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LA周辺。Sa-Raのオンマス・キースのフリー・アルバムは、シャフィーク・フセイン、エリカ・バドゥ、サンダーキャット、フェイス・エヴァンス、ココ・O(クァドロン)という超豪華なゲスト陣を迎えた傑作。音はコズミックかつエレガントなフューチャー・ソウルで、Sa-Raや同僚シャフィーク・フセインのソロと比べて、よりロマンチックなつくりが良い。プラグ・リサーチやブレインフィーダー周辺で活動する、LAのセッション・マン/プロデューサーたちによるカヴァー・プロジェクト、ザ・デコーダーズは、これまで発表してきた曲のダブ・ヴァージョンを集めた作品をリリース。ラヴァーズ・ロック調のカヴァーはどれも絶品だが、ダブ・ヴァージョンは原曲のスウィートな味わいを残しつつ、ラウンジ的な心地好さをもうひと塗りした極上の内容で、脳がとろけること必至。そして、プラグ・リサーチでクァドロンとして活動するロビン・ハンニバルが、レーベル・メイトだったマイク・ミローシュを迎えて、Sade愛を爆発させたライも素晴らしいアルバム。いささかスムースすぎなところはあるのだが、ジェシー・ウェアにも通じるクールでエレガントなソウル・ミュージックにはうっとりしてしまう。ハンニバルは今後もいろいろやってくれそう。あと、彼らのようなシャーデー・フォロワーが、ずいぶん目立つようになってきた。ロンドンのジョージ・メイプル(George Maple)とか。彼女は素晴らしい。鬼のシャーデー・ブログ、STRONGER THAN PARADISEさんは、ここらへんの人たちをどう聴かれるんだろう。








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『The Tree』 Ego Ella May *name your price
『Noah/Sela. Split』 Noah / SELA. *name your price
「Treat Me Like Fire」 Lion Babe


ロンドンの女性シンガー、エゴ・エラ・メイ。まだ20歳で、これがデビュー盤だが、アトモスフェリックなネオ・ソウル・チューンはどれも濃密なムードが漂う。前回のジェネイ・アイコやSZAなど、アンビエントR&Bのシーンのシンガーたちと並べてもいいだろう。ただ、プロフィールにシンガー・ソングライター/ビートメイカー/ギタリストと書かれているように、R&Bシンガーというよりは、シンガー・ソングライター的なスタンスであり、作・編曲や演奏も含めたトータル・プロデュースに長けた人である。Omarが評価しているらしいが、それも頷ける。名古屋の女性シンガー/ビートメイカー、Noahと、キティ・プライドやメイン・アトラクションズとの仕事で名を知られる19歳のビートメイカー、SELA.によるスプリットEPがflauからリリースされた。各6曲ずつ収録しており、仄暗く密室感のあるサウンドは両者似ているところがある。SELA.のミニマルで静かなタッチも美しいが、より艶っぽいNoahが良い。彼女は透き通った美声の持ち主でもあり、その声がミルフィーユ状に柔らかく重ねられた「you'll come」の美しいこと。アルバム一枚聴いてみたい。

528283_364649113636988_1151641063_n女性シンガーのJillian Hervey とプロデューサーのLucas Goodmanによるデュオ、ライオン・ベイブ。下の動画を見ていただければわかるが、名前の由来は女性シンガーの髪型だろう。彼女たちは一曲しかリリースしていないのだが、この曲が素晴らしい。ちりちりとしたノイズや時空が歪んだようにぐねぐねとループする鍵盤を核としたトラックは、ノスタルジックであり、非現実的でもあり。エリカ・バドゥのような巧さがあるヴォーカルとともに、癖になる。この曲はスター・スリンガーもリミックスしているけれど、原曲の方がずっといい。ちなみに、バンドキャンプを利用している人は気になっているだろう右のイラスト(ここ最近トップページにずっと掲載されていた。いまは違う人になっているけれど)は、彼女を描いたものだ。
 


 


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『No World』 inc.

インディR&B、オルタナティヴR&B、アンビエントR&Bなどなど。近年の新しい歌モノの動きについては、新しいブルー・アイド・ソウルのかたちとして、あるいは周縁におけるR&Bの流行として、過去書いてきたが、その後さらにシーンは拡大している。代表格のひとりとされているオート・ヌ・ヴ(Autre Ne Veut)の新作ははっきり言って駄作だったが(前作の方がいい。新作ではMykki Blancoが参加した「Counting」だけ聴こう)、同じくシーンのホープとして4ADからデビューしたインクは素晴らしい。彼らは、ファレル・ウィリアムスやシーロー・グリーンの裏方として仕事をしてきたAndrew Aged、Daniel Agedの双子デュオ。メロディにはR&Bからの影響が強く窺えるものの、2011年に出たEP『3』と比べると、サウンド全体のR&B色は薄れている。代わりに肝となっているのがアンドリューが弾くギター。そのギターを中心に、ネオアコ的といってもいいほどのクリアな音色が徹底されており、静かで澄んだ耳当たり、中性的な雰囲気は、このシーンの中でも独特だろう。プリンスを暗い部屋に5年間寝かしておいたら、こんな風になるかもしれない。R&B界屈指の“もやしっ子”。




リリースはまだ2曲のみだが、Calvin MarkusとTravis Bunnによるデュオ、デッド・タイムズもいい。彼らのベースはベース・ミュージック~エレクトロニカにありそうだが、「Feel It」はレトロなオルガン風の鍵盤や、オーケストラや
ゴスペル的なコーラスが優雅に配されていて、懐はなかなか深そう。あと、ライナーノーツも書かせてもらったブルックリンを拠点に活動するデュオ、ビーコン。シンガーのトーマス・ミュラーニー3世と、ビートメイカーのジェイコブ・ゴセットのふたりは、ともにアートスクールの出身で、ゴセットは個展まで開いている。そうした経歴ゆえかどうかはわからないが、ビートもメロディも極めてセクシュアルでメランコリック。耽美に徹底したサウンドに芸術畑のこだわりがみられる。また、彼らが2011年にリリースしたデビュー・シングル「So Anxious Single」はジニュワインのカヴァーであり、その仕上がりはいまの新しい歌モノ・シーンのそれに非常に近い。つまり、アンビエントR&B的な手法をかなり早い段階から実践してきた人たちでもある。このあたりのシーンについては、また改めてまとめよう。それにしても、何で男同士のデュオばかりなんだろう。