源氏壱萬番話<女三宮 その壱>源氏壱萬番話<女三宮 その参>

2011年06月02日

源氏壱萬番話<女三宮 その弐>

女三宮が興し入れしてから数年が経ちました。
紫の上ほど熱愛されていはいないけれど、正妻として大切にされ、平穏な毎日が続いていました。

朱雀院の長寿を祝う宴が源氏の六条院で催されることとなり、女三宮は筝の琴を披露することが決まりました。
こうなると源氏も女三宮を放っておくわけにもいかず、付きっ切りで稽古をつけます。女三宮も、父院に披露するのに恥ずかしくない腕前を目指して一生懸命練習します。
そんなわけで女三宮の元に源氏が泊まることも多くなり、だんだんちょっとした冗談を言い合うくらいに仲良くなったようです。

そんなある日、源氏の息子の夕霧が友人を連れて養母の花散里のところに遊びにきました。蹴鞠をしていると聞いて、源氏は自分の住んでいる町に呼びます(源氏の邸は広大で、四つの「町」をひとつに合わせたもの)。
源氏が住む春の町には、寝殿に女三宮、東の対に紫の上、西の対に源氏が住んでいます。どんな造りだったのかよくわかりませんが、とにかく呼ばれた夕霧たちは春の町にきて蹴鞠の続きを楽しみました。

蹴鞠に参加している友人の中に、夕霧の親友、柏木がいました。柏木はかつての源氏の親友、左大臣の長男で、夕霧と同じく優秀なエリートです。柏木は、かねてから女三宮に恋心を抱いていました。女三宮の婿選びにも名乗りをあげたけれど、源氏に彼女を奪われてしまい、それでも諦められずにいます。
女三宮のいるところというだけで舞い上がった柏木は、女三宮のいる寝殿に近寄り、階段のところで休憩をとりました。夕霧も一緒です。

女三宮の寝殿では、若い男たちが蹴鞠をしているのを見物していて、なんだか浮ついた空気が漂っていました。生真面目な夕霧は体裁の悪い思いをしますが、女三宮に夢中の柏木は気にも留めません。寝殿には女三宮が飼っている猫がたくさんいます。
そのとき、御簾の中にいた猫が飛び出してきました。首に紐がくくりつけられているので、紐にかかった御簾がさっとめくれてしまいます。

柏木は見てしまいました。御簾の奥に、美しい華やかな着物に埋もれるように、華奢な女三宮が立っている姿を。慌てた夕霧が咳払いをしたので、女三宮は奥に消え、御簾ももどされましたが、柏木は女三宮を忘れることが出来ません。
一瞬で目に焼きついた美しい彼女に魂ごと奪われてしまったようです。夕霧が心配するほどに、柏木の様子はただ事ではない感じ。このちょっとした女三宮の不注意(姿を見られてしまう)から、彼女の運命は狂い始めます。

女三宮は当代第一の権力者、源氏の正妻です。柏木がどんなに望んだところで手に入るはずがない女性でした。しかし狂おしいほどに彼女に恋した柏木はなんとしても諦められず、女三宮の女房である侍従を手なずけて、なんとか会う機会を作って欲しいと頼み込みます。
侍従も困り果てます。源氏の正妻に男を手引きするなど、考えられないことですから、断り続けますが柏木は諦めません。

運命は動き続けました。紫の上が病に倒れ、六条院から二条院に移ったのです。紫の上に付きっ切りの源氏もともに二条院に行ってしまい、六条院は主人不在の状態になりました。

ある夜、女三宮は、深夜に人の気配に目を覚ましました。源氏が来たのかと思ってみると、知らない男が寝台の端っこの方にかしこまっています。驚愕する女三宮に近寄ってきた男は、なにか恐れ多そうにかしこまって女三宮を抱きかかえて寝台からおろしました。

女三宮は恐ろしさに震えてなすすべも知りません。男はもちろん、柏木です。彼に同情した侍従が女三宮の寝室に通してしまったのです。
柏木は、女三宮と一言二言話が出来たらそれで満足して帰るつもりでした。しかし、実際に間近に接した女三宮があまりにももの柔らかく可愛らしく可憐なので、理性も吹っ飛びます。
このまま君だけを奪い去りたい〜♪という歌のようなことを考え、ついに女三宮に乱暴狼藉を働いてしまうのです。

さて、二人の運命やいかに。
つづく。

sumiyakicafe at 16:09│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by akick   2011年06月07日 15:05
5 ひさびさの源氏物語だ♪
面白くて、あっという間に読んでしまったわ。

続き待ってま〜す☆
2. Posted by 薄雲   2011年06月12日 23:25
お体のお加減はいかが?
リクエストに答えてみました。
続きは鋭意製作中なのでもうちょっと待ってね!

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