ニバリ向きかも。

 マラソンだ、トライアスロンだ、と、オリンピックがらみで、テレビが騒いでいるが、それほど厳しいスポーツか。一方、ジロ。体力バカの拷問大会としか思えないすざまじさ。21ステージ連チャンなだけでなく、酷暑の海岸から極寒の雪山まで、よくもまあ、こんなひどいレースを99回もやってるもんだ、と思う。それでいて、ゴールした後、けっこうみんな、平気で、ぷらぷら歩き回っているし、インタヴューでも、息も切らさず、話てんだよね。倒れるやつなんか、いやしない。どうなってるのやら。肉はもちろん、心肺能力、さらには精神力まで、むちゃくちゃに鍛えてないと、こんなこと、やってられまい。

 長帳場なだけに、そこに人生が見える。水戸黄門の歌じゃないが、遅れたら抜かれる。かといって、無理にがんばっていても、最後の最後に後ろから刺される。アタックしたって、振り切れるとは限らない。まして、落車すれば、すべてを失う。へたをすれば、骨折で再起不能。明日も、RAI1が楽しみだ。

ダンケルクとジロ

 ジロに先立って、ダンケルクが始まった。「4日間」とはいうものの、いまは5日間5ステージ。コースは、それぞれ180キロ前後と、なかなか。ただ、しょせんあんなところ、まったいらでなぁ。中継を見ていても、どこがどこやら。ゴール前も、ただ速度が上がるだけで、ぜんぜん盛り上がらんなぁ。

 ジロも今年は最初の3ステージはネーデルランド。顔見世というところか。その後も、今年は長靴の爪先からイタリアの背骨を北上。街の近くを通らないので、かなり地味。いきなり観光名所モンサンミッシェルからスタートする今年のツールとは華やかさで較べようもない。

 むちゃくちゃなニバリとかは好きだけど、あとは選手にも、チームにも、あんまり関心がない。いちばん好きなのは、ヨーロッパのCM。この時期、各国のEuroSportsのストリーミングが活況だ。ただ、うちの回線ではよく落ちる。おかげで、多言語中継をあちこち切り替えても、平気でわかるようになってしまった。(日本のJSportsのサッカーバカたちが語る自転車実況のほうが、よほどわけがわからない。)

 向こうのテレビで、あんだけしつこくCMをやられると、フェスティナ買っちゃおうか、と思ってしまった。今年から5年間、ツールのオフィシャルタイムキーパーは、ティソに変わるそうだが、ティソは無いな、と思うが、ずっと見てたら、やっぱ欲しいわ、と、洗脳されてしまうのだろうか。

 今年の楽しみは、ジロの第14ステージ、5月21日。文字通りの山場。コルティナダンペッソのあたりを210キロも上ったり下りたり、ぐるぐる回る。コースとしてはむちゃくちゃ。景色は壮観。またむちゃくちゃなニバリがむちゃくちゃに勝負をかけてひっかきまわしてくれるのを期待している。でも、もう旬は過ぎたのか。ま、中継がおもしろければ、なんでもいいや。翌日の登山タイムトライアルも、レースとしてはかなりおもしろそう。

 夏時間で時差7時間。現地12:30にスタートだとすると、日本で19:30。200キロくらいだと、ゴールは連日、日本の深夜にずれ込む。それが、ツールを含め、来月末まで。寝不足で体調を崩さんようにせんとなぁ。
 
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Profile
純丘 曜彰
すみおか てるあき 

美術博士(東京藝術大学/美学)、文学修士(東京大学/哲学)、東海大学准教授、ドイツ・ヨハンネス=グーテンベルク(マインツ)大学客員教授を経て、現在、大阪芸術大学教授。専門は哲学、メディア文化論。

東京生まれ。東京大学教養学部1組(横断インタークラス)、同文学部哲学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻修了。テレビ朝日報道局報道制作部ブレーンとして『朝まで生テレビ!』を手がけ、現職に至る。

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