8月末にドイツ政府は国防計画として国民に10日分の食料の備蓄を呼びかけ、チェコがこれに追随。いったい何事か、と話題になったが、結局、よくわからない。が、なんとも表に出せない事情も見えてきた。

 ドイツ銀行だ。昨年来、いろいろ言われている。バランスシート上は成り立っているが、中になにを抱えているかわからない。いわゆるデリヴァティヴ。EUは、ブリテンに、離脱するというのなら、とっととしろ、と啖呵を切っているものの、どれだけの返り血を浴びるか、わからない。とくに、このドイツ銀行がポンド絡みでどんな面倒なデリヴァティヴを組んでいるやら。ドイツからの資金で、ブリテンからの製造拠点の引き受け手と予定されているチェコがびびるのも当然だ。

 ブリテンのEU離脱の原因となった移民問題も、まったくうまくいっていない。90年10月3日の東ドイツ吸収の成功体験が、強気の根拠となってきたが、同じドイツ文化の「経済難民」をドイツ社会に吸収するのと、経済原理も生活習慣も異なる移民とでは事情が異なる。くわえて、それを、日本と同じく人口減に苦しむ地方村落に放り込もうとしたところで、イスラム村になるか、もしくは、すぐにかってに都市部に舞い戻ってスラムを作るか。

 いずれにせよ、移民関連の小口経済の大量集積のような問題は、大企業への巨大融資のノウハウしかないドイツ銀行の手に負えるところではない。頼みは、ブリテンから国内やチェコへの工場移転だが、為替も不安定で、利益体質ではなくなってしまっており、よけい為替を不安定にしている。

 いわば三すくみ。三つのうちのどれが破綻しても、三つとも破綻する。かといって、どれかを解決しようにも、他の問題が障害になって、どうにもならない。国防は、他国の攻撃に備えるというより、自滅の危機に対処しなければならなくなってしまっている。