母さんが好きでたまらない、ただそれだけの話。(完結)

若々しい母さん、孤独な姉、そして僕の三人家族。普通の家庭に見えて、僕たちには大きな秘密があった。家族の不思議な繋がりを描いたホームストーリー。
ライトなラノベコンテスト参加作品。全10話。毎日19時に更新予定。

最初から読む場合はこちらをクリック!
http://blog.livedoor.jp/sumiyaki0903-mother/archives/cat_143029.html

【ララノコン投稿作品】
鮭チャーハンを食べる動物に恋をした。(完結)
http://blog.livedoor.jp/sumiyaki0903/

よかったら、こちらも読んでいただけたら嬉しいです。


【作者】

すみやき

1987年群馬県生まれ。同人文芸サークル「明日から休講です。」所属。
2009年にジャンプ小説新人賞(jNGP)特別賞を受賞。
現在は、故郷の群馬の山奥にて働きながら再びワナビ(小説家志望)として、そして同人小説サークルの一員として小説を書いてます。
趣味はネットラジオ配信。

あとがき

ララノコン応募二作品目の本作も完結することができました。

このブログの管理人、そして『母さんが好きでたまらない、ただそれだけの話。』作者の「すみやき」と申します。

この記事の上の方にも書いてありますが、大学時代に集英社さんからライトノベル系の賞をいただき、それからなんやかんやあって、今は再びプロを目指して働きながら小説を書いているものです。

普段は新人賞に投稿するワナビ(小説家志望)という立場ですが、同人文芸サークル『明日から休講です。』の一員として同人活動をしている身でもあります。

大学時代からの友人でありライトノベル作家の兎月竜之介くんと結成したサークルでなんだかんだで、今年で五年目、メンバーも4人になりました。

ぶっちゃけた話、僕自身ネットに知り合いがいっぱいいるわけでも、秀でた文才があるわけでもないのでこのライトなラノベコンテストの一次も厳しいと思います。

なので、今回は僕のペンネームとサークル名だけでも覚えて帰ってください!

明日から休講です。ホームページ

すみやきのブログ

明日から休講です。webラジオ

あと、もう一作品掲載中なのでよかったらこちらのブログもよろしくお願いします!

鮭チャーハンを食べる動物に恋をした。(完結)



最後にこのブログにアクセスしてくれた方、何かの気まぐれで小説を読んでくれた方、ライトなラノベコンテストの関係者の方、本当にありがとうございました!

そして、他の参加者の皆様のご健闘をお祈りいたします! それでは、またどこかで!


2014/01/14    すみやき

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母さんが好きでたまらない、ただそれだけの話。10


     ◇

 やっぱり、キスの感触っていうのは人によって違うのだと思う。母さんの唇の暖かさは姉さんのそれとまた違ったものがある。

 僕は、今まで愛した女の人は二人だけで。今日はその愛した女の人二人と唇を重ねた。

 この感情はなんだろう。幸福とは違う。欲情ともまた違う。

 なんとも言えない切なさとなんとも言えない寂しさと、どこからくるかわからないこのもわもわした気持ちよさ。
 どうにかなってしまいそうだった。だからいつもは一瞬ですませる母さんとのキスもだいぶ長くなってしまっている。

「ん……」

 やばい。母さんが起きる。

 僕は離れようとすると、母さんは腕をゆっくりと僕の背中にまわす。

「……とうさん」

 心臓が止まるかと思った。とりあえず、自分を落ち着かせてみる。

 母さんは酔っているんだ。さっさとこの部屋から出なければ。

 そんなことを考えている余裕は正直なかった。

 僕は母さんの胸に引き寄せられる。

 そして、初めて僕は母さんに唇を押しつけられる。こんなに積極的な彼女は本当に初めてだった。

 酒の力だろうか。

 唇を重ね合いながらも僕は母さんと抱きあい続けた。

 こんなにも彼女の匂いに包まれたのはどれくらいぶりだろう。

 もっともっと彼女を抱きしめてやればよかった。死ぬ前はそう思っていた。

 そのことを思い出して僕は、きつくきつく彼女を抱きしめる。彼女の息が荒くなるのがわかった。

 僕が腕の力を弱める。そして、僕はふと我に返った。


 そして、僕はものすごい後悔に襲われる。


 何で僕は気がつかなかったんだろう。この珈琲の匂いに。

 ドアを見やると、床にひとつのマグカップがおかれていた。中には湯気のたつ珈琲。そして、階段を下りていく音が聞こえた。

 珈琲の香りが広がる部屋の中、僕はただその場に座り込む。

 しばらくして僕は珈琲をすする。ぬるかった。

 そして、いつもあるはずの甘さは感じられず、ただただ苦みが広がるだけだった。


(了)

母さんが好きでたまらない、ただそれだけの話。9

 それで彼女は急に僕の前からいなくなった。

「彼は私を愛してくれた。娘として……。相変わらずの強面で私をおっかなびっくり接してくれた。ぶっ きらぼうだけど優しかった。私は思ったの。いつか大きくなったら――。彼と出会った歳になったら、生まれ変わりであることを告白しようって。だけど、彼 ――父さんは死んじゃった。私がしゃべれるようになる前に死んじゃった」

 姉さんの細くて長い指が僕の髪に絡む。

「君は本当に父さんそっくりだね。違うのはこの髪くらいかな。君は母さん似だもんね。父さんみたいに癖がひとつもない。さらさらだ」

 マグカップの冷たさに耐えきれずに僕はマグカップを足下に置く。

 すると、僕の冷たい唇に暖かくて、柔らかい何かがぶつかった。

 姉さんは僕をぎゅうっと抱きしめる。姉さんの唇は甘くて――そして苦い。

 母さんとはまた違ったほろ苦さがあった。

 姉さんの火照った顔を見ているとこっちまで熱くなってくる。さっきあんなに口元が冷たかったのに、今ではこんなにも暖かい。

「――なんて話を考えてみたんだけど、面白かった?」

 姉さんの口元は涎で潤っている。その涎が僕のものか彼女のものかはわからない。ただ、どっちにしても珈琲のほろ苦さがあるのは確かだ。

「姉さんは小説家にでもなればいい。料理ができて小説も書けるなんて男の子がほっとかないよ」

「……ねえ、今の話」

「わかってるよ。未来の作家さんの処女作の冒頭でしょ。早く部屋に戻って新人賞にでも応募しなよ」

「……うん。ごめん」

 何がどう「ごめん」なのかはわからない。僕は、二つのマグカップを流し台に片付ける未来の作家さんの背中をみつめた。

 あの背中……そしてあの唇。

 おそらく、姉さんとキスをしている時の僕の顔は、前世の高校時代にタイムスリップしていたんだと思う。その時の顔を姉さんに見られなくて本当によかったと、僕は空を見ながら胸をなで下ろす。




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